あれから大急ぎで救急車を呼んで...ボクくんは病院に運ばれた。
ひどいケガだったけど...幸い入院まではいかなかった。
身体のあちこちに包帯やらばんそうこうを貼るその姿は痛々しかったけど。
そして今朝...ボクくんは迎えにきたお父さんに連れられて、都会へと戻っていった。
「じゃあね...萌ねえちゃん。 はい、これ」
家族みんなで見送りしているときに...ボクくんは小さいピンポン玉のようなものをくれた。
「あのっ...ボクくん、この家で一緒に暮...」
私の言おうとしていることを、ボクくんはわかっていたのか、指で制止した。
「ボクの居場所はここにはないよ.....でも、ボクはいつでも見てるからね」
最後にそう言って笑うボクくんの顔は...いつもの無邪気なボクくんだった。
ブルルルルル...
その夜...部屋で勉強していると、私の中に入ったピンポン玉がいきなり暴れ出した。
「あっ、ん!」
不意をつかれてまた声をあげてしまう。
「どうしたの? 気分でも悪いの?」
後ろで人形遊びをしていた妹の詩[しらべ]が、いきなりへんな声をあげた私を心配して聞いてきた。
「あんんんっ...な、なんでもないの...んんっ」
震える声で私は取り繕う。
「.....?」
不思議そうな詩。
ボクくんがウチにやって来た1ヶ月のなかで、たった7日間だったけど...
それは一生忘れられない思い出になった。
.....ううん、まだ思い出なんかじゃない。
今もこうして...私はボクくんから愛されてる。
「そうだ! 詩、来年の夏は花壇に朝顔じゃなくて、ハイビスカス植えない?」
「ハイビスカス...? なんで?」
「いーの! 私が好きなんだから!」
終
「8月30日」の続きにして完結。
萌ねえちゃんが渡された「ピンポン玉」とは超遠隔操作可能なピンクローターです。
本当はバッドエンドを予定してたんですけどね、やめました。
あと、本当はガキ大将たちに輪姦されるお話も考えてたんですけど、これもやめました。