「あの……佐藤聖さまですよね」
聖はショートの髪を揺らせて振り向いた。
目の前にはおかっぱの見た事のない少女が立っていた。
リリアン女子大学の講堂前である。
「そうだけど、あなたは?」
少女はもじもじと俯きながらいう。
「私、二条乃梨子っていいます」
「あなたが?」
途端に大きな声を上げてしまう。
聖は乃梨子のことを人づてに聞いていたから。
「私をご存知なんですね……」
「うん、志摩子の妹なんだってね」
にこやかな聖の前で、乃梨子は何やら考えるような仕草だったが、
すぐに前を向いた。
「あの、私と来てくださいませんか……?」
「どうしたの?」
乃梨子は聖を見つめながら言った。
「ちょっと志摩子さんのことで、相談したい事が」
こうして聖は乃梨子と名乗る少女の後を歩いていた。
(志摩子のことでねぇ。なんなんだろ……)
「ねえ、志摩子は元気にやっている?」
問われて乃梨子は一瞬びくっと震えた。
「ええ、お元気です」
その声はなぜだか少し暗い。
聖の前を歩きながら、ずっと地面を見つめている。
「それで、どこまでいくの?」
もう既に十分は歩いている。リリアンの敷地を出て、
住宅街の昼間は閑散とした辺りに着いていた。
「もう少しです」
(う〜ん、ちょっと、あまり長話はできないな〜)
聖は歩きながら腰の辺りをもじもじさせる。
すぐ済む話だろうと思っていたが、先にトイレを済ませてくれば良かったか。
そのとき。後から何ものかの腕が伸びてきた。
「――っ!!」
男のものらしい野太い腕。手には何かの薬品を染み込ませた布地が握られている。
聖はもがく暇もなかった。息を吸い込んだ瞬間、力が抜けていく。
(何なの、一体っ……?)
そして――
「ん、んんっ……」
「いよう、おめざめかい」
聖がうっすらと目を開ける。目の前には蛍光灯の明かりと、
その明かりを背に佇む三人の男。
「な、ここはどこ……?」
聖は体をよじってうめく。
三人の中心に位置する、目つきの腐った男がせせら笑った。
「ここは”性春”の館だよ」
ぎゃははは、と他の男が追従して笑った。
聖は両手を縛られて、汚い畳の上に転がされていた。
どこかのアパートか何かの一室らしい。
「ちょっと、なんのつもりなの!?」
「何のつもり? これからお前を輪姦すんだよ」
「!!」
さすがの聖も顔が青ざめる。その視界におかっぱの少女が映った。
「乃梨子……ちゃん、あなた私を嵌めたの?」
「ごめん、なさい……」
乃梨子は、いつも気の強い乃梨子は、今にも泣きそうな声を出した。
「こいつはもう、マンコも口の中もケツの中も精子臭くてしょうがないくらい、
たぁぁっぷりザーメンを注ぎ込んでやったからな!」
目つきの悪い男――これがリーダー格である、の言葉に再び爆笑が巻き起こる。
「ごめんなさい、私、こいつらに何度も犯されて……写真も取られて、住所も名前も全部知られて……
私学校辞めたんだけど、実家にまで追って来て、言う通りにしないと、志摩子さんや私の妹を犯すって、だから……」
そこまで言うと乃梨子はわーっと泣き崩れた。
「おら、お前はもういらねえよ。そこら辺に転がってろや」
「うぐぅ!!」
男が乃梨子を蹴り飛ばした。腰の辺りを蹴られた乃梨子は部屋の端まで転がって、
そのままへたれこんで泣き続ける。
「あんたたち……っ!!」
聖は怒りを込めて男たちを睨み付ける。
(許せない、せっかくできたあの子の――志摩子の妹をこんな目に……)
「こいつもけっこう気の強いスケだな。自分の立場が分かってないらしいや」
肩を竦めて見せると、リーダー格の男は足を翻した。
「ぐぎゃ!!」
男の足刀は聖の顔面を捉えていた。続いて、残りの二人――長身と太めの男も蹴りに参加する。
「ぎゃあ! ぐぎゃああああっ!!」
聖は連続で腹や顔に蹴りを叩きこまれて、血反吐を吐きながら床を舐めた。
「俺達を舐めるなよ。てめえを不具にするぐらい、訳はないんだぜ」
そういうと、顎で太めの男に指図する。
男は聖の私服を剥ぎ始めた。ロングスカートの裾に手を伸ばし、下半身を露わにしていく。
長身の男はビデオカメラを撮影しはじめた。
「うう、くっ……」
聖は鼻血を流してうめく。すぐに下着が露わにされる。
「ま、待って……」
聖は哀願するようにいった。
「何だ、止めて何ていまさら聞かねえぞ」
「…………」
聖は赤くなって荒く息を吐いている。
「わ、私、漏れそうなの……」
屈辱に歯を食いしばりながら、何とかそう呟いた。
先程まで抑えられていた尿意が猛烈にこみ上げてきていたのだ。
尿をするようなら、男の性欲も萎えるかも知れない。などと淡い期待を抱いて。
「それで?」
だが、リーダー格の男はあくまで冷たい。
「お漏らし女だから萎えるとでも思ったか? ――逆だよ」
男はにいと口の端を歪めた。
「よっしゃ! デブ、ノッポ、こいつのマンコ丸見えにして、
小便漏らすところしっかり撮ってやれや!」
「!!」
その余りに残虐な言葉に聖は目の前が真っ暗になっていくのを感じた。
「いやあああ!! そんなのやだあ!! やめろおおおっ!!」
必死に空を蹴ってもがくが、そんな聖を男たちはこもごもに殴って制圧する。
「ぶぐう! へぶうう!!」
「オラオラ! 顔を潰すぞ!!」
そして太めの男が無理矢理聖の股座を掴むと、下着を引きずり取っていった。
「あはは、取れた、取れた!」
次いで聖の両足を押さえつける。性器をご開帳するのである。
「ああ、はあ……っ!!」
聖はこのとき初めて涙を流した。聖の股は完全に開かれた。
「へえ、けっこう濃いんだな」
「綺麗なマンコだぜ。流石リリアン。今どきまだ処女みたいだよ」
「撮影、撮影」
口々に勝手な事をほざく男たち。聖は全開に性器をさらけだしている。
かつて別れた、最愛の少女にさえ見せた事はなかった花園を。
「う、ううっ……」
「それで? いつ漏らしてもいいんだぜ。はやく出して楽になっちまえよ」
リーダー格の男がにやりと笑う。聖の腰がぴくぴくと痙攣する。
「ううっ、ああ……」
聖はすすり泣いていた。殴りつけられ、性器をさらされて辱められている。
そしてもう尿意は限界だった。
ちょろちょろ、ちょろ……
聖の割れ目から黄金色の水が噴出した。
始めは弱く、だがすぐに堰を切ったように、凄まじい勢いで。
「あぅ、ああ!!」
我慢に我慢を重ねていた尿は止まることを知らない。
黄金水をあちこちにまき散らして、猛烈に放尿する。
しゃーしゃー……
やがて、たっぷり一分は放尿すると、ようやく収まった。
……すぐに男たちの哄笑が轟いた。
「ぎゃははははっ!! こいつ、マジで漏らしやがったぜ!」
「すげえ、リリアンの元白薔薇さまが、すげえっ!!」
「撮ったぞ! きっちり撮ったぞ! こいつのマンコから小便でるの」
聖は震えて、それから口を大きく開けた。だが。
「がはっ!!」
顔を蹴られて聖が床に突っ伏す。
「舌を噛んで死ぬってか? 泣かせるねえ」
リーダー格の男がねっとりとした笑いを浮かべる。
「死ぬのは勝手だが、もうテープに撮っちまったんだよ。
死んだ後、日本中の人間がお前の放尿を目にするんだぜ」
聖の体がぴくんと震える。
「この手のはマニア垂涎ものだからな」
「Winnyでネットに流せば、二度と回収できなくなるな」
聖はかくかくと震えた。
(テープを流される……)
(そうしたら、あの子にも見られてしまう……)
(それだけは、嫌だ。死ぬよりずっといやだ……)
「許して、下さい……」
聖は殴打と涙で腫れた顔を上げた。
「何でもします。だから、テープは流さないで下さい……」
それを聞いて又もや男どもの哄笑が巻き起こる。
「そうか。なんでもするか……」
リーダー格の男は陰惨な目をすっと細める。
顎で床を示した。
「だったら、それを舐めて綺麗にしろ」
「!」
男たちはげへげへと笑い続けるのみである。
「その畳、てめえの小便で汚れただろうが。滲みになる前に舐めて綺麗にするんだよ」
「どうした? 何でもするんじゃなかったか? テープばら撒くか」
聖はよろよろと身を起こした。
そして、手を縛られたまま、這いつくばるようにして体を畳に預け、
そして――ぺろぺろと、畳の上にこぼれた尿を舐めはじめた。
「ぎゃははははっ!!」
「こいつ、マジで舐めてやがるぜ! 自分の小便を」
「いやああ、キモ――っ!!」
聖は涙を流して尿を舐めていった。
舌先でちょろちょろと、畳の上に溜まった尿を舐め取っていく。
顔中を自分の尿塗れにさせて、リリアンの元白薔薇さまは何度も何度も尿を舐め取っていた。
「ううっ……げえ」
途中何度も吐きそうになる。その度に男どもの蹴りが入れられる。
やがて、床の滲みは綺麗に消えていった……。
「よっしゃ! 犯すか」
あらかた畳を嘗め尽くした聖を男は押し倒す。
「きっちり撮影しろよ! 後でテープ売り飛ばすんだからよ!」
男は高らかに宣言した。約束の反故を。
「そんな! 話が違う!!」
だが、男はにいっと笑うのみだ。
「バーカ! お前みたいな変態小便女との約束なんて守るわけないだろ」
そう言うと、プライドも体もぼろぼろの聖の顔を何度も殴りつける。
「ぐあああ! あああああっ!!」
やがて男は着衣をずらして隆々反り返った一物を露わにした。
「いやああああああああああっ!!」
聖はどうすることもなくただ泣き喚いた。
男のチンポが聖の処女を破って挿入される。
「ごめんなさい……ごめんなさい……」
部屋の隅で乃梨子はうわ言のように呟いていた。
(終)
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