少女は気づかなかった。闇からじっと自分を見つめる視線に。
「はぁ……観音さま、良かったなあ」
おかっぱの少女が夜道をてくてく歩き歩き、軽くのびをする。
とある休日のことである。
彼女――リリアン女学園の一年生、二条乃梨子は、その日都内まで出向いていた。
ついつい長居をした、仏像展を見た帰りであった。
「急がなきゃ。終電には間に合うだろうけど」
彼女は今大叔母の菫子のところに下宿している。
千葉が実家の乃梨子はリリアンに通うため、下宿しているのであるが、
大叔母は門限にはさほど厳しくないとはいえ、遅くなりすぎてもよくない。
繁華な街並みを早足で駆けていく。
昼間は賑やかな界隈は、夜には別の意味で騒々しくなる。
闇の片隅には妖しげな人種や外国人が、何やら群れてたむろしていた。
あまり治安のいい辺りではない。
「よお、そこのお嬢ちゃん」
乃梨子の前に闇から人が躍り出たのはそのときだった。
三人ばかり、チーマー風の身なりをした、あまりガラの良さそうでない連中だった。
「一人? 俺達と遊びに行かない?」
三人は馴れ馴れしく乃梨子の肩に手を置き、三方から囲む形で乃梨子の行く手を阻んだ。
「……何なんですか、あなたたち」
乃梨子の顔がさっと強張る。
「楽しいとこ連れてってやるからよ。ちょっと付き合ってよ」
なおも男たちは行く手を阻む。
「どいて下さい! 人を呼びますよ」
そうきつい目で睨みながら、乃梨子は正面を塞ぐ男に言ってやった。
その男の顔が不意に歪んだ。
「――っ!!」
突然うしらから伸びた腕が乃梨子を羽交い絞めにする。
口元には何かの薬品臭がする布が押し当てられた。抵抗する暇もなかった。
「――ん、んん……」
乃梨子の膝がかくんと折れて、前のめりになる。その体を前方の男が支える。
「ああ、この子酔っちゃったよ。介抱しないと」
やけに遠くで男のわざとらしい声が頭に響く。薄れいく意識の中、悟ったときにはもうおそかった。
男たちは初めから、この手口で乃梨子を狙っていたのだと。
そして――
「んんっ……」
蛍光灯の白い光と据えた臭いに、乃梨子は意識をわずかに取り戻す。
天井を見つめる自分は仰向けにされているのだと、おぼろげに分かる。
動かそうとした手足は痛みを送り込んでくるだけで、ちっとも動かない。
背中の痛みとわずかな視界から、自分は手足をしばられ、汚い畳の上に転がされているのだと気づく。
「よお、目が冷めたかよ」 「…………!」
例の乃梨子の正面を塞いでいた男が、自分を見下ろした。
三人の男たちが自分を取り囲んで見下ろしている。
リーダー格らしい、目つきの悪い男。それに背が高い男と、
自分を後から薬品か何かで眠らせた太った男。
全員が全員、下卑た顔をしている。男たちは誘拐レイプの常習犯だった。
「こ、ここはどこですか!?
あなたたち、こんなことしてただで済むと思ってるの!?」
乃梨子は精一杯叫んだ。別に強がっているわけでもなく、
ただ男たちを見つめて強く言いはなった。
乃梨子という少女の芯の強さが分かるというものだろう。
だが、男たちはこのような反応にも慣れていた。
「ふんっ!」
目つきの悪い男は突然、乃梨子の上に馬乗りになった。
そして拳を力いっぱい乃梨子の顔に振り下ろした。
「ぐぎゃ!」
「オラオラオラオラ!!」
男の拳が次々と炸裂する。何かがひしゃげる様な音がして、血飛沫が舞い散る。
「ぐぎゃ! があっ!! ぎゅああああっ!!」
やがて、ひとしきり殴り抜いて――
「はあ、はあっ……」
乃梨子の顔はパンパンに膨れ上がっていた。
まぶたは腫れ上がり、鼻からは血を流して、荒く息を吐く。
顔面を襲った激痛に涙をながして呻いていた。
「騒いだら殺す。暴れても殺す。俺達のチンポをしっかりしゃぶらねえでも痛え目に合わす」
そう、男は馬乗りになったまま言い放った。
気の強い女や抵抗する女は、いつもこの手で制圧してきたのである。
「ふうん、二条乃梨子ちゃんねえ」
「おいおい、すげえぞ。こいつリリアンの女子高生だよ」
二人の男たちが喜悦の声をもらす。これから犯す女が「高め」だと知っての事である。
男たちは乃梨子の手提げ鞄を荒らして、その中からリリアン女学園の生徒手帳を取り出していた。
リリアンといえば、その手のマニアが垂涎もののお嬢様学校である。 男たちもリリアンの乙女を手篭めにしたことはなかった。 「おい、ビデオまわせや。こいつはプレミアがつくぜ」
リーダー格らしい男が顎で指図する。いわゆる「ハメ撮り」にするつもりなのである。
「いや、やめて……」
乃梨子が弱弱しい声を漏らした。
いくら乃梨子でも、これ以上殴られるのが怖くて、大きな声は出せない。
おかっぱの、日本人形のような清楚な顔は、打撲によって醜く歪んめられている。
「それじゃ、まずはしゃぶってもらおうか」
聞く耳を持たない男は、ズボンのベルトを外すと、体毛に塗れて汚らしい下半身をさらけだした。
股間の中心には黒々と輝く一物が蛍光灯の光にびくびく怒っている。
使い込まれた狂気は無論レイプによって黒く磨き掛けられたものである。
「ぶぐぅ!!」
乃梨子の口に一物が突っ込まれた。
「オラア! ちゃんと舌使えや!」
男が怒鳴り散らす。男は仰向けに弱弱しく横たわる、乃梨子の顔にまたがるように膝をついている。
そうしてその姿勢のまま、乃梨子の口の中に一物を押し込んでいるのである。
一方で背の高い男がビデオカメラを担いで、乃梨子の顔を写している。
「ぶぐうっ! あむう!!」
乃梨子はくぐもった悲鳴を発した。
男の一物は包茎ではないが清潔さに欠けていて、凄まじい異臭を放っている。
それを無理矢理口の中につきこまれて、髪を掴まれてイマラチオをさせられているのである。
乃梨子にとっては初めて目にする男性器であるのに。
「あうううっ!! むうううっ!!」
乃梨子は涙を流しながら一物を咥えさせられ、髪を引っつかまれて顔を前後に動かされていた。
腐臭と痛みとで意識が遠くなる。一方で、男は喜悦を口から漏らす。
「おお、いいぞ、イクぞ、イクぞおっ!!」
男は絶叫すると、そのまま乃梨子の髪をめちゃくちゃに振り回して、達しようとしていた。
「うぶう! あむうっ!!」
「うおおおおおおっ!!」
男はそのまま果てて、濃いザーメンを乃梨子の喉の底に解き放った。
(志摩子さん、志摩子さん……)
乃梨子の頬からつつと涙が零れた。
ザーメンは喉の奥で放たれて、有無を言わされずそのまま飲み干さされた。
男がチンポを抜くと凄まじい吐き気がこみ上げてきて、乃梨子は激しく咳き込んだ。
「はあ、良かった。こいつのフェラなっかなかだぜ」
げははは、と男どもが下卑た笑いを上げる。
「オラァ!!」
男の一人がうずくまる乃梨子の腹を蹴り上げた。
「ぐぼぉ!!」
「オラオラオラ!!」
そのまま面白がって、遊び半分に蹴りまくる。
乃梨子は体を折ってびくびく震えた。
「げぼお! うげえっ!!」
やがて蹴り足がやむと、乃梨子は胃液とさっき飲んだザーメンを吐き出しながら、か細い息を吐いている。
「はあ……はあっ……」
「よっしゃ! 次はマンコをもらうか」
気息奄々たる乃梨子を見下ろして、男三人はにやりと笑う。
顔は膨れ上がり、腹は打撲されて、乃梨子は無残な姿だった。
この上さらにじっくりたっぷりと辱めて、
乃梨子という女性の尊厳をぼろぼろにするつもりなのである。
「しゃ! 脱がせろや」
リーダー格の男が命令する。長身の男と太めの男が下半身に手を伸ばした。
乃梨子の来ているブルーのタイトスカートに手を掛けると、乱暴に剥ぎ取っていく。
「おほ♪ 白だぜ白」
「ロサ・ギガンティアってか。ケケ」
男二人が例の下卑た笑いを上げる。
リリアンのスール制度や生徒会については、男たちのようなチンピラどもの間でも知られていた。
レイプ魔集団にとってはリリアンは垂涎の的である。
「さて。おまんこ、ご開帳といきましょうか」
「い、いやぁぁ……」
乃梨子が弱弱しい声を漏らした。
男の手によって、するすると下着を剥ぎ取られていく。
必死に股に力を入れようとするものの、男二人がかりで股を目いっぱい開かれてしまった。
そう、乃梨子の処女は今、男たちの前に何も遮るものもなくさらされてしまった。
「あ、ああ……」
乃梨子が悲痛な声を漏らした。
「おお、さすがだぜ!」
「ああ、ピンクのマンコだ!」
「ぴっちり閉じてるぜ。こいつヴァージンだな」
男たちが歓声に湧き上がる。
乃梨子はもう涙で霞んだ視界の向こうを、ぼうっと見やるしかない。
「オイ、カメラだカメラ」
男がカメラを乃梨子の女性器の前に据え置いた。
「マンコと顔を相互に写してやれ」
「やだあああ! もうやだあああ!」
乃梨子は突然、叫び声を上げた。そのまま狂ったように全身で大暴れする。
「ちっ、この……」
長身の男がカメラを下げた。そしてリーダー格の男が再び乃梨子の上に馬乗りになる。
「オラオラオラ!」
「へぶし! ぶぐおっ!!」
再び血飛沫が舞った。男は拳を連打している。
固いものが砕ける音がした。顔面の骨が割れたのである。
「あうううっ!! 痛いいいいい!!」
「おい、お前! このまま暴れてると、顔が潰れて二度と戻らなくなるぞ」
男は乃梨子の前髪を引っつかんで起こしながら、ドスの利いた声で嚇しつけた。
(顔が潰される……)
(会えなくなる……)
(顔が潰れたら、二度と志摩子さんと会えなくなる……)
乃梨子は鼻血を流しながらようやく大人しく動かなくなった。
男はげへへと下卑た笑いを漏らす。
「それじゃ、犯るか!」
男が着衣を脱ぐと、乃梨子の上に覆いかぶさった。
さっき射精したリーダー格とは別の太めの男である。
長身の男はビデオカメラを回している。
「ふん! ふんふん!」
「あぐぅ! ああっ!!」
乃梨子が体を弓なりにさせた。
男のチンポが乃梨子のヴァージンを貫くと、そのまま男は猛然と腰を突き込み始める。
「痛い、痛いよおおっ!!」
乃梨子は痛みに泣き叫んだ。さっきまで処女だったのに、無理矢理犯された上、
血に塗れた膣を男根が容赦なく蹂躙している。
乃梨子は膨れ上がった顔を振って泣き叫んだ。
「はあ、はあ、へへっ……」
だが、男はお構い無しにピストン運動を繰り返す。
先程乃梨子にイマラチオを強いた男は腕を組み、長身の男はビデオカメラを構えて、
いずれもにやにやと口元に笑みを浮かべてそんな乃梨子を見下ろしていた。
「おお、締まるぜ! おっおっおっ!!」
男は下品きわまりない腰使いを加速させると、一気に性感の頂上まで達した。
「イクイクっ!!」
その瞬間、びゅびゅっと乃梨子の精子が中出しされた。
「はあ……っ……」
乃梨子は横を向き、目かぽろぽろと涙をこぼした。
男がチンポを引き抜く。すると其処からだされたばかりのザーメンが溢れてきた。
「おい、中に出すなよ。俺ができねえじゃねえか」
長身の男が不平を言う。
「すまねえな」
「ちっ、しょうがねえ。こいつでも突っ込んでやるか」
乃梨子の目にもそれは映った。
男は空のビール瓶を手に取った。
「いや……やめて……お願いもうやめて……」
そこには気の強い乃梨子の面影はなかった。
膨れ上がった顔から涙を流して、懸命に嘆願する。
だが。
「それじゃ、デブ、抑えとけよ」
「おう」
「い、いやああああああ……っ……」
ビール瓶の先っぽが乃梨子の性器に沈み込んでいく。
「すげえ、入ってるぜ」
「喰い付いてるみたいだな」
「もっと奥まで入れてみろよ」
男はビール瓶を前後に出し入れして動かし始めた。
「あううっ!! 痛い、痛いっ!!」
乃梨子は泣き叫んだ。
ビール瓶は半ばまで沈みこんでいる。子宮を瓶先で突っつかれて、乃梨子は泣き喚いた。
「おっしゃ、加速じゃ!」
男たちがはやし立てる。瓶は一気に加速して滅茶苦茶に動いた。
「ぎゃああああああああっ!!」
一頻り遊び終えると、男たちはぼろぼろになった乃梨子を車で運んで、
繁華街の路地裏に捨てていった。勿論、脅しつけるのも忘れてはいない。
「いいな、サツに密告りやがったら、このテープばら撒いてやるからな」
「お前の学校と住所はもう分かってるんだ。次はもっと酷え目に合わす」
「今度また行くからよ。その時はお前のスールもまとめて犯してやるよ」
口々に勝手な事をほざくと、男たちは去っていった。
後には瀕死の乃梨子が残るだけだった。
「しま……こさん……」
(私がいたら――……)
(私がいたら、志摩子さんまで……)
乃梨子は闇夜の中、一人泣き続けた。
その後、乃梨子はリリアン女学園を自主退学して、実家に引きこもるようになった。
(終)
|