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監禁 来栖川シスターズ マルチ編2 予告編(臨時先行版)
井川 正寿/文


  神岸 あかりは朝、目が覚めた時に奇妙な違和感を感じた。世界の色が変わったような感覚。でも、いつもと同じ自分の部屋。何一つ動いていない。

  でも、何かが違う。あかりは理由が解からないけれど確信していた。

  雅史が消え、志保が消え、浩之までいなくなった。それでも明日は必ずやって来た。自分だけが取り残された。警察は連続失踪事件なのか、誘拐事件なのかも特定できていない。来栖川先輩が消えた日から日常という名の歯車はズレ始めていた。

  浩之のいない世界。

  意味の解からない違和感。あかりの世界は狂いだした。

  あかりはひさしぶりに笑った。腹を抱えて笑った。笑った。笑った。笑った。

  どうして可笑しいのか、何故寂しいのかもワカラナイ。何を失ったんだろう。

 

 智子「神岸さん。校則違反やで。はよう直し」

  ひさしぶりに保科 智子があかりに話しかけてきた。あかりは首を傾げた。校則違反?

 あかり「えーっと・・・どっか変かな」

  そういえば、教室に入ってからクラスメートの態度が変だ。誰もが、こっそりあかりの方を盗み見ている。髪型はミツアミに戻しているし、色も地毛だ。制服だった標準のもので、改造なんかしていない。スカートが短いと思ったが、自分より短い生徒はいくらでもいた。

 あかり「べつに普通だよ。背中に何かついてる?」

  智子は大きく目を見開いた。すごく驚いている。優等生の意外な一面を見た驚き。

  全身を見ても何の以上も無い。小物類も地味なものばかりだ。校則違反に該当するものは身につけていない。下着かな?っと、あかりは思い当たる。

 あかり「あの・・・・パンツにクマのワンポイントがあるけど校則違反になるのかなぁ・・」

 智子「あほ、早く脱がんとマルチに・・・」

  智子が言い終わる前に教室の扉が元気よく開かれた。そこには、緑の髪のメイドロボがいた。HMX12、通称マルチだ。

 マルチ「おはようございます。みなさん。おはようございます」

  マルチは丁寧にお辞儀しながら元気よく、あかりの所にやってくる。

 あかり「わぁ〜ひさしぶりマルチちゃん」

  ひさしぶりに合ったマルチにあかりは喜びを隠し切れない。たった一週間だけの在学だったマルチ。その思い出は忘れずに心の隅に残っていた。あの時は四人一緒だった・・・。

 マルチ「はわわわ、あかりさ〜ん駄目ですよ。そんな格好じゃ。しょうがないです今日は特別ですからね。早く小屋の方に行かないとお仕置きですよ!」

  マルチは頬を膨らませあかりを怒る。その表情は、あの時と何ら変わらない。

 あかり「格好って? 小屋? どうしたのマルチちゃん?」

  マルチの言っている意味に当惑する。

 マルチ「ちゃんは駄目です。もう、早く」

  マルチはあかりの手を掴んで教室の外に出て行こうとする。

 あかり「マルチちゃん。授業があるから後にしようよ」

 マルチ「授業はこっちでやるんですよ」

  強引に外に連れ出される。入れ違いに先生が教室に入るが、あかりには一別もくれない。しばらくして智子の声がする。

 智子「起立! 礼! 着席!」

  号令の後に先生の出席を取る声が聞こえてくる。あかりを無視している。

  当惑したままのあかりを引張って1階の突き当りまできた。そこには地下に続く階段が口を開けていた。壁も床も造りがまったく違う。いつのまに出来たのだろうか? それより高校に地下室何てモノが有っただろうか?

  長い階段を下りると、長い廊下があった。窓の無い廊下はここまで閉塞感があったのか。

  廊下の突き当たりには頑丈な鉄製の扉が聳え立っていた。マルチは立ち止まって扉を見上げる。何かデーターのやり取りをしているようだ。5秒ほどで扉は音を立てて開く。奥には、いくつもの扉が開いて行く光景が続いている。

 あかり「何処まで行くの?」

  マルチに害意があると疑うつもりは無いが不安になってくる。

 マルチ「小屋ですよ?」

  マルチは不思議そうに答える。二人はさらに奥に進む。

  奥にはエレベーターがあった。ボタンはやっぱり無く、マルチがデーターを交換を行い地下へと潜っていく。これではマルチがいなければ帰れない。

  あかりは急に喉が乾いた。緊張しているのだ。

  ベルの音が鳴って扉が開く。目の前に左右、正面と廊下が続いていた。扉もいくつかあった。

 マルチ「こっちです」

  マルチの案内された扉には「訓練室 神岸あかり」と書いてあった。いくつかの扉には「開発室」「実験室」「遊戯室」「風呂」「食堂」「寝所 神岸あかり」とエレベータから出た順に記されていた。

  部屋の中はござっぱりしていた。黒で統一されたゴムタイルの床と壁。照明は天井に埋め込まれたタイプで少し薄暗い。異常なのは、部屋の中央に聳え立っている細い鉄柱。そこに繋がっている鎖。先には犬の首輪が括り付けられている。壁を見ると数種類の鞭。端っこには鉄の檻があった。壁には膝ぐらいの高さしかない鉄の柵が各方向にあった。あれが隣の「寝所 神岸あかり」に繋がっているのだろうか?他の柵は何処の部屋と繋がっているのだろうか?

  あかりは一目散で逃げ出した。ドアにはノブが無い。この施設はメイドロボの信号が無ければ扉が開かないようになって

 いるのだ。そんなことを知らないあかりは扉を叩く。

 マルチ「少し暗いですね」

  マルチは天井を見ると光度が増して部屋が明るくなる。

 マルチ「それでは牝犬の訓練を始めます。先ずは服を全部、脱いで下さい」

  笑顔で言う。あかりは尚も扉を引っ掻く。

 あかり「誰か〜助けて〜マルチちゃんが変なの〜」

 マルチ「もう、わたしが故障する確率は0.000021%ですよ。しかたありません」

  マルチが起動音と共に震える。ついで読込音。

  無言であかりに近づいて。あかりの体に触れる。

 あかり「ぐぎゃぁ」

  突然の衝撃に悶絶する。電気ショックだ。スタンガンの要領で親指と人差し指を帯電させたのだ。

 マルチ「服を脱いでください。今は弱電ですが徐々に電圧を上げますよ」

  幼児をなだめる感じで言う。

 あかり「・・・どうして? 何であたしに・・」

 マルチ「えーっと。校則に書いてあるからです」

 あかり「え・・どいうこと?」

 マルチ「一つ 犬は校内での着衣を禁止する。但し、飼育係の許可した着衣は許可する。

     一つ 犬は特別カリキュラムを飼育係から受けること。

     とか、いろいろありますよ」

 あかり「そんな。マルチちゃん」

  マルチは恐る恐るあかりに触れる。

 あかり「ぎゃ」

  電気ショックを受ける。

 マルチ「飼育係には様をつけるんです。マルチ様です。そう呼んで下さい」

  なだめるようにいう。

  あかりは、何かの間違いと思いたかったが、この設備を見ると冗談ではありえなさそうだ。本気で犬として訓練させられるんだろうか?

  電気ショック。あかりの身体は硬直する。従うしかなさそうだ。あかりは上着を黙って上着を脱ぐ、次いでスカートのホックを外した。

 あかり「下着も・・ひ、ごめんなさい」

  マルチの手が近づくと恐怖から下着に手をかけて脱ぎはじめる。ブラジャーが床に落ちて、ゆっくりパンティーを下ろして左足から抜いていく。

 マルチ「よくできました。それが正しい犬の格好です。これから、犬の礼儀作法から言葉遣い。それから食事の仕方やトイレの作法。寝方やお風呂の入り方まで訓練します。よろしくおねがいします」

  かわいくお辞儀する。

 マルチ「それから朝、学校に着たら服を脱いで待っていなきゃ駄目ですよ。今日は初日ですからお仕置は無しにしますけど、改善されないようでしたら罰を与えますよ」

  人差し指を立てて得意げにしている。

 あかり「許して・・マルチちゃん。どうして? いぎゃ」

 マルチ「様です」

 あかり「ま、ま、マルチ・・・さ、ま」

 マルチ「そうです。それと、私語は禁止です。聞かれたこと以外は許可無く喋っちゃ駄目ですよ」

  じっと、うずくまったあかりに首輪を装着する。

 あかり「くるしっ・」

  首輪を止めると電子キーが作動してロックされる。これで移動の自由も奪われてしまった。

 マルチ「午前中は、犬の動作訓練と言葉遣い。午後は主人に喜ばれるための開発を行います。最初はお座りです」

  あかりは渋々、正座する。聞きたいことがいくらでもあったが私語が禁止され電気ショックの脅しがあれば大人しく従うしかない。

 マルチ「違います。それじゃ、爪先立ちになってください。そうそう。そのまましゃがんで、だめです足は開いて、大事な所をさらけ出すんです。そうしたら胸を張って、手を後ろにして体重を支えてください。はい、それがお座りのポーズです」

  あかりは踵にお尻を乗せて、股間をさらけ出す。胸を突き出したまま、上半身を反らして手で体重を支える。お尻の穴以外を見せつけるような格好だ。あまり恥かしくなかった。つらいことはつらいが、相手は人間じゃなかったし、それに、誰にも見られていなかったからだ。

 マルチ「動かないで、この時、絶対に誰とも目を合わせてはいけません。動いても駄目ですよ。次がちんちんです。上半身

 を起こして、小陰唇を広げてください」

  これは、さすがに恥かしい。目をつぶってゆっくりと指で広げて奥を見せる。

 マルチ「この時は、ちんちんの命令をした相手の目をしっかり見てください」

  ゆっくり目を開けてマルチの目を見る。純真の瞳から考えを知ることはできない。あかりはブルブルと震え出す。つま先だけで体重を支えきれなくなってきたからだ。

  マルチは犬の作法を次々とあかりに教える。すこしでも躊躇したら電気ショックが飛んだ。

 マルチ「これが伏せです。これで最後ですから」

  あかりは女座りのまま、胸を床に押しつける。そして小さい口から舌を出した。マルチは舌を指でつまむ。あかりの手は軽く握って耳の横に置かれる。そして、マルチを見上げた。

 マルチ「これが伏せです。よくがんばりました。一通りの動作はこれでおしまいです。遅くなりましたけど食事にしましょう。それじゃ、おあずけ!」

  マルチの号令で、四つん這いなって肘と膝で体重を支える。顔を上げたまま顎を付いてお尻を振り出した。身体中に小さな火傷が、あかりに行われた訓練の厳しさを感じさせる。

 マルチ「もっと、早くお尻を動かすんです。言葉が喋れない分、身体を使って自分の気持を表現するんです。もっと早く、一、二、一、二。いいですよ」

  本当に犬のように喜んでいるようだ。犬のように・・・

 マルチ「どうぞ」

  餌皿を床に置く。神岸あかりと印刷してある。中には冷え切った白いおかゆみたいな物が入っている。箸もスプーンもない。あかりはあきらめて、そのまま顔を突っ込んだ。

  ペチャペチャと音がして、黙々と喉に流し込んで行く。冷たくて不味かった。

 マルチ「綺麗に舐め取らなきゃ駄目ですよ」

  手で餌皿を押さえて、隅々まで舐め取る。逆らう気力は無かった。浩之のいない世界にあかりは興味が無くなりかけていた。何かに抵抗する意思が沸かないのだ。

 放送「マルチ、そっちに牡犬を送る。殺しても構わないから」

  壁の柵が上がった。気味悪い男がヨタヨタと這い出てきた。

  男は鼻と耳が殺ぎ落とされていて、おそらく焼き切られたんだろう。顔中にひどい火傷の跡があった。やせきった身体。股間にはペニスがぶら下っているが、陰袋が、こっちも焼き切られ、本来、豊かに有る筈の陰毛は一本も生えていない。変わりに爛れた皮膚があった。

  だが、男の目は餌皿に顔を突っ込んだ少女を凝視している。

  視線を感じたのかあかりは男の方を見る。あまりにも奇怪な容姿に、すぐに目を背けた。だが、あの目はどこかで見た。

 あかり「ひろゆきちゃん・・・」

  切れてしまった心の線が繋がった。

 浩之「あふり・・」

  唇を焼き取られた浩之からは、真っ当な発音はできない。だが、あかりには解かった。

  あかりは這って浩之に近づく。そのまま抱きしめて口づけをした。

 あかり「あいたかったよ、あいたかったよ」

  何度も何度も叫ぶ。浩之はキツクあかりを抱きしめた。

 マルチ「ガーガーガーガーガーガーガーガー」

  メイドロボは崩れるように倒れた。

 悪魔「ひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃ。芹香、藤田 浩之は神岸 あかりを選んだ」

  満足そうに歪んだ笑みをたたえた。

 


解説

 先行版、いかがでしたか?

 十数話以上、すっ飛ばして書いて見ました。この間に、様々な出来事があって、あかりだけが取りのこされた世界な訳です。ちなみに、この時点で冒頭に登場している智子も酷い目にあってる途中です。

 このマルチ編2は、マルチ編2、3の合体版です。2の後半と3の前半であかりは牝犬調教を激しく受けるわけです。いずれ完全版をお見せできる日もくるでしょう。

 さて、問題は鼻と耳を殺ぎ落とされた浩之というキャラを今後、登場させてもいいのか?という問題です。当然、切り落とされ牡犬に落された経緯の話もあります。絶対に一般受けしないストーリー・・・。しかし、そんな浩之に変らず愛情を捧げるあかり。

 これ以上は落ちになるので話せませんが、井川が聞きたいのは、殺ぎ落としたりしてもいいかな?ということです。私の作風は99%の絶望と1%の愛です。99%の部分を一般受けに近づける為、ぜひ、感想をお聞かせ下さい。

 「最後に愛が勝つ」いい言葉ですよね。

 やりすぎの意見があったら、参考にして修正、改良を加えて良質な作品作りに役立てます。どうしてもストーリーにこだわって失敗してしまう・・・。

 今のうちに聞いとかないと方向転換ができなくなるので・・・。

 


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