←前  次→


魔界転生2 あかね編(上)
ヨッシ―/文


  東京・・・。

  今、五月だ。

  それに影響されてか乱馬達の小競り合いも日々にも増して行われていた。

  思えば、柳生 十兵衛(やぎゅうじゅうべえ)と天草四郎時貞の決戦から366年たってからも

  伝記として人々に伝わっている。

  

  あかねと乱馬はいつものように学校から帰っていた。

  その日は、なぜか大雨で午前は快晴であったが2時ぐらいから

  大雨が振り出し、それがだんだん横殴りの雨に変わり

  あかねとらんまは、その中を傘なしで走っている。

  雲一つない天気に傘がいうとは誰が思えよう。

 「ちきしょー!」

  といいながら乱馬は あかねと共に雨の中を走っていく。

 「ついてないわ。」

  あかねと乱馬は、文句を言いながら雨の中をやみくもに進んでいた。

  しかも、視界も殆ど見えない状態である。

  バシャバシャと水飛沫の音が残る道。

 「何か、最近こういう天気が続いてない?らんま。」

  しかし、らんまも・・・。

 「う〜ん。」

  と悩む始末だ。

  たしかに、最近こういう天気がもう一週間続いている。

  しかし5月も、もうすぐ終わるということでもうすぐ梅雨の季節に入るのだろう。

  気象庁は、こうふんだのである。

  しかし、前は皆既日食があった。

  一部の学者では悪魔が舞い降りるという意見が出る有様だった。

 

 「ただいま、かすみ姉ちゃん。」

  あかねとらんまは、天道家に着いた。

 「たくっ。」

  とらんまは、文句を吐く。

  そして、かすみが急いでタオルを持ってきた。

 「大変だったわね。」

  かすみは、微笑みを浮かべながら二人にタオルを渡す。

  らんまとあかねは、タオルで頭を拭いてその後、茶の間に向かった。

 「ちょっと、待っててね。

  お湯沸かしてくるから。」

  かすみは、キッチンに向かう。

  らんまは、頭を拭いたタオルの上にかばんを置いた。

  よく見るとらんまの胸が透けて見える。 

  チャイナ服が白だった事と、雨だった事が重なったのだろう。

  だから、らんまが動くたびに胸が震える。

  こういう光景を見たあかねは、赤面している。

  らんまの姿を見た早雲は、口の中にある茶を吐いた。

 「ら・・らんま君、何だねそのかっこは。」

  あかねは、らんまの襟首を掴んだ。

 「あんたねえ、女という自覚ないの!?」

 「バカ!俺は男だぜ。

  呪泉郷の呪いで、こうなっちまったんだぜ!」

  急いで早雲が、らんまとあかねの中に入る。

 「やめなさい、二人とも。」

  二人は、そっぽを向いてしまった。

  そんな中、なびきがテレビをかけた。

 「う〜ん、最近の異常はどういう解釈をするんですか?専門家のSさん。」

 「どういえばいいのでしょうか。

  世界の気象機関が必死に原因を探していますが未だ原因はわかりません。」

 「そうですか。」

  キャスターは、話題を変えた。

  そして、なびきはリモコンでテレビの電源を消した。

  しかし、天気はすっかり回復し満月が出ていた。

  あかねは、おびえていた。

  そっぽを向いていたらんまにも伝わった。

  らんまの頭上に、お湯がかけられた。

 「どうした?あかね。」

  あかねは、らんまの方を向いた。

 「別に。」

  あかねは、おびえている様子を隠すかのように饅頭に手を置いた。

  熱湯が、かすみの手によってらんまの頭上に降り注がれた。

  じょぼぼぼぼ。

 「乱馬くん、熱かった?」

  かすみが、乱馬を気遣う。

 「ううん。」

  乱馬が首を横に振り、再びあかねに視線を移した。

 「いつもの、あかねに戻れよ。何か変だぜ。

  今日のあかねにかぎってよー。」

 「らんま、大丈夫だって。

  私、そんなにやわじゃないもん。」 

  乱馬は、大笑いした。

 「だよな!やっぱり強暴な女はあかねにかぎるぜ!」

  あかねの怒りが一瞬にして頂点に達した。

 「言うと思ったわー!ぼけー!」

  乱馬は襟首を持たれあかねのアッパーによって宙に投げ出された。

 「どぴゃ−!!」

  乱馬は満月に向かって吹っ飛んでいった。

  

  横浜・・・。

 「早く、天道家に行かないとお土産の賞味期限が切れてしまう。」

  良牙は急いでいた。

  時に良牙は極端な方向オンチであり同じ場所を行き来していた。

  雨が、ポツポツと降り始めた。

  良牙は、一晩誰もいない廃墟となった工場に止まることにした。

 「あかねさん。」

  雨が激しくなってきた。

  良牙のあかねに対する独り言も雨の音によってかき消されてしまったのだった。

  だが、あぐらを掻いて考え事をしている良牙の頭上に落雷が襲った。

  良牙は言葉を発する事も無く倒れた。

  長い沈黙が続いた。

  周りには誰もいない。

  しかし、良牙は立ち上がった。

 「ふふふ。」

  良牙は、不気味な顔で笑い始めた。

 「我は、天草四郎なり!

  もう一度、この国を灰にして見せよう!」

  天草四郎が再び蘇った。

  ここから、あかねと魔界衆の死闘が繰り広げられるのである。

 

  大阪市とある高校。

  自殺しようと体育館に篭っている人物がいた。

  名前を見ると青山 雄之助と書いてある。

  いじめが原因だった。

  雄之助は、遺書を書き始めた。

  書き終わったところでカッターをわき腹に当てた。

 「さらば!」

  雄之助は、十文字に腹を切った。

 「ぐは!」

  もがき苦しむ雄之助に異国風の南蛮服に身をまとった若侍が現れた。

 「これは、幻覚か・・・・?」

 「いいえ、幻覚ではございませぬ。」

  天草四郎が、雄之助に歩み寄ってくる。

 「あなたのお気持ちは、よくわかりました。

  辛いいじめの毎日、今死ぬのはもったいのうござる。

  もう一度生きてみぬか?」

  雄之助の腹の傷がなくなっていた。

  しかも、意識も回復している。

 「名は?」

  雄之助が、平伏した。

 「紹介が遅れたね、我はキリシタン教徒、天草四郎時貞。」

 「四郎様。」

  雄之助は、感動した。

 「あなたに、剣術と力を与えましょう。

  それと、あなたは女体が好きでしたな。」

  雄之助は、露出した女性が趣味でエロ本を見ながらしこるのが趣味だ。

  そして、時貞の後ろに女性が現れた。

  しかも、一糸まとわぬ女性だ。

 「この女性は、息を呑むほど美しい。」

  雄之助は、息を呑んだ。

 「そのおなごは、雄之助のもの。

  なんでもなさってよいぞ。」

  雄之助は平伏した。

 「ありがたき幸せ!

  一生あなたのそばについていきます!」

 「ありがたい。」

  雄之助は、パンツを脱いだ。

 「さあ、俺の男根を吸え!おいしいぞ!」

  女は、アイスキャンデーを舐めるように男根を舐め回す。

 「おいしいわあなたの精液。」

 「くう〜出ちまう。」

  雄之助は、いってしまった。

  天草四郎が、そんな雄之助を見て

 「その女には魔体の術をかけてあって

  ヤれば三日後にあなたは今の姿のまま女体を破って出てくるからしっかりヤっとけよ。」

  と言い残し部屋を去った。

 「さっ、今度は私のマンコを舐めて。」

  ペロペロ

 (生まれた時から、ずっとこの日が来たような気がするわ。処女を奪われるこの日を・・・。)

  ペロペロ

  雄之助の舌が回転しながら女性のマンコを舐めまくる。

 「いいわ!この軽快な舌の動き!プロ級ね。」

  雄之助が、笑みを浮かべて言った。

 「こんな女性、お目にかかれて光栄だよ。

  もっと舐めて欲しいか?」

 「もっと舐めて!

  それから、フェラもさして。

  わっ私もうガマンできないのォ〜!」

 「さあ、チンコに向かってカム ヒヤ−!」

  じゅぼ、じゅぼ、ガボ、ガボ

  そして、女と雄之助の性器がくっついた。

 「あっいい・・・。

  すぐう・・・すぐう・・・いっちゃいそう・・。」

  そして、一時間が過ぎた。

 「あ〜ん、まだたっているわ。

  まだまだできそ〜。」

 「君が相手なら何度でも。」

 「それじゃ、しぼんだチンコたたせてもう一回やろー。」

  ちゃぷちゃぷ

 (おおー、も・・・もうどうでもよくなれー!!)

 

  天草四郎は、誰もいない山奥の洞窟に身を潜めていた。

  いつしか、天草四郎の周りには魔方陣があり洞窟の奥には涌き出た泉がある。

  泉のそばには、どこから連れてきたか知らないが全裸の女性が縄で縛られている。

  天草四郎は、呪文を唱えていた。

 「エロエロエッサイム!」

  そして、何分かすると死霊が出て来た。

 「誰だ?私を眠りから覚ます奴は?」

  その者は、平清盛で服装も当時の服装だった。

 「初のお見えつかまつる。キリシタン教徒、天草四郎時貞。」

 「何の用だ?」

  天草四郎は、笑みを浮かべた。

 「私は、この世に怨念を残した人達を魔界転生させる特技を持っています。」

  清盛は、首を傾げた。

 「魔界転生?」

 「そうです、魔界転生できる魔方陣の中に入れれば貴方の夢はかないまする。」

  平清盛は、平家の栄華を気付き武士ではじめて太政大臣にもなっている。

  しかし、栄華もそう長くは続かなかった。

  平清盛は、熱病で死ぬわぎまにこういうことを言っている。

 “我が墓に、頼朝の首を置くように。”

  といって死んでいる。

 「ところで、平家はどうなった?」

 「滅んでいます、源頼朝の手によって。」

 「こういう理由で転生できるのか?」

 「そうでございます。」

 「そうか、良い話を持ってきたものだ。」

  天草四郎は、魔方陣から出た。

 「さあ、この魔方陣に入ってみなされ。

  さしれば、貴方は、あの女体をいけにえにし、再び

  平家いや、世界も征服できるでしょう。」

  清盛は、魔方陣の中に足を踏み入れた。

  そして、魔方陣は清盛全体を淡い光で包み込んだ。

  その後、清盛も復活したのである。

 「私は、転生したのか・・・?」

 「おおせのとおり。」

 

  東京、奥多摩 野村道場

 「たのも―!」

  天道あかねが、力強い拳で野村道場の門を叩いた。

  野村道場は、あかねの師匠である野村如雲斎(のむらじょうんさい)が開いた道場である。

  あかねは、修行しに山篭りをしようと尋ねたのだがそれなりの訳があった。

 

  ここへ来る三日前―。

  武士の姿をした二人組が天道道場の門を叩いた。

 「何用かな?」

  天道あかねの父、天道早雲(てんどうそううん)が出迎える。

 「私は、田宮坊之介(たみやぼうのすけ)と申す者。

  その隣にいるのは付き添いの緋村謙信(ひむらけんしん)でございます。

  ここに来た目的は、道場破りでございまする。」

 「ちぇやー!!」

  あかねは、瓦20枚を素手で割っていたが玄関先の興味深い会話が聞こえたので修行を中断した。

 「なんだろう、道場破りかな?」

  あかねは、門の側に行った。

 「三ヶ月後に、試合を行いたい。してこの坊之介が対戦相手です。」

  あかねが、中に入ってきた。

 「私が行こうか?お父さん。」

  早雲が、あかねに

 「剣術だぞ?勝てるのか?」

 「大丈夫よ。なんて言ったって野村如雲斎の弟子なんだから。」

  坊之介は、不気味な面で笑い始めた。

 「野村如雲斎の弟子?おもしろいお嬢ちゃんだな。」

  その言葉に、あかねがムッとした。

 「失礼ね!私は武道家のはしくれよ!」

  乱馬が、のこのことやって来た。

 「そいつは、俺が見て来た女の中では一番強いぜ。

  だから、そいつに大ケガ追わされなかったらおとなしく帰ったほうが良いぜ。」

  あかねの蹴りで乱馬がうずくまってしまった。

 「私でいいの?坊之介さん。」

 「まあ、できたら早乙女乱馬どのに、お願いしたかったけど。」

 「私じゃ相手にならないの?」

 「いや、そんな事は無い。」

  そんな会話を聞いていた早雲は、あかねを許した。

 「仕方ないな、でも看板だけは―。」

 「わかってるわ、お父さん。」

  坊之介は、あかねに

 「三ヶ月後に。」

  と言い坊之介と謙信は、その場を後にした。

 「あの方々は、抜刀術10代目の人々。

  油断ならぬ相手だから気をつけろよ。」

 

  事情は、事情と言う事で十日ぐらい野村道場に寄せてもらうことにしたのだ。

  そして、野村の弟子が門を開けた。

 「如雲斎様は?」

  あかねが尋ねた。

 「如雲斎様は、零厳洞にこもっておられまする。」

  あかねは、如雲斎の事をよく知っている。

 (精神統一なさっている場所だ・・!

  しかし、悩みがある時にしか行かないと言うのは聞いた事があるが。)

  あかねは、荷物を地面に置いた。

 「どうしたんです?先生の身に何か?」

 「この二月より、病んでございます。

  病むと同時に零厳洞に上がって引き篭もってしまうのです。」

 「そうですか・・。」

  あかねは、解きかかっている帯を結び直した。

 「長い時は、二週間も篭っておられる。」

 「その間の世話は誰がやっているのですか?」

 「側近達が、世話しています。」

  と弟子は言った。

 「そうそう・・・十日前、側近が妙なものを注文しましてな。」

 「何ですか?」

  あかねは、不思議がった。

 「鎧一式、侍大将の。」

 「なぜですか?」

 「聞けば、如雲斎様はそれを身に着けたまま死にたいらしい。」 

  野村如雲斎は、宮本武蔵を尊敬していた。

  だからこそ人生の最後は、武蔵と同じ死に方をしたかったのだ。

 「ともあれ、天道あかね殿がおいでとあらば

  いかなる如雲斎様も、おおせぬとは言いますまい。

  私からも、お願いします。」

 「私も、いまから登ろうと思います。」

 「今日は、もう日が暮れますぞ!?」

  あかねは、荷物を持った。

 「いや、遅れて、生きている如雲斎様に

  会わないと言う事は、恩師に失礼が積もるばかり。

  早速、登ります。そこで、修行した事があるから。」

 

  5月の太陽は、西へ傾いていた。

  あかねは、付き添いの弟子と一緒に山を登りながら如雲斎のいる洞窟に向かっていた。

  裏山の標高は、500mだが、登るのに40分かかる。

  山道を登っている途中、20人くらいの側近達があかね達の前に立ちはだかった。

  あかね達の目の前に、如雲斎の篭る洞窟が見える。

 「これより先は、関係者以外立ち入り禁止です。」

  あかねは、頭を下げながら言った。

 「私は、東京の練馬区から来ました、天道あかねです。

  如雲斎の弟子でございます。」

 「何!?」

  その場にいる側近全員が驚いた。

 「それは、まことに悪うございました。」

  側近全員は、あかねにふかぶかと頭を下げた。

  すると洞窟から、あかね達の方に来た者がいる。

 「いけないぞ!何が何でもここを通すな!」

  それは、あかねと同じくらいの歳で名前は坊丸。

 「私以外は、ここより奥へは入ってはいけない事になっています。

  せっかくですが、お引取りください!」

  付き添いの弟子が、反発する。

 「何を言うか!あかねさんは如雲斎様の事が心配で―。」

 「私は、一言かけたいだけよ。」

 「ならぬ!!この私でさえ今日は側にいてはならぬと師匠様から言われている。

  お引取りくださいませ!」

  あかねが、一歩踏み出した。

 「ならぬと申しておる!」

  坊丸は、刀の鞘に手をかけた。

  坊丸は、剣術に関しては如雲斎の跡取になれる程の実力を兼ね備えている。

  あかねは、眼光を光らせた。

 「私と、勝負しようというの?」

  あかねも、ひとかどの武道家である。

  坊丸は、刀を抜いた。

 「2秒待ってやるわ。痛い目に合わされたくなかったら

  おとなしく帰りなさい!」

  坊丸は、刀を上段に構えあかねに向かってきた。

 「問答無用!」

  刀が、あかねに向かって振り落とされた。

  それを、あかねは避ける。

  避けたと同時に、あっという間に懐に飛び込み

  坊丸の腹にボディブローを目にもとまらぬ早さで撃ち込んだ。

 「ぐわ!」

  坊丸が、よろける。

 「お休み!」

  あかねが坊丸の首を掴み、言葉と同時に坊丸の顔面に拳が食らわされた。

  坊丸が、ドっと地面にめり込んだ。

 「ふぅ。」

  あかねが手で汗を拭く。

 「ごめん、こんなつもりじゃなかったんだけど。」

 「これは、狼藉!」

  側近達は、驚いた。

  あかねは、毎日鍛えているので、女よりも男という印象が強い。

  昔から、父早雲に武術を教えられ続けて

  早乙女乱馬(さおとめらんま)が、あかねの許婚になってから

  二人は、反発しあいながらも日に日に引かれ合っている。

  あかねは、乱馬がいてこそ幸せなのである。

  そのあかねが、剣術を学び始め

  ちょっとでも、道場の看板を持って行かれないようにしようとしたのだ。 

 「いってくださいませ、あかねさん。」

  あかねは、側近達に頭を下げた。

 「すみません。」

  あかねは、如雲斎のいる洞窟に向かった。

  洞窟内には、兵法書や仏壇があり、椅子に甲冑を着た如雲斎がいた。

  あかねが、洞窟に着いた頃、あかねについてある腕時計には6時半を指していた。

  奥へ奥へあかねは、進んでいった。

 「先生!」

  奥には、甲冑に身をまとった如雲斎が倒れていたのだ。

  あかねは、急いで頬当てと兜を取り外し息を確認したがすでに息は無く

  見る影も無かった。

  2001年、5月26日、如雲斎死す。

  あかねは、その時、如雲斎が後で生き返るなど知る由も無かった。

 

 

 


解説

 面白くないのですが、デビュー作なので是非見てください。

 天道あかねも出してます。

 この小説には、続きがあります。

 よろしくお願いします。

 


掲示板に感想を書く

戻る