呪いをかけられた風は、トッポという男の子につかまってしまいました。
間一髪のところでアルトという男の子に助けられた風は、気を失ってアルトの家で休んでいます。
呪いが解けない風にアルトは優しくしてくれます。
二人はどうなってしまうのでしょうか?
そして、風の仲間、光と海の運命は…
夜も更け、静寂に包まれる村。村には少年たちしか住んではいない。
その村のリーダー格・アルトの家のベッドの中で風は苦しさに耐えていた。
アルシオーネがかけた胸が大きくなる呪い。止めるためには、屈辱的にも男の精が必要であった。
乳房が膨張するのに伴う強烈な痛みを与える呪いの効果と、また制止の方法も身をもって知らされていた。
死ぬか、男の情欲に塗れて女としての屈辱を受けるか…狡猾で残酷な呪いだった。
今の痛みは先ほどまでに比べると、遥かに大人しい。
先ほど、アルトが呪いを「止めて」くれていた。
一見クールなようだが、恥ずかしがりやで、また風を気遣ってくれる。そして、悲しく辛い過去を持った少年。
そして、恥ずかしさを堪えて、優しく自分を助けてくれる。
風は自分の中でアルトの存在が大きくなるのを感じていた。
異常な状況下であり、まともな感覚ではない。恐らく錯覚の類かもしれない。
それまでの生活では、名前しか知らなかったような「精液」というものを何度もその身に受けた。
性的な倫理観は揺らぎ、呪いの影響による歪んだ快感に狂わされていた。
それでも、風の中ではアルトの照れた顔、必死になった顔、そして悲しみに震える様子がどんどんと強く広がっていく。
風が抱える痛みは、アルトのことを思うと湧き上がってきた。
その都度、風は痛みを発しつづける乳房を抱きながらアルトを想って耐えていた。
闇に透けたアルシオーネの水晶球は、そんな風の様子を無機質に見つめていた。
「…ぅ…っ…!」
やがて、風の体に異変が訪れる。苦痛が甦ったのだった。
乳房の内側から張り裂けるような痛みが風を襲う。確実に痛みが強くなっている。
「あ…う…アルト…さ…ん…たすけ…」
風が必死に家主を呼ぼうと声を上げるが、苦痛のせいでかすれた吐息にしかならない。
『痛みが抑えきれなくなったら、大声を出せば聞こえる。』
アルトはそう言っていたが、その大声を出すことが出来ない。
このままでは、呪いの力によって死を迎えることになってしまう。
呪いで膨らんだ乳房が激痛と共にまた成長しようとする。
戸口で水音がする。
「風!!」
涙を流しながら、風が声の方向を向く。
そこには待ち望んだ少年の姿があった。床には体を拭くために用意した桶が落ちて水溜りを作っている。
「ア…ト…さ…ん…た…け…て…くだ…さ…い…」
途切れ途切れでやっと助けを求める風にアルトが駆け寄る。
「もうこんなに進んでるのか!?」
アルトが慌てて、風の服をはだけさせ、胸を露わにする。
服をパツパツに押し上げていた巨大化した乳房が、ブルンと解放される。
それだけで風の苦痛はほんの少し治まった。
「優しくマッサージすれば、痛みは治まる…待ってろ、今止めてやるから…」
アルトが風の乳房をそっと揉み、優しく指を動かす。同時に自身のズボンを下ろし、分身を準備する。
「ふ…ぁ…アルトさん…」
苦痛と同時に、甘く痺れるような快感が風の胸から這い上がる。同時に風がアルトを想っていたときの感覚が甦る。
アルトが片手でマッサージを続け、残る一方で解呪のために射精すうべく自分のペニスをしごき始める。
マッサージが片方になったため、風の乳房は再び痛みを放つ。
「くそ!このままじゃあ…」
解呪をしようとすれば、呪いは風を苦しめる。応急手当で苦痛を和らげても、呪いはジリジリと進行する。
マッサージしながら、風に精を与えるという両方を行わなければ、風は苦しむことになる。
アルトの中では、同時に解決する方法は思いつかなかった。
「…っ…アルトさん…」
風の脳裏に、昼間の忌々しい記憶が甦る。
「あの…わたくしの…胸で…その…」
風は苦痛に耐えながら、顔を真っ赤にしてアルトの手を掴む。
「…そうか!胸に挟みながらなら…でも、そんなことしても良いのか!?」
アルトは目の前の純粋そうな少女への遠慮を感じて、戸惑いの声を上げる。
「…あなたなら…いいですわ…だから…」
風は顔を更に真っ赤にし、アルトの瞳を見つめる。
苦痛から逃れるためであるが、この少年にそれをして欲しいという望みもあった。
風の中に宿る、本性としての被虐心が、歪んだ情欲によって急速に開花しつつあった。
風が苦痛に耐えながら、優しい微笑みすら浮かべてアルトを誘う。
不自由な選択の中、アルトは観念したように、しかし胸を高鳴らせながら風の体を跨ぐ。
風の顔を側に手をつき、間にある風の切なそうな瞳を覗きこむ。
「本当に…いいのか…?こんなこと…」
アルトが最後の確認をする。期待と、不安の浮かんだ顔で風を見つめる。
風は微笑むと、自らの手でアルトの剛直を乳房でそっと迎え入れる。アルトがかすかに声を上げた。
「ええ…分かりますか?わたくしの鼓動…」
暖かく、そして柔らかい感覚の中に、トクントクンと脈打つ風の鼓動がアルトに伝わる。
アルトが言葉を失い、風をじっと見つめる。
しばらく無言の交流が続き、やがてアルトを見つめていた風の瞳が、苦痛に歪む。
「風!…くそ!すまない!!」
アルトはもはや不要になった詫びを口にしながら、風の乳房を優しく揉みながら、狭間の分身を揉みしごいた。
アルトは自分を包む風の柔らかい乳房からの苦痛が、自分のことのように感じられた。
何度も詫びながら、アルトの手がやさしく風の乳房をこね、揉み解してく。
風から苦痛が消え始め、やがて代わりに甘く痺れるような熱い快感が強く湧き出してくる。
「アルトさ…んっ!」
アルトの熱い手からの愛撫、そして乳房の谷間に感じる少年の硬く熱い感覚に、風はもう止まることが出来なかった。
熱に浮かされたような、しかし歓びが浮かぶ潤んだ瞳でアルトを見つめながら、必死に動くアルトの汗を伸ばした手で拭く。
同じ行為であるのに、トッポに襲われた時とは正反対の感覚。
風は必死に動くアルトの姿を愛おしそうに見つめていた。
乳肌を擦る熱い感覚、額から流れ落ちる汗が張り詰めた肌に落ちる熱い感覚。
薄暗い熱気に満ちた室内に、吐息と押さえた声が不規則にひしめく。
乳房による性器の愛撫という一種特殊な行為であったが、不思議なことに、お互い気恥ずかしさ以上の嫌悪感はなかった。
「アルトさん…いかがですか…?」
風が複雑な意味合いにもとれる質問をした。
汗を浮かべ、薄紅に染まる体は、熱気によるものだけではない。
「え…?あ…その…も、もう少しだから…我慢してくれ…」
アルトは、一瞬どの答えが妥当か迷ったが、結局事務的な答えを選んでいた。
風はかすかに残念そうな顔をする。
自分の体は、例え呪いのせいであっても、アルトによってかつてない快感を与えられている。
アルトとも交歓を分かち合いたかった。それによってアルトと一つになりたかった。
風の体はじっとりと汗ばみ、アルトを受け入れている。
アルト自身も、口には出せなかったが、風との一体感を求めていた。
純粋にそれを求めるには、あまりに強すぎる快感が風の乳房から与えられる。
汗ばんだ乳肌はしっとりとアルトにまとわりつき、限界に押し上げてくる。
時折谷間から突き出る先端の切れ込みが、ひくひくと動いている。
「あぁ…もう…くださるもですね…!」
「ふ…う…!もうだめ…だ!」
アルトが風の乳房を強く掴み、押さえ込むようにして真中に寄せてしまうアルト。
引き抜き、突き出した肉棒が隙間のない双乳の狭間の半ばまで突き進んだ所で爆ぜた。
敏感な粘膜が柔らかくしっとりした肌で包まれ、耐え切れずに白い熱液を勢い良く吐き出す。
「アルトさん!アルトさんの熱いのが…!わたくしの胸の中で!」
心臓に直接感じるような熱い感覚が断続的に長く打ち込まれる。
ビクビクと脈打ち、震えるアルトの分身を逃がすまいとするように、風は自分の胸を強く抱いた。
アルトは自らが吐き出した粘液がきつく抱き挟まれた柔肉の中でヌルヌルとした感覚を感じていた。
熱に浮かされたように満足そうな表情の風が、ゆっくりと力を抜く。
静かに揺れながら、乳房が元の位置に戻り、湛えた白濁とアルトを解放する。
「風…その…すまない…」
いつの間にか、風を救う目的よりも快感を味わってしまったことに嫌悪感と罪悪感を感じたアルトが苦い顔をする。
「こんなつもりじゃ…こんな辱めをお前にするつもりじゃなかったんだ…」
アルトが風の体から降り、ベッドのふちに腰掛けて背を向ける。
「これ…じゃあ…姉さんの…時…と…同じじゃないか…!」
アルトの心の底に深く、濃く潜む悲しみが再び影を落す。風に向けたアルトの背中がブルブルと震えている。
呪いにかかった姉の姿に欲情し、しかも目の前で助けを求める姉を見殺しにしてしまった傷。
「アルトさん…!」
「俺は…簡単に…欲望に…大切な人に…う…くっ…」
言葉にならない嗚咽と共に、背中から強烈な悲痛を伺わせるアルト。
無言でその背中を見つめるしかない風の瞳が悲しみに歪む。
言葉を発することすらできないような圧迫感が沈黙を呼び、嗚咽だけが響く悲しい時間が過ぎた。
やがて徐々に嗚咽は小さくなり、アルトの震えも収まる。
「アルトさん…」
耐え切れずにかろうじてそれだけを搾り出した風に応えず、アルトは静かに腰を上げた。
その後ろ姿は、存在感や意思を感じ取ることができない、希薄で不気味な雰囲気を感じさせた。
風は恐る恐る手を伸ばし、アルトの力ない手をそっと握る。
「一人にしないでください…」
風の暖かい手に伝わるアルトの冷たい手の感触。
「…一緒にいてください…」
風の温もりが、言葉が手を通して空虚で凍えたアルトの中に染みてくる。
一人で残悔と自己嫌悪の絶望の中で孤独になるより、誘われるがままに暖かい風に引き寄せられる。
ベッドの縁に腰を下ろしたアルトの相変わらず向けられたままの背中に風はそっと額を当てた。
「…慰めや…ごまかしでは、あなたの心は余計に傷つくばかりですね…」
聡明な風は、アルトが今までどれだけの優しさに傷つけられていたかを看破していた。
「…あぁ…」
アルトがかろうじて、低く小さく呻くように肯定する。
「結局は何の解決にもならない…過去は変わらない…俺にとっては、あの結果が事実なんだ…」
どんなに言い繕い、見方を変えても結果は一つだけである。
アルトは、一番辛い結果を選び、逃げることなく受け入れていた。
受け入れることは出来ても、それは内部からアルトを切り刻む。
「そうですわ…結果は変わりません…あなたが受け入れた現実も…一つの形ですわ…」
風がそっとアルトの体を包むように腕を回す。
「だから…忘れずに背負ってください…痛みを…悲しみを…」
「風…?」
今まで言われたことのないような言葉にアルトは動揺した。
「全てを受け入れてください…今のあなたは、自分が選んだ苦しみを受け入れることができなくて苦しんでいます…
でも…悔いも、嘆きも自然に受け入れてしまえば良いんです…」
今のあなたは、悔いることも悲しむことも許さずに、ただ自分への怒りに苦しんでいます…」
背中越しに聞く風の言葉に、何か気がつかなかった内面に光明が差す。
「そう…か…俺は…俺を絶対に許していなかったんだ…」
「ええ…あなたは、自分を許せず、その怒りを知らず知らずのうちに自分に向けていました…
悲しむことも、悔いることも、まるで逃げるように考えて…
でも、全てはあなたなんです…だから…」
アルトが自分の胸で組まれる風の手をそっと握る。
「そう…周りが許さなかったんじゃない…自分の中で、自分を許せなくて憎んでいたんだ…
俺は俺を許さない…けど、それは全て俺がしたこと…悲しむのも悔いるのも、逃げているんじゃないんだ…」
アルトが、風の方に向き直る。苦しみから抜け出した瞳が風を見据える。
「アルトさん…わたくしも…少しでも受け入れてくださいますか…?」
久々に向き合ったアルトの額に自分の額を重ねる風。
「わたくしは…アルトさんを受け入れたい…」
「どうして…?呪いのせい…か?」
「違います…わたくしの中の、アルトさんに感じた想いを…そのまま受け入れたんです…」
それは、欲望と呼ぶこともできるだろう。他にも、見方や様々な付加によって別のものに変わる。
しかし、アルトは感じたものと与えられたものをそのまま受け入れることにした。
「俺もお前への想いを受け入れる…きれいなことも…汚いことも…全部受け入れて背負う…」
アルトは気持を探るようにそっと風の唇に自分の唇を近づける。
感じたままに動いた行動が拒否されることも認めながら、そっと近づく。
振り切れない不安に瞳を閉じたアルトの唇に柔らかく暖かい感覚が伝わった。
同じように不安に瞳を閉ざして待っていた風も、同じ感覚を共有していた。
二人はそのまま、全てを悟り、お互いを求めながら、長く唇を重ねていた。
やがて、唇を離した時、二人はどちらかともなく頷いた。
「恐怖と不安を好意に転嫁してしまったのかもしれません…
非日常に興奮して、錯覚していうのかもしれません…
あなたの優しさに…錯覚してしまったのかもしれません…
それでも、わたくしは…あなたが好きです。」
「俺が感じているのは、欲望かもしれない。
解呪の時に感じた欲情の延長かもしれない…
でも、俺はもっと違う不思議な気持ちを感じる…」
アルトはそっと風の体を抱きしめると、ゆっくりと押し倒した。
「ど、どうしたらいいかな…」
アルトがちょっと情けなさそうに、ばつが悪そうに口を開いた。
「あなたがいてくださることを…そのまま受け入れますわ…だから、感じるままに…」
風はそっと目を閉じた。アルトと一つになることを望み、覚悟を決めていた。
「わかった…」
アルトが緊張でかすれた声で呟く。風は訪れるであろう痛みに耐えるように、体を硬直させる。
「…あっ…?」
ところが、痛みはなかった。アルトは、風の髪をそっと撫で、頬から首筋に優しく口付けをしていた。
風は、アルトに会う直前、トッポに処女を奪われそうになっていた。
トッポは自分の欲望を果たすためだけの乱暴な行動で、風を支配しようとしていた。
風は、そんな体験から、「初めて」を失うことにかすかな恐怖を持っていた。
例え、それが自ら望み、思いを寄せるアルトが相手であっても…
しかし、アルトの丁寧な愛撫はそんな風の不安とは全く反対で、逆に戸惑いさえ感じさせた。
痛みと引き換えに、アルトと結ばれるはずが、もっと甘美な幸せが待っていた。
「安心してくれ…がんばるから…」
アルトはそういうと恥ずかしそうに微笑み、何度目かのキスをする。
「そうだ…眼鏡…」
「あ…着けたままにさせてください…あなたの顔を見ていたいから…」
眼鏡を外そうとしたアルトの手を、風がそっと抑えて微笑んだ。
そのままアルトの顔が視界にいっぱいになり、風の唇に触れる舌の感触。風はそっと口を開けてそれを受け入れた。
「ん…ふ…む…あ…・」
ぎこちないながら、風の舌に絡みつき、ほぐすように動くアルトの舌。
風の体を蝕む淫らな呪いが、執拗にその感覚に反応し、風の体内でザワザワと快感を求め始めた。
暗い情欲に流されそうになる風に気付かず、アルトは本能に任せて風の体を愛撫する。
首筋を指先で撫でるように上下し、やがて辿り下りて鎖骨をなぞる。
アルトの指先がそっと体を這う感触に、その都度ピクンと体が跳ねる。
「どう…かな?」
アルトの問いに無言でコクコクと頷く。声を出してしまうと、支配力を強めた呪いに取り込まれてしまいそうだった。
呪いに負けずに、もっと自分の感覚でアルトの攻めを感じていたかった。
「ここは…?」
アルトの指が鎖骨からスッと下がる。鎖骨の下にあるのは、一番呪いが強く、急激に成長させられた乳房だった。
「…ひぁっ…!!」
風が何とか声を押し殺す。乳肌をサッと撫でられただけで、ピリピリと電気のような快感を感じる。
気を抜けば、はしたない言葉を発し、自分を失ってしまうだろう。
小さく叫んだだけで、快感を大切にしまい込んでいた。
アルトは嬉しそうにクスッと笑うと、少しだけ力を入れ、肌に指先をかすかに埋めたまま、風の乳房の上を滑らせた。
風は思わず体を硬直させながら、ピクンピクンと派手に反応し、それでも声をださなかった。
指を深く、そして触れるか触れないかくらいの浅さで風の肌を嬲ったアルトは、風の様子を見て悪戯っぽく聞いた。
「随分、我慢するんだな…」
口をきつく結び、涙を浮かべながら、それでも愛撫を待つ風がようやく口を開く。
「だっ…て…声を出したら…堕ちてしまいそうで…」
恐怖と不安、そして期待の混じった声で答える風。
「それもお前だろ?受け入れよう…」
アルトがそっと手を開き、風の乳房を擦るように掌で撫で上げる。
「俺が一緒にいるんだ…だから…俺の中に堕ちてくれ…」
激しく心が揺れる風の耳に囁きながら、掌と指に力を込めてうねらせる。
「で…も!今堕ちたら…光…さんと!海さ…んに…っ!申し訳…なく…て…ぇ!」
今まで仲間への遠慮から抑えていたモラルが少しずつ溶け始める。
アルトの手が今まで触れていなかった頂きに伸びる。ピンとたったピンクの頂きを掌で擦る。
「ひ…っ!やぁ…!」
今までにない快感が風の脳裏を灼く。白い閃光が、光と海の顔を消し、アルトの顔が頭の中に一杯になる。
風は、当初、アルトを慰めるために、自分の処女を差し出すつもりだった。
いきなり処女を破られても、それでも気持ちが通じていれば幸せだろうと思っていた。
しかし、現実は残酷だった。
アルトは、風の予想など足元にも及ばないくらい巧みに、快感と優しい言葉で風の不安を掻き消す。
気持ちと体が一つになれれば良いと思っていた風だが、望んだものよりもはるかに得るものが多かった。
それは、大切な仲間のことすら忘れてしまいそうな程の愛しい気持ちだった。
「悔しいな…今は俺だけを見ていて欲しいよ…」
アルトはそっと風の乳首に口を寄せる。そっと吐息をかけるだけで、風の体が跳ね、乳房がフルフルと揺れる。
何かに耐えるように顔を隠す風を尻目に、そっと頂きを舌で突付く。
「あぁぁぁ!!だ、だめです!」
更なる快感を恐れた風が叫ぶが、アルトは悪戯っぽく乳首にキスし、そして唇で甘く噛んだ。
「アルト…さぁん!わたくし…!もう…!」
たったそれだけで、風の呪われた体が愉悦の極みに昇り詰める。
しかし、アルトはそれでも手を休めず、片手で柔乳を揉み、残る一方の乳房を舌で攻め上げた。
「っ…!っ〜〜っ!!っぃぃぃl!」
風はもう何も考えられなくなって、声にならない細い声を上げて身をよじっていた。
アルトの手が、五指をうねらせ乳房をタプタプと弾けさせながら揉み、指先で乳首を弄ぶ。
一方えは、唇で甘噛みした乳首を、そのままチロチロと舌で舐め、挟んだ唇で軽くしごく。
風はその責めだけで、何度も絶頂を迎え、アルトの頭を抱きしめたまま、何度も体を硬直させた。
荒い息で、余韻に震える風の肌をアルトの手がすべり下りる。
「ア、 アルトさん!だめで…あふぅ!」
下腹部をスルスルと這った手が、風の茂みを越えて潜り込む。
「あれだけ感じたからな…もうこんなだ…」
アルトが指先に感じた水気を確認するように、目の前まで指を持ち上げる。
「いやぁ…」
恥ずかしそうに顔を覆う風。アルトの指には、自らが無意識に溢れさせた蜜が絡みついていた。
「でも、まだまだ感じて良いんだ…」
アルトが再び蜜で濡れる風の秘部に伸ばされる。
暴れるように腰を動かす風の首筋に唇をつけ、片手で乳房をねっとりと揉みながら、秘部に当てた指を動かす。
クチュクチュと音をさせながら、風の秘部の狭間を指でなぞり、軽く広げて襞肉をくすぐるように擦る。
風は悲鳴じみた喘ぎ声とアルトの名を連呼し、悶えつづけていた。
「そんなに大きな声を出すと…近所迷惑だろ?」
アルトがさすがに少しやりすぎたことを感じながら、風に囁きかける。
「だ…だぁってぇ…アルトさん…があんまり…いじ…わる…を…」
口の端から涎すら垂らしながら、風が抗議にならない言い訳を口にする。
アルトの指が止まっていることがもどかしかったが、最後の理性がはしたなく求めるのを抑えていた。
「そんなこと言っていいのか…?」
「っひぃ!?」
アルトの指が、処女膣に突き入れられる。処女膜に届く寸前まで埋められた指が、膣内で優しくほぐすように回される。
「こんなに熱く絡み付いてくる…それに…お前の愛液がどんどん垂れて、俺の手がベチョべチョだ…」
「いやぁ…あ・あ…」
羞恥に肌を桜色に染めた風が、身をよじって羞恥責めに耐える。
態度とは裏腹に、そうやってアルトに言葉で嬲られ、羞恥に心をくすぐらせるのが堪らなく心地良かった。
羞恥に身悶え、膣内に感じる未知の感覚と、蠢く快感に風の腰が動き回る。
「そんなに暴れると…危ないぞ?」
処女膜の危険性を示すアルトの言葉に、風がビクッと体を硬直させる。
「ごめんな…意地悪しすぎた…意地悪する俺は嫌いか?」
アルトがかすかな不安を浮かべながら、風に尋ねた。
風が首を横に振る。眼鏡の奥の瞳に、涙が光っている。
「じゃあ…良いんだな…?」
アルトが風の脚を開かせ、その間から風の瞳を見つめる。
「はい…あなたを受け入れます…」
風の言葉にアルトがゆっくり頷き、少し不安そうな顔をした後、覚悟したように体を動かした。
「お前も俺を受け入れてくれ…一つになるんだ…」
アルトは硬直したままの自分の肉棒を掴むと、風の蜜壺にそっとあてがった。
チュクと音をさせて、二人の粘膜が口付けをする。
風の体がビクッと震えて硬直する。
慣れていないアルトのそれは、挿入しようと焦り、何度も秘所を滑って外れる。
秘所を嬲られて悶えながら、風は不安と、それを上回る期待で胸を高鳴らせている。
高鳴る心臓に合わせるように、風の女はトロトロと期待の蜜を分泌し、絡めとるようにアルトの分身を膣口に誘った。
アルトは迷いを振り切ったように、風の女花にゆっくりと腰を押し進めた。
「…んっ…くぅぁ…!」
「ふ…風…っ…う…飲み込まれる…!」
ゆっくりと膣内が広げられ、未知の塊が自分の中で存在感を増していく。
先端が埋め込まれると、あとは風が分泌した愛液によって滑るように飲み込まれていった。
風は胎内に圧迫感を感じながら、吐息を重く吐き出し、アルトの侵食を受け入れる。
アルトは、まるで次々と飲み込まれるような、きつく、そして熱い感覚に愛しい風の名前を呟いていた。
「アルトさん…アルトさん…!アルトさ…んぁ!!うっ…!っ…ぁっ…!」
もうすぐそこまで迫った破瓜に耐えるように、アルトの名前を唱えつづけていた風の処女が、ついに突き破られる。
痛みと、胎内で何かが変わるような感覚に、一筋の涙が零れる。無意識に伸ばしたシーツを引き千切らんばかりに掴む。
「風…」
かける言葉が見つからないアルトが、繋がったまま体を起こし、風の体を脚に乗せ、対面座位をとる。
四肢を硬直させていた風の体を優しく抱きしめると、風の体から余計な力が抜けていく。
「よくがんばったな…痛みが消えるまで、抱きついてるんだ…」
アルトの言葉に、痛みを堪えながら風が頷き、しっかりとアルトにしがみついた。
体から力が抜けた反面、初めて異性を受け入れた膣肉がきつくアルトを締め付け、隙間もないほど一体化する。
「アルトさん…おなかの中にアルトさんを一杯に感じてます…」
風が瞳から涙をこぼしながら、幸せそうな微笑を浮かべる。
胎内は圧迫感と痛みでジンジンと疼くが、幸福感と粘膜同士が共感するようなかすかな快感を感じていた。
アルトは風の微笑みにたまらなく愛しい気持ちになり、髪を撫でながら唇を重ねた。
啄ばむように小さく吸うと、お互いの舌を絡めるように大きく重ねる。
長く丁寧なキスに、風の体はゆっくりと受け入れた男を迎える準備が進む。
ただきつく収縮していただけの膣肉は、愛蜜をたっぷりと溢れさせ、襞の一枚一枚で肉棒に絡みつく。
痛みよりも、もどかしさの方が強くなり、腰がモジモジと落ち着かない。
かすかに残るジンジンとした痛みの感覚も、愉悦にすら感じられてくる。
「もう痛くないか?」
風の様子を見たアルトが髪を撫でながら尋ねる。
頬を染めた風が、無言でコクンと頷く。
沈黙していたアルトの腰が、ほんの一突き、少しだけ突き動かされる。
「…んっ!」
風が示した反応は、痛みを表す声ではなかった。完全に女を刺激されたことを感じさせる甘い響きだった。
「痛いならやめるぞ?」
アルトが表情を見せないように、風の肩口から耳に囁きかける。
「あ…痛くない…ですから…」
一突きで完全に火がついてしまった体に戸惑う風は、露骨な催促はできなかった。
胎内の肉棒を感じようと、モジモジとかすかに腰を揺すり、もどかしい快感に更にくすぐられる。
「さっきの声…苦しそうな声だったけど…?」
アルトが耳に吐息と共に囁く。先ほどから羞恥に身悶える風を見ると、どうしてもいじめたくなっていた。
「そんなこと…ないです…わ…」
お嬢様育ちの最後の理性の砦が、容易に羞恥心から解放してくれない。
あれだけ快感を受け入れ、アルトを受け入れようとしていたのに、最後の最後で抵抗してしまう。
すでに膣内にアルトを迎えてはいるが、はしたなく乱れることへの抵抗が自らを焦らしていく。
「全てを受け入れるんだろ?」
心を見透かしたようなアルトの言葉に風はピクリと体を震わせる。
「やめておこうか…?」
アルトが風の胎内から、わざとゆっくりと肉棒を抜き去る。
本当にゆっくりと、じりじりと抜かれる肉棒の感触が膣内を存分に刺激する。
「ぁぁぁ…いやぁぁぁ…」
雁首が擦り挙げる快感に背筋がゾクゾクと痺れる。
抗議とも愉悦ともとれる甘い声を上げながら、引き抜かれる接合部を盗み見る。
太い幹が絡みついた愛液にヌラヌラと染まり、抜け出た分だけ膣内に喪失感と空虚感を感じる。
少しサディスティックな、悪戯っぽい笑みを浮かべたアルトの瞳を覗きこむ。
(あぁぁ…もうだめですわ…光さん、海さん…少しの間だけ…ごめんなさい!)
心の中で、決して忘れることのできない大切な二人に詫びると、アルトにギュッとしがみつく。
そのままむしゃぶりつくようにアルトにキスすると、そのまま腰を密着させ、再び奥までアルトを迎え入れる。
「ふ、風!?」
突然の反撃に、アルトが驚きの声を上げる。
それまでマゾヒスティックに羞恥の狭間にいた風が、突然大胆な行動に出たのは、全く予想外だった。
自らが勢い良く膣奥まで飲み込んだ肉棒に突き上げられる快感に身を震わせていた風が、ようやくアルトから唇を放す。
「アルトさんの意地悪…でも、わたくしはもう、感じるもの全てを受け入れることにしましたわ…」
二人だけしかいない空間で、羞恥に怯えることなく全てを受け入れることにした風が微笑む。
「恥ずかしがる風をもっといじめたかったんだけどな…」
少し残念そうな顔をしながらも、アルトが嬉しそうな顔をする。
そのまま、アルトは腰をゆっくりと動かし始める。
「あう…!んっ…!ふぁ…」
快感を受け入れることできるようになった風の体が、アルトから与えられる全てに歓びを感じていた。
お互いにぎこちないながら、腰を動かしながら、お互いを感じていた。
余計な言葉などなく、交歓を上げながら、無心に貪るように感じあう。
ギシギシときしむベッドの音。チュク、ピチュという絶え間ない淫らな粘液の音。パンパンという肌がはじける音。
段々と高く、激しくなる風の愉悦の声が響き、アルトの名を連呼する。
「アルトっ…さん…!わたくし…もう…もう…!あぁ!あん!!」
アルトの首に腕を回し、体が慣れてきたのか、突き出されるアルトを迎え撃つように腰を動かす。
一突き一突きが、膣内をかき回し、襞を擦り、子宮を叩く。
アルト自身も、ねっとりと絡みつく襞肉と愛液、熱さに腰を止めることもできなくなっていた。
何よりも、二人は一体感とお互いへの愛しさが加速的に快感よりも透き通るような熱く強い快感を貪っていた。
「わたくし…っ!あぁぁ!アルトさん!!」
「風…受け止めてくれるか!?」
絶頂寸前の二人が言葉を交わす。妊娠の危険を伴う膣内への射精の希望にも、風は首を縦に振った。
「く、くださ…いっ!アルトさんをわたくしに!」
「風…!出すぞ!俺の全てを受け止めてくれ!…くっ…!」
「アルトさ…あぁぁぁぁっ!!」
二人が共振するように同時に絶頂に昇りつめる。
風の中がアルトの肉棒にこれ以上ないほどに絡みつき、そのまま締め上げる。
アルトは、待ち望む風の女奥に、白く熱い想い噴き上げるように吐き出していた。
風は熱すぎるその感覚に何度も背筋を反らせる。
子宮に精液を浴びせられる感覚と平行して、呪いによるおぞましさが急速に消えていった。
本能的に、受精する代わりに呪いが解除されるのを感じた。
「あ…体が…軽くて…清々しいですわ…」
「呪いが解けたのか…?」
アルトが風を抱きしめながら、風にしか分からない感覚を尋ねる。
「多分…でも、まだ胸は…」
不安そうな顔をした風の胸は、まだ本来よりも二回りは大きかった。
「心配するな…俺がすぐに直してやるよ…」
アルトの冗談めいた言葉に、風が微笑んで答える。
「あんな無茶ばかりをされては…本当に赤ちゃんができてしまいますわ…」
そのまま二人は、幸福感の中で、抱き合いながらまどろみに包まれていった。
アルトは、しがみつく風の傍らでまどろんでいた。
どこからともなく、水晶球が床を転がってベッドの下に潜り込む。
アルトの夢の中で、女の笑い声が聞こえる。風の声ではない。もっと不快な甲高い声。
忘れることなどできない、憎いあの魔女の楽しそうな笑い声だ。
「あ…あぁ…!?」
突然、アルトの目の前に三日月に歪む赤い唇が一杯に浮かぶ。
やがて像を結び現れたのは、女の微笑む顔…村をこんなにした憎い魔女の美しい顔だった。
憎しみの中で意識が遠くなっていく。
(風…!風…!逃げるんだ…!)
危険を感じ、薄れゆく意識の中で声にならない声を上げる。
そのまま、アルトの意識は闇の中に囚われてしまった。
フラフラと起き上がったアルトは、いつのまにか握っていた小さな薬瓶の蓋を開けていた。
無言で微笑むと、中身を自分の口に流し込む。
そのまま、自分にしがみつくように、幸せな顔で眠る風の口に深く口付けする。
瞳の奥には不気味な光が宿り、瓶の液体を口移しで流し込む。
突然の喉に感じる不快な感覚に、風は寝ぼけながかすかに目を開ける。
アルトはそんな風の髪をそっとなで、掌で瞼をそっと閉じさせる。
風は安心したように、再び幸せなまどろみの中に戻っていった。
風が見ることが出来なかったアルトの顔は、邪な笑みを湛えていた。
これから風がどうなるかを知っているかのように…
―続―
制作途中に一度データが消えてしまうアクシデントで大幅に遅れてしまいました。
ただでさえ、純愛(こんな都合が良いモノ、純愛とは呼べないですね…正確には「恋愛系」かな?)は苦手なのに、
一度作ったものを作り直す辛さときたら…
最初に書いたときは、流れに任せて書けたのですが、復元中は書いたシーンを思い出しながらだったので、
冷静になっている分、非常に恥ずかしい作業でした(笑)
話としては、これで呪いが解けてめでたし…というのがきれいな終わり方なんですが…
リクエストいただいたシチュエーションは満たしていませんので、後1話続きます。
ちなみに、このお話は、一行がフェリオに会う前のお話とお考えください。
でないと、どんなことがっても風がフェリオ以外に…なんてことは考えられませんからね。
作風が特殊なので、それを優先させると、どうしても純愛にはなりませんね…
(というか、都合が良すぎる呪いの設定の時点で、もう無理がありますし…)
純愛を書くには、心理、何よりもお互いの愛情の根拠を緻密に書かなければいけませんし…
(途中、訳のわからない内面解釈で失敗しましたし…説明できるほどまとまってません(笑))
純愛作家様方の腕前には、とても及ぶわけがないですね…尊敬いたします。
では、慣れない方向でお見苦しかったと思いますが、ご容赦くださいませ。