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弄ばれる絆(前編)
チェシャ/文


 海上。一隻の客船が静かに波間を進んでいた。

 船上は客船とは思えないほどの静寂に包まれている。

 乗客が少ないわけではない。船の大きさに見合った客が乗船している。

 寝静まっているわけでもない。例え夜でも、海賊が蔓延る海域では、見張りの船員たちの喧騒は当然である。

 何よりも、乗客、船員はほぼ全員が甲板に出ていた。

 それなのに声を上げる者は誰一人いない。

 全員が言葉を失い、甲板の一点に視線を釘付けにされていた。

 「バニ−ス!!!」

 甲板にいた美しい女がようやく金切り声を発する。

 女性的な色気としなやかな体を兼ね備えたその美女の目の前で、彼女の夫である隻眼の男が跪いている。

 彼の胸部には槍のような物が突き刺さり、それは一直線に一人の男の腕に繋がっていた。

 全員の視線を一身に受ける男…いや、男かどうか、それどころか人かどうかすら分からない存在。

 その腕は自在に伸縮し、関節など存在しないかのように曲がり、そして先端は槍のような形状をしている。

 マントと甲冑のようなものに覆われ、その表情はおろか、顔すらも伺うことはできない。

 ただ分かっていることは、沖から遥かに離れた海上に浮かぶ船に泳いで追いつき、甲板に這いあってきた後、

 その凶悪な腕を使い、隻眼の男に一撃を突き立てていたということだった。

 隻眼の男はバニス・ブラバム。かつてはバセンリンという国の軍部のトップに身を置き、

 双斧から繰り出される"斧回球"という技で国外にも名を轟かせた超一流の使い手である。

 甲冑男はその腕を振るい、バニスを追い詰め、片腕を失いはしたが、残る一本の腕でバニスを仕留めた。

 男の目的はジョン・バーツ。海賊スイートマドンナのキャプテンにして、古代文明ファルコンを追う男。

 甲冑男はバーツについたファルコン文明の匂いを追っていた。全てはバーツを葬るために。

 甲冑男はバーツの「残り香」を追い、バニスの乗る船を追ってきた。

 バーツの手がかりを得て、また主に近づく危険があるバニスをも始末するために。

 バーツの行方は、バニスを貫く寸前に、彼の美しい妻グロリアが白状していた。

 これで行く先は決まった。だが、彼にはまだやるべきことが残っていた。

 「ぐ…がぁ…」

 バニスの体から腕が引き抜かれる。バニス自身が貫かれる寸前に槍を掴もうとしていたことが幸いし、急所は外れていた。

 十分に重傷と言える傷に動くことはできなくとも、バニスの意識はまだあった。

 胸を突かれたことにより、まともに言葉を発することもできないが、甲冑男を朦朧とした意識で見つめる。

 「バニス!死ぬな!死なないで!」

 グロリアが駆け寄り、バニスの傷を手で覆い出血を止めようとする。

 額に巻いたバンダナを包帯の代わりに使おうと外すが、傷に巻く前にバニスがそれを掴む。

 今の彼にとっては、妻のトレードマークとも言えるバンダナは、どんなお守りにも勝るものだった。

 その場にいた全員が言葉を失い、呆然として立ちすくんでいる。彼らを支配するのは恐怖と衝撃。

 甲冑男は、周囲を見渡し、そして刻まれ失った腕を見て、バニスとグロリアに視線を向ける。

 『我はエレクエィス…葬る男一人…ジョン・バーツ…』

 エレクティスと名乗った男は、ズシンと重々しく二人の前に足を踏み出した。

 「…バーツの居場所なら話しただろう!さっさと行って、アイツに殺されろ!!」

 グロリアは傷つき動けない夫を庇うように立塞がりながら、憎しみの言葉を投げかける。

 『その男のせいで、我は片腕を失った…我は不利な状況に置かれる…報いは受けてもらう…』

 憎しみによる動機とは対照的に、機械的に残った腕に殺気が集結する。

 バニスの血を滴らせた腕が何の準備動作もなく伸び、グロリアを避けてバニスに向って振り下ろされる。

 「やめてぇ!!」

 グロリアはバニスに向って振り下ろされた腕に飛びつき、体をぶつけて切っ先を逸らす。

 進路がずれた腕はそのまま伸び続け、甲板にいた乗客を何人か貫き、絶命させていた。

 そのままバニスを庇い、バニスの体にしがみつくグロリア。

 腕を逸らした際、服が破れ、その胸元からは豊かな乳房が姿を露わにしていた。

 甲板は恐怖に支配され、身内や仲間を殺された者ですらも微動だにできないでいた。

 『…他人を犠牲にしてまで、その男を庇う…そんなに大切か?』

 腕を戻したエレクティスがグロリアに問う。

 「当然だ!この人は…バニスは私の大切な夫!そして私たちの娘の父親!」

 グロリアがかみ殺しそうな勢いでエレクティスを睨む。

 そのグロリアの手を、バニスが弱々しく握る。

 『互いに互いを大切にしている…ならば、失った我が腕の代わりに、その男の大切な者を頂く…』

 エレクティスがまた一歩二人の前に進み出る。

 『女、グロリア…その男の命を奪われたくなければ、お前が命を差し出せ…』

 再び腕に殺気を込め、エレクティスがグロリアの前に立つ。

 今度は先ほどのような妨害は通用しないだろう。

 「…分かった…」

 グロリアはバニスの顔を見ずに、静かに答えた。顔を見れば、決心が揺らいでしまう。

 力のないバニスの手が、その決断を許さずに全力でグロリアの手を握り締める。

 血走った目でエレクティスを睨みつけるバニス。

 エレクティスはその瞳から、何かを感じ取った。

 『…その瞳…必ず復讐を遂げるという意志が感じられる…貴様を生かしておくと、後で災いとなる…

 しかし、貴様を殺せばこの女が復讐を誓う…ならば、二人揃って死んでもらおうか…』

 その言葉に二人の手が強く握り締められるのを見て、エレクティスは更に熟考する。

 『その絆…二人の絆の象徴…娘がいると言ったな…?貴様らを殺せば、娘が復讐を誓うだろう…

 ジョン・バーツを始末することが我の使命…これ以上の災いは増やすことはできない…』

 エレクティスの手が下ろされる。

 『貴様らを生かしても殺しても災いは消えない…ならば、その強き心を…絆を砕く…』

 エレクティスの腕が一瞬でバニスの傷に再び突き立てられる。

 叫び声すら上げられないバニスに代わり、グロリアが悲痛な悲鳴を上げる。

 『グロリア…バニスの妻…この男の…夫の命が惜しければ、我に身を捧げよ…』

 「なにっ!?」

 「っぁぁぁぁっ!!」

 グロリアが怒りの視線をエレクティスに向けると、バニスの傷に刺さった腕がほんの少し動かされる。

 『拒めばこの男を殺し、お前を殺し、娘も殺す…最愛の夫の前で、我に犯されるのならば見逃そう…

 最愛の者の前でよがり泣く姿を晒せば、お前達の絆も砕かれることだろう…』

 エレクティスの甲冑と思われていた股間部分がググッと棒状に隆起する。

 「まさか…化獣!?」

 長大な男根の形になった股間から、咄嗟に目をそらし、グロリアが一つの可能性を口にする。

 古代文明ファルコンが生み出した、生物兵器・化獣。

 彼らはオールドブラッドと呼ばれる存在にしか操れないとされていた。

 グロリア、バニスもオールドブラッドであり、化獣を使役していた。

 しかし、化獣はある日以来、その変形を封じられていると思われていた。

 目の前の存在は、その特異性から人間外の存在、化獣としか思えない。

 視線をそらしたグロリアの中で、疑問と不安が渦巻く。

 その思考を遮るように、バニスが苦痛の吐息を漏らす。

 『目をそらすな…お前のその口で我の一物を咥えろ…』

 グロリアはバニスの顔を見る。

 苦痛にゆがみながら、その瞳はグロリアへの陵辱を許してはいない。

 バニスを救う為に身を汚そうとするグロリアを咎めるように、そして自分は辛くはないと言うような

 視線をグロリアに向け、エレクティスを憎悪を込めて睨む。

 そんなバニスの傷が更に痛めつけられる。血は溢れ、バニスの口からは血が吐き出される。

 「もうやめて!バニスが…バニスが死んじゃう!」

 グロリアはエレクティスの足にすがりつき、涙を流しながら許しを乞う。

 剥き出しになった乳房を硬い脚に押し付け、涙に濡れた顔で自分を見上げながら必死に夫の助命を乞うグロリアに、

 エレクティスはいきり立った肉棒を、その顔に押し付ける。

 頬を叩くように勢い良く押し付けられた剛直が、頬を伝うグロリアの涙に濡れる。

 『夫の前で淫らに乞うがいい…我の男根をしゃぶらせて欲しいと…』

 その言葉に、グロリアがビクッと体を凍りつかせる。

 グロリアが躊躇していると、背後からバニスの苦痛の呻きが耳に飛び込む。

 「ソレを…しゃぶらせろ…」

 憎しみを込め、追い詰められたグロリアがようやくぶっきらぼうな頼み方をする。

 そのグロリアの頬に剛直がパチッと打ち付けられる。同時にバニスの苦痛の声。

 『淫らにだ…』

 エレクティスの言葉に、グロリアはギリッと歯噛みし、俯いたまま小さな声で呟く。

 「私の口であなたのソレをしゃぶらせてください…」

 『ソレとはなんだ?あなたとは誰だ?お前は何だ?』

 残酷な注文がグロリアの心を、そしてバニスの心を切り刻む。

 躊躇い、まだ誇りを捨てられないグロリアの様子を見たエレクティスがバニスを苦しめる。

 「わ、私はバニス・ブラバムの妻、グロリア・ブラバムです!

 エレクティス様のチ…チンポをはしたない私のお口にくださいませ…っ…」

 グロリアはバニスの苦痛の声に怯えるように、信じられないほど下劣な言葉を口にしていた。

 女山賊、そしてバニスの妻として、男に負けない逞しさとプライドを持ったグロリアが、今まで誰にも

 聞かせたことのないような弱々しく、そして淫らで恥知らずな哀願をさせられる。

 その哀願は、バニスを救う為に他ならないが、肉体的な苦痛など比にならない程バニスを苦しめていた。

 『夫の前で、はしたないことだ…では、存分に味わうがいい…』

 エレクティスがグロリアの口元に、いきり立つペニスを突きつける。

 グロリアはバニスに振り向き、悲しい微笑みを浮かべる。

 「ごめん…ごめんね…アンタ…今助けてあげるから…ごめん…」

 涙を流しながら、何度もバニスに詫びると、グロリアはエレクティスに向き直った。

 (…噛み切ってやる…!そうすれば…さすがのコイツも…)

 震える唇をゆっくりと開き、恐怖と不安で荒くなった吐息を吐きながら、エレクティスの剛直を口に収めようと

 大きく口を開き、先端を口内に隠していった。

 「う…くぅ…ふぅ…」

 太い剛直を大きく開いた口内で受け入れたが、どうしても粘膜同士の接触を許す勇気がない。

 剛直は空洞の中で漏れる吐息にくすぐられ、滴る唾液に濡れるだけだった。

 『しゃぶれ…我を満足させろ…拒めば夫を殺すぞ…』

 エレクティスの言葉に観念したように、グロリアが開ききった口を静かに閉じる。

 唇は肉幹に被せられ、舌と口腔はねっとりと絡みつくように亀頭に触れていた。

 粘膜に触れたエレクティスの剛直は冷たく、グロリアの熱を吸収していた。

 粘膜で感じたエレクティスの男根は、まさに金属の硬さだった。

 『噛み切れるとでも思ったか…?』

 エレクティスがグロリアの心を読んだように企みを看破する。

 グロリアが凍りつくのと同時にバニスが苦痛を訴える。戒めとしてエレクティスがバニスの傷を嬲っているのだろう。

 グロリアは己の判断を後悔し、残された奉仕の道に努める以外考えられなくなった。

 「むぅぅ…ふむぅぁ…んっ…じゅぷぅ…んぶ…」

 バニスの命がかかっている以上、グロリアはもう逆らうことはできなかった。

 夫の前で、そして衆人環視の中、どんな恥を晒しても、エレクティスを満足させなければならない。

 切なそうな吐息を漏らしながら、必死に口内の亀頭を舐め、口腔で擦り上げる。

 首を振り、口に収まりきらない長大な肉棒をできるだけ深く飲み込み、幹には手を絡ませてしごき上げた。

 夫にもこんなに激しい口腔奉仕を施したことはなかった。しかし、全ては夫の命のため。

 剛直を絞り上げたままストロークする唇からは、グロリア自身の唾液が糸を引いて滴り、

 頬をすぼめての激しい吸引にジュボジュボと卑猥な音が甲板に響く。

 その淫猥な音はバニスの耳に届き、エレクティスの股間に顔を埋めるグロリアに絶望と怒りの視線を投げかけていた。

 取り巻く乗客たち…その中でも男達は、人妻が夫の前で、陵辱者に従い奉仕する様に興奮しきり、

 全員が股間を大きく膨らませていた。彼らは恐怖で凍りつきながらも、無言で情欲に満ちた視線を向ける。

 その中の家族や友を殺された何人かは憎しみと狂気に満ちた瞳をグロリアに向けていた。

 グロリアは形の良い鼻から苦しそうに息を吐き、上目遣いでエレクティスの様子を見ながら、必死のフェラを続ける。

 グポッグポッというくぐもった音と同時に、ジュブブという唾液が吸引によって啜られる淫らな音が響く。

 自分の心が挫けないようにするため、敢えて夫の存在を意識しないようにしても、怒りを込めた視線を痛いほどに感じる。

 (バニス…ごめん…早く…早く終わらせなきゃ…)

 この背信的な奉仕を一刻も早く終わらせようと、グロリアはより一層奉仕に力を込める。

 勿論、それは愛情などなく、ただ必死に快感を与えるだけの口淫であるが、バニスの目には自分の命を狙った

 異形の化け物相手に妻が必死に、そして自分にも見せないような熱心さで淫らな口奉仕に没頭しているように見えた。

 無論、それが強制されたことであり、自分の命を救うための自己犠牲ではあることは分かっている。

 しかし、それでも声すら出ず、身動きもできない歯痒い体で妻のそんな姿を見せられるのは、歪んだ感情を生んでいた。

 (俺の前で…俺の妻が……グロリアが…このまま化け物に奪われるのか…)

 頬をすぼめ、咥えきれない長大な男根を必死に喉の奥まで飲み込みながら首を振る妻。

 バニスが目をそらすこともできず見つめる中、エレクティスがグロリアに声を掛ける。

 『口に注ぐ…こぼすな…』

 グロリアの唾液でヌラヌラと光った金属の剛直の中を熱い液体が噴き昇る。

 咄嗟に逃げてしまいそうになったグロリアだったが、雁首がすぼめた唇から抜けず、大量の射精を口で受けることになった。

 冷たかった金属の剛直とは対照的に、塊のような熱い精液がグロリアの口に次々に噴射される。

 キビキビとした言葉を紡ぎ、夫や娘に語りかける口に汚濁が注ぎ込まれる。

 ゴプゴプと噴射される大量の人外の汚濁を、頬を膨らませながら何とか嚥下していく。

 「ぐ…んぐ…んぶぅ…んっ…う…んぶぁ!?」

 並外れて濃い粘液は喉に絡みつき、やがて嚥下を許さなくなった。

 口一杯に生臭く熱い粘液が溜まり、やがてグロリアは苦しさのあまり、肉棒を口から離してしまった。

 噴射が続く汚濁はグロリアの美貌を汚し、切り裂かれた服から覗く豊かな乳房を汚す。

 長い射精を終えた頃には、グロリアは白く汚され、呆然と膝をついていた。

 グロリアはバニスの目の前で、汚されてしまったというショックで呆然としている。

 顔、そして開いた口から滴った白濁の欲汁はグロリアの体を伝い、床に水溜りを作っていた。

 『後始末をしろ…』

 バニスをいたぶりながらのエレクティスの要求に、呆然としているグロリアは反射的に応じてしまう。

 先端からトロトロと精液を滴らせるエレクティスの肉棒に口を寄せて、先端をチロチロと舐め、

 鈴口に唇を押し当て、筒内に残った汚濁を吸い取る。

 残滓だけで口の中は再び精液で満たされ、グロリアは吐息と共にゴプッとそれを溢れさせる。

 『次はその胸で楽しませろ…』

 荒い息で滴る白濁を拭っていたグロリアの剥き出しの胸元にエレクティスが剛直を突きつける。

 あれだけ射精しても微塵も衰える様子もなく、そそり立つ剛直が打ち付けられると、盛り上がった乳房をプルンと揺らす。

 「そんな…!約束が…こんなにまでしたのに…」

 グロリアが抗議の声を上げる。彼女自身、逃げ出すことのできない地獄にいることに未だに気づいていない。

 『我はまだ満足していない…お前達の絆も砕けてはいない…早くしなければ、お前の夫は助からないぞ…』

 夫への愛と絆を捨てさえすれば、彼女だけは全ての苦役から逃れられる。

 しかし、彼女にはその選択肢は考えることなどできない。

 要求に従わざるを得ず、汚濁でぬめる奥歯をギリッと噛みしめる。

 屈辱に震える手をそっと胸元に下ろす。指先が剥き出しになった乳肌に触れ、ピクッと硬直する。

 グロリアの胸は鼓動を早く打つが、胸に触れるエレクティスの剛直からは何の脈動も感じない。

 『グズグズするな…』

 エレクティスの肉棒が左右に振られ、グロリアの乳房をベチベチと討ち据える。

 破れた胸元から零れた張りのある乳房がプルンプルンと左右に跳ね、グロリアは屈辱と痛みの声を上げる。

 「く…うぅ…」

 まるで鞭で叩かれたように赤く痕を残したグロリアの乳房の頂きが、痛みに反応して密やかに起立する。

 乳肉を叩くのをやめたエレクティスは、肉棒の先端を乳肌の上で滑らせ、やがて勃起した乳首に到達させる。

 乳首を乳房に押し込むように、乳首にあてがった肉棒の先端に少しだけ力を込める。

 「ん…っ!?ひはぁぁ!?やっ!?やぁぁ!」

 直後、グロリアが悲鳴を上げる。しかし、それは苦痛によるものではない。

 乳首を圧迫した肉棒の先端が、高速で振動を送り込んでいた。

 まるで電流のような快感と衝撃が、グロリアの敏感な部分に叩き込まれ、抗うことのできない強烈な快感に叫んでいた。

 乳首から伝わった振動は、乳肉にまでブルブルと振動を伝え、ジンジンと痺れるような感覚に身をよじる。

 「やめ…ろぉ……やぁ…!も…もう…!」

 あまりの快感にグロリアが絶頂を迎えてしまいそうになった瞬間、エレクティスの肉棒が離される。

 グロリアが安心と失望を感じた一瞬の後、今度は反対の乳首に同じ攻撃が見舞われる。

 「あうっ!?あぁぁぁ!!」

 咄嗟に胸を押さえても、逃れることはできない。嬲り尽くされる乳首からの強い快感が脳を痺れさせる。

 嫌悪し、憎むべき相手から与えられる強制的な快感にグロリアはただ翻弄された。

 つい一瞬前まで嬲られていた乳房の快感がまだ消えない上、更に新しい快感を送り込まれる。

 まるでゼリーのようにブルブルと振動する乳房の奥から熱い快感が駆け上る。

 再び絶頂が近づいた瞬間、エレクティスはスッと肉棒を離した。

 グロリアの乳房は振動によって与えられた快感が引くことがなく、ジンジンとした快感を保ちつづけていた。

 また、強烈過ぎる快感の連打に、グロリアは頬を火照らせ、背筋を行き来する快感の電流にビクビクと体を痙攣させていた。

 離れたところからその様子を見ていたバニスは、突然妻が嬌声を上げたことが理解できないでいた。

 『さあ…』

 エレクティスの剛棒が、グロリアの双乳の谷間にあてがわれる。

 グロリアは無意識のうちに、それを乳肉で包み込もうと、乳房を持ち上げていた。

 夫・バニスが最も好む性戯を、陵辱者に対して行わなければならない背徳感がグロリアを苛む。

 グロリアが少しだけバニスを振り返る。

 妻がはしたない嬌声を上げたことに顔を蒼くしているバニスに、グロリアはかすかに微笑みを向ける。

 (大丈夫だよ…アンタ…どんなに感じさせられても、私は負けない…さっさと終わらせて、アンタを助けるよ…)

 グロリアはそう瞳で語りかけた。しかし、その決意はグロリア自身の体を制御することはなかった。

 「んっ…!」

 振動攻めでの快感から逃れられない乳房は、グロリア自身の手に触れ、持ち上げただけでビリビリと快感を呼び、

 秘部の奥がジュンと熱く痺れるのを感じる。グロリアの体は、持ち主の決意を打ち砕こうとしていた。

 力を加えるだけで快感を呼んでしまう乳房が、エレクティスの剛棒にそっと触れる。

 触れた部分から、かすかな振動が伝わり、再びグロリアに快感を送り込んでくる。

 「う…あ…あぁ…」

 グロリアの口から漏れる呻き声は、恐怖なのか、それとも快感への戸惑いなのか区別がつかない。

 軽く触れた状態で、乳房がフルフルと振動し、数秒が経過する。

 もうすでにムズ痒いような、しかし確かな快感が胸に浸透し、くすぶる性感を煽り立てる。

 バニスの命を救う為、そしてかすかな快感への期待に、グロリアの手が力を込める。

 高速で微振動するエレクティスの男根が、グロリアの乳房に飲み込まれる。

 「くぁ!?んっ!んぅぅぅ!!」

 振動する剛棒を張りのある乳肉でしっかりときつく包み込んで押さえつけ、振動を消そうとする。

 しかし、強く挟み込んでも、振動を抑えることなどできず、逆により強く振動による責めを受けることになった。

 剛棒が触れる乳肉がブルブルと凄い勢いで振動し、乳房全体もプルプルと小刻みに揺れる。

 (く…これじゃ…おかしくなる…手を…手を放して、挟むのをやめなきゃ…あぁ…)

 心は誤算を認めても、体は乳肉の締め付けを止めることはできない。

 乳房全体から脳裏に送り込まれる快感に逆らえず、乳房を寄せる手は乳房から伝播する振動に支配される。

 それどころか、両手で双乳を両側から押し付け、更に強く伝わる快感を受け止めてしまう。

 微動だにしないエレクティスとは対照的に、グロリアは快感に身を捩り、結果的に全身を使って乳奉仕をしていた。

 胸の谷間は口奉仕で撒き散らされた汚濁と、玉のように噴出した汗でグチョグチョになり、振動と乳圧によって淫らな水音を放つ。

 乳房はジンジンと痺れ、その反面、異様な敏感さで未だかつてない快感を感じる。

 高速の振動は乳房を通じ、全身に伝わり、そして快感中枢までも揺さぶるような感覚さえ覚える。

 無意識のうちに太ももを擦り合わせ、トロトロと潤み始めた脚の付け根をモジモジと慰める。

 「やっ…う…うぅ…ふぁ…ふっ…くぅ…」

 バニスに聞かれまいと、必死に嬌声を噛み殺し、何とか胸に添えた手を動かしてエレクティスの剛棒を乳肉でしごく。

 硬い幹、そしてせり出した亀頭を柔らかい乳肉で舐めるように擦り上げる度に、グロリアは気を失いそうな快感を感じる。

 それでも弾力のある乳房に、剛直をめり込ませながら、必死にパイズリを見舞う。

 快感で手から力が抜けそうになり、慌ててきつく乳房を寄せるたびに、タプンと大きく乳房が揺れる。

 力んだ柳指は自らの乳肉に沈み込み、動くたびに自らの乳房をグニグニと揉んでいることになる。

 内側からの粘液のぬめりと、振動による快感、そして外側からの自らの愛撫によって、グロリアの乳房は蕩けそうに感じていた。

 「ん…ふぅ…くっ…んふぁ…む、むね…おかしく…なる…く…んっ…」

 胸に蓄積された快感が加速的に増加したことで、グロリアの乳房は異様な熱と感覚に囚われていた。

 背筋をゾクゾクと快感が流れ続け、双乳はかすかに動かしただけで全身を跳ねさせるほどに感じている。

 そして、グロリアは双乳の内部から湧き上がるような熱い快感を感じていた。

 直後、双乳の頂点からツッと熱い滴が剛直を挟んだまま震える乳肌を伝う。透明な汗ではない、白い滴。

 「…ば、バカな…こ、こんな…こんなぁ…あぁぁ…み、ミルクが…ミルクがでちゃうぅぅ!!」

 一筋の乳滴が乳肌を伝った後、一瞬の間を置いて勢い良く白い母乳が噴出し、同時にグロリアは絶頂を迎えていた。

 娘、チャコを育てて以来、数年間は封印されていた乳腺が強烈な快感によって誤って覚醒してしまっていた。

 グロリアはエレクティスのペニスを挟み込んだまま、背筋をそらせて母乳を滴らせる。

 無意識に囚われた手は、きつく双乳を掴み、寄せているため、母乳の分泌を必要以上に促進させる。

 そして、快感と供に覚醒した母乳は、噴出すたびにグロリアに快感をもたらしていた。

 絶頂に悶えながらも双乳の狭間に剛直を捕えたまま、グロリアはビクンビクンと体を痙攣させる。

 バニスは目の前の妻の狂態を信じることができず、薄れ始めた意識が見せる幻だと信じようとしていた。

 それまで動かなかったエレクティスが、行動を開始する。

 母乳に塗れた乳房に挟まれた剛直を、双乳の狭間で抽送し始める。

 谷間に流れ込んだ母乳がブチュッ、ヌチュッと水音を発し、小さく飛沫いて撒き散らされる。

 エレクティスの積極的な抽送により、乳肉はより一層振動に晒され、その都度母乳がピュルッと吹き出て乳房を彩る。

 「!?くひぁぁぁ!!」

 乳房を寄せたまま、エレクティスのなすがままにされていたグロリアが悲鳴じみた嬌声を上げる。

 エレクティスは抽送の角度を変え、グロリアの乳首をも射程に捕えていた。

 乳肉が寄せられたため、中心に寄っていた乳首の狭間を、振動する剛棒が擦り上げる。

 グロリアの乳首はピクピクと反応し、快感に合わせて盛大に母乳を放ってしまっていた。

 『母乳塗れの乳房…悪くない…』

 快感にもがくグロリアの谷間から、亀頭部分がせり出す。母乳でテラテラと妖しく光を放っている。

 母乳がローションの代わりとなり、擦れあう感覚を更に心地良いものに変える。

 それだけでなく、母乳を染み込ませたグロリアの双乳は、どういうわけか柔らかさを増していた。

 『今回は我の方が負けだな…』

 同時に一際振動が激しくなり、グロリアの視界が火花を放ったようなチカチカとした光を映し始めた瞬間、

 エレクティスはその肉棒の先端から、再び真っ白な粘液を噴射した。

 乳房で固定された剛棒は、まっすぐグロリアの顔に汚濁を浴びせ掛け、その美貌は再び白く汚された。

 「は…はぶ…うぅ…ひはぁ!?んぶぁ!」

 塊のような汚濁をブチまけられ、喘いでいたグロリアが、突然愉悦の声を上げ、その口に大量の汚濁が飛び込む。

 エレクティスは、母乳でぬめる谷間から、射精を続ける剛棒を抜き、乳房全体を嬲るようになすりつけていた。

 結果、汚濁は乳房全体を汚し、更にグロリアの全身にまで飛び散った。

 真っ白な美しい母乳と、かすかに濁った雄の淫汁がグロリアを淫らに飾り立てていく。

 それだけではなく、グロリアの乳首に亀頭の先端を押し付けると、精液と母乳がぶつかり合うように噴出し合い、

 グロリアの体を乳汁と雄汁の混じった液体でドロドロに汚していった。

 放乳が一瞬阻害され、それが勢いに負けて一気に吹き出ると、グロリアは頭の中が真っ白になるほどの快感に流された。

 自らが噴き上げと母乳と、エレクティスの吐き出した汚汁により、グロリアは目も開けられないほどに汚され、

 全身からヌメヌメした白い粘液が糸を引き、なかなか地面に垂れ落ちないためネバネバと滴らせていた。

 

 『どうだ?妻が汚される気分は…?』

 エレクティスがバニスに向って話し掛ける。虚ろな目をしたバニスは何の反応も示さない。

 『…良く見えないようだな…』

 バシュッという音と共に、バニスに突き刺さっていたエレクティスの腕が縮んで元に戻る。

 「うっ!?な、何をする!?放せ!!」

 エレクティスは汚濁で目をふさがれたグロリアを抱えると、ズシンと重く足音を響かせてバニスに近づく。

 グロリアはエレクティスの企みを察し、何とか逃げようともがくが、抱えた腕は全く緩まない。

 視界を奪われたグロリアにとって、バニスまでの距離は分からず、終着への一歩一歩に身を凍りつかせる。

 それまでのズシンという足音が、ドズッという鈍い音に変り、歩みが止められた。

 『良く見ろ…これがお前の無力さと、無謀な友を持ったことへの報いだ…』

 「い…いやああぁぁぁ!!バニス!!み、見るな!見ないでぇ!」

 エレクティスは、倒れたままのバニスの顔の前に、グロリアをぶら下げるように晒す。まるで自分の所有物のように。

 ついに自分の姿が汚された姿が、ついに夫に晒されたことでグロリアが狂ったように暴れる。

 汚濁で汚れた顔を必死に手で拭い、汚されたという証拠を少しでも消そうとする。

 顔を拭った手は汚濁に塗れ、その代わりにふさがれた瞼は粘液から解放された。

 バニスの目を見る自身はなかったが、それでも危機にある夫の現状を確認したい。

 グロリアは、恐る恐る目を開けた。瞼にこびりついた残滓が、睫毛との間に白く細い糸を引く。

 目の前にあったのは、バニスの憤怒の表情。

 それはエレクティスに向けられているのか、それとも絶頂まで迎えてしまったグロリアに向けられているのか…

 傷のせいでろくに話せないバニスは、苦痛に耐えるために歯を食いしばり、答えを伝えることはなかった。

 「くっ…ごめん…ごめんね…アンタ…」

 やり切れずに目をそらしたグロリアの目に飛び込んできたのは、バニスの傷を踏むエレクティスの足だった。

 「う…あぁぁ…貴様ぁ!バニスから足を下ろせぇ!!」

 グロリアの中で、今まで抑えていた憎しみが爆発する。

 必死に身を捩り、腕を振り、エレクティスの体に腕を叩きつける。

 エレクティスは無言のまま、グロリアの体をバニスの上に落す。

 解放されたのと同時に、グロリアは何度も詫びながら、バニスを庇うように覆い被さる。

 『ここまでされても、まだその絆は断てないか…ならば時間は惜しいが、徹底的に…』

 エレクティスの言葉が、残酷に降り注ぐ。強い絆ゆえに、二人の苦しみはまだ続くこととなった。

 

 ―続―

 


解説

 久々のマイナーネタです(笑)

 前々から、「夫の前で妻を…」というものを書いてみたかったのでスランプの脱却のために書き始めました。

 こういうシチュエーションの作品だと、夫に自由を許すと、非常にうるさくなってしまいそうなので、

 敢えて言葉を発することができないようにしましたが、醍醐味が薄れたかもしれませんね。

 

 ちなみに、この話は原作の第198話『親心』の直後を舞台にしています。

 設定の説明などはほとんど省きましたが…それは原作をご覧になってください(汗)

 エレクティスについては、本当はこんなにおしゃべりでも、理屈的なキャラではないのですが…

 原作のままだと、そもそもこんなお仕置きはしませんし(笑)

 

 なお、前後編という形式をとっていますが、後編ではなく、前後編統合した形で投稿させていただくかもしれません。

 (後編の分量と、話のバランスを考えると、前後編にするのが難しいもので…)

 


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