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春になれば君は
にゃるらっぷ/文


 空気が濁っている・・・そう感じられた。

 寮の中の空気が微妙に変化し、瘴気のように自分の行く手をふさいでいる。自分は何者かに誘導されるように歩いている。・・・高部絵里はそう感じていた。

 始まりはあの管理人がこの寮に来てからだ。こけた頬に分厚いたらこ唇、何年前から着ているかわからないような汚いジャージ、首に巻いたタオル。どこから見ても見事なまでの管理人スタイルだった。他の生徒達は何も思わなかったようだが、絵里は一見してこの男が嫌なたくらみを抱いているのがわかった。

 その感じは日を追うごとに強まっていき、ついにはこの週末で最高潮に達した。

 嫌な感じといえばこの寮自体もおかしくなっている。いつもであればさまざまな声・・・例えば萌子のけたたましい声であるとか、香織の高慢ぶった声、そういった諸々の声が今日は一切聞こえてこない。その静寂がいやおう無しに絵里の心のざわめきを強めていた。

 「みんな、どこにいったんだろ」

 静けさのあまり、つい独り言を言ったりする。どの部屋も鍵がかかり、この寮内に人の気配もするのだが、それはどこからかわからない。

  そういえば、あの管理人もいないようだ。

  今のうち、と思いながら絵里は目的地に向かって歩いていった。それが地獄への道行きとも知らずに。

 

  トイレも人の影はなく静まり返っていた。扉に鍵をかけ、下着をずらす。

 この重い空気のせいだろうか。それともこの異常な雰囲気のせいだろうか・・・ひどく腹の調子が悪い。そのために悪い予感がするにもかかわらず、こうしてトイレにやって来たのだ。

 「大丈夫、きっとみんな家に帰ってるだけよ。月曜になれば全部元通りになるわ」

 そう強がってみても、嫌な予感は一向に薄まらない。小さい頃から気付いていたこの能力・・・予知能力とでもいうべきものには度々助けられていたが、今回ばかりはその能力も疎ましいばかりである。

 「何が起こったってわけでもないのに・・・」

 また一人呟いて、腰を落とそうとした・・・その時。

 ペタン

 ペタン

  どこからか物音が聞こえた。その薄気味悪い音に絵里はふと動きを止める。しばらく耳を澄ましてみたが、もう物音は聞こえない。

  安心して中止していた動きを再開しようとした時

 ペタン

 ペタン

  またしても音は聞こえてくる。

  ふいに絵里は昔聞いた怪談を思い出した。深夜の病院でトイレに入っていると隅からノックの音が聞こえてくる・・・あまりにポピュラーな怪談なのでその時は笑っただけだが、トイレで思い出すと実に嫌な感じになる。

 「気のせいよ」

 絶望を告げる予知から逃れようとするべく、再び独り言を言う。

 ペタン

 ペタン

 ペタン

 音はだんだんと近付いてくる。とうとうトイレの中に入ってきたのが気配でわかる。

 絵里は扉を背にして開かないように必死で押さえた。

 端からノックの音が聞こえる。

 一つ目・・・二つ目・・・三つ目・・・

 それはとうとう絵里の入っている個室の前までやってきた。ノックの音が聞こえるのを覚悟する。しかしノックの音は聞こえてこず・・・

 ガチャリと音を立て、鍵が外から開いた。

 「ど、どうして」

 思わず叫び声を上げる。

 「くっくっく、それはですねえ。この加藤が細工しておいたからですよ」

 扉が開き、管理人の顔が覗きこんだ。

 

 「い、嫌・・・寄らないで・・・」

 「まあ、そういわないでください。絵里お嬢様、くくく」

 臭作の目が嫌らしく絵里の全身を舐めまわす。

  きっとこっちをにらむ意思の強そうな目。

  今は噛み締められているが、普段はやわらかくとろけそうな唇。

  並みの男ならそれに触れるだけでイッテしまいそうな胸。今は服に包まれているがもうじき曝け出してやろう。

  そしてスカートに、太ももまで下ろされた真っ白な下着。

  いよいよコイツでこの寮のメスどもは全員俺の肉壺だ・・・

  そう思うと臭作はいっそう股間がたぎるのを覚えた。

 「いや、来ないで」

 臭作が見とれた隙に、絵里は身を翻して逃げようとする。素早い動きで臭作の脇をすり抜け、入り口まで駆け寄った。

  いや、駆け寄ろうとした。

  それより先に臭作の手が、絵里のポニーテールを掴んでいた。

 「まあ、そう冷たいこと言わないでくださいよ・・・絵里お嬢様。トイレから何もせずに飛び出すなんてはしたないでございますよ」

 下卑た笑いを浮かべながら、絵里を個室の中に引き戻す。

 「それではお嬢様がちゃんとできるかどうか、この加藤めが見守って差し上げましょう」臭作の言葉にこめられた意味を悟って、絵里ははっと顔を上げた。

 「いやよ、私あなたには屈しない」

 「ん〜、さすがは絵里お嬢様。こんな状況になっても屈しないとは、やはり他の雌どもとは一味も二味も違う」

 「他のって・・・じゃああなた他の人にもこんなことを?」

 「他の人じゃあありませんよ、人たちです。そうだ、せっかくですから他の人にも絵里お嬢様がちゃんと排泄できるか、見てもらいましょう。お前達、入っていいぞ」

 その言葉と同時に、ドアの磨り硝子に人影が映った。

 

 「み、みんな・・・どうして・・・」

 入ってきた寮生達を見て絵里が叫ぶ。無理もないだろう、そこには絵里を除く寮生達全員が全裸のまま入ってきたのだから。

  あろう事か中には先生であるはずの南綾香さえ交じっている。

 「先生・・・どうして・・・」

 絵里の問いかけに対して誰も返事をしない。ただ悲しそうに目を伏せるだけである。

 「くっくっく、こいつらはですね。加藤めの肉奴隷となっているんですよ」

 「みんな、嘘でしょ。嘘だと言って」

 「まだ信用できないのですか。んー、それじゃあ証拠をお目にかけましょうかねえ。綾香、香織、奴隷の挨拶をしろ」

 さすがに絵里の前ということもあり、二人とも躊躇しているように見える。しかし、その抵抗も

 「さっさとしねえか、馬鹿野郎」

 という臭作の一言で消し飛んでしまった。

 二人は臭作の前まで進むと、丁寧な手さばきでズボンのチャックを下ろす。そこから顔を覗かしたモノのあまりの醜悪さに絵里は顔を背ける。

  二人はそのままお互いの豊満な胸を寄せ合い、臭作の男根を包み込む。先端から顔を覗かせている亀頭部分に舌を這わせながら、お互いの胸をこすり合わせるように刺激する。滲み出してきた先走り液も丁寧に舌ですくい取る。

 「どうですか、絵里お嬢様。これがオンナってものですよ」

 「もうやめて。あなた自分が何をしているかわかってるの?」

 勝気なお嬢様と厳格な先生のあまりの姿に、絵里は思わず叫んでいた。

 「それはもうもちろんでございます。絵里お嬢様こそこれから御自分が何をされるかわかっていらっしゃらないようで」

 ニヤリと笑うと冷酷に命令を下した。

 「萌子、朝美、絵里を押さえつけろ」

 その命令に絵里は愕然とするが、当の二人はすまなさそうな顔で両側から腕を取る。

 「ごめんね、絵里ちゃん・・・でもこうしないと写真が」

 「すまない」

 やはりみんな脅されているんだ、そう思った絵里は今までどこからか感じていた視線を思い出した。

  あの視線の正体は・・・

  そんな絵里を尻目に臭作は次々に命令を下す。

 「よーし、じゃあ千秋。お嬢様の服を脱がせろ。渚と志保は景気付けにレズっていろ」

 「え」

 「ここでですか」

 二人が思わず問い返すのに対して

 「当たり前だ、馬鹿野郎。お前らみたいに俺に使い込まれた肉壷はな、便所の床がお似合いなんだよ」

 奴隷二人の奉仕に身を任せながら、怒鳴り返す。

 あきらめたように目を伏せながら、トイレの床で69の体勢になり、お互いの秘所をすすりあう二人。

  千秋は反抗もせず、ゆっくりと絵里の服に手を伸ばす。

 「ごめんね、絵里ちゃん」

 そういいながらも操られたロボットのように一枚一枚と服を剥ぎ取っていく。

 絵里は味方がもういないことを肌で感じていた。

 

  もはやトイレの中は淫らな臭いでいっぱいである。

 

 「くっくっく、まだまだ夜はこれからでございますよ」

 

 続

 


解説

 団長様のリクエストにお答えしてこのようなものを作ってみました。

 初めてのリクエストにお答えするという形は、シチュエーションを考えるのは楽なのですが、いろいろと制約もあり勉強になりました。それが生かせているかどうかはまた別問題ですが(笑)

 さて、ついつい長くなってしまいましたのでこの話は続きます。(今回は導入編ってことでエッチは少なめにしました)

この後の展開としまして、団長様のご要望にあったように(詳しくは掲示板参照)さまざまなシチュエーションで楽しみたいと思いますので、ご期待ください。

 それではにゃるらっぷでした。

 


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