←前  次→


奥の花は手折られて 4
SIS/文


  ヴェルジェ城が陥ちた。

  コッダ領軍にガーゼル教国の暗黒兵が合流した混成軍は、ヴェルジェ騎兵を野戦で一蹴し城を包囲することに成功していた。ヴェルジェ領主マーロン伯は城に拠り、さすがに数日は持ち堪えたが、魔法という火力に勝る攻囲軍によって、ついに陥落に至った。

  これは、ウェルト公国領における反コッダ勢力の消滅をも意味する。

 「火を放って。痕跡もなくすの」

  攻囲側のガーゼル教国軍を統括していたのは、魔女・ミルカ。コッダに邪な力を与え、リーザ、サーシャ母娘を姦計に嵌めた張本人である。

 「……ミルカ様」

  松明や可燃物が次々と城に投げ込まれていく。その喧騒の中、暗黒魔道師の一人が耳打ちする。

 「手の者によりますと、ヴェルジェの首脳のほとんどは、死亡が確認されておりません」

 「コッダ側は?」

 「気づいておりませぬ」

  おそらく海上へ脱したのだろう。

 「そればかりか連中、すでに略奪に狂奔しています」

 「飼い主に似て、貪欲さは豚並みってこと?」

  ミルカは自分の見立てが間違えていなかったことを確信した。

 ――利用するだけのこと。利用するだけの相手は、程度の低い方がいろいろとやりやすい……。

 「わたしは先に王宮に戻る。後は任せるわ」

 「コッダ軍への配慮はいかがいたします」

 「持ち上げておくこと。分かっているとは思うけど、連中の蛮行には……」

 「同調させません」

 「重畳」

 ――せいぜい狂ってなさい。足元が見えないくらいに。

  松明だけの闇夜に急激な明かりが開かれる。城に火が回ったのだ。これから数時間は石をも溶かすような炎が城中を駆け回るだろう。

  明かりを避けるように、ミルカは暗闇に消える。去り際に小指を一舐めしたのが、残像に残った。

 

 

 ***

 

 

 「んぅ、ふはぁっ……ぃゃぁ……」

  人体から発散される熱気が部屋を充満する。

  蝋燭による照明の灯火は、暗闇の中で僅かな薄明かりを提供している。この王女の寝室の微妙な暗さは人間の暗黒面を演出するかのように、却って淫靡な空間を醸し出している。

  このとき、ウェルト公国の王女サーシャは半裸の姿のまま、中年貴族のコッダに跨っていた。

  コッダの顔には背を向け、馬乗りとなって、コッダの肥満した腰に太ももを挟み込むように密着させている。コッダの目には汗が浮かんだサーシャの小さい背中が映る。

  サーシャには肉の感触。ぶよぶよと不気味なくらいに滑らかな、水が詰まった皮袋のようなコッダの腹。しかしそれは、異様なまでの高ぶりと臭気、熱に満ちている。

  体熱と体熱、汗と汗。その淫気はサーシャの密着した太ももと秘所に直接伝わり、彼女の身にも心にも染み渡っていく。

  白い絹の薄い下着にはサーシャ自身から発散される汗と熱気がしっとりと染み込み、若い女の子としての体を浮かび上がらせる。

  子供以上、大人未満のその体は、青っぽくも瑞々しい果実を連想させるかのように、無理なく引き締まっている。これは日ごろ鍛えているというよりも、純粋に若さの特権なのだろう。

  実際、サーシャは王宮の奥でひっそりと暮らすような深窓の令嬢タイプではなく、むしろ活発と明るさで前へ突き進むような元気印な女の子だった。そして、そのスレンダーで小柄なくらいの体は、正に将来の美しい姿を期待させる青々しい蕾みであった。

  だが、その可憐な蕾みは、今やコッダという寄生虫によって無残にも貪られ毒に染められつつある。それも淫ら色の毒に。

  本来なら、その青い髪のような清らかな花を咲かせるはずだったサーシャ。若々しいウェルト公国の姫は、邪な欲望が滴る黒赤い妖艶な花に変えられつつあった。

 

 

 「今度は私に見せなさい、王女様の大事な場所を」

 「大事な……?」

  とんっ、と背中を押される。度重なる陵辱によって心身ともにボロボロのサーシャはコッダの上に被さるように倒れこむ。

 「きゃ……」

  倒れこんだ先にはコッダのペニス。サーシャの胸に剛棒が押しつけられる。熱く硬い肉棒の感触。放出したばかりの生暖かい精液の、ぬちゃりとしたイヤな粘性の液体。

 「や……だぁ……」

 「そのまま膝立ちするのですよ、さっきのように。あなたの足の付け根、股の中心……大事なあそこがわたしの目の前に来るように……」

 「う……ぅぅ……イゃ……イヤぁ……」

  再びコッダの目の前に四つん這いとなって、秘所を見せつけようとするサーシャ。しかし先ほどと違うのは、サーシャ自身もすでに欲情に蕩けていたことだった。

  体に残留する淫らな感触。火照った体。溢れる淫液。下穿きはサーシャの汗と濃い愛液によってねっちょりと滴っている。溢れる淫気はコッダの鼻先に充満する。

  コッダの太い指が、下着の上から中心を嬲る。

  ジュぐ……。

 「んヒぃっ……!!」

  布地に染み込めないほど溜まっている濃い液が指に絡みつく。離した指と秘所にネバつく糸が結ばれる。

 「なんでぇ……なんでよぉ……! んっ……んぅっ……」

  先ほどまで泣き叫んで全力で拒絶をしていたサーシャだったが、次々と未知の刺激が送られてくるたびに、反応し始めていた。

 「ほら、姿勢を崩してはなりません。ちゃんと四つん這いのまま耐えなければ……」

 「くっ……」

  ガクガク言っている足に力を入れて、言うとおりに尻と秘部をコッダに向けるように姿勢を直す。

  秘部を覆っていた下着を取り除く。そこはすでに溢れるばかりの粘液と独特の匂いを発している。

 「そうそう、その姿勢のままですよ」

 「あぅっ!……んん……ヤぁっ……」

  再びコッダが、秘部に舌を這わせる。少しずつ湧き出る蜜を一滴も逃さず舐め取るコッダに、サーシャは憎悪や嫌悪を通り越していた。

  そしてその行為にゾワゾワと反応してしまう自分の身体。舌が這うたびに、ビクビクんと身体の中心を駆け抜けるような電流が走り、太ももを痙攣させる。それでもサーシャは必死に、恥辱のポーズをとり続ける。

  サーシャ自身、こんな恥ずかしい格好などしたくは無い。しかし、ガーゼルの闇魔法によって、今のサーシャはコッダの言いなりになってしまっている。

  太ももも、サーシャ自身のそこも、コッダの唾液に濡れてテカテカと鈍く輝いている。コッダの鼻息がそこにあたると、濡れた自分の肌や秘所をイヤでも感じさせられる。

 「ん……んく……んくぅっ……」

  断続的に注ぎ込まれる微妙な刺激。いつしかサーシャも、鼻の息が絶え絶えながら、刺激に合わせていた。

  身体が淫らな刺激を求め始めていたのだ。

 「んふふ……サーシャ王女の花も開きつつありますな。淫らな蜜まで湧き出てきてます」

 「……そんなことぉ……んあぅっ!」

  秘所に舌を入れたのだ。今までのよりも深く、えぐるような突然のコトにサーシャは激しく反応してしまった。

 「ほほう、サーシャ様の弱点が分かりましたよ」

  今度は自分の唾液で濡らした太い指が入ってくる。それが外側の肉の芽と内側のソコを挟むように摘まむ。

 「ひぎぃっ……! そこぉっ!!」

  大きな電流がサーシャの中を駆け抜けた。背中までもがビクビクんと反り返り、耐えてきたものから遂に力が抜ける。今まで、継続的にも単調に攻めていたものとは違い、直接来たのだ。

 「ハぁ、ハぁ……ぁぁ……」

  達してしまった。

  崩れ落ちる身体。しかしコッダの命令はまだ生きている。もう力の入らない足を無理に立たせようとするその姿は、哀れとも言うべきか健気ささえ感じられる。

 「ほほ、濃い液が出てきましたよ、やはりここですか」

 「チがぅ……ちがうよぉ……」

  サーシャはよく分からなくなっていた。

  コッダによって次々に送り込まれる未知の刺激。それに反応する自分の身体。特に大きな刺激を生み出す自分の場所。中から生まれてくるトロリとした濃い熱と体液。そして身体を突き抜けるようなすさまじい熱と刺激……。

  いずれも体感したことも無い、すべてを持っていかれるような淫らな情感。それがいずれも、自分の身体に起こっているということがサーシャには信じられなかった。

 ――こんなの。こんなの、わたしじゃぁない……。

  心の中で繰り返し繰り返し、何度もサーシャはつぶやいた。それが唯一の拠り所であるかのように、その心のつぶやきに必死にしがみついていた。

  長い間、気持ち悪い感触と憎しみの対象に体中をいじり回され、攻め悩まされ、サーシャは精も根も尽きつつあった。

  そして疲れ果てた肉体と精神は、サーシャに屈服を促すよう囁きかける。

 ――受け入れてしまえば、楽になれる……。

  サーシャ自身、注ぎ込まれる異様な感触を拒否できなくなっていた。ビクビクと走りぬけるあの痙攣、奥から熱く溢れる何か。

  自分の身体が作り変えられていくという嫌悪の中に、別の情感――生まれて初めてのもの――が鎌首をもたげようとしている……サーシャはそれが何か分からないまま、必死に押さえていた。

 ――なにかイヤなもの。汚いものっ。絶対にイヤっ。

  そう思わざるを得ない。コッダによって穿られるように出てきたそれが、イイものであるハズがない。

  しかし、その汚くイヤらしいものを、肉体が求め始めている。そして肉体に走る淫らな刺激は心までも侵食していく……。

 ――タまんない……。これ以上、受け入れたら……。

 ――この感覚。奥をえぐって欲しいような、感じが……。

  ハっと我に返る。

 ――違うっ。わたし、期待してなんかないっ!

 「コッダなんかに、コッダなんかにィィぃ……」

  思いはいつしか「コッダを拒絶」することにすがっていた。それがサーシャにとっての最後の砦であった。

 ――コッダなんかに感じるはずが無い、コッダごときのせいで汚されるなんて、これは魔法のせいであってわたしは違うんだから……。

 「今、何を考えていましたか?」

 「ひぐぅっ」

  四つん這いのサーシャに圧し掛かるようにコッダの裸体が覆い被さってきた。サーシャの小さな背中に、汗まみれの大きな贅肉が密着する。

 「ヤだぁ……気持ち悪いっ!」

  節々までも肉に詰まった丸々とした指と手が、さほど大きくも無い胸をまさぐり、もう片方の手も秘所への攻めを継続している。

 「離れてっ、離れてよぅ……」

 「何を考えていたか、仰ってくれませんかねぇ?」

  胸を揉みほぐし、肉芽に刺激を与えながらコッダは耳元でネットリとしたやさしさで、たずねる。

 「ひっ……ぐ……あんたなんか……あんたなんかにィっ……んああっ!」

 「そうですか?」

  サーシャの首筋から耳元まで、太い舌を這わす。

 「んひィっ!」

  サーシャの中ではコッダへの嫌悪と憎悪がいっぱいに渦巻いている。

  これでいいのだ。コッダは、ほくそ笑んだ。

 (その分、わたしという存在がサーシャの中で植え付けられる……)

  サーシャは未知の快楽に翻弄される中、コッダへの憎しみによって理性を保とうとしている。そして理性が悦楽に屈するとき、サーシャは快楽と同時にコッダというオトコを一体のものとして、その若い肉体に刻まれることになるのだろう。

 

 

 ***

 

 

 「そんなに怯えないでよ」

 「……ん……むぐ……ん」

  暗い寝室。そこは王宮の一番奥、王妃の寝室であった。

  窓も扉も締め切られ、わずかに飾台の明かりが部屋のあちこちに点々と点っている。それが逆に「闇」の濃さを強調していた。

  この部屋にいるのは女性二人。しかし、この二人は友好を育んでいたわけではない。

 「久々の縄はどう? やみつき?」

 「んー……んふぅー……」

 「何を言っているのか分からない」

  女の一人は黒いボンテージ風のスーツとマントを身にまとい、両手足にも黒を基調とした革衣装を着けていた。

  それは防護用というよりは女性そのものの妖艶さを強調するかのようなデザインで、露出こそ少ないものの、却って妖しいほどの色気を振り撒いている。魔女、という言葉を体現したかのようなその女性、先ほどまで攻囲軍を指揮していたガーゼル教国の女魔道師ミルカである。

  そしてもう一人は白い絹の下着姿の上から縄で縛られていた。

  両足をベッドの両側に固定され、両手は後ろ手に結わえ付けられている。その縛り方はいたってシンプルであったが、胸は強調されるように、秘部にも刺激を促すように、縄は急所急所を必ず押さえている。

  そして口には轡。

  この女性はもう一人の女とは違い、質素で清楚でも力強い気高さを伴っていた。はずだった。

  しかし、今、ベッドに縄で固定されている姿は、そんなイメージを裏切る代物である。むしろ、普段の姿からは想像もしえないこの姿は、清純さを汚すような背徳的な淫らを髣髴させ男を誘惑する性的な淫気を発していた。特に、端正で上品に整っている口に嵌められている轡と口端から漏れる涎のすじは、それだけで淫靡さを醸し出す。

  責められている女性は王妃リーザだった。

 「もう何回も味わったでしょう? 忘れられないくらいに。今更堕ちるのがこわい?」

 「んー! んぅー……!」

  必死に首を振る。自分はこんなことを求めていない、と言わんばかりに。しかし。

 「嘘をおっしゃい」

 「っ!! ぎィっっ……!!」

  女の指は縄の隙間、下着の上から秘部をいきなりツネりあげる。強烈な刺激と痛みだったのだろう、縛り付けられている身体がエビのように跳ね上がる。

 「ハぁぁー……ハぁ……」

 「なにを期待しているんだか……すっかり味を占めちゃって」

  秘部を抓りあげた指――小指――を唇に紅を引くように走らせる。その跡を舌でペロリと軽く舐める。

  そこには「女」の味がした。「女」の濃密で淫らな味。

 「この蜜はなに? 濃くってイヤらしい味……」

  縛り付けられているリーザは確かに秘部を濡らしていた。それも溢れんばかりに下着越しに触れただけで指を湿らせるくらいに。

  轡で閉じることのできない口の端から荒い息とともに、口内に溜まった唾液がたらたらと流れ出ている。それには欲情から湧き出る涎も含まれていたに違いない。

 「まだ始めたばかりなのに。そんなのじゃ、これからのコトは耐えられないわよ……ふふ」

  秘部への攻めを再開する。縄を適度に引いたり下着の上からなぞったり。擦れた縄から与えられる痛いくらいの刺激と、やさしく焦らすかのような指の動き。痛撃と快楽が交互に与えられ、飴と鞭の要領でリーザを蕩かせる。

 「…………ん……んぅ」

  見ると体中は玉の汗をかいている。縄に縛られている場所以外も、肌が赤くなりつつある。そして瞳にも理性の光が霞み、妖しげな輝きが増しつつある。痛みと快楽を混ぜ合わされたミルカの淫らな攻めに、リーザの苦痛の表情の中に、どこか恍惚となっている。

  ミルカの役割はこの女性の従属であり、その手段として調教を用いた。「仕事」のほとんどは完了していると言っていい。

  しかし、ミルカはまだ満足していない。「仕事」以上の「目的」がある。

 「これが見える?」

  持ち出したのは魔道具によく用いられる大きめの宝玉である。闇のような宝玉にボウっと人影が写る。

  よく見ると二人の男女が宝玉の中で、もぞもぞと動いているのが分かる。

 「……っ!? ……!!」

 「分かったようね。ここに写っているのは、サーシャ王女とコッダ卿よ。場所は王女の寝室」

 「んぐっ! んぐぅ〜〜……!」

 「ムダよ。あなたでは助けられない」

  宝玉の中では若い女の子が快楽漬けとなってトロンと浮つき、中年の男が後ろから嬲っている。

  そしてミルカも映像に合わせてリーザの秘部に指を侵入させ嬲っている。指は粘液とともに熱を帯び始める。

 「どう? あなたの娘がコッダに犯されているのを見るのは。感じる?」

 「んぅ〜〜……んぐぅっ!……ん……ん……んぅ」

  目を閉じて必死に首を振る。目に浮かんでいた涙も、散る。それは宝玉の光景から逃れたい一心で、快楽に逃げ込もうとする姿かもしれなかった。声も拒否のものか嬌声なのか分からない。

 「ん、んんっ、んくぅ〜〜〜〜っ!」

  びくんっ、と身体が痙攣する。軽く達してしまったのだ。

  ベッドの上にドサリと体重を落とす。

 「いけない人。娘の陵辱される姿を見て、イってしまうなんて」

 「んぅ……ん……」

  休ませない。そのまま指の攻めを続ける。再び呼吸が荒くなるまで、すぐのことだった。

 

 

 ***

 

 

 ――わたし……なにをしているのだろう……。

 ――イヤらしいこと……こんなおぞましいこと……。イヤなの……イヤなのに……。

 

  少し前までは強い意志を秘めていた瞳だったが、かつての輝きは失せて、何もかも失ったかのようにボンヤリとしている。

  その弱々しい視線の先は、右手に持った陶器のビン。ゆっくりと傾けて中の液体をトロトロと左の手に受け止める。

  それはトロミのついた――禍々しいばかりの魔力が込められた――透明の液体であった。魔道に縁が無い者でも、その毒々しさは、臭気や熱がこもっていそうなくらいに感じ取れる。そんな、いかがわしい液体を、サーシャはおそるおそる、だが抵抗もせず手に受けている。

  溢れんばかりに手に溜まった魔液を両手で擦り合わせる。細い指や手の合わせ目から粘液が大量にこぼれ、腕を伝ってゆっくりと垂れ落ちる。両手を広げると、サーシャの小さな手の平は粘液でヌトつき、なんとも言えない淫らな臭気がたちこめる。

 「…………」

  魔性の妖気にアテられたのか、ボぉ……と濡れた手を見つめるサーシャ。

 「さぁ、サーシャ様」

  上半身を起こしたコッダが、サーシャの後ろから囁く。

 「その液体を私のモノに塗りたくるのです。……丁寧に」

 「…………はぃ」

  滴る粘液にまみれた両の手をコッダのペニスに静かにおずおずと近づける。包むように触ると、液体で冷えた手に熱が移る。

  コッダの先端に溜まっていたオトコの液と、サーシャの手から滴るトロついた魔の液体。肉の硬い竿と柔らかく細い女の子の指が絡み合って狭間で溶け合う。まとわり付かせるように、ゆっくりとシゴく。

  ヌ……ぬち……じゅ……にゅ……。

 「……おぉぉ……いいですよ、サーシャ様。続けて……」

  コッダも蕩けている。半身を起こし、後ろからサーシャの背中を抱きこむようにぴったりと密着する。

 「ん……。んぁ……」

  キャミソールの上からサーシャの胸をまさぐるコッダの太い指。背中にもやはりキャミソールの薄い布地越しに伝わる汗と熱、たぷたぷと波打つような贅肉。サーシャの口の端から、わずかに喘ぎがこぼれる。かすかな反応を残しながらも、サーシャはコッダのペニスに液体を絡みつかせながらシゴき続ける。

  今のサーシャは、すべてが抜けきったような無力な少女でしかない。言われるがままに、猥雑に指を動かしていく。

 「おぉっと……私ばかり楽しんでいても仕方が無い。サーシャ様にもご褒美です……」

  片手でサーシャの胸を弄ったまま、もう片方の手で魔液が入ったビンをサーシャの胸の上で傾ける。トロついた液はローションのように少女の鎖骨に当たり、キャミソールに染み込み、溢れた分がサーシャの体を濡らしていく。

 「はぁぁぁ……冷たぃ……」

 「すぐに熱くなりますよ」

  コッダのブヨブヨの腕とイモムシのような太い指が、少女の硬さの残る清純な胸を荒らしていく。粘液でグショグショになった薄布の上から弄るさまは、白く清らかな絹布を汚らわしい黒でベッタリと染め上げていくかのようだった。

 「あ……は、ぁ、ぁ、ぁ……」

  自分の体が、胸が、貪るような陵辱を受けている。薄絹も液体によってヌメり、滴る。透けた布にヌトヌトに密着し浮かび上がるサーシャの若い裸体。粘液に塗りたくられたサーシャのその体は、裸であることよりもかえって淫靡だった。

  そんなサーシャに変化が始まる。

 「……あ、アレ……な、に……?」

  肌がゾクゾクする。なにかが肌から浸食してきている。ムズムズするような熱さ。淫液がサーシャを染め始めたのだ。

 「や、やだ……あっ……あ、あ……」

  吐息がさらに濃く、熱を帯びる。白い肌は濡れたまま、赤く熱くなっていく。

 「んっ! んひぃっ!?」

  突然の痛い刺激。両の乳首をつねられたのだ。

 「ちょっと強かったですかな? しかし……」

  ぐっ。

 「イいっ……イタぁっ!」

 「……これも。快感になるのですよ」

  痛みを中心にジンっとくる熱さが沁みこむ。

 ――かいかん……これ?

  気持ち悪い。粘液が滴る下着も、コッダの這えずる指も。

 ――でも。

  ぐしゅ、ぬしゅ……。

 「んぁっ、ああっ」

  液にまみれた愛撫。薬に蕩かされる白い肌。痛いくらいの刺激。すべてがサーシャを快楽へ犯していく。息も荒くなる。顔には紅が走り、光が失われた瞳には潤みが生まれる。

  抵抗はない。胸をイヤらしい手で蹂躙されても遮らず、サーシャ自身もペニスをぬらすことに没頭していた。

  ヌラヌラと鈍く照るコッダのペニス。その黒光りする様は淫液によって、禍々しさに力強く輝いている。

 「んー……ふぅぅー……」

  吐息も鼻息も熱い。発散される熱がサーシャ自身を包み、熱気となる。

  相変わらず胸を揉みしだくコッダ。そこから送り込まれる強い刺激は、別の刺激を誘う。

 ――さっきの……あれ……。

  ペニスを手で包みながら、サーシャは再び自分のヴァギナに擦り付ける。今度は下着を通してではない、直接味わう。

  ビクんっ……!

 「ふぁっ……!」

  自分の淫らな行為。悦楽を求め刺激を欲する。自分の股間から顔を覗かせたペニスを、慈しむかのように、やさしく、強く、さする。

 「ん……ん、ん、ん、ん!」

  そのオトコのモノを押し付けるように、サーシャの腰が動き出す。コッダに強制された、あの刺激が蘇る。サーシャの淡い毛とコッダの剛毛が滑った液体の中でジョリジョリと絡み、擦れ合う。小柄な胸にも猥雑な刺激が生まれる。

  コッダの手、腕、そして背中から密着した肉がサーシャ全体を嬲る。一方的な欲望を満たすだけの愛撫。つかまれ揉みくちゃに弄られることで、淫らなエネルギーが淫液によって増幅され注ぎこまれているかのように。

 「んぅっ……」

  意思の光が失われた瞳は、ただただ潤んでいる。

 ――もぉ、なにも考えたくない……。

  散々の陵辱はサーシャの身も心も、隅々まで舐めつくしていた。

 ――考えなければ、楽になれる…………。

 ――こんなこと、本当のわたしじゃないんだから……。

 「おぉ……サーシャ様のおかげで……」

  コッダがため息を漏らす。そこには再び勢いを取り戻したコッダのイチモツがそそり立っている。

  サーシャはゾクりとした。

 ――わたしの指が……。粘液に濡れた、わたしの手や指が、コッダのモノをこんなに大きく、こんなに硬く……。そして……。

  無意識にゴクリとツバを飲み込む。見るのもおぞましかったハズのモノから目が放せない。

 ――こんなにも淫らな形……。

  自分の中で知らなかった感情が火照り始める。理性が逃避するとサーシャ自身の中で、ドロりとしたなにかが語りかけてくる。胸も高鳴る。

  魔の薬がサーシャの心身に染み込んだのだ。

 ――熱い……からだが……もっと……。

  再び育ったコッダの硬く大きなペニス。そして手に残ったモノの感触。サーシャは自分の愛撫が、その醜悪なイチモツに邪淫な力強さを注ぎ込んだのが自分の仕業であることを実感させられていた。

 「はぁぁ…………」

  艶が含まれた熱いため息を吐く。

  嫌悪はある。コッダのモノにも、受ける愛撫にも、自分のイヤらしい行為にも。でも。

 ――体の奥が……欲しい……。

  心のどこかが囁く。淫らに刺激を受け蕩かされた「女」の芯は、根源の欲求を暴かれたかのように卑猥に蠢き始めている。

  背徳感がざわめく。サーシャの奥に、淫乱が生まれようとしていた。

 

 

 ***

 

 

 「……王女さまを……助けたい?」

  その後、リーザは何回も達していた。それでも止めない攻めの中、舌まで使って秘部を蕩かしていたミルカは不意に、意外なことを言い出した。

 「コッダからサーシャ王女を助けたいのかって、聞いているの」

 「……?」

  快楽の中から、なんとか理性を紡ぎ出す。涙目には欲情に濡れそぼった中に、困惑の色が浮かんでいる。

 「娘をコッダの手に落としたくないでしょう?」

  こくん、と力無く頷く。理性が蕩かされている中、リーザがかろうじてできるコトだった。

 「わたしの言うことを聞く? そうすれば王女をコッダの人形なんかにはさせないわ」

  再び、こくん、と頷く。

  攻めも中断され疼きで意識も朦朧としている中、他にどんな判断ができたのだろう。悪魔との取引でも受けてしまうに違いない。

 「そう……いいわ。これからあなたは、わたしの言いなり……」

  小指を色っぽく舐める仕草は、この魔女のクセなのだろう。口の中に溜まっている唾液と女性からにじみ出た愛液を口の中で転がすと、轡の上から女性に口づけする。

 「ん……んう……」

  ぴちゃぺちゃ……と濃厚な舌の交わりが長く続いた後、離れた唇を結ぶように唾液の橋がつながる。縛られた女性は太ももをすり合わせるようにモジモジと動き出した。何かを目も、懇願している。

 「なぁに、続きがほしいの?」

  うん、うん、と強く求める。縄で結わえ付けてから、実に指と舌だけの攻めで、しかもずっと焦らされていたのだ。軽く達することは無数にあっても、満たされることは遂になかったのだ。

 「淫乱な王妃さま」

  つ、と離れると、その女は呪文を唱え始め念をこめる。暗い寝室に暗雲とも言うべき歪んだ空気が満ち始める。

 「……出でよ、毒虫ども」

  その瞬間、異空間から現れたのは、現実では考えられないような異形の虫……蟲と言ったほうがいいかも知れない。

 「……っ!? んー!!」

  ミルカはクスクスと笑い、囚われの生贄に囁く。

 「これからは普通の責めはしてあげない……もう一段深い世界に入るのよ、あなたは」

 「んんー! んぅーっっ!!」

 「気持ちいいわよ……戻れないくらいに」

  快楽に染まっていた瞳は、恐怖によって見開かれていた。ワサワサと寄ってくる蟲ども。暗さでよく見えないが異様な匂いと滴る液体の音が少しずつ近づいてくる。

 「…………! ……!!」

  足に触れる。不気味なくらいに柔らかい得体の知れない魔の生き物。ところかしこに生えている毛。そしてヌジュヌジュと濡れそぼった異様な液体。

  その気色の悪さは言いようが無い。少しずつ前進してくる蟲はリーザの体を這ってくる。それはリーザにジワジワと異常な感触を強制する。足首から太もも、秘部、尻、背中、お腹から胸へ。

 「んん〜〜〜っっっ!!!」

 「それでは、がんばってね……って聞いていないか」

  ミルカは半狂乱となったリーザをそのままに、後ろも見ずに部屋を出て行く。

  見なくても分かっている。あのくらい部屋の中で、縛り付けられ身動きできないリーザは、蟲どもに激しい陵辱を受けることであろう。

  蟲にえぐられ、蟲を味わい、臭いも刷り込まれる……そして人間では決して味わえない、すさまじい快感を植え付けられる。闇魔法でしか味わえない本当の悦楽。禁断の快楽。

 「うふふ、どうなるのかな?……楽しみ」

 

 

 ***

 

 

  魔液が侵食する。白い布に穢れた黒が染み込むように、サーシャの肉体を、心を、侵していく。

 ――気持ちイイ……。

  体に渦巻く淫楽。コッダの弄り。ヌトヌトと滴り濡れた肌。熱い吐息。

  すべてがゾクゾクとする刺激。すべてがサーシャを肉欲に狂わせる。

 「きゃっ」

  サーシャの両の太ももを後ろから抱えられると、そのまま後ろへ引き寄せられた。上半身はコッダの下半身に向けて覆いかぶさるように倒れてしまう。

  小柄な顔にコッダのモノが押し付けられてしまう。粘液に塗れたペニスがサーシャの顔を陵辱する。

 「!!」

 「舌と口で私のモノを愛してください。そうすれば……」

  ぬちゅ。

 「ひぃっ!」

 「またサーシャ様のココを気持ちよくいたしますれば」

  そこはもう熱いばかりに濡れ滴っていた。サーシャが快感を貪っていたことは否定できないだろう。その熱みの中心へ……。

  ぬず……ずず……。

 「あぁっ、かひぃっっ!?」

  コッダの舌が進入してくる。先ほどの表面を舐めるだけとは違い、サーシャの中心そのものを直接犯す。その強い刺激は急激にサーシャを押し上げる。

 「あっ、あぁっ、あああっっ!!」

  ぴっ、とサーシャのそこからひときわ愛液が噴き出す。一瞬で達したのだ。

 「ひゃ……ひゃはああぁぁっ!」

 「おっと。気持ちよかったですか、サーシャ様?」

 「ああ……はぁ……はぁ……」

 「もっと深く味合わせてあげますよ。ですから、ほら」

 「ぐっ! んん……」

  コッダがサーシャの顔に自分のモノを更に押し付ける。小さな顔にベッタリと粘液が塗される。

 「さあ」

  薄ぼんやりと目を開く。目と鼻の先にはコッダの凶悪なイチモツ。魔の液が滴り、オトコ自身の臭気を発散させている禍々しいばかりの肉棒。

  疼く。中断させられた、そこへの刺激。

  サーシャの秘所がヒクつき痙攣するのがコッダにもよく見えていた。

 「…………」

 「続きが欲しければ……さぁ」

  霞がかかる意識の中、ドス暗い欲望が囁いてくる。

 ――さっきの、あのビクってくるの……続き……。

 ――これがオトコのモノ……。わたしを貫いて、犯すんだ……。

 ――コレを……舐めるの……?

  涎が垂れた口から舌先が恥ずかしそうに覗く。おずおずとコッダのペニスに近づく。そして。

  ぴちゅ。

 「ひぁっ」

  思わず引っ込める。舌先に酸っぱいような味が残る。思わずツバを飲み込んでしまう。

  思いっきりの嫌悪。ゾワゾワと湧き起こる気色悪さ。

  しかし。

  ぴちょ、ぬちゅ、ちゅず……。

 「お? おおぉぉ……うまいですよ、サーシャ様」

 「はむ、ぷふぅ、んぐ……ちゅぶ……」

  再び舌を這わせると、絡みつくような動きが始まる。

  唾液がたっぷりと乗った舌がなぞると、ペニスの粘液と混ざり合い唾液が溶け込んでいく。

  サーシャの中では異様な感覚が渦巻いている。忌避すべき淫猥な行為と嫌悪感。そしてそれを上回るワサワサと妖しげな感覚が胸いっぱいに広がっていく。それは淫欲。

  瞳が別の色に輝き始める。それは欲情。

  今のサーシャは悦楽に酔い、淫楽を求める。肉欲を満たすためオトコのペニスを一心不乱にしゃぶっている。

  横から舌をコッダの肉棒に絡め回す。熱と液が舌に纏わり、奥から涎が溢れてくる。

 「ぬふ、じゅず……ぷふ、ぐじゅ、ちゅ……」

  液に塗れる感触。口元に伝わるペニス。形容しようのない淫らな味。

 ――わたし……舐めてるの……コッダの……。

 「いい、いいですよサーシャ様。もっと……じゅぐ」

 「イヒぃっ!」

 「私も応えなければなりませんね。サーシャ様のイヤらしい奉仕に……」

  ぢゅずゥ……。

 「きひぃぃっっ! イイっ!!」

  コッダもサーシャの秘部にむしゃぶりつく。卑猥な口全部が足の付け根にかぶりつき、中ではコッダの舌がサーシャに侵入する。

  サーシャも応える。片手をペニスに添えて、くわえ込む。口の中に含んだモノに舌が纏わりつく。舌の腹のザラザラした感触。裏側のやわらかいヌメり。そして口全体で吸い込みモグモグと動くと何とも言えないペニスの硬さや味がサーシャを感じさせ、コッダをも悦ばせる。

  可憐だった顔には、粘液にネトつき、口端から涎が筋を作る。

  その表情は悲しみも嫌悪も含まれていたが、それ以上に欲情の熱に浮かれ、悦びに漂い始めていた。

 「いいぞ……そのまま口全体で吸って……」

  ヂゅずす……と音がするかのように、言われるままに啜る。舌もくびれのあたりをなぞる。サーシャの腰はコッダに押し付けるように艶かしく動く。

 「ぷは……コッダぁ……コッダぁぁ……」

  限界点が近い。今までにない直接的な限界点が。そこに駆け上るかのように、サーシャも激しく動く。コッダのペニスにも衝撃的な脈動が走る。

 「ちゅは、サーシャぁ……出すぞ……ッ」

 「ああああっ! ヤだぁっ!」

 「おっ……おおっっ……!」

 「ヤ……ヤああああぁぁぁっっ……!!」

  ビュクンっ……。

  再び弾けた、同時の絶頂。サーシャの口の中で、さらに顔先で爆発する白い汚濁。凄まじいほどの量が、サーシャの顔を、髪を、すべてを穢していく。

 「かはっ……げほ、けっ……けへ……」

  咳き込むサーシャに、いきなりコッダの手のひらが顔を掴む。

 「くはっ……!? はぐっ……」

 「飲みなさい、サーシャ様。飲むのです、私の子種をっ」

  コッダも異常な興奮に包まれていた。清純な彼女を穢すことに歯止めが利かない。節々の太い指が飛び散った精液をサーシャの顔にヌチャヌチャと塗していく。

 「……ぁ……ャぁ……」

 「さあっ! 早く……!」

 「く……」

  ごくん……。

 

 

 ***

 

 

  ウシュウシュ……キシキシ……。

  暗黒の部屋。闇の中で何物かが蠢いている。

  なにか生き物のような、それでいてこの世のものと思えないような、おぞましさを髣髴させる異音。

  ぬちぬちと、トロみのある液体が混ざり合うような、不気味な触感。

  そして、女性の喘ぎ声。

 「うあっ!……はンっ……あ、あ、あ、あああ、あああっっ!!」

  ゴポっ……とニブく低い音に続いて、人の気が砕ける。

 「ふはァ……ハァ、ハァ……ぁぁ……」

  何度目なのだろうか? と、微かな理性がリーザの中で自問する。その質問自体がすでに意味を成さないことに気付かないくらい、彼女の心はグズグズに崩れている。

  凄まじい快感。何度も何度も繰り返される、人ならぬ悦楽の宴。

  疲れを知らぬ異形の生き物たち。その形や熱、大きさ、感触は一つとして同じものはなく、一つ一つに違う味があった。

  濃密で甘美な、暗闇の快楽の味。

  さまざまなモノがリーザを弄り、貫き、貪る。その味を知ったリーザ。特に彼女の体内であらゆる動きをする化け物は、リーザに人間では決して得ることができない種類の刺激を与え続けた。しかもまだ異種の生き物が自分の番になるのを待ち構えている。

 「……次は……だぁれ……?」

  闇に目を向ける。目には写らずとも、そこには何かがいた。それを見つめるリーザの瞳は妖艶に輝き、悦楽に堕ちきった牝のそれであった。縛めていた拘束は解かれていたが、リーザに逃げる様子は見当たらない。

  彼女の問いに応えるかのように、新たな陵辱者がにじり寄る。

 「……きたぁ……ぁん……」

  見えずとも分かる。全体に得体の知れない液体が滴っている、軟体動物がみちゅみちゅと音を立てながらリーザに寄って行く。臭気が漂う。鼻腔を淫気がくすぐるとき、リーザの高鳴りはどくんっと跳ね上がる。

 「どんなの……ねぇ……はぁ……ぁぁ……」

  淫らな期待が抑えきれない。次の感じはどんなの? ……どんな硬さなの? 中でどんな動きをするんだろう?

  そんなリーザに教えてやるかのように、太ももにソレがビチャと触れる。

 「あはぁっ……! 気持ち悪いっ……」

  生理的嫌悪を底から引きずり出すような、ナメクジが幾重にも重なったような感触。それをリーザは悦んでいた。

  近づいてきたモノがついにリーザの視界に入る。それはイソギンチャクの幹に、みっちりと襞が密集したものだった。襞の一枚一枚がウネウネと動き、液体がねっとりと纏わりついている。

 「入って……そんなの味わったら、わたし……」

  足が自然に開いていく。すでに濃厚なハチミツに浸かったように全身が濡れていたリーザだったが、秘所はさらに溢れ始めている。

  こんなにまで蕩けていても、躊躇いはある。新しいモノを受け入れる度に、どんどん自分が変わってしまうことに。

  しかし、もう一つの誘惑に、リーザは身も心も捧げようとしていた。

 「教えて……どんな風にするの……?」

  イソギンチャクの頭がリーザの中心にぬちゃりと密着する。滴った繊毛が蠢き始めると、リーザのソコも合わせて蠢く。

 「あひぃっ……ひぁぁっ!」

  すでに濡れきっていることを知ったイソギンチャクは、じゅズ……と、そのまま進んでいく。繊毛の一本一本の動きが新たな快楽を引きずり出し、内側からリーザを狂わせる。

 「あ、あ、また、初めてっ……こんなの……ああっ!」

  まだ奥まで来ていない。先端の繊毛と幹の無数の襞の蠢きが鋭敏にリーザを刻んでいく。

 「奥に……着いちゃったら……ああっ! あああっっ!!」

  絶頂の連続。濁ったリーザ自身の濃い欲望が弾けるように溢れ出す。でも、蟲は前進をやめない。

 「来ちゃうっ……奥に……イイイっっ……!」

  絶頂しても休めない。嬌声は叫びとなって、喉から喘ぐ。そして、ついに。

  ズシ……。

 「あっ……あああああああああああっっ……!!!」

  届いた。その性の衝撃は、かつて無いほどの濃さ。リーザの魂を鷲掴みするかのような悦楽の高み。

  涙も涎も飛び散らす。その永遠に続くような最中、サーシャを写した宝玉が目に飛び込んできた。

 「ああっ……サーシャ、サーシャぁぁ、ああっ……!」

  宝玉の中のサーシャは、コッダに屈していた。快楽に身を委ねようとしている愛娘。自分の不甲斐なさで犠牲に堕ちていくサーシャ。

 「サーシャ……アナタ……ごめんなさい……わたし、わたしぃぃ……」

  快楽の半狂乱の中、うわ言のように言葉が紡ぎ出てくる。夫への不貞。汚れた自分。そしてサーシャまでも……。

  しかし、その一方で別の囁きが、リーザの心を占め始めていた。

 「サーシャも……、いっしょに……」

  それは穢されたリーザに生まれていた黒い心。淫欲に染まった部分。もうリーザは、自分の心の暗黒を抑えきることができなかった。

 「アナタはどんな表情を見せるの? サーシャぁ……」

  娘が穢されることに、背徳的な性感を刺激される。ゾゾ、と背筋に走る。

  そして、そんなリーザを見計らったように、蟲が再度動き始める。蟲の襞が蠢き始めたのだ。

 「ああっ……また……? イヒぃっ!!」

  それは新しい動きだった。襞の一枚一枚がリーザの襞に絡みついたかと思うと、吸引しだしたのだ。そのまま激しく。

 「ひあっ! ダメっ、スゴぃっ、キクっ……イイっ!」

  再び快楽の渦へ放り込まれるリーザ。快楽責めに堕落したリーザは、もう抵抗なんてしなかった。腰も少しでも快楽を引きずり出そうと、淫猥に激しく動き出す。

  蟲の本体がリーザにのしかかってくる。巨大なナメクジがリーザを包む。別のイソギンチャクが両の胸を貪るように喰らいつく。

  触手の蠢きはさらに激しくなる。リーザは触手が抜けないように太ももで挟み込む。

 「ああっ! ステキっ、ダメ、いくのっ、また、来ちゃうのっ……!」

  動くたびに絶頂に押し上げられる。汗も、愛液も、ヌトつく触手の液もすべてが混ざり合い、飛び散る。

  もう一段階上の絶頂を求め、背筋をエビのように反ってその瞬間を待つリーザ。

 「もっと、もうダメっ、イイっ……イイのぉっ……イクゥっっ!!」

  ブシャぁぁっ、とはじけ散る。このときの絶頂がリーザからすべてを奪った。倫理も羞恥も、すべてが塗り替えられ、かつて淑女だった王妃は淫欲の虜となり、この瞬間から闇に魂を売った娼婦となる。

 「あ、あぁぁぁ……出てる……」

  触手の射精は襞からも噴出しリーザの中身を焦がしていく。ゴポ、と抜けた触手が液を滴らせながら、リーザの顔に絡みつく。

 「んふふふ……ぴちゃ、くちゅ、んむん……ちゅじゅ……」

  躊躇いも無く口に含み舌を絡ませるリーザ。その食虫花のような妖艶な笑みを浮かべる様には、かつての白百合のような清らかさは残っていなかった。

 

 

 ***

 

 

  サーシャの弱点……クリトリスとその肉の裏側を太い指で摘ままれる。

 「キひぃっ……!」

  強い電流。自分の奥からも濃い熱さがほとばしる。また達してしまったのだ。抵抗が一瞬にとまる。

  あれから何度も何度もサーシャは嬲られた。顔も体も赤く熱に浮かれ、汗にも魔の液にも白濁した精子にも濡れている。フェラもペッティングも強要され、その度にサーシャは屈辱と恥辱、そして背徳的な悦びを覚えこまされる。

 「おやおや、あなたの熱い汁がわたしのモノにかかってしまいましたよ……」

  コッダのモノがサーシャの秘所をなぞるように蠢いている。

  サーシャの濃い愛液がヌラヌラとペニスを濡らしていく。その肉棒をサーシャの入り口にピトリと密着すると、下の口から脈動が肉に伝わってくる……。

 「……ぁ……ゃぁ……」

  精一杯の最後の抵抗は、もはや形だけのもの。意識までも朦朧としたサーシャには、もう快楽に漂った疲労と諦めの表情しか浮かんでいない。

  そして、後は。

  ヌチゅ……ずず……。

 「……! え……ああっ!?」

  遂にコッダは挿入を開始した。

  焦らすように、ゆっくりと。それはサーシャに敗北と現実の陵辱をじっくりと刻み込むかのように……。

 「いや……やだ……もぉ、やだぁ……」

 「お……おお……いいですよ、サーシャさま……」

  少しずつ、少しずつ。後ろから、犯されていく。

  自分の身体に分け入ってくる異物。すさまじく熱く硬いモノが、サーシャの中心に侵食していく。

  何もかも尽き果てたサーシャは、もう抵抗すらできない。残された体力はコッダの命令通り、四つん這いの姿勢を保つことに費やされていた。

  ず……ず……ぬず……。

  そしてサーシャ自身の肉体にも変化が出ていた。

  その異物の熱さが転移したかのように、サーシャのソコからも熱が帯び始めた。それは熱だけにとどまらず、痛いようなえぐられるような奇妙な感覚とともに、そこを中心に燃え始めている。

 「な……ウソ……ウソよぉ……こんなの」

 「おほほ、サーシャさまも悦びを覚えましたか……分かります、分かりますぞぉ」

 「イヤ……あ、あ……チガぅ……あ、あ、ああっ」

  奥からまた熱が生まれ、熱い液体が溢れてくる。サーシャは自分の肉体が貫かれることを望んでいる、と本能的に悟った。

 「ちがうっ、ちがうぅっ! コッダ、コッダなんかにぃぃ……ああっ!」

  ブチっ、と何か破られた。血が、滲み出る。

 「イタっ、イタぁぁ!……っ!!」

  信じられなかった。一瞬の痛覚が生じたかと思うと、凄まじいアツさに変わり大きな電撃のような快感に変わった。

 「ああっ……! なんでっ……かはァっ……」

 「おぉ……サーシャぁぁ……」

  かまわず、突き進んでくる。狭くもキツくもあったサーシャの中だったが、障害がなくなると更に奥へと入ってくる。

  サーシャの壷も、その肉の進入を迎えるように伸縮を始めている。肉襞が絡みつく。腰が、おずおずと求めるように動く。

 「イ……ヒぃ……もう、これ以上……奥にゎぁっ! あぁっ!」

 「ぬぅっ……うっ」

  ズシんっと奥を貫いたような衝動。体の奥が求めていたものと、侵入した邪な異物。サーシャの奥底で絡み合ったとき、熱が、刺激が、悦楽が、弾けた。

 「イヤあああっ! ああああっっ!?」

 ――ヤぁぁ……スゴぃ…………。

  淫らな蹂躙と陵辱の先にたどり着いた境地。

 「おお……キツい……」

 「く……ギぃぃ……あああああっ!」

  ついに奪われた。サーシャの女の子として大切なものが。

 「コレっ、これぇ……! やはぁっ!」

  歓喜に溺れるサーシャ。若い肉体は無残にも邪な爪痕が刻まれた。一夜にして陵辱を悦びに受け止めてしまう体に変えられてしまった。

 「ひ、ひぃっ……イイっ、イイのぉっ!」

  快楽に溺れるサーシャの顔は輝いていた。今までにない表情。それは若くも妖艶にほころび始めた花。

  正常位でコッダに犯されるサーシャ。贅肉に包まれるような圧迫の中、サーシャはコッダの胸を舐める。両腕もコッダの背中に回ししがみつく。

 「ああっ、はあぁっ! コレ、これぇっ!! 奥がぁぁっ……! ああっ!!」

  大きく喘ぐ。快楽に叫ぶ。悦楽に融けた心が堕ちていく。サーシャはついにオトコを受け入れてしまった。

 「もぅっ……ダメ、だめぇっ……くっ……!」

  サーシャの顔にコッダが覆いかぶさる。むしゃぶりつくように唇を激しく求められる。

 「じゅぐ、ぶじゅぢゅ……ずす……」

  サーシャも激しく応じる。コッダの太い舌を唇で挟み、舌も絡め合って、深く味わう。唾液が、汗が飛び散る。顔を濡らす。

 「じゅぬ、ぬちゅ、ぷふ……」

  腰も深く結びつく。奥の結合。体の奥底の貫き。それはサーシャの身も心も、内側から抉るように犯し尽くす。

  蠢く膣肌。襞の一枚一枚がザワめくようにコッダのモノを誘う。それがサーシャにも分かる。サーシャ自身が貪るように味わう。

 「あぁっ! はっ、は、は、はぁっ、かはあっ! わたしっ……!」

 「お、おうっ、お、お、お、ぉぉぉ……」

  不気味な脈動。胎内の熱い異物がビクついた。

 「お、お、おぅっ……出すっ……!」

 「やっ……は、ヤぁっ! イやぁっっ!!」

  最後の一突き。最も奥に熱い抉りが到達したとき……。それが、サーシャの、奥底の中心で、弾けた。

  びゅくっ……!

 「アツっ……ぁぁ……!!」

  ビゅくン、びゅくんびくん……。

 「やぁっ! イヤっ、キクんっ……! やあああああっっっ……!!」

 ――汚されるっ……!。

  その到達した先の射精。サーシャに注ぎ込まれる汚辱。その貫きは体の中心から、背筋から、体の隅々にまで伝わるような汚染。

 「あああああああっっ!!!」

  サーシャにとって長い長い射精。ドクドクと注ぎ込まれる精液。その永遠とも思えるような中で、サーシャは絶頂を迎えた。

 「ぁぁ……ハぁハぁぁ……ぁ……」

  ドサ、と体重をベッドに投げ出す二人。サーシャはまるでコッダの肉塊に埋まったかのように顔だけ出して、荒い息を吐く。

  二人は結合したままで、今もサーシャの体内へコッダの生命がビュクビュクと注入されている。

 ――入って、くる……。

  その官能の終点を、余韻で味わう。自分の膣襞が主の意思とは無関係に収縮し、オトコのモノを包み込む。

 「ほ、ふほほぉ……、サーシャ様はまだ名残惜しゅうございますかァ?」

 「…………ぇ?」

  ドクン、とコッダのモノから脈動が伝わったかと思うと、勢いも堅さも挿入されたまま肥大化した。

 「えっ? ヤ、あっ! ああっ!」

 「コレで、姫は、サーシャは、私の、オレのモノだ! お、おおっ!」

 「ま、またっ、イヤ、ね、お願いっ……ああっ!」

  再び始まる男女の営み。無抵抗のサーシャは肉に包まれたまま、その衝撃も、激しい責めも受け止める。それは最後の理性をも、もろくも砕く。

 「ひっ、ハぁ! あ、ああっ!」

 「答えろっ……お前は、オレの、オレのぉぉ!」

 「もぅっ……ダメっ、だめぇっ! ヤぁぁっ! 助けっ……!」

  じゅぷじゅぷと激しい飛沫が、肉と肉に挟まれて溢れ、弾く。ヌメりも何の液体か分からないほど混ざり合って、淫臭が更に濃くなる。

 「ヘンに……、アツいっ! イクっ……助けてっ……かはっ!」

 「ラクにしてやるっ……だから、答えろっ! 姫はっ、オレの……」

 「ハィっ、はいぃっ! そうっ……だから、お願いっ……もうっ、イカせてっっ!!」

  互いの腰の動きが複雑に絡み合い、激しさはトドメを刺すかのように猛烈に動く。

 「おう、おお、サーシャっ……オレのっ……」

 「早くっ……もぅ……ンああっ! ああああっ……!!」

 

 

 ***

 

 

  朝日が差し込む。

  闇夜を打ち払い世界を浄化するかのような強い光は、サーシャの部屋にも均等に差し込む。その気持ちのよいくらいの陽射しは、しかし、今のサーシャには残酷だった。昨夜の悪夢のような陵辱の爪痕をもくっきりと浮き上がらせる。

  乱暴なまでに散らかった部屋。乱れたシーツ。ところかしこに飛び散った得体の知れない液体。

  そしてサーシャ。コッダの欲望に何度も何度も貪られ、ボロボロになるまで陵辱されたサーシャ。

 「ぅ…………ぁ…………」

  サーシャは眠っていた。と言うよりも気を失っていた。

  その肢体は乱れたまま横たわっている。汗、精液、魔の淫液によって汚された体が朝日に照り輝く。

  白く穢れた姫君。王宮の花園の中で最も大切に、最も純粋に育ててあった可憐な花は、ついに手折られた。

  しかし、まだ終わらない。

  摘み取られた花は、人の手によって飾り立てられる。どんな色にも。

 「つらかった? お姫さま……」

  サーシャの傍らに寄ったのは魔女のミルカであった。黒い革ボンテージも朝日に照らされて、その漆黒は真の暗黒を彷彿させるように、鈍く黒く、輝く。

 「あなたは穢れてしまった。それを救えるのはわたしだけ」

  寄り添うとサーシャの顔を抱きかかえるように持ち上げる。その顔は様々な粘液に塗れていたが、ミルカは躊躇う素振りすら見せない。サーシャの目が僅かに開かれる。が、瞳にはなにも映っていないに違いない。ミルカは妖艶に、やさしく微笑んだ。

 「今度は、わたしの番ね……ふふ」

  深いくちづけ。サーシャの口を、嬲るようにゆっくりとじっくりと味わう。

 「ん…………」

  いったん離れると、唾液が互いを結ぶ。その糸が切れる前にまた唇を奪う。舌を絡ませ内側を貪るように。

 「んむ……んちゅ……」

 「ふん……ちゅ……ふぅ……」

  すべてが失われたサーシャ。将来も。純潔も。

  そんな少女を軽く味わったミルカは奥に声をかける。

 「心配しないで、約束は守るわ。この娘をコッダの奴隷になんてさせやしない」

 「……はい……お願いします……ミルカ様……」

  そこには下着姿のリーザがいる。だが、もうかつてのリーザではなかった。黒い革の下着はミルカのものと同じで、雰囲気も闇に住む住人のように暗く妖しげな空気を漂わせている。濡れた唇、卑猥に輝く瞳。女臭の濃い独特の香りは、男を花園に誘う。美しく淫らな花となった王妃。

 

  そしてサーシャ。

  青く若い蕾みに、毒液が注ぎ込まれた。やがて生まれ変わり、妖艶な花が咲くことになる。

 


解説

 ども、ご無沙汰振りのSISです。

 ティアリングサーガねたの二次創作小説の「奥の花は手折られて」、その第四部です。いかがだったでしょうか?

 ……それ以前に、どなたか前作を覚えていらっしゃいますか(笑)?

 

 確か前作が正月の投稿だったので、半年以上も空けてしまいました。その間にFE封印が出て、すっかりとブームは去ってしまった感がします。

 そんな中でもティアサガを書き続けている自分って一体…………?

 こんな遅筆なわたしですが、読んでくださると幸いです。

 

 仕事も部署が変わってますます忙しくなる中で書きづらくなる毎日ですが、まぁ、なんとか書けたらなぁ〜……ってノリで書いています。

 こんな調子で本当に最後まで書けるのでしょうかねぇ? もし書けなくなっても、怒らないで下さい(笑)。

 

 ところで、前作の1と3には、じょんさまからの素敵なエッチぃイラストが添付されています。

 前作を知らなかったりまだご覧になっていない方は、お勧めの一品ですので是非とも覗いて見て下さい。

 

 今回も最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

 ……さて。次はいつまでに書けるかな?(笑)

 


掲示板に感想を書く

戻る