ぬむるす花王巡礼旅行記



(5日目)
5月29日
Katalin (Uppsala)


Flying Food Circus

 今日は携帯のコント付き。Go:teborgよりも着メロの数が多く、より奇妙なハーモニーの中演奏が始まった。
バンドとしての演奏は、昨日のNyko:pingがまとまりがあって良かったと思うが、メンバー個々のノリは今日が一番良かった。Hasse Bはどんどんオリジナルのリズムパターンを崩しにかかる。Samla時代と比べてしまうのはいけないと思うのだけど、自分ははじめ、Hasse Bのこういう崩しに他のメンバーが乗っかって、原曲を留めないようなインプロをすることを予想していたので、Go:teborgのあっさりした演奏は意外だった。今日もやはり原曲に近い演奏・進行だったが、Hasse Bのなし崩しドラム(<なんだそりゃ)の片鱗を聴けたのは嬉しかった。スネアのロールと間の取り方に意表を突かれっぱなしだった。曲間ではSEの準備がてらパフパフ(正式名称不明)やパッドに仕込んださまざまなパーカッションの音で観客を煽る。今日初めて気付いたが、グロッケンも持ち込んでいた。
 KeyのErikは"ボレロ"や"Heartbreaker"のフレーズを織り交ぜたり鼻で鍵盤を弾いたり、少し余裕が出てきた様子。テクニカルな面でアルバムのMats O:bergと比べるのは酷だろう。"Collect Relapses"でのギタープレイはモダンなテクニックを入れた派手なもので、やはりこの日が一番乗ってるプレイだったように思う。
 今日はシタールを中央に配置していたので、ようやくHa^kanのシタールプレイを観ることができた。座り方がヨガのようだ。(写真左)胴部分にピックアップを付け、いくつかエフェクターを通して鳴らしている感じ。Ha^kanの華麗な手さばきに、やよいさんはノックアウトされたようだ(笑)。
 なんでもFlying Food Circus、今回のツアーの初日Osbyが初ステージだったそうだ。これからよりバンドとしてのノリや遊びが増えていけばいいと思う。

○○○

 余談だが、私の目の前でKaipaのジャケットデザインを担当したPer Nordinさんが一生懸命写真を撮っていた。輪郭がパタリロに似ていると思ったことは内緒だ。私が座席から離れてステージ後ろから写真を撮っている時「ここからだとRoineが良く撮れるよ」と場所を譲ってくれた優しいおじさんだが、私とあなたとは身長が違うのだ(T_T)。でもありがとー

 休憩中、デジカメの写真チェックや電池の交換をしていると、Hasse Fが通りがかりに挨拶をしてくれました!昇天しそうです!(<バカ)


The Flower Kings

ミスが多い子はお仕置きです


 TFKとしては10年ぶりの地元Uppsalaでのライブ。ファンもバンドのこの日を楽しみに待っていたようで、会場は熱気に包まれていた。「Flower Kings!」とコールをする人も。

 ダイナミックな演奏に惹き込まれている時間が長かったので、誰が何をしたかというディテールは良く覚えていない。Hasse Fのアクションはいつものにも増して激しく、それに合わせて最前列の少年達が憑かれたように大きく体を揺らしていたのは印象的だった。FFC同様、昨日の方がまとまりある演奏だった気がする。でも今日は熱いバンドの演奏によって、楽曲に宿る精霊たちが解放され、会場を包み込んだような、そんなマジカルな日だった。

 「Meet The Flower King」はやはり「ライブレコーディング」なのだなぁと思い知らされる。確かにあのアルバムは各パートがキレイに聞き分けられ、品質が高い音に仕上がっていた。その分離の良さによって、私にはパーカッションの音数の多さやベースのテクニカルなバッキングが少々うるさく感じられたのだが、ライブで聴くとまるで印象が違う。ベースはしっかりボトムを支えつつ曲に微妙な陰影をつけ、全然うるさくない。ドラムも、ベースも、キーボードもすべてのパートが自然で、楽曲を盛り上げるために機能していた。

 もうひとつ、"The Truth..."はライブで聴いて好きになった。"Garden of Dreams"(「Live in New York」)の時も思ったのだけど、このバンドはアルバム録音後も、ライブで曲の行く先を模索しているところがある。曲に真剣に向き合っているアーティストならばそれは当然の姿勢だと思う。パートを別々にレコーディングし、組み立てていくときの曲の姿と、いざライブで一斉に音を出したときの姿とのギャップがあるのかもしれない。"Garden of Dream"はアルバムよりライブヴァージョンの方が圧倒的に好きだし、曲として洗練されていると思う。"The Truth..."も"GoD"ほど曲が変わっているわけではないが、「こう聞かせたいのか」と理解するのはライブで聴いた方がダイレクトに伝わった。えーと、早い話が

このバンドはライブバンドだよ!

 ファンなら曲が変わっていく過程を観るのは絶対楽しいし、アルバムでピンとこなかったリスナーでもライブを聴いた方が楽しめると思う。じゃなければ各国からファンが1つのツアーに複数回のライブに参加したり、スウェーデンの地方都市で集結する事態が起こるわけがない。そのうち演出なしの、本当のライブ映像作品を出して欲しい。勿論日本でライブを観られたら最高。

 あ、思い出した。"There is more..."で、Roineが出だしのカウントを取っていたのに、Roine一人がフライング(笑)。やっぱり「はっΣ( ̄□ ̄;)」という顔をしていた。そういうくだらないことは覚えてる。この日はRoineのミストーンが多かったのだけど、演奏のテンション自体が下がることはなかった。
 "The Hero form..."のイントロでは、RoineがE-bowを使っていたのを確認。スライドギターはHasse Fがすべて担当していた。

 アンコール"Stardust We Are pt3"。夜空のごとく暗い照明の中、Hasse Fが静かに歌い出す。来日公演時、私はこの時点ですでに(誇張ではなく)号泣していたが、この日は後半のインストパートでじわっと泣けてきた。ミスが多い日でも肝心なときに、確実にRoineのギターは強烈な音色を奏でる。これでツアーが終わってしまう寂しさもあったと思う。でもそれ以上に、このバンドが1999年の来日公演以降もしっかり活動を続け、スケールアップした姿で再会できた喜びも大きかった。またきっと出会える。そう信じたい。

○○○

 いつも「ライブ」に拘る自分を説明できなくて困っていたのだけど、ちょっと良い喩えを思いついた。
TVで「虹です」と言われて見る映像と、偶然虹が発生する瞬間に遭遇した時と、どちらの感動が大きい?

○○○

 ステージが終わった後は感傷に浸る間もなくマーチャンダイズにサインを貰いに走り回ったり、予想外の出会いがあったりで、パニック状態。最たるものがSpellboundのドラマーOla Strandbergに声をかけられたことだ。一応「来るかも」という話を聞いていたのだが、こちらは何も準備も覚悟もしていなくて、かなりあわてふためいた姿を見せてしまった。Spellboundについてはこちらのページにまとめているので、参照願いたい。こぼれ話としては
●Spellboundのメールアドレスを持っているのはOlaなのだが、他のメンバーはメールアドレスを持っていない。Go:teborgでHasse Fから「Thompsonは小さい会社だけど、副社長みたいな役職(Vice-Director)に就いている」と聞いていたので「彼もメールアドレスを持ってないの?」と聞くと「何度かメールを出したんだけれど、返事が返ってくることはなかった」そうで(汗)。おーい、今はアマチュアバンドだって自前のHPで音源サンプルを試聴させる時代ですよ−(滝汗)。ある意味ローテク集団、Spellbound。でもってJJ Marshは忙しくていつも家にいないというのだから、どうやって連絡を取り合っているんだこの人達?やよいさんと「彼らの連絡手段はのろしか、体長5mの伝書鳩に違いない」と盛り上がる。(*1)
●Olaの兄、Alf(彼も元Spellboundのメンバー)も会場に来ていて、CDジャケにサインを貰ったり写真を撮らせてらったりしていた時、近くのテーブルに座って居た男性から「そのブックレット見せて」と言われたので、「Spellbound」のジャケを渡した。「これを撮影したの、僕だよ。」なんとこの男性、ジャケ写真を撮影したご本人、Claes Janssonさんだった!図々しくも名刺を渡して「Spellboundのファンページをやっている者ですが、何か使える写真があったら貸してもらえますか?」とお願いしてみた。(普段の自分だったらあり得ない行動だ。かなり壊れていたと思う。)あまり期待しないで、返事待ってます〜。

 そんなこんなでバタバタしているウチにテーブル席は片づけられ、ステージの機材もあらかた取り払われた。帰宅組の中で一番遠くに住むDanielが帰ってしまう前に、急いで例の写真を見せないと!
●Danielに例のFinnさんの写真を見せると、彼自身、初めは自分だと思ったらしいが、今回のツアーで初めて彼に会う私が、髭面のDanielを撮影することは不可能。自分ではないことに気付いてみるみる表情が変わっていった。その表情が普通の驚いた顔付きじゃなくて、眉間と鼻の上にシワをよせて、Evilな感じだったのがおかしかった。
(写真右:思わぬところでネタになっているFinn Guttormsen(Farmers Market))

 あとは・・・
●3rdを出して以来音沙汰がないHasse BとHa^kanのEnsemble Nimbus、活動は継続しています。不確定なことが多くて書けませんが、とにかくニューアルバムを制作中らしい。

 JonasとZoltanは今日Uppsalaのホテルで一泊するので、ファン達と長々と話しているが、地元に住むRoineやTomasは家族と早めに帰ってしまった。最後に「ありがとう。日本で待ってる!」と言いたかったなぁ。いよいよHasse Fともお別れだ。「ありがとう」とも「また会おう」とも何も言えなかった。言いたいことがいっぱいあったのに。後で手紙を書けばいいのだけれど。やよいさんがHasse Fに「メールアドレス作ってよ!」と言ったのには笑っちゃったけど。いい歳して・・・完全に緊張の糸が切れて、泣いてしまった。

絶対もう一度、彼の歌を生で聴くんだ。

 追っかけ仲間の輪に戻ると、ZoltanとJonasが昨日と違う妙な歌を手拍子付きで歌っていた。やよいさんと私に歌詞を教え込もうとするし(^_^;)、おかしなコンビだよなぁ。もう時計は夜中の2時をまわり、空が明るくなってきたので、我らも解散することに。JonasとZoltanとお別れの挨拶。また会おうね、絶対ね。日本にも来てね。
ずっと旅を一緒にしてきたGさん、運転をしてくれたTさん、毒舌紳士Mさんともバラバラと別れ、やよいさんとうすら明るいUppsalaの街を歩いていく。「Uppsalaでライブをやるときは、地元のメンバーから攻めていかないとダメだね!」なんて話をして。

みんなと会うのがこれで最後じゃない気がする。

その根拠が何なのか分からないところが困りものだけれど(苦笑)。

Uppsala Live Photo>>>


(*1)やよいさんと「彼らの連絡手段はのろしか、体長5mの伝書鳩に違いない」と盛り上がる。
 Lars Hollmer氏曰く、彼の自宅があるUppsalaの森にはよく分からない大きな穴がぼこっと開いているらしいのだが、それはなんでも5mの鳩の巣らしい。ちなみにウサギは1.5m。Hasse FとOlaの勤務先であるArlanda空港には、飛行機と共に伝書鳩の格納倉庫があって、伝達事項があると港内をバサバサ飛んでいくとか、馬鹿話がとまらなくなった。


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