今回の旅のメインイベントは終わってしまったが、私個人には素敵なオプションが残っている。今日はLars Hollmer氏のChicken Houseを見学できるかもしれないのだ。しかし、緊張の糸が切れてしまったのは私だけではなかったようで、元々のどの調子が悪かったやよいさんもドッと疲れが出て、声が出なくなってしまった。今までとても負担をかけてしまっていたので、今日くらい私一人で行動しないと・・・・できるかな(汗)。
朝食を摂った後はやよいさんはそのまま部屋で休み、私は一人でUppsala観光。BGMはSolid Blueの「Vol.III」。人通りが少ない日曜の街に、このシンプルなロックンロールはとてもマッチする。そうそう、このホテルのエレベータは手動扉。欧州大陸では割と普通だとやよいさんは教えてくれたけど、すご〜い新鮮!(写真右:トイレではない)
スウェーデン第4の都市といいながらも小さい街なので、Uppsala大聖堂とお城くらいしか観るところがない。地図がなくても尖塔を目指して適当に歩いていたら大聖堂に辿り着けた。
150年の年月をかけ1435年に完成した大聖堂の尖塔の高さは約120m。以後700年以上に渡りスウェーデン大司教の本拠地となっている。1702年に火事で一部を消失したが、何度か再建と改築が加えられた。16世紀のグスタフ・ヴァーサ王とその王妃、植物学者のリンネの墓がある。(写真左:ありがちなアングルですが、やはりこの位置かと)
今まで海外で何度となく教会に入ったが、Brugge(ベルギー)の聖母教会に匹敵する、ワタクシ的に1,2を争う大きさかも。天井の唐草模様や淡いステンドグラスなどに北欧らしいシンプルで清潔感ある色使いが見られた。シンボルとなる内陣や袖廊の一番大きな窓などには色の濃い、絵画的なステンドグラスが組み込まれている。聖歌隊の練習をBGMに、写真を撮ったりスケッチをしている間に11時の礼拝の時間になってしまい、出るに出れなくなってしまった。
(他の写真を見る)自分は宗教色が強い家庭に育ち、幸い親がそれを強いることはなかったけれど、その反動で宗教に対しては距離を置くようにしている。仏教は宗教と言うより生活哲学。人格を持った神様は信じない。物に宿る精霊みたいな存在はいると面白いな。でも「神様はいる、天国はある」と信じることによって救われる人達がいるのなら、それはそれで良いと思う。この壮麗な教会はきっと民衆の血と涙とお金によって建てられたもので、陰では貴族や司教達の汚い権力争いがあったかもしれない。今行列を引き連れてやって来る緋衣の人も、何考えているか分からない。それでもこの教会を訪れ、日常の喧噪から離れて祈りを捧げることにより救われると感じたのなら、今も昔も意味がある施設だ。そこまでいかなくても何も考えず、無料でぼーっと出来る静かな空間があるのっていいよなぁ。そんなことをグルグル考えているうちに聖歌隊の合唱が始まると。
また涙が出てきた。
歌の力ってすごいと思った。私の隣にいた女性は身体に障害がある人のようで、上手く発音できてないし、立つのもやっとのようだ。それでも聖歌隊に合わせて、歌う。人間は昔から神に音楽を捧げ、讃えた。きっと人間の話す言葉では神様に伝わらないんだ。歌詞がハッキリ分からなくても、その響きや気持ちをのせた声は理屈でなく天に、人間の奥底に響く。
実際、私は歌に導かれて、はるばる北欧まで来てしまったではないか。
今書いていることは後づけで、その瞬間はいろんな思考や感情がドッと押し寄せてハラハラと泣いてしまった。
その後、スウェーデン語の柔らかな響きの説教を聴きながら、旅行で会った人々の親切や情熱、この地に至るまでの苦労など想像し、自分の生活を振り返る。何一つ自分で成し遂げたことなどなかった。自分の無力さ、幸福に対しての無自覚がとても恥ずかしく、人の心の中にこそ神様はいるんじゃないかと思う。もし私が他人にできることがあるとすれば、何だろう?
そんな時に、隣の女性が私の方に手をさしのべて
「Good friend, Good friend」
と握手してくるではないか。これは泣くなと言う方が無理だ。(T_T)ドー
司祭が信者に水とパンを与えている時間に、私はそっと教会を出た。
途中コンビニで炭酸水と雑誌Sweden Rock Magazineを買ってホテルに戻った。やよいさんの声は少し出るようになっていたが、まだ辛そうだ。昼食がてら、やよいさんと再び外出。
あとで聞いた話では、日本の教会ではないらしいが、ヨーロッパでは「人類みな仲良く」みたいな意味で、隣の人と握手をするというイベントが普通にあるそうだ。
KaipaのキーボーディストHans Lundinが経営するCD屋の前を通り(日曜日なので休みだった)、Fyris(フィーリス)川沿いのカフェで昼食を摂ったあと、Uppsala城の外観をさらっと見学。小高い丘に立っているので、Uppsalaの街が一望できる。(写真左:Uppsala城にある櫓。ポカ〜ンとしててナイスな光景)商店街に戻り、やよいさんが帰りのバスの時間をメモしている間、私は公衆電話からLarsに連絡を取った。生涯初めて英語のみで話す電話。ドキドキしながら番号を押す・・・聞き覚えのある、スウェーデン訛りまくりの英語だー。
ゆっくりゆっくり喋ってもらい、どうやら今日は都合が悪くて、あまり会う時間がないことが分かった。「少しだけなら」と宿泊しているホテルと部屋番号をLarsに告げ、受話器を置いた。な、なんとかなるもんだ(^_^;)。
ホテルに戻って、マッタリとした日曜のTV番組を眺めながら、Larsからのコールを待つ。やよいさんが露店で買ってきたイチゴをいただく。野菜が少ない分、果物からビタミンを摂らないと。1週間近くもスウェーデンにいると、洋梨を丸かじりしながら街を歩くことも躊躇しなくなった。
7時近くになってようやくLarsからのコールが入った。急いで下に降りていくと、懐かしい銀髪の紳士の姿。わーい、元気でしたかー!?Larsと、弟のOlaさんと挨拶を交わし、近くのカフェでお話しすることにした。
ホテルの裏側の方へ、歩いて3分くらいの「Nitton」というお店。店内でギターとフルートによるミニコンサート。(というか、お客が勝手に演奏していただけかも)Larsは「ここが昔のKatalinだよ」と教えてくれた。私の聞き取りなので間違っているかもしれないが、この場所だと小さくてライブ会場としてやっていけなくなったので、現在の位置に移転したようだ。店主のMs.Katalinにも挨拶。「MellotronenのStefanがよろしく言ってたよ」とか、「どうして(Kraxの)HPを更新してくれないの?」とか、現在のLarsの活動とか色々、ものすごい密度が濃い情報をもらったと思うのだけど、頭が追いつかない。(しかし我ながらよく会話が続いたと思う。)活動についてはこちらにまとめた。30分くらいの短い会合だったが、会えて嬉しかった。今度はぜひChicken House取材を敢行したいものだ。(<え?)
夜はホテルの部屋で、買い込んだお菓子やサンドウィッチ、ビールを食しながらダラダラと過ごした。
The Flower Kings、本当に良いライブだった。メンバーみんな仲良くて楽しそうだよね。日本でもライブが観られるようにしたいよね。明日、遂に帰国。
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