ぬむるす英国徘徊記


(4日目)
12月10日(日)
雨のち曇り


 7時過ぎ頃起床。一日早く日本へ帰国するやよいさんは、時間の都合で既に身支度中。ふと、今日会う約束をしていた旧友Aちゃんに、London入りして一度も連絡を取っていない事に気が付いた。着いたら連絡するって言ったのに(汗)もう仕事場へ出かけてしまったかもしれないけれど、留守電にメッセージだけでも残そうとケータイを取り出した。怒ってるかなぁ・・・。

RRRRRRR.....RRRRRRR.....RRRRRRR.....

  運転中だろうか。繋がらないや。(汗)

RRRRRRR.....「hello?」とても眠そうな声。

 寝てたんだ?す、すまぬ。とにかく連絡がついてよかった。彼女は昼間は仕事があるので、夕方の5時くらいにナショナル・ギャラリーで会うと大まかに決めて、電話を切った。
 その前に私の旅行カバンをどこか美術館へ預けられるだろうか?と言う話をやよいさんとしていた。「ナショナル・ギャラリーなら荷物を預けてから外へ出かけても問題ない」とのアドバイス。大英博物館か、無理ならEuston駅でお金を払って預かってもらおうと思っていたので、確実に無料で預かってくれる場所があるのはとても助かる!

 そうこうしているうちに、やよいさんが出発する時間になった。最後までお世話になりっぱなしの上、前回以上にわがままに付き合っていただきありがとうございました。日本でまた会いましょう(笑)。

 私はそのまま部屋に残り、昨日残したSUBWAYのサンドウィッチとホテル備え付けのコーヒーで朝食。マヨネーズや野菜の水分でパンがしっとりして食べやすい(笑)。それから着替えて・・・あ、生理が来てる(汗)。全然予定日と違うんだけどな・・・昨日、一昨日の絶不調はホルモンバランスのせいにしよう、そうしよう。

 昨日Rotherhamで書いた絵はがきを出すため、Kings Cross駅前の郵便局へ向かった。BGMはGlennの「Building The Machine」。程良く重く、スウィングするリズムが、雑然としたこの街並みに合うね。
(写真左:ホテルの近くにあったテーラー。じーちゃん二人が並んで仕事にいそしんでいる姿がグー)

 郵便局、ていうかコンビニ?新聞やお菓子、文房具が並べられた店舗の奥の方に郵便受付口が7つくらい並んでいた。ロープに沿って客が立って並んでいるので、私はその列の最後尾に着いた。日本でも公衆トイレでよく採用されているフォーク方式で、窓口が空くと「次のお客様は○番へ来てください」とアナウンスされる。郵便は今までホテルのフロントに任せっきりで、海外で郵便局からはがきを出すのはこれが初めて。あんまり難しいこと言われても分からないなぁと緊張したけど、はがきを見せて「日本へ」と言ったら、枚数分の切手を売ってくれた。なんとかなるもんだな。窓口の横に切手を貼ったり梱包をするためのカウンターがあるのだけど、切手を貼るために水を含んだスポンジがない。これが普通なのかなぁ?しかたなく一番手近なものを使って貼ったわけだが、隣で同じく切手を貼ろうとしていたお姉さんが「切手用のスポンジはないの!?」と怒っていたので、普通じゃないみたい(^_^;)。彼女と目があったので、一緒に苦笑いしてしまった。

 切手を貼って、郵便受けに投函してホテルに戻り、荷物(特にカメラ!)をチェックしてから、ホテルを出た。Kings CrossからPiccadely線に乗ってLeicester Squareへ、そこでNorthern線へ乗り換えるつもりだったのに、なぜか駅を出てしまった(^_^;)。地図を見る分にはここからでもナショナル・ギャラリーへ行けるだろう・・・多分。道が整然としている場所ではないので、なかなか目的の建物が見えず、自分の進む道が合っているのかどうか確信が持てない。あ、隣のナショナル・ポートレ−ト・ギャラリーを発見。建物沿いに歩いていくとトラファルガー広場に出た。そうか、美術館と広場は向かい合ってるのね。ギャラリーに入り、クロークを見つけようとウロウロしていると、何か聞き覚えのある音が…。もしかして私のケータイが鳴ってますか?荷物を置いて出ようとしたら切れてしまった。いつもイヤフォンを耳に突っ込んでいるから、音が鳴ってもすぐに反応できないな(汗)。履歴を見てみるとAちゃんからだった。折り返し電話をかけ直すと「トラファルガー広場の近くだよねー?そこに友達が作った彫刻が展示されてるからみてねー。それだけー。」だそうで。そ、そうか(汗)。


でも午前中は行きたい場所があるのだ。
Muswell Hill。
ここに何があるのかは言わない。分かる人だけが「あぁ」と思えばいい。


その後Camden Townで下車。雨の中、長く外を歩いたので身体が冷え切っていた。なにか暖かいものが食べたいのよ。例えば・・・・そば。

 Londonまで来てそばを食べることもないんだけど、最近欧州旅行を満喫した友人Iさんのお墨付きの天ぷらも食べたいと思ったのだ。駅からJazz Cafeがある通りをずっと進んでいくとそのSushiWakaがあった。ちょうどランチタイムだったので、天ぷらそばが小鉢のサラダ付セットが£5.00だった。普段は単品で£7.50だよ?ラッキー!早速そばと生ビールを注文。天ぷらがサクッと美味しかった。馴染みのある味を口にして体も暖まり、気持ちが緩んだ。

 それから蚤の市で何か買い物を、と思っていたのだけど、雨のせいかあまりお店が出ていない様子(この辺はあまり下調べをしていなかったので、徘徊するエリアを間違えていたかもしれない)。テントの中の衣料品やアクセサリーはあまり欲しいものはなく、結局文房具屋でイロブンを探したりレコード屋(^_^;)にも入ってみる。あまり欲しいものないなぁ、とLP棚をパタパタ見ていると、またもや電話。急いで店の外へ出る。

「早く帰って来ちゃったー」
 Aちゃんだった。え、そ、そんな簡単に早退できるの?彼女はまだ仕事場の方にいて、私は今Camden Townからナショナル・ギャラリーへ、そろそろ戻ろうと思っているところだと告げると、じゃぁお互いギャラリーについたら取りあえず電話する、ということで電話を切った。ううむ、ケイタイって便利だけど・・・予定がグダグダになるね。予定にない横やりが入ると即座に対応できない人間なので、毎日こういう対応を強いられるならば、私には向いていないアイテムだと思った瞬間だった。今回の場合、Aちゃんに会える時間が増えるから嬉しいんだけど♪

 Camden TownからNothern線一本でCharing Crossまで。どこの出口を使えばいいのか分からないので、適当に階段を上ると、広場を挟んでナショナル・ギャラリーとは反対側に出てしまった。ついでに写真を何枚か撮っていると再び電話。写真はこちら

 Aちゃんがギャラリーに着いたらしい。急いで建物に向かい、ようやく彼女と会うことが出来た。2年ぶりだー!!まだ私がギャラリーの中を見ていないので、一緒に鑑賞することにした。アメリカの美術館に比べると、館員も鑑賞客もリラックスしてる感じ。リュックを背中にしょっていても鑑賞OKだったし。

 私の見たいのは、セインズベリー館に集められている13世紀〜15世紀の絵画。あのバランスの悪さがたまらなく新鮮。美大で学び、今もアンティーク家具に携わる仕事をしているAちゃんは当然美術に詳しい。祭壇に飾られていた3面開きの宗教画(?)は、絵より周りの額を見ていた様子。「クリヴェリ(Carlo Crivelli)がいいんだよねー」と「聖エミディウスを伴う受胎告知」を見ながら彼女は言う。確かに色の鮮やかさと細部の病的な書き込みは他の画家と一線を画している。「油彩って言うよりグラフィックだよね」と感想を言うと、「あのさー、『王家の紋章』の絵っぽくない?」と返事。お、おもしろいよ!

 セインズベリー館をまんべんなく見たところでクロークから荷物を引き上げ、ギャラリーを後にした。まだトラファルガー広場の彫刻を見ていないと言うと「見て!」と、広場の真ん中に連れて行かれる。キリスト生誕をモチーフにした彫刻らしい。Aちゃんと、彼女のボーイフレンドのP君も制作を手伝ったそうだ。


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作者さん

 キリスト生誕を祝福する「東方の三賢人」の一人をアジア人にしたところが作者の独創みたい。日本に住んでいると分からない民族間の生活や感情の摩擦は、ここイギリスでは当たり前のことだろう。「人類皆兄弟」と言ってしまうと軽薄になるけど、そういう願いがあるのかな。人間も宗教も、一つの星からうまれたんだと。


 Nothern線で南下し、Clapham Commonで下車。Aちゃん曰く、ゲイが多く住んでいて治安が良い街らしい。つまり、男性同士のカップルは比較的経済的に豊かなので街が荒れることが少ない、と言う理屈らしい。駅から歩いて数分、大通りから一本プライベートエリア入った場所にある彼女が住むフラットは、元々お金持ちの邸宅なのだが、1フロアに何世帯も暮らせるように改装されている。でもトイレ・バスは共有だって。事前にそう聞いたので、昔の日本の下宿みたいな狭いイメージを持っていた。実物を拝見したら、確かに面積的にはあまり広くないのだけど天井が高いので圧迫感がない。その高さを利用して、ボーイフレンドのP君がロフトを作り、そこをベッドにしている。(写真右:Clapham Commonのメインストリート)

 フラットに到着し荷物を置いてから、歩いて数分で大型スーパーへ買い出しに行った。今日はローストチキンをごちそうしてくれるそうだ。ビールやワインや、いろんな野菜、そして鶏丸ごと!いやーそんなのクリスマスシーズンしか見かけないよ!スーパーの雰囲気は日本と大して変わらないが、BGMや売り込みのアナウンスが全くないのが、ワタクシ的には好印象だった。例え売り物の小麦粉の袋から粉が漏れていても。レジと言えば、かごの中身を客自身がコンベアへ乗せ、それをレジ係が会計するという仕組み。お酒が含まれていたので「IDを見せて」と言われた。Aちゃんが運転免許証を見せると「あら私と同じ年よ!」とレジ係の態度が一変(笑)。しかしきちんとIDを確認するところは素晴らしいな。

 Aちゃんが食事の支度をしている間、私はパソコンを借りてmixiや普段で入りしているBBSとかブログを巡回。私やAちゃんが普段つるんでいる、高校時代からの友人グループ内のBBSでは、毎年恒例の忘年会の話が着々と進んでいた。そのうちP君が仕事から帰宅。しばらく見ないうちに恰幅がよくなりましたね(^_^;)。Aちゃんが作っているチキンの焼き具合や付け合わせの野菜について、なにやらリクエストをしている。料理にうるさい旦那さんは大変だな。そこでAちゃんが「ももちゃんの旦那さんは料理するのー?」と聞いてきたので「殆どしないけど、何も注文しないよ」と言うとP君は黙ってしまった(笑)。

 私が今回バンドを追っかけてイギリスに来たことを知って、「どんなバンドなの?」と尋ねられたので、パソコンでTFKのサイトへ行って、サンプル音源を聴かせてみた。"Rumble Fish Twist"は「とても実験的」で、"The Flower King"は「普通の良い曲だよねぇ」だそうで。プログレに縁がない人の意見は新鮮だなぁ!でも総合すると結局「どんなバンドかよくわからない」んじゃないかと思う(^_^;)。
 それからP君がiTunesに入っている自分のお気に入りの曲を色々聴かせてくれた。彼はパンキッシュでポップなバンドが好きみたい。The White Stripesと、そのメンバーJack WhiteのバンドThe Raconteursの名前が良く出てきた。私が一番面白そうと思ったのはIan Duryというミュージシャン。(こういう人らしいです)ほどよくご機嫌でファンキーだけど、バカ騒ぎしているのではなく、どこか斜に構えてる感じ。バックの演奏も格好良くて、ベストアルバムがあったら買おうかなと思ってる。

 さてオーブンにチキンを入れてどれくらい経っただろう・・・P君は焼き具合にようやく納得がいったようだ(^_^;)。既に何杯かビールを飲んでいるのだけど、新しくつぎ直して乾杯!この時チキンにかけたグレイビーソースは、パブの食事で出てきたようなどろっとしたソースではなく、鶏の脂と香味野菜とスープを煮込んだ程度のさらっとしたソースだった。ドロドロソースは粉末を水で溶いて作るインスタントらしい。
 ある程度食べ進んだところで、友人達から預かってきた誕生日やクリスマスのプレゼントをAちゃんに贈呈。Aちゃんや私がそれらを見て「カワイイ、カワイイ」と連発するのでP君が不思議そう、というか面白がっていた。あと同意を確認する「ねー?」もマネしていたんだけど、やはりイントネーションが違うのだよ。
(写真上:プーもディナー中)

 食後のパイも平らげて、満腹になったところで「外へ飲みに行こう」とP君が提案。そのお腹はそうやって大きくなったのですね。

 雨は上がっていたけど、さすがに寒くて吐く息が白かった。大通りを挟んだ公園の向こうにあるパブへ入った。名前のPAWは「Princess of Wales」の略って本当?
 冬休みの話から日本の労働環境の話に展開して、休みは少ないし報われないし、どうして平気なの?と言われてしまう。確かに日本人は働きづめだけれど、だからって幸せじゃない、とは言い切れない。世界的に見てもかなり安全で恵まれた生活環境と商業的なサービスを手に入れている。私たちはとても受動的な民族だから、イヤだと思っても変えようと立ち上がらずに身を任せてしまうけれど、その中に幸せを見つけることもできる特技を持っている。そう思うのだけど、今私自身はかなり気ままな生活を送っているので、日本の企業戦士達の心境は代弁できない。ニュースを見れば毎日、壊れた人間の痛ましい事件を目にする。酔っぱらった頭であれこれ考えて、「思うに、P君は日本では暮らせないってだけだよ」と言い、Aちゃんに通訳してもらうと、P君は何とも言えない顔をしていた。

 部屋に戻り、寝る準備。この部屋の周りにはバスルームは二つ、トイレ+シャワールームが一つあって、Aちゃんお気に入りのバスルームでお風呂の使い方を教えてもらう。バスタブは広いし、お湯はちゃんと出るので機能的には問題なし。でも天井が高いのでなかなか部屋全体が暖まらない。高けりゃいいってもんじゃないんだな、と身をもって実感(笑)。部屋に戻ると、明日も仕事がある二人は既にロフトで就寝していた。私はロフト下のソファーベッドで、TFKの「Paradox Hotel」を聴きながら、今回の旅の写真を見返した。かなりビールを飲んだので頭がもうろうとして、眠りに落ちるには時間が掛からなかった。あまり写りが良くない写真はこちら

 夢のような旅もあと一日。明日は自然史博物館により、そのまま空港へ向かう。





London

Rotherham

London

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