(5日目)
12月10日(日)
曇り
8時前に起床。もうAちゃんは仕事に出かけていて、P君が身支度を整えていた。ソファーベットでボーとしていると「僕はもう出かけちゃうけど、ゆっくりしていってね」と(多分)言って、仕事へ出かけていった。ちなみに彼も彫刻など家具や美術に携わる仕事をしている。
それから30分くらいうだうだしてから、外へ顔を洗いに行った。「私たちが出かけても出入りできるように」と、Aちゃんが合い鍵を作ってくれていたので、念のため鍵もかけた。昨日は暗くて気が付かなかったが、トイレの辺りの廊下には更に先があることが分かり、窓から裏庭があるのも確認できた。うーん、この建物はどんな構造になっているんだろ・・・?あまりウロウロしていると怪しまれるので、顔を洗ってそそくさと部屋に帰ってきた。
が。
鍵が開きません(T_T)
建物に入る用と部屋に入る用の二つの鍵があるけど、Aちゃんが目印を付けてくれたので間違いないはず。もしかして錠が壊れた?こんな状態で誰を呼べばいいのだ???あ・・・れ。開きますた(^_^;)。なるほど、鍵を回した状態で手を固定し、もう片方の手でドアノブを回す、という動作が必要だったのだ。日本の感覚だとちょっと戸惑うね。ともあれホッとした。着替えて、駅近くのスターバックスで朝食。この時のBGMはSolid Blueの「Vol.III」。音楽的にブリティッシュベースなので、Hasseのハスキーな声も相俟ってなかなかClapham Commonの街に似合う。お店ではサーモンサンドとラテTを頼んだ、後ほど値段を計算したら1,400円位していたぞ(@_@;)。(写真右:スタバから街並みを見る)
再びフラットに戻り、お礼のメッセージを書き残してから、今度は大荷物を抱えて部屋を出た。鍵もしっかり掛けた。またこの鍵を使う機会ができたらいいな。
帰国便は19時と遅いフライトなので、空港へ行く前に自然史博物館に寄る計画だ。Clapham Commonでゾーン6有効のOne Dayチケットを買って地下鉄Northern線乗車。二つ先のStockwellでVictoria線に乗り換え、さらにVictoriaでCircle線に乗り換えてSouth Kensingtonで下車する。LondonのCircle線というと、私はCathedralの"Corpsecycle"を思い出す。ヴォーカルのLee Drianeがこの曲について「金がない時に暇を潰すため、Circle Lineに何時間も乗って、サラリーマン達を眺めてた」と話していたのだ。ということで、BGMは「The Garden Of Unearthly Delights」に決まり。ドゥームサウンドで自然史博物館へ出発だ。同じ風景を眺めていても、楽しくスウィングする曲とは違う。歴史の上に歴史が石積みされて、下の方が腐敗して障気が立ち上ってくるような、そんな感じを受ける。特にVictoria駅の地上プラットホームから見える古いレンガ積みの壁を見た時。
ところでLondonの地下鉄では、通路にミュージシャンが立って演奏するエリアが設けられている。ここに立てる人達はどこかで許可をもらっているようで、身体のどこかに必ず証明書を付けていた。昨日見た東洋人アヴァン系ギタリストは、アヴァンギャルドと言うよりは子供が面白がってギターとエフェクターで遊んでいる程度のノイズにしか聞こえなかった。別の駅で見たもう一人のシンガーは"Hotel California"を熱唱していて、結構チップを稼いでいた(実際上手かった)。VictriaかStockwellで見かけたのは、クラシックの何かの曲を演奏していたクラリネット奏者。本格的な教育を受けてると思われる端正な音で、ちょっとチップを投げてみようかと思わせる心地よさだった。South Kensingtonから自然史博物館へ通じる地下道では、サックス奏者がファンキーな曲を吹いていたが、残響が酷くて鑑賞できるような環境ではなかったな。
臨時アイスリンクやクリスマス用の飾りやおみやげを売る露店を横目に、自然史博物館へ到着。(画像左)
いやーすごい!!この建物だけでも見る価値がある!壁や柱飾りにあらゆる動物や植物のレリーフが施されていて、その造形も、骨格を無視したようないい加減な物が一つもない。博物館の展示物より、そちらばかりに目を奪われそうだ(^_^;)。とりあえず正面エントランスから中へ。
入り口ではセキュリティに何か聞かれるが、よく分からず、リュックのポケットに差していたボールペンを注意されたのかと思った(アメリカの美術館だと注意されそうな気がするけど)。
「いや、それじゃない。あなたは何語がしゃべれる?スペイン語?」
「日本語です」
セキュリティは「Oh, Japanese...」と呟いてから、ゆっくりとしたブロークンとジェスチャーを交えて説明してくれた。あ、ナイフか!「持ってません」と言うと、通してくれた。正面の大きな吹き抜けには大型草食恐竜のディプロドクスがお出迎え。中もスゴーイ!!!天井画が見事で、しばしぽかーんと見上げてしまう。今回あまり美術/博物館周りは出来なかったけど、最後にここを選んで本当に良かった。ウキウキしながらクロークへ向かった。この博物館では荷物を預けるのは有料で、重さによって料金が違う。私の大きい旅行カバンは£3.00位。私の荷物は女性の海外旅行としては少な目だったと思うので、普通の女性で、1週間程度の旅行の荷物ならもっと高いと思う。なんつーか、この詰め込み方は異様。
ほ乳類大集合
絶滅したマダガスカルの鳥、ドードーは大人にも子供にも大人気。みんな「ドードー!ドードー!」と声を挙げて興奮していた。私もその一人。私がこの博物館で一番楽しみにしていたのは、メガテリウムという巨大ナマケモノの化石だ。体長が最大で6mもあるので、木には登らず地上を歩行して暮らしていたという・・・。荒俣宏も大絶賛していた(ような気がする)このステキな化石をぜひ見たい。
想像図
私の身長(157.5cm)だと、頭ははこの化石標本の
骨盤より少し上辺り自立できないくらいデカイのだ。素晴らしい。(他の写真はこちら)
他、特別展の「Dino Jaw」にも入ってみる。(有料:£8.00)
入ってすぐに液晶付パネルが置かれていて、「ここにチケットを差し込んで」と書かれているので、その通りにしてみる。画面では館員(らしい)人二人が何かしゃべっているがよくわからない。きっと要所要所でこの人達が居て、恐竜の説明をしてくれるんだろう。先に進んだ。うを!いきなり肉食恐竜の首が蠢いてますよ!これが良くできてる!
他にも草食恐竜(大型・小型)、魚を食べる恐竜など、さまざまな種類の頭部が動いていて、なかなか迫力がある。この特別展は恐竜の口に着目し、どんな恐竜が何を食べて暮らしていたか、というのを見せるのがテーマらしい。食べるものによって顎や歯の構造も変わるとか、人間の食べ物に換算するとこれくらい、などの説明や模型が沢山置かれていて、英語があまり読めなくてもそれなりに分かる。隅っこの方にいたEuoplocephalの、変な顔とハンマーのようなしっぽがとてもプリティだった。
続いて、化石発掘体験コーナー。勿論本物の岩や土をほじくることはせず、岩に見立てた大型パネルの上を、手でこすったりつついたりするゲームで、子供より本気になって発掘作業に没頭。何かの爪をゲット!このデータはチケットのバーコードでどこかに管理されているようだ。出口付近のパネルにチケットを突っ込むと、今まで見てきたことがクイズで出題される。勘で選んだら正解だったようで、「続きはNHMのサイトで!」だって。何くれるんだろう?結構楽しかった。 (証書をくれました)
入場有料の写真展と虫と甲殻類の部屋はパスし(エビ・カニはともかく虫は無理すぎ)、カフェテリアでお昼。それからもう一度ほ乳類の部屋と、無料の恐竜の部屋を眺めて、2階の鉱物の部屋へ移動。アールヌーヴォー風の装飾が施された入り口が美しい。中は生物のレリーフが施された石柱が天井を支え、明るく落ち着いた雰囲気。あまりに外光が無防備に差し込むので、展示施設的にはちょっと疑問だが・・・(^_^;)。最近パワーストーンに興味があるので、ガーデン水晶に大興奮。ファイアーオパールの鮮やかさも素敵。何だか分からない石も分からないなりに鑑賞。この博物館は生き物中心の「ライフ・ギャラリー」と地球の活動に焦点を当てた「アース・ギャラリー」の二つに分かれているのだけど、とても半日では両方回りきれない。今回「アース」の方は諦めた。
それからおみやげを買ったり、またメガテリウムの化石を眺めたりして、時間は14時になろうとしていた。ここから空港まで1時間くらいなのだけど、Londonの地下鉄が時間通り動くはずがない。その上、空港の荷物検査の窓口はテロ対策のために激混みのはずだ。大事を取って博物館を後にした。
South KensingtonからPiccadilly線に乗ってHearhrow空港へ向かう。案の定30分程度止まった(汗)。
空港に到着し、ANAのカウンターへ向かったが、日本の高校生らしき団体でごったがえしていた。もしかして修学旅行の団体?え−−−−−−−!(いや)。何日間居たか知らないが、揃いも揃って大きなスーツケース持ちやがって邪魔くさい。カウンターに辿り着くまでどれだけ時間が掛かるんだろう・・・と途方に暮れていたら、ANAの従業員が「一般のお客様はこちらへどうぞ」と引導してくれた。助かった。搭乗券をもらって座席を確認すると、自分がネットで予約した座席とは変わっているような気がする。窓側は窓側だけど…まぁいいか。
出国審査も長蛇の列。係員がビニールを手に持ち「リップや化粧水などはビニール袋に入れて手に持ってください。100cc以上の物は持ち込めません!」と大声で注意していた。勿論ペットボトルの飲料水もダメで、飲みかけの炭酸水を急いで飲み干してた。出国審査のカウンターを通り過ぎて、荷物検査のエリアも人の海。うへー。私から数人前にTFKのドラマー、Marcus君そっくりのノルウェー人(ノルウェーのパスポートを持ってたので)のお兄さんが居たので、長い待ち時間だったが少し楽しく過ごせた。眼福眼福(^_^;)
出国審査の列に並んでから1時間以上掛かって、手荷物検査のゲートを抜け、ようやく解放された。
免税店にて家族への土産物を買った後、Iさん一押しの「Caviar House」でスモークサーモンをいただく。一緒にお薦めされたBalik Beer(スイスのビール)はアルコール度11%。長い間列に並ばされて疲れていたので、ちょっと二の足を踏んでしまう。普段なら飲むんですけどね。 イギリスに来て最後の最後で一番の贅沢。うまー。
(写真左:ビールはFuller's London Pride Ale)搭乗ゲート近くのTVでは、ここ数日話題になっているIpswichで起こっていた連続殺人の、新しい犠牲者が立て続けに二人発見されたと報道していた。レポーターや警察の報道官が何を行っているのかは分からないけど、字幕も流れていたので、そちらで少し内容が把握できた。この手の事件にはとても興味があるので、TVをずーっと眺めているウチに、周りは高校生で溢れてきた。あの集団に自分の席が囲まれたらイヤだなぁ・・・。しかし飛行機に搭乗してみたら、エコノミーのちょっと良いクラスの座席に変更されていた。団体客が入ったから私の席は移動されていたのだ。椅子の幅や隣の人との間がちょっと広くなったのはいいけれど、座面が高すぎて逆に疲れるというトラップが。フットレストの存在を途中まで気が付かなかったのが痛かった。(爆)
飛行機がゆっくり動き出し、ゲートから離れていく。滑走路上はとても混み合っていて、窓から離陸を待っている飛行機の列が確認できた。この時は「早く飛ばないかなぁ」と思っていたんだけど。いざ自分が乗っている飛行機の番になって、離陸のためにスピードがどんどん加速していくと「帰りたくない」気持ちもどんどん大きくなって、急に切なくなってしまった。少し涙も出た。また来るよ、きっと。やり残したことがたくさんある。それに意外な居心地の良さが、とても気に入ったからね。
11日のパブで、P君やAちゃんがよく「Relax」という言葉を使っていた。最後はこれを考えてみたいと思う。
私たち日本人が思う「余裕」は「お金」と思いがちで、実際お金があれば何でも買えて、人の頼むこともできるから、時間をもお金で買うことができるかもしれない。しかしお金を稼ぐためには結局、働かなければいけない。その悪循環はミヒャエル・エンデの「モモと時間どろぼう」の世界そのものだ。
一般的な日本人男性なら大学を出て一流企業に就職し、結婚して家庭を作ることが「一人前」で「幸せ」の形とされてきたけど、人間みんな顔かたちが違うように、生活も幸せも違うはずだ。「自分探し」なんて意気込まなくたって、アナタの人生はアナタだけの人生。日本社会が既成の幸福観を支えられないほど壊れてきている今だからこそ、のんびりと自分を大切にする方法を考え、学ぶいい時期が来ているんじゃないだろうか。
・・・最後まで「バカの壁」に影響された旅だったようだ(笑)。
元は「TFKが観たいー!」で始まったヲツ旅行。自分の好きなことを追求する旅は、意外にも自分の世界を広げる機会になっている。
● London Rotherham London London TOP 12/08 12/09 Live 12/10 Live 12/11 12/12