「!次の時間ごまかしヨロシク!」
「はっ?ちょっ、!あんたまたサボリ?」
「そーゆーこと。じゃあね〜」
「はぁ・・・しょうがないなぁ・・・・・」
授業なんてかったるいし。
駆け足で、特別校舎に移動して屋上への階段を上りドアを開ける。
あの時のように、屋上のドアを。
W i S h .
「んー。気持ちいー」
屋上の貯水タンクの上に寝そべってうーんと背伸びをした。
風が気持ちいい。
もうじき夏が来るっていうのに、とっても涼しい。
授業サボってよかった☆
「静かでいいな〜。平和だ☆」
いつもは、煩い奴と一緒にサボってるからあたし達の笑い声でとっても煩い。
でも、今日は独り。
・・・・・・・・やっぱ、1人は平和でいいわ☆
プシュッ、という音を立てて午後ティーのタブを開け一口、口に含んだ。
いつもは甘くて美味しいミルクティーを飲んでいる。けど今日は、赤いラベルのストレート。
気がついたら手が、ストレートのボタンを押していた。
「苦っ・・・・・!!」
やっぱ砂糖とミルク入ってないとダメだわ・・・・・・・・・!
ダメだ・・・・・・・ホント苦すぎる・・・・・・・!!!
「最っ悪!」
なんでストレートなんか買ったんだろ。バカみたい。
飲めないの自分でわかってるのに。
・・・・・・・・・・・そういえば、この特別校舎の屋上には
いくつかの伝説があるって昔、から聞いた事あるような気が・・・・・・・
『5時間目の授業をサボったとき、ここでミルクティーを飲んでいたら恋人から今まで以上に愛される。
レモンティーなら、意中の人が傾いてくれる。ストレートなら運命の人が現れる。あ、あとね!これはいつ試してもいいんだけど
あそこで缶コーヒー飲んだら、好きな人が今付き合ってる人と3日以内に別れるんだって!!!片想いの人にはうれしいおまじないよねぇ〜』
って今、5時間目・・・・・・!
そしてあたしはストレートティーを飲んでいる。
「・・・・・・・・・・・・まさかね」
そんなの、ただの伝説。
この科学の時代にそんな伝説ありえるはずがない。
そう思ってた時だった。
「・・・・・?」
いきなりの声に驚き、起き上がって振り向くと幼馴染みの南だった。
「南?」
あービックリしたー。先生かと思っちゃったじゃん!!!
「オイオイ、またサボりか?(呆)」
「そういう南こそサボりじゃん。」
「俺はに呼び出されたんだよ。渡したいものがあるからってな。・・・・・・・いるか?」
ん・・・・・・・・・・?渡したいもの?
『と南君なら応援しちゃう!お似合いだもん』
の朝の言葉が頭をよぎる。
まさか・・・・・!!!
「来てない。多分、来ないよ。」
「はっ?どういう意味だよ?それ(汗)」
は多分あたしと南をくっつけるために呼び出したんだろうね、なんて言えない・・・・・・・・
南は、貯水タンクに登ってきてあたしの横にあった午後ティーの隣に腰掛けた。
「えーと、とりあえずゴメン南。(汗)」
「・・・?なんでが謝るんだ?」
「何でって・・・・・あたしの所為だから」
「いや、は関係ないだろ?」
いいえ、あたしの所為なんです。(汗)
に悪気はないから。普段はとってもいい子なんですよ、ちゃん。
フレコンな所を除けば。
「とにかく、今回のはあたしの所為だから。の事責めないでね?」
「心配するなって。のことは別に怒ってないよ。授業サボれたしな。」
「あー、真面目な南が不良発言ー!」
「いや、お前ほどじゃないよ。」
あたしが南をからかって南が突っ込んで、クスクス笑いあう。
懐かしい。
二人でこんなに笑いあったのは、何年ぶりだろうか。
「・・・けど、お前ホント優しいのな。自分を犠牲にしてまで友達庇うところも全然変わってない。」
「いや、今日のはホントにあたしの所為だし(汗)それに、南だって優しいところは昔から変わってないよ」
高校に入ってからは、こんなにゆっくり話した事はない。
小さいときはいつも一緒だったけど、あたしが付き合いだしてからあまり二人では過ごさなくなった。
家族同士で出かけることもあまりなくなったし。
「ついでに言うと、ガキっぽいところも変わってない。チビだしな。」
「あ、言ったな?!南がデカいだけでしょー!!!」
「そういう、すぐムキになるところがガキっぽいんだよ。は」
そう言うと、南はあたしの髪の毛をぐしゃぐしゃにした。
いつも、妹か何かのように扱われる。
「あー、もぅ!また子ども扱い!あたしもうすぐ18だよ?!あんたと同い年!」
「誕生日は俺の方が早いけどな。」
むぅ・・・・・・・ホントのことだから言い返せない。
「・・・・・たった2日じゃん。」
「ストレートティーも飲めない奴が、大人なんていうのはまだ早い。」
南は、あたし達の間にあった午後ティーの缶をちらつかせた。
「げっ?!なんで飲めないの知ってるのよ!(汗)」
「何でって・・・長い付き合いだろ?一口もらうな。」
そう言って南は、あたしの飲みかけの午後ティーを・・・って、間接キスじゃん?!
まぁ、今更キス位で恥ずかしがることないか。
小さいときは一緒にお風呂入ってたしね。(汗)
「・・・・・なぁ、タブ開けてたけどお前あれ飲んでた?」
「うん、一口だけ。」
「お前が飲めないと思ったからもらったんだけどな・・・・・ちょっと千石に悪かったか・・・・・まぁ、今更だけど。」
「気にすることないよ。あいつとはもう別れたし。」
あたしの言葉に、南がすかさず反応を示した。
「はっ?!何時?」
「今日の朝。学校来るときに」
もう二度と、傷つきたくはない。
二度と、裏切られたくはない。
だから、別れた。
「3回目の浮気だよ?ありえないでしょ。だからあんなどうしようもないバカ、別れてやった」
「まぁ、どうしようもない女好きだからな・・・・・・・・あいつは。」
「それだけじゃないよ?あたしとデート中なのに他の女の子見たり、彼女がいるのにナンパしたり、合コン行ったり。信じられないでしょ?」
あたしに夢中になったのは、最初の間だけ。
ほんの少しの間だけ。
付き合って半年もしたら、早速ボロが出て他の女の子を見るようになった。
「千石らしい・・・・・・・・」
「あんな奴、もう知らない。・・・・・・・・じゃね、南。あたし戻るわ、次は出ないとさすがにヤバそうだし」
後ろ向きに手を振って、ポケットに手を突っ込みながらあたしはトロトロと教室に戻った。
「満更ウソじゃなさそうだな。」
あたしの立ち去ったあとに、南がポケットに入っている缶コーヒーを見つめながら
そんな事をつぶやいていたとは知りもしなかった。
コメント
紅茶花伝(ミルクティー)と午後の紅茶(レモンティー)
を飲んでて思いついた伝説。
意味不明でごめんなさい。
コーヒ−は友達が飲んでました。
ストレートって苦いですよね?!
天宮は飲めません!!苦いもん!!!(←お子様)
コーヒーもNGです。
ウーロン茶と緑茶もNG!!
とにかく、苦いものは苦手です。