「ねえ、Pluto」 彼女の眼は暗い色を湛えていて、見えないはずのその瞳には楽しそうな色がうつっている。 私はいつもの穏やかな彼女からは想像出来ないほどの力で壁に押さえつけられていた。 みしりみしりと喉が圧迫されてひゅうひゅうと息ができない。 「Plutoはどんな匂いがするのかしら」 彼女は首筋に顔をうずめて私の匂いをかいだ。 息はできないけれど気味の悪さからぶるりと身体を震わせる。 「すごく美味しそうな匂い。生きてる匂いがするわ」 彼女は心底嬉しそうににっこりと笑う。 にた、と開かれた口からは鋭い牙が見える。 「ああ、Pluto。Pluto…今のあなたとっても美味しそう」 彼女はそうつぶやくと私の右肩にその尖った牙をあてがぶり、と噛んだ。 血管がぷちぷちと切れる。血がほとばしり、骨が砕ける。声にならぬ悲鳴が口から漏れた。 彼女は私の肉を食らい際限なくこぼれ落ちる血液を余さずすすり、骨までも噛み砕いて嚥下する。 大きく噛まれた右肩からは腕が頼りげ無くぷらぷらと浮いており、少し切れば落ちてしまうのではと思わせる。。 彼女は力ずくでそれをむしり取りまるで人間が肉にかぶりつくかのようにそれを食べた。 「ああ、美味しい。すごく美味しいわ、Pluto。…でももうお腹いっぱいよ、昔みたいに全部は食べきれない」 彼女は私の喉を押さえつけていた手を離した。肉体がどさりと床に落ちる。 私は出血多量で朦朧とする意識の中で、顔に赤い化粧をしたような彼女の顔をぼんやりと見つめていた。