菓子を贈った。
「あそこのお菓子、とっても美味しいんですよ〜。」
その「彼」の言葉を心の支えに、「彼」の喜ぶ顔が見たい一心で、甘い菓子に甘い想いを込め、私の気持ちを解ってもらおうと思ったが、その意を汲み取ってもらえずに「彼」の舌と胃袋を満たしただけで徒労に終わった。
花を贈った。
「わぁー、すごーい、こんなにいっぱい!綺麗だなぁ、ありがとうございます。」
にっこり微笑んでそれをもらってくれたが、花言葉に隠された私の真意は解ってもらえなかった。仕方がない、なんと言っても「彼」だから。
文を書いた。
はっきりと文章で気持ちを表せば解ってもらえると思った。だが送った相手はいつも騒動が付きまとう「彼」、ただでは済まなかった。数日後、手紙の返事を聞かせて貰うべく「彼」の元を訪れたが。
「すいませーん。利吉さんにもらったお手紙を読もうとしたらバァーッと風が吹いて手紙がとばされてそれを追いかけていったらドボーンと川に落ちて流されちゃってそれからやっと手紙を拾ってたき火を焚いて乾かそうとしたら・・・」
「燃えちゃったんだね・・・。」
「はい〜。」
大きな瞳にいっぱいの涙を溜めて申し訳なさそうな表情をする「彼」を、ちょっと苛めてみたい。
しかしここで彼の私に対する信頼や尊敬を損なってしまっては今までの苦労が水の泡。ここは寛容である私を見せておくべきだろう。
「いや、構わないよ。それより君に怪我が無くて良かった。」
「ごめんなさい、でもあの手紙には何が書いてあったんですか?もしかしてとても大事なことが?」
両手で目を擦りながら震える声で尋ねる「彼」は、とても儚げで可愛らしいく私の胸の奥底の邪念を擽る。
手紙に書いてあった内容とは、私のこの滾る思いを「彼」にも理解できるように、ハッキリと書き表した、いわば恋文だった。
普通の恋文ならば、自分の想いを歌で表したり掛詞を使ったりするものだが彼にそんな回りくどい事をしても理解してもらえないので一言「君が好きだ 同衾したい。」と大きく書いておいた。
「燃えてしまったのか。困ったな、それでは計画が全て台無しになってしまう。」
私の一言でまた年端の行かぬ子供のようにわんわん泣きだしてしまった。
「ごめんなさい、ごめんなさい、僕、また利吉さんの邪魔しちゃったんですね。僕、どうしたら良いですか。利吉さんのために何か出来ることがあったら何でもお手伝いしますから〜。」
それは願ってもないこと。
私は忍、利用できるものは何でも利用する。この状況は私にとって大変有利だ。
「何でも手伝う?私のためにかい?だったらお願いしたいことが有るんだ。」
途端に陽が射したような笑顔に戻る。よくコロコロと表情が変わるものだと感心しながら「彼」の耳元に口を寄せ囁く。
「実はあの手紙にはとても重要なことが書いてあった。それも君にしかできないことが。今から私がそれを指示するけど、小松田君、手伝ってもらえる?」
今度は右手に握り拳を作って眉をキリリと引き締め力強く答える。
「はい!利吉さんのためなら僕、一肌脱ぎます!何でも言ってください、頑張りますから!」
「ありがとう、でも脱ぐのは服だけでいいよ。小松田君の部屋を使いたいんだけど、いいかな。」
「僕の部屋は構いませんけど、出茂君と同室なんです。」
「人に聞かれるのはまずいんだよ。でも布団があった方がいいんだけどな。まぁ、この際構わないか。それじゃ人気のないところって何処かにある?」
服を脱ぐと布団と人気のないところ、の言葉で大抵の人間は気付くだろうが、「彼」は一向に気付く気配がない。それで散々苦労したが今はかえって好都合だ。
「それならこっちです。」
「彼」が私の手をぐいぐい引いて行く。それがまるで「早く僕を抱いて下さい、早く、早く、こっちですよ。」とでも言っているかのように思える。もちろん勝手な妄想だが、私はこんなに浅ましい人間だったろうかと自分でも驚く。
「彼」と出会ってからの私は正常な思考を無くしてしまった。
敵に対して容赦したことがない私は、たとえどんなに残酷だ、卑怯だと言われようが、あらゆる方法を使って目的を果たす。しかしそれは敵に限ってのことで、知人や一般人に向かって術を使った駆け引きをしたことは無かった。だが、私は今、「彼」に対して自分の持ちうる全ての能力を傾け手に入れようとしている。始めは正攻法で攻めていたが、作戦が失敗する度に私は少しずつ精神に支障を来す。崩れて、落ちていく。
「ココはどうですか。ココなら誰も来ないし、話を聞かれることもないと思います。」
案内された場所は学校敷地内の林を抜けた場所にある小屋だった。小さな造りの割にはしっかりとした壁と扉が付いていた。これなら申し分ない、外から邪魔されることも、また内から逃げ出すことも出来ない。
「ココならいい。誰にも邪魔されない。さすが小松田君、学園内のことなら何でも知っている。」
「彼」は嬉しそうに微笑みながら誉められた事に照れて頬を染めていた。
「さて、君に手伝ってもらいたい事なんだけどね。実はしくじって、胸を刺されてしまったんだ。その傷が元で体の中に毒が溜まってしまったんだよ。私は病気なんだ。」
胸を刺したのは君、溜まった毒は私の欲望の比喩だったが当然「彼」には通じていない。
「本当ですか、利吉さん、胸を見せてください!」
「彼」は私の襟を割り、左の胸を掌でピタピタと触っている。その感触が私の理性を壊してゆく。腹の底が熱くなってくる。
「傷はね、見えないくらいになったけど、体の中に溜まった毒が抜けなくて困っているんだ。その毒が私の精神を壊し、身体に熱を持たせてしまうんだ。ほら、ココを触ってみてごらん。熱いだろう。」
「彼」の手をとって、自分の下腹部へと導いた。そこには猛り、熱をもった私自身がある。この行為にはさすがに戸惑ったようだが、それでもまだ私の身体が毒に犯されていると信じている。
「本当だ、こんなに熱いのって僕は触ったこと無いです。利吉さん、どうすれば直るんですか?早く治さないと利吉さんの身体が・・・。」
「医者に診せても治療法がわからなかったので占い師に聞いてみたんだ。その占い師の言うには、私と顔見知りで忍術に心得のある、十六歳の少年のみが私の毒を抜くことが出来るのだそうだ。その条件に見合うのは君しかいないんだよ。私を救えるのは、小松田君、君だけなんだ。頼む、私を助けてくれ。」
そう言って「彼」を抱き絞め胸に顔を埋めた。額を胸にこすりつけながら「彼」の肌の感触と匂いを楽しむ。
細いながらも鍛えられ張りの良い筋肉と、千切り取った若草の匂いが私の理性を更に不安定な物にして行く。
「彼」は私の頭を恐る恐る撫でながら、慰めてくれている。私は今から君に酷いことをしようと目論んでいるというのに。君と言う人は何処までも人を疑わず、素直に信じるんだね。
「利吉さん、安心してください。僕がきっと助けてあげます。でも、なにをすれば良いか解らないから、教えてくださいね。」
「大丈夫、次第はちゃんと聞いてきた。なに、難しいことは無いよ、小松田君は私のすることに見を任せていれば良いんだ。あとは私が動くから、ね。心と身体を楽にして、力を抜いて、眼を・・・閉じて。」
「彼」を言葉で騙して、先ず唇を奪った。
「小松田君、少し口を開いて、舌を・・・絡めて。」
「な・・・ぜ、そんなの・・・必要なんですか?」
「私の力は弱まっているから、口移しで強い魂を吹き込んでもらうんだ。こうして、舌を絡ませて、唾液を交換すればいいのだそうだ。ほら、口を・・・。」
「は・ぁ・・・・んふ・・・・・・ぅ・・・・・。」
絡み合う舌と唾液が空気を含み、ぴちゃぴちゃと淫靡な音を立てる。息苦しさに「彼」の手が私の袖口をきゅっと握り締める。口の端しから唾液があふれ、喉を伝って落ちていく。それを舌で追いかけながら「彼」の喉仏から鎖骨へ下を這わせる。くすぐったさに肩をピクリと跳ねさせるその仕草が可愛らしい。抱きしめる腕にも力が篭る。
「ぁ、利吉さん・・・・そ・・・んなの・・・くすぐったくて・・・・。」
「いや・・・かい?嫌なら止めるよ。小松田君が嫌がることはしたくないから。」
「彼」の胸で遊んでいた唇をすっと離し悲しい表情をして見せると、「彼」はしまったという表情で私の機嫌を取り繕ろう。
「あっ、違うんです、ただくすぐったいだけで嫌じゃないんです、だから利吉さん続けてください。」
そう、続けていいんだ。良いと言ったのは君だ。たった今、君は私との行為を承諾したんだからね。
再び「彼」の首筋へ顔を埋めて軽く噛み付いたり、吸ったりして紅い痕を残す。
「彼」が私の物になったのだと周囲に知らしめるためにも必要な事だ。
そのまま口付けを胸へと降ろして行き、桃色の突起にも軽く噛み付いた。途端に「彼」は声をあげ方を跳ねる。
「あっ!・・・ダメです、いくら利吉さんでもそこはダメです、僕は・・・・。」
「弱いんだココ。感じるの?」
かりりと歯を立て執拗に攻める。「彼」は小さく声を挙げながら私の頭を退けようとするが、力の入らぬ腕では私を動かせはしなかった。
「彼」が胸に注意をとられているうちに、上着を全て脱がせ帯も解いた。片手で「彼」の利き腕を押さえ込みながら、もう片方の手は「彼」の中心へ忍び込む。私の手がそれに触れて、「彼」は私の真意を汲み取ったのか、手から逃れようと身体を捩るがもう遅い。
私は逃がさないように横になる場所を選び、身体を押さえ込む点もちゃんと計算していた。
「彼」は私から逃げられない。
「りきち・・・・さっ・・・・あ・・・、やです、こんなの・・・ぁっ・・・ぁう・・・・・。」
「良いと言ったのは君、私を助けると言ったのも君だ。あれは嘘だったのかい?」
「彼」に罪悪感を持たせ私の行為を正当化させる。
思った通り抵抗は小さくなり「彼」は喉の奥で声を殺している。これではまだ「彼」を私の中に引き込んだことにはならない。「彼」とは共犯者にならなければ。
「小松田君、感じているのなら声を出すべきなんだよ。これは神様が人間に与えた神聖な行為なのだから。」
こんな子供だましの説得なぞ、今時おぼこ娘でさえ騙せないだろう。
唇をかみ締めたまま、瞳を固く閉じて抵抗しなくなったのを見計らい、「彼」の両足の付け根へと顔を埋める。私の手による愛撫で、半分は固くなりつつある「彼」のそれは、赤子の肌のように美しい色をしている。にも拘らず、形は立派な男のものだ。まだ自分でもそれほど触った事など無いのだろう。
「小松田君、ここを自分で触ったりするのだろう。」
「そんな事・・・・僕・・・・僕は・・・・しませ・・・・ぁっ!」
それに喰らい付き力強く吸う。強すぎる刺激に「彼」が悲鳴をあげるがそんなものはすぐに甘い喘ぎ声へと変わる。柔らかく、弱く舌を絡めて「彼」を優しく愛撫すると、私の口の中で「彼」の先端からはトロリとした甘い蜜を染み出させる。それを指で掬い取り糸を引き「彼」に見せ付ける。
「ほら、小松田君・・・コレ・・・・こんなに染み出しているよ。気持ちがいいんだね。感じているんだろう。」
固く目を閉じて頬を真っ赤に染めたまま首を横に振る。
「そう、否定するのか・・・・。じゃぁ確たる証拠が要るな。」
再び口に含み、先端を舌で執拗に弄り、掌で強く弱く擦ると「彼」はか細い悲鳴とともに私の口の中で弾けた。「彼」はなんとも儚げで愛らしい。こんな「彼」を知っているのはこの世ではただ私だけだ。私は優越感に浸っていた。
口から少しだけ「彼」の出した物を溢して見せて、今の自分の状況を見せ付ける。
「彼」は少しだけ涙をためて私を見つめていた。その表情は私の嗜虐新を存分に煽るものだ。
「ホラ、これは君のだよ。あんまり一杯出すものだから、口から零れて私の顔が汚れてしまった。小松田君、どうしてくれるの?」
怒った表情で「彼」を睨みつけると下を俯いてごめんなさいと謝りはじめた。「彼」はもう私の言い成りだ。私の言う事なら何でも聞くだろう。
「悪いと思うのなら先ず私の顔を綺麗にしてもらおうか。小松田君、これは自分で舐め取ってよ。」
そう言って私の顔を「彼」へ近づける。彼は小さな舌をおずおずと出して私の口の回りを舐め始めた。
「まだ、まだ気持ち悪いよ・・・。もっと沢山・・・ねぇ、口の中も綺麗にしてよ。ほら、小松田君の匂いがするんだよ。」
口付けをさせながら、私の口中を全て舌で拭わせる。当然私の口中は「彼」の香りで一杯だ。自分で自分のものを舐めるというのは抵抗のあることだろうが、私から見れば愉しみでしかない。緩慢な動きしか見せない「彼」の舌をもっと動かすために、まだまだ気持ち悪いと言った。歯列の裏や、舌の付け根まで綺麗にして欲しいと。あふれる唾液は全て彼に飲見込ませた。
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彼の舌が私の口中を這いまわる間に手を滑らせ、双の肉の間へ指を潜らす。途端に彼の背がしなり手を振りほどこうと腰を振るがそんな物何の抵抗にもならない。それどころか私を煽る行為ですらある。
それでも余計な手間を省くために彼を大人しくさせる。
「小松田君、私の顔を綺麗にする事に専念すべきじゃないのか?他の事に気をとられてどうするの。そんなことじゃ普段の仕事も巧くこなせないよ。」
案の定彼は静かになった。
私の唇を嘗めながら、開かぬ蕾を弄られる感触に小さな呻き声と熱い吐息を洩らす。
硬い殻に包まれた蕾は今の体勢では解し難く、また間近で見ることもできない。最良の手段として何がよいだろうか。
「小松田君、顔はもういいよ。次はこちらを舐めてほしいな。」
下帯を解き猛る私を彼の目の前に突き出した。
丸い瞳をさらに丸くし顔をそらす彼をまたも言葉で戒める。
この段階で彼は何故自分がこの様な行為におよんでいるのかなんてこと、頭の中から消えてしまっているだろう。
「君は自分ばかりが気持ち良いめを見ればそれでいいのか。・・・・・そうだよ、いい子だね。手を軽く添えて、ゆっくり動かして・・・。歯を立てないように・・・あぁ、そう、そして舌の先を尖らせて先ず先端を・・・・っ・・・・巧いね・・・・深く飲み込んだら・・・・裏側をゆっくり舌でなぞって・・・・吸う力はあまり強くなくていい・・・・そう・・・・そう。それを繰り返すんだ、絶対に口を離しちゃだめだよ、私が良いと言うまでね。」
彼はほんとに素直で愛らしい。
私を咥えさせたまま体勢を変えるためゆっくりと仰向けになり、彼の腰を引き寄せ顔の上を跨がせた。途中多少の抵抗を見せた彼の尻を二度ほど打つとあっけ無いほど静かになり、またもとのとおり口を動かす。
彼の蕾を覗き込むととても綺麗な肉色をしており、左手で彼自身を扱くとそれに合わせてヒクヒクと蠢く。舌を尖らせ突付き硬さを調べるとかなり厄介なようだ。
人差し指を唾液で濡らしツプリと差し込んだ。
指一本なら難なく入る。
中の感触を指に染み込ませるようにしばらくは動かさず、ゆっくりと引き戻し、また押し込みそれを繰り返す。
硬さが解れて来たところで二本目を入れる。
だがこれはかなり難儀した。何しろ彼自身が怯えて体が強張っているのだから自然とこちらの穴も萎縮する。しかし今から解しておかなければ私の物が入るときにかなり難儀することだろう。挿れるときに抵抗でもされると余計な手間が増える。
速やかに事を運ぶためにも二本目の挿入は肝心だ。
私はあらかじめ用意しておいた油を取り出した。
油と言っても今は柔らかい固形物である。体温で次第に溶け液状化する性質を持ったものだ。白色のそれを指にたっぷり掬い彼の蕾に塗りつける。熱い彼の体温で固形の油はすぐに溶け出しトロリと流れ出すのを指で彼の中に押し込むと指は吸い込まれるかのごとく滑らかに入っていく。蕾に油が満遍なく行き渡った所で二本目の指を挿しいれると途端に彼の身体が強張った。
元々排出される機能しか持たないこの窮屈な穴は押し出す力のほうが強い。そこに油で潤い滑りが良くなったとは言え無理に分け入るのだから彼の身体にも負担があるだろう。
だが私は今まで随分と我慢してきたのだから今更止める気など無い。むしろ私を拒む彼の姿で私の頭は痺れた。
〜つづく〜
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