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・三国無双4・ホウ統伝のストーリーに準じた話のため、蜀取り戦の後ですが演義と違いホウ統は健在です ・エディ子は額に点のあるインド顔の子です
照りつける夏の太陽の下、蜀軍は今日も今日とて厳しい調練を行っていた。 それを指導するは、一見仙人じみた風体の覆面で顔を覆った小男――ホウ統だった。 丞相・諸葛亮と共に臥龍・鳳雛と謳われた二軍師は、先主に仕えて以来めざましい働きで 数々の戦を勝利に導き、蜀の地を手にするに至った。 そして今、北伐――強大な魏を相手取っての戦のために、二人は日々奔走していた。 ホウ統はいつもと変わらず呑気な様子に思えたが、蜀漢が誇る名軍師の脳髄は絶え間なく回転し 勝利へのあらゆる可能性を検討していた。
「鳳雛先生」 「おやぁ、茉莉花」
呼ばれて振り向くと、太陽のような笑顔の少女が立っていた。 革の上下で申し訳程度に隠された小麦色の肌は何もしなくても人目を引く。 そして耳下までの髪に飾られた芳しい白い花。 南方の香り高い小さな花を意味する名の娘は、南蛮平定戦で沙摩柯などと同じように 蜀に帰順した南蛮の将の一人であった。 孟獲から土産に贈られた象や虎と共に、茉莉花はその世話係として蜀にやって来たのだが 風のように奔放で気まぐれな南方の娘に周りの者は度々悩まされていた。 胸と腰をわずかに覆っただけの南方衣のままうろつくのも、何度注意されても一向にやめようとしない。 今のように練兵場に顔を出すなど、全く兵たちの目の毒としか言いようがなかった。 余所見をする兵卒やたじろぐ姜維や魏延を横目で見て、ホウ統は覆面の下で苦笑した。
茉莉花は南蛮にいた時からなぜかホウ統になついており、蜀行きも彼女自ら言い出した事らしい。 軍略を教えて欲しいとせがまれ、はじめは面白半分で講義をしている内に情が移ったのか 口にする事こそなかったが、ホウ統はこの風変わりな娘をいつしか弟子のように思っていた。 それはちょうど、彼の同輩の諸葛亮と姜維の関係によく似ていた。
「素晴らしいです孔明様!なんという高さでしょう!」 「御覧なさい月英、あんなに空が近い。雲が手で掴めそうですよウフフ」 「何やってるんだい、諸葛亮」
蜀漢丞相・諸葛亮は、裏山で愛妻と象上の散歩を楽しんでいた所によく知った声をかけられて固まった。 しかしさすがは天下の奇才、内心の動揺を毛ほども見せず古馴染みの同門と連れの南蛮娘に冷静に言い返す。
「それはこちらの台詞です。調練を放って何をしているのですかホウ統」 「象舎に行ったら一頭足りなくてね、捜しに来たのさ。まさか象泥棒が身内にいようとはねぇ」 「別に捕まえる必要はありません。今し方私達が象泥棒から象を取り返してきた所ですから」 「そんなら結構。夕方にはちゃんと返しとくんだよ」
ホウ統と茉莉花は二人を乗せて去る象を黙って見送った。
「丞相は一体どうされたのかな」 「さあ……何かと忙しい身だから気晴らしが必要なんだろうさぁ」 「あたしたちみたいに?」 「馬鹿だねぇ、置いてくよ」
照れ隠しのように早足になるホウ統を茉莉花が追う。 繁みの中から一頭の大きな虎がのっそりと現れ、主人の後に続いた。
虎と戯れる茉莉花を見守りながら、ホウ統は木陰で思索に耽っていた。 軍師である以上、いかなる時でも頭の中では戦に向けて策が練られている。 それは象上ではしゃいでいるように見えた諸葛亮とて同じだった。 まして此度の戦は戦力においても軍資においても圧倒的に不利な状況だ。 その上、呉まで敵に回ってはどうなるか…… しかしホウ統は負けるつもりはなかった。 先主の大望を実現するために、決して負けられない勝負だ。 自分が持つ智恵の全てを尽くして必ず勝ってみせる――
「先生?」
茉莉花の声でホウ統の意識は現実に引き戻された。 なんだい、と返そうとしたがホウ統はぎょっとして息を呑んだ。 何も身につけず、恥ずかしげもなく突っ立っている茉莉花が目の前にいた。
「……何やってるんだいそんな格好で!!」
あんまり暑いので虎と水浴びをしようと思った、と目の前の川を指差した。
「鳳雛先生もいっしょに入る?そんな暑苦しい格好じゃ考えもまとまらないよ」 「馬鹿言うんじゃないよ、人に見られたらどうするんだい!?」
普段の飄々とした風情も消し飛び、うろたえるホウ統の襟首を虎の強靭な顎が捕らえた。 引きずられるように川へと連行されながら、前を歩く茉莉花の尻を見ないように 必死で顔をそむけるホウ統だった。
抵抗空しく川に落とされてホウ統はあっという間に濡れ鼠になった。 その上に茉莉花が笑いながら水を掛けてくる。ホウ統も負けじと悪戯な弟子に反撃した。
「やってくれたね、このっ」 「あははは! きもちいいー!」
他愛のない攻防はじきに終わり、二人は息を切らしながら岸辺に寝転んだ。 茉莉花の小麦色の肌に水が滴り、息をつく度に形の良い胸が上下する様が目に入り ホウ統は慌てて余所を向こうとしたが、しなやかな腕が伸びて首に絡んできた。 笑みを含んだ黒曜石のような瞳に見詰められ、思考が停止する。
「先生、大好き」 「………………」
太陽の暖かさに人が自ら衣を脱ぐように、この微笑みは人の心を裸にする。 策士として極力本意を悟られぬよう努めているホウ統といえど、例外ではなかった。
「お前さんも物好きだねぇ……」 「どうして?」
こんな冴えない男を、と言おうとしてホウ統は黙り込んだ。 以前自嘲気味にそう口にした時、いつも陽気な茉莉花がひどく悲しそうな顔をしたのだ。 恐らく茉莉花は、敬愛する師が自らを貶めるような事を言ったのに悲しんだのだろう。 だが自分は人より容色で劣る分、軍才では誰にも負けないようにと軍略に身を捧げてきた。 それを思うとこの容姿も悪い事ばかりではない――とホウ統は考える。
「……いや、わざわざ自分から軍略を教えて欲しいなんてね、たまげたよ」 「ん、南蛮(うち)は軍略の得意な人がいなくて負けちゃったから……それもあるけど」 「なんだい」 「丞相や先生が南蛮に来た時、あたしたち策で負かされちゃって悔しかったけど この人あたしが知らない事をいっぱい知ってるんだって思って、わくわくしたの。 だから軍略のほかにも、色んなこといっぱい教えて欲しい」
そう言うと茉莉花はホウ統の顔を覆う布を剥ぎ取り、口付けた。 師が誰にも見せないだろうあっけに取られた素顔に満足して、悪戯っぽく微笑む。
「困った弟子だねえ」 「鳳雛先生は、こういう仕方きらい?」
ホウ統は苦笑して茉莉花の頭を撫ぜた。
「こんな時まで先生と呼ぶこたぁないんだよ……士元って、字で呼んでおくれ」
茉莉花は頷いて、士元さま、と囁く。 耳に触れる吐息は心地良い南風のようで、ホウ統は目を細めた。 弟子の策に嵌った事をむしろ嬉しそうに茉莉花の肩を引き寄せる。
(あっしをここまで惑わすなんて、まったく大した策士だよ、お前さんは)
そこに至るまでの過程が如何に複雑なものでも、真実はいつも単純だった。 出自や立場の違いこそあれ、互いを愛し、必要としている――ただそれだけの事だ。 彼女の真っ正直な気持ちの前では、下らない劣等感も殺伐とした謀略も消えていくように思えた。 ともすれば鬱屈とした心境に陥りそうになる度、その得難い純真さに何度救われた事だろう。 この娘に教えたいのは、人を陥れ殺めるそんな方法ではなく――
「士元さま……」
下から愛撫を受けながら、茉莉花は切ない声で師の字を呼ぶ。 濡れた髪から雫といっしょに花飾りが落ち、寝転ぶホウ統の頭の横で音もなく散った。 掌の中で乳房がぽよぽよと弾む感触を楽しみながら、触れてほしそうに勃ち上がった乳首を軽く抓ると 茉莉花は堪らないように瞳を潤ませて首を振った。
「やぁ……そこ……」 「やめてほしいのかい?」
そこがいい所だと分かっていて、わざとホウ統は意地悪な事を言うが 茉莉花の精一杯の懇願にかなうはずもなかった。
「もっとしてぇ……もっと、きもちよく……」
望むように両方の蕾を苛めてやると、耳が蕩けそうに甘い声を上げた。 断続的な刺激にしなやかな腰が浮いて獣のような体勢になる。
「こんなにいやらしい体を隠そうともしないなんて、危なっかしいねえ……」
言葉とは裏腹に慈しむような目で媚態を見詰め、一糸も纏わない小麦色の伸びやかな肢体を 両手と視線で存分に愛でる。 腰から尻へとなぞるような手の動きに、茉莉花は吐息をこぼした。
「っあ、せんせ……士元さまぁ……んうぅっ」
良い所を知り尽くしている手に秘所を探られ、背中を反らして悶える。 乳房や尻と同じくふっくらと肉付きのいい秘唇は熱い蜜でぬめり、溢れそうになっていたが 茉莉花はそれを恥じるでもなくあるがままに法悦を味わっている。
「お前さんは本当に気持ち良さそうな顔をするねえ」
もう欲しい、とねだる茉莉花の腰に手をあてがいゆっくりと導いてやる。 中が拡かれ満たされる感覚に茉莉花は体を震わせ、深く息を吐いた。 温かく絡みつくような粘膜は師のものに吸い付いてくるようだった。 自分から動こうと茉莉花が腰を浮かすと、繋がっている様が良く見えて もうホウ統は駆け引きなど何も考えられなくなった。 二人とも息を弾ませ、相手を貪るように腰を揺らす。 そのうちに気をやったらしく、茉莉花が眉を寄せて小さく声を上げた。 絶頂に震える胎内に搾られるように、ホウ統自身も茉莉花の一番奥へ命の息吹を注ぎ込んだ。
ホウ統は草の褥に横たわる茉莉花の髪を撫でていた。 情交の余韻が残る艶を含んだ表情、無垢そのものの澄んだ瞳を愛しいと思った。 すっかり乾いた手触りのいい髪からは暖かな日なたの匂いと、異国の花の香りがする。 猫のように無邪気な仕草で、茉莉花は師の手に自分の手を重ねた。
「鳳雛先生……あたし、分かったよ……一番教えてほしい事……」 「…………」 「先生の事……ぜんぶ、教えて欲しい……大好きな先生のこと……知りたいの」
それが睦言という事に気付かないまま、茉莉花は夢の中へと堕ちていく。 裸のまま眠ってしまった弟子に自分の上衣を掛けてやり、ホウ統はやれやれと笑う。
「そんな事言われちゃあ、何が何でも勝って生き延びなきゃならないね……」
寄って来た虎に頬を舐められ、茉莉花がうぅん…と小さな吐息を漏らした。
斜陽の白帝城では、呉軍の攻撃が勢いを増していた。 猛攻に押される蜀軍は指揮するホウ統にも疲れが見え始め、防戦一方となっていた。
(どこも押されっぱなし……あとちょいとばかし兵があればねえ……)
戦況を分析するホウ統の背後に音もなく呉の兵士が迫っていた。 その背に剣が突き出されるすんでの所、横から飛び出した影が唸り声を上げて敵兵を組み伏せた。
「虎……!?」
驚くホウ統の耳に獣の鳴き声が届いた。見ると猛獣の奇襲に敵陣が乱れている。 そしてその中に象を操る愛弟子の姿があった。 どこからか吹いてきた暖かな風を頬に感じ、ホウ統は覆面の下で少しだけ笑った。 一瞬、茉莉花もこちらに笑いかけたような気がした。
「いつも驚かせてくれるね……お前さんといると、勝てそうな気がするよ」
杖を構え戦陣に駆け出すホウ統の衣の裾が大きく風に翻る。 まるで、鳳凰が南風に乗り羽ばたくように。
(終)
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