アマテラスが目を醒ますともう夜が明けるところだった。  
まだ寝ているウシワカにしっかりと抱かれていたので、起こさないよう上目遣いに見上げる。彼女は暖かかったのでもう一度寝直そうと目を瞑ったが、なんだか居心地が悪いのに気がついた。  
「?」  
足に何か固いものがあたっている。アマテラスはちょっとためらって、それから静かにウシワカの腕を外した。ん……とウシワカが声を出す。  
「…………」  
起きなかった。  
アマテラスはほっとしたように笑って、それから固くなっているもの−−ウシワカの自身に顔を近付けた。  
 くんくん  
嗅いでみる。それから舌を出し、少し舐めた。服の布越しでは舌触りが悪かったのだろう、顔をしかめる。  
触ってみる。撫でるように指を動かすと硬さが増すのが面白かったらしく両手で撫で回し始めた。どうやらそれが昨夜も自分の中に入ったものだとは思いもしていないらしい。  
「ぅ…………」  
とウシワカが喘ぎとも寝言ともつかない声を出し、薄く目を開けた。  
「アマテ……君…………こんな、早くからなにを……っ?!」  
そこでやっとウシワカが気付いたらしく慌てて股間を隠す。アマテラスが不満そうに彼を見た。  
「アマテラス君!だめだよそんなことしちゃ……」  
怒られて彼女がくぅん、と鼻を鳴らした。  
 
しかしそう怒ってみたところでウシワカの自身はもう硬く張り詰めてしまっている。おさまりはつきそうになかった。  
「……ユー……触りたいかい?」  
ウシワカは罪悪感を感じながらも欲望に促されるままにしょげているアマテラスに声をかける。彼女は嬉しそうにわん、と鳴いた。  
「じゃあ、こっちに来て」  
寄ってきた彼女の額にひとつ口づけてウシワカは下履きを緩めた。そこを見逃さずアマテラスは手を伸ばして直接掴む。  
感触が面白いのか、そのまま握ったり離したりする。そして先と同じように匂いを嗅いでからぺろりと一嘗めする。  
「……っ」  
ウシワカが堪え切れず声を上げた。その反応を楽しむようにアマテラスはぺろぺろと握ったそれを舐め回す。  
邪魔になった髪の毛を耳にかけるその仕草が艶めいて、またウシワカを煽る。彼女はちゅっ、と先の方を吸うとウシワカの腰が引けるのに気付いてその辺りをまるごと口へ含んだ。そのままもごもごと口を動かす。  
「ぅ……!」  
その刺激に耐え切れずウシワカは最後の理性を振り絞って射精寸前に口内から自身を抜き取った。がそこを逃すまいとアマテラスが手を伸ばした為、結果精液のほとんどは彼女の顔にかかってしまった。  
「ユー!大丈夫かい?」  
呆然としているアマテラスはたどたどしい手付きで顔についた白いものを拭うと、それを舐めてしまった。その光景にまたウシワカは欲情する。  
アマテラスはというと苦かったのだろう、顔を泣きそうにゆがめている。彼はアマテラスを抱き締めるとソーリィ、ユー……と呟いて布で顔を綺麗に拭いてやった。  
 
それからそっと口づけた。初めに浅く唇を重ね、つつっと舌でアマテラスの唇を辿る。口を一旦離して髪をゆっくりと撫でていると彼女が物欲しげにウシワカを見つめる。  
「キスして欲しい?」  
きゅぅ……と鼻を鳴らす。じゃぁ、ここまでおいで。そう言って自分の唇を指さす。彼女は躊躇いがちに近づくと座ったウシワカの首に立て膝で腕を回し、彼の顔を上向かせるようにして口づけた。  
彼はじっと我慢して自分からは舌を動かさない。アマテラスはぎこちなく舌を入れ、ウシワカの舌を探る。  
徐々にその動きは激しくなり、いつの間にかウシワカも彼女の頭を掴み夢中で口を吸い合っていた。見るとゆるゆるとアマテラスの腰が動いている。  
「……欲しい?」  
着物の上からそっと胸に手を這わせつつ、ウシワカは聞く。  
「ん……」  
もどかしい刺激に吐息をもらしてアマテラスが答える。ウシワカは彼女を後ろから抱きかかえると袂から手を潜り込ませる。固く起った突起を指先でゆっくりとなぞる。円を描くように撫でると息が上がる。  
突起に触れるか触れないかの位置で手のひらを動かす。僅かに擦れる先端から奔る微かに淡い快感はアマテラスを決して満足させるようなものではなく、でも繰り返されるそれは欲望だけを煽る。  
「…………っ」  
我慢が出来ずに彼女が自分で伸ばした手をウシワカは許さずに押さえ付けると後ろから首筋に舌を這わせる。それだけでアマテラスはびくっと体を震わせる。  
左手は胸を弄んだままでゆっくり、細く締まった腹から脚へ右手を移動させる。太ももの内側を手のひらで撫で上げるとともどかしさにアマテラスが身悶えする。  
それからようやく指で秘所へ分け入るとそこはもうぐっしょりと濡れていた。割れ目をなぞり指で割る。  
「ふ……ッ……ぁ!」  
その指を奥へ導くように腰が揺れている。  
 
「そんなに欲しいの?ユー……」  
また首筋を嘗め上げて囁くとアマテラスは熱っぽく潤んだ瞳で頷いた。  
ウシワカは彼女を四つん這いにして腰を高く上げさせると硬く起ったものを入口へあてた。  
そのままそこを先の方でなぞるように動かす。  
「っ……うー」  
アマテラスが唸るようなか細い声を上げた。  
「ははっ、ソーリィ。じゃあ、……いくよ」  
「あっ、、んっ……」  
ウシワカはゆっくりと奥まで差し入れる。そこから一気に入り口まで引くとそれを繰り返す。  
「んっ、……んっ、んっっ」  
そして一度半ばまで入れて動きを止める。  
アマテラスは自分でも気付かぬうちに自ら腰を振り始めた。それに合わせるようにウシワカも動く。  
「ぁ、んっ、、んぁっ……ああっ」  
ウシワカが手を伸ばして胸を掴むと反応して膣内がきゅっと締まる。  
「っ、……ユーっ、、イきそ、だ」  
打ち付ける腰の動きが急激に速くなる。  
「……っ!……ぅしわ、かっ、んっ、、んーっ、、っあ!」  
最後にウシワカがぎりぎりまで抜いて一気に奥まで突き入れ精を放つと同時に、アマテラスも果てた。  
 
 「ユー……」  
「……ううーっ」  
ウシワカが恐る恐るアマテラスに声をかけると狼姿の彼女は牙を向いて唸ってみせた。  
「本当に申し訳なかった……もうしないから、機嫌を直してくれないかい?」  
と何度頼んでもアマテラスはそっぽを向いたままだ。焦らされたのが相当嫌だったらしい。  
一向にこちらを向こうとしないアマテラスに後悔で本格的に落ち込み始めたウシワカは背中を向けて膝を抱えてしまった。  
顔を俯けて泣いているようにも見える。  
「…………」  
静かになったのに気がつき鼻先を向けてそれを見たアマテラスは仕方がないなとふん、と鼻を鳴らした。  
軽く飛び上がりくるんと宙返りをすると閃光が走り再び姿を女の貌へと変える。  
「……うしわか?」  
膝をついて肩に手をかけると彼は顔を上げた。……どうやら本当に泣いていたようだ。頬には筋が残り目の端にはまだ水滴が溢れそうになっている。  
慌てて顔を背けようとする彼を制してその筋を唇と舌で拭い、目に残る雫を吸う。そして小首をかしげて  
「もう、しない?」  
とだけ問うた。必死で首を縦に振るウシワカに彼女は少し笑って彼の頬にもう一度口づけた。そして  
「なかなおり」  
言って自分の唇を指さした。目を瞑って顔を上向けるアマテラスにまだ目の赤い彼もようやく微笑む。  
仲直りのキスは涙の味がした。  
 

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