吹雪が激しくなった。今日で三回目だ。いろりに薪を放り投げながら、そんなことを考えている一人の男。狩りに出掛けることができなくなり家に籠もることになったオキクルミ。  
ふと、外に気配を感じた。「ケムラムか?」  
剣を構えてドアに近づく。タイミングをはかる。ドアを開けようとした瞬間。  
「オキクルミ!」  
いきなり開いたドアの向こうにカイポクが立っていた。  
「!」  
オキクルミは剣を抜いた態勢で急停止する。予想外の人物が立っていたからだ。「ちょっと!客にそんな物騒なもの向けていいのかい!」  
カイポクがオキクルミの態度に半ば呆れながら話す。「・・・・すまん」  
剣を下げながら、律儀に謝る。仮面の下の表情はわからないが、カイポクにはオキクルミの声で、今どんな顔をしているか想像してしまい、くすりと笑った。  
「なんの用だ」  
無愛想な質問を投げ掛ける。カイポクは訪ねる時期をわかっていてくるのか。  
オイナ族は半人半獣の一族。その体の中にめぐる獣の血は、人間では押さえられない。発情期である。とくに女性が強く、その雰囲気に飲まれないよう男性はこの時期はあまり女性と会わないようにしている。今。その発情期なのに、カイポクはオキクルミを訪ねてきたのだ。  
「えっとね・・・ご飯食べてないでしょ?作ろうかと思って。」  
今はそれどころではない。オキクルミは唇を噛んで理性を保つ。  
「ここにいると危険だぞ」  
帰れ。というとカイポクは泣いてしまう。その言葉は避けた。  
「信じてるからね」  
そういうことを言われれば断れないじゃないか。オキクルミは中に入れざるをえなかった。  
 
 
「おいしい?」  
夕食を一緒に食べている二人。カイポクもまだ夕食を食べていなかったらしい。「・・・うまい」  
素直に感想を述べるオキクルミ。今も辛い状況にある。  
「よかった」  
カイポクも食べ始める。仮面をとった顔は幼いとき以来だった。仮面の下の顔はあの時の面影もないくらいに女らしい少女の顔だった。  
「・・・・・っ!!」  
やばい。とっさに剣をとり、自分の手に突き立てる。「!!?オキクルミ!!」  
剣が刺さった手は血があふれていた。自分を保つためだ。この程度で。  
「・・・・っ。飯を食べたらすぐに行け」  
「でも怪我が!」  
カイポクが手当てしようとオキクルミの手に触れる。「!!」  
剣を再び突き立てる。まずい。  
「やめて!オキクルミ!」  
カイポクが必死で泣き叫ぶ。そして  
「なんにも考えないでこの時期にオキクルミに会いにこないわけないでしょ!」   
 
突然の告白だった。つまりねらってここにきたということだ。  
「あ」  
赤面するカイポク。自分の発言に羞恥と緊張でのぼせそうに赤くなる。こんな時に仮面がないなんて。  
「・・・・・いいのか」  
オキクルミが口を開く。理性が限界にきていた。汗と動悸がとまらない。制御できない。  
「・・・・うん」  
カイポクの返事を聞いた瞬間オキクルミは、押し倒していた。  
 
顔の半分だけあげた仮面を外し、カイポクを見る。押し倒されたカイポクはオキクルミの変貌に驚きつつ手の怪我も気になった。  
「血か?すぐに止まる。」  
視線を感じ取ったのかオキクルミは返事をする。  
「でも・・・っん」  
それでも気になっているカイポクの言いかけの唇をふさぐ。もちろん二人とも初めての接吻である。だが、オキクルミはもはや本能でしているに等しかった。わずかな自分を残して。  
「ぷはっ・・・・・はぁ」  
息継ぎのタイミングを知らないので苦しくなる。ふとオキクルミの素顔を見たカイポクはまたもや赤面する。幼いときの顔はもう立派な青年の顔になっていた。  
「ふぅっ・・・・んんっ・・・・っ」  
口付けはだんだん濃厚になっていく。互いの舌を絡ませ、唾液を共有しあい、飲ませる。口の端からあふれ出て筋を残す。粘りのある水音が部屋に響く。  
「んぁっ・・・・」  
唇を放すと銀色の糸が互いをつなぐ。  
「カイポク・・・」  
耳元でオキクルミの低音が耳に入る。名前を呼ばれるのがこんなに気持ちいいことなんて初めて知った。  
そんなことを考えていたらすでに身につけているのは下着だけになっていた。  
「ひぁっ!あっ!」  
形のいい乳房を弄ぶ。くねくねと形を変え、揉みしだく。  
「ひゃあああん!!」  
膨らみの頂きに刺激を与えるとカイポクは電撃でも浴びたかのように跳ねた。こりこりと指で転がし、反対の方は口に含み舌で転がすと、さらに跳ねる。  
「はぁ・・・・・オ・・・・オキクルミ・・・・」  
切なそうな声を上げながらカイポクは大腿をすり合わせていた。オキクルミは足を広げようと試みるが  
「だ・・・だめぇ・・・」  
「なぜだ」  
「恥ずかしいよ・・・・」  
顔を隠してしまったカイポク。するとオキクルミは服を脱ぎ始めた。  
「わっ・・・・」  
オキクルミは腕も胸もきずだらけだった。村を、みんなを守ってくれてついた傷だ。あの双魔神を倒した時に付いた傷だろう、まだ新しい。  
カイポクは感謝の意味を込めて古傷達に口付けをする。消毒するかのように、ゆっくりと舌を這わせる。  
「っ・・・・・」  
オキクルミはカイポクの予想外の奉仕にある一点へねつが籠もるのを感じた。丁寧に愛撫するカイポクを愛しそうに見ていたが、すぐに限界は来た。  
「カイポク・・・・いいか」  
「・・・・うん」  
 
オキクルミはカイポクの足を広げさせる。秘部が露になる。てらてらと光る肉の色と雌の匂いががさらに興奮させる。  
「うんっ・・・・はぅっ・・・ん」   
指を膣へ侵入させると蜜があふれてくる。それに驚くほどオキクルミの指を食い千切らんばかりに締め付ける。  
「・・・・・すごいなカイポク」   
「いわないでっ・・・・あんっ」  
抜き差しを繰り返しながら指を増やす。  
「ふぁっ・・あっ・・ん・・ん・・・・・ひゃぁっ・・」  
喘ぎと蜜の量が増してくる。あふれて尻ををつたい床を濡らしていた。  
「オキ・・・クルミっ・・いゃぁっ・・・・オキクルミっ」  
カイポクは腕をのばしオキクルミを抱き寄せる。  
「入れるぞ・・・・」  
ごくっと生唾を飲む。オキクルミのそれは、はち切れんばかりに膨れ上がっていた。  
「きて・・・」  
カイポクも奥のうずきが限界にきていた。  
オキクルミはそれをカイポクの秘部へあてがう。すり付けながら場所を確かめ、一気に貫いた。  
「くっ・・・・」  
「きゃああああああっ!」  
カイポクの絶叫がこだまする。初めて侵入を許してしまったことと、オキクルミの愛情が交差する。  
「カイポク!大丈夫か!」  
涙を流していたカイポクを抱き締める。  
「大丈夫だよ・・・・相手がオキクルミでよかったなぁって思ったんだよ」  
苦痛に耐えながら声を絞りだし、カイポクは思いを告げた。  
「カイポク・・・」  
健気な少女の姿を見て、オキクルミはやはりこの子が好きだということを改めて実感した。  
「好きだ・・・カイポク」  
オキクルミも長年ためていた思いを告げる。  
「やっと言ってくれたね・・・・オキクルミ」  
新しい涙を流しながら、カイポクは胸の奥が暖かくなるのを感じた。  
「・・・・動いていいか?」  
「うん・・・やさしくして」  
同意を確認してゆっくりと律動を開始する。  
「・・・・っ」  
「んあっ・・・はぁっ・・・」  
カイポクの声に艶がでてきた。スピードを速めると、さらに締め付けてくる。それだけでも達してしまいそうになるのを、オキクルミは耐えた。  
「あんっ・・・・あっ・・あっ・・・あっ」  
徐々に高みへ掛けのぼっていく。限界まであとわずかだ。  
「ひぁっ!うんっ!ぃやっ!く・・・くるっ!なんかくるよぉっ!」  
結合部から二人の体液が交ざり合う水音が響く。  
「・・・・くっ・・・出るっ」  
「オキクルミ!オキクルミ!いやぁっ!くるっ!」  
オキクルミの熱いものが吐き出される。カイポクはその熱さと量に圧倒され二人同時に達した。  
「んぁあああああっ!」  
 
 
 
「すまないカイポク!」  
頭を床に叩きつけながらオキクルミは謝る。  
「おまえにあんなことを・・・・オレがもう少し理性を保っていれば・・・・」  
「もういいの!両思いなんだからさ!」  
さっきの情事を思い出して赤面しつつも、カイポクは思いが通じたことの喜びを噛み締めていた。  
「・・・・そうか」  
渋々納得するオキクルミもその思いには正直にうなずいたのだった。  
あれから二人は中睦まじく愛し合ったのでした。  
 

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