「くっそお、アマ公の奴めぇ!  
おいらを置いて、どこほっつき歩いてんだよぉ…。  
夜も更けてきやがったし、しょうがねえ、どっかに泊めてもらうか。  
…まあ、どうせ泊めてもらうなら、やっぱりカワイコちゃんのトコだよなあ  
プフフフフ クシナダのねえちゃ〜ん。」  
常なら、溌剌としながらもかわいらしい返事が聞こえる酒屋の店先。  
しかし、クシナダの返事はない。  
「あれぇ、いないのかぁ?それとももう寝ちまったのかな、おーい?」  
図々しくも、ずかずかと人の家に上がりこむイッスン。  
家の主はすでに眠りに就いていた。  
 
 クシナダの夜は早い、真面目な酒造り職人の彼女は日の出とともに起きて働き、日が暮れると早々に眠る生活をしているからだ。  
「おやあ、もうぐっすりじゃねぇか、…ふぁああ…、どれおいらもチョッくら寝させてもらおうかなあ。」  
もぞもぞと布団にもぐりこむ。お目当ての場所は……。  
「プフフフフ。妖精ってぇのはこういうとき得だよなあ、であったまらしてもらおうかぃ。  
まあ、クシナダのねえちゃんのはちょっとちっこいけど、なあに、ぬくいおっぱいは、いいおっぱいだ。」  
ごそごそと動く妖精にまさぐられ、クシナダの口から甘い吐息が漏れ出す。  
「あ、ううん、だめよ、スサノオったらぁ」  
「…ねぇちゃん、奴はオイラみたいに床上手じゃないと思うぜぇ、まったく趣味がわるいってぇか…。どぉれ、泊めてもらうお礼に、もっと良いことをしてやろうかな…あん?」  
胸の間に納まって温もりと感触を楽しんでいたイッスンが、桃色の乳頭をまさぐろうと手を伸ばす。しかし、その手が敏感な突起に到達しようとしたとき、乙女は大きく身もだえしだした。  
「あ、はあ、はあはあ、うあ、ああああ〜ん…」  
「うわあああ、な、なんだあ???」  
その体の揺らめきに、もみくちゃにされた小さな妖精は、ほうほうの態で懐から這い出した。  
「一体なんだってンだい、いきなりい?オイラまだなんもしてねえぞぉ?」  
布団から転げ出ると、クシナダの足元がこんもりと盛り上がっている。  
ぴちゃ、ぴちゃ、という濡れた音が漏れ出す…。  
「んんん?なんだこりゃ」  
その音の原因を探りに、クシナダの足元に下がっていくと…。  
「ってアマ公!!!何やってんだぃてめえ!」  
音の主は、最前妖精がぼやいていた相手、白い狼の姿をした太陽神、アマテラスだった。  
相棒の一寸の臭いをかぎつけてきたのか、クシナダの家に来たのはいいが、イヌ科の習性からか、乙女の股間を盛んに嗅いでいる…だけではなく、盛んに舐めている。  
「おいこら、アマ公!いくら神様だからって、勝手にそんなことまでしていいのかよぅ!  
こら、もうやめろってぇ!」  
さっき自分がしようとしていたことを棚に上げて、大神を止める妖精。  
根は純情なのだ。  
「さあ、次の筆神を探しにさっさと行こうぜ、お前がふらふらしてたおかげで、オイラの筆を極める旅がだいぶ道草食っちまったからなあ」  
大神は、赤い顔をした妖精を不思議そうに眺めると、一声「ワン!」と鳴いて風の様に駆けだした。  
 
 

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