どうしてアイツはこんなにも鈍いのだろうか?  
俺がこんなに部活頑張ってんのも、中学の時から変わった俺を見せたいからなのに。  
…って単純だな…俺…。  
 
「はぁー…」  
部活が終わると、俺は大きくため息を吐いた。  
あー、もう…なんか俺ばっかり悩んでてバカみてぇじゃん。  
 
「仲安くーん!」  
「うわぁぁあ!?」  
後ろには俺の柔道着を引っ張る麻理がいた。  
「今日一緒に帰ろう?」  
驚く俺を尻目に麻理はマイペースに話を続ける。  
「お…おう」  
そういや麻理と一緒に帰んの久しぶりだな。  
アイツ、全国レベルの合宿行ったりしてて忙しかったしな…。  
 
 
もうすっかり日が暮れて、電灯がぽつぽつとあるだけの道を二人で歩く。  
麻理はその間にも試合とか合宿の話を一人で喋り続ける。  
…なんかその話を聞いてたら、余計麻理が遠い世界に行ってしまうような気がした。  
 
「あのさ、麻理…」  
俺は覚悟を決めた。  
何も言わないまま後悔したくない。  
 
「んっ?何?」  
麻理は立ち止まって俺を見上げる。  
 
「俺さ…麻理の事好きだ」  
うわ…今の俺の顔、絶対真っ赤になってる…!  
 
「うんっ!私も仲安くんの事好きだよ!」  
…告白成功!?  
 
「中学の時からずっと友達だもんね!」  
…はぁ!?コイツはどんだけ鈍感なんだ?  
 
「そうじゃなくてよぉ…」  
俺は頭を抱えた。どうすりゃ良いんだよ…。  
俺が悩んでいる時にも、麻理はあっけらかんとした表情で俺を見る。  
こうなったら最終手段。  
俺は少し屈んで麻理の頬に軽く口付けた。  
 
「…だから…好きっていうのはこういう事!!」  
なんだか恥ずかしくなって口許をおさえる。麻理は目を見開きながら顔を真っ赤にした。  
これが俺なりに伝えた気持ち。  
麻理の返事が聞けるのはもうすぐ…  
 
-終わり-  
 

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