コトが終わった後の少し気怠い空気が好き。
私は髪に触れる彼の手の熱さを感じながら荒い呼吸が整うのを待った。
呼吸が穏やかになるにつれ、彼の心臓の音が伝わって来る。
もっと近くに感じたくて私は彼の胸に鼻先を押し当てる。
「くすぐってーよ」
「感じちゃった?」
「アホか・・・」
フッと息を吐いて杉くんが私を抱き寄せる。
「…暑いよ」
「我慢しろ」
「横暴ね」
わざと不満気な声で言ってみる。
胸の振動で彼が笑ったことが伝わってきた。
少し弛められた腕の中で私は指先を彼の胸を滑らせるように動かした。
そのまま下に移動させすっかりと緊張の解けた彼の分身に触れる。
「変なトコ触るなよ」
「だって可愛いんだもん」
「・・・複雑な気分だな。小さいって言いたい訳?」
「他知らないから分かんないよ」
私は忍び笑いを漏らしながら指先でそれを弄んだ。
「でも不思議よね。今はこんなに柔らかくて可愛いのにあんなに大きく固くなっちゃうんだから」
「・・・あのなぁ、お前には羞恥心っつーモンがないのか?」
杉くんが呆れたように言う。
「だって本当に不思議なんだもん。知らないことに興味が沸くのは自然なことでしょ?
知的好奇心ってヤツよ」
「チテキコーキシン、ねぇ・・・」
杉くんの指が私の背中をなぞる。かすかな刺激がくすぐったかった。
「ま、分からんでもないかな」
そう呟くと杉くんは身体を起こした。私の両手を掴むとそのまま反転させ拘束された。
「ちょっ!何?あれだけやったのにまだヤル気なの?」
最後まで言えずに唇を塞がれた。
「ん・・・。ふぅ・・・」
杉くんの舌の動きに私の冷えかけた身体が反応する。
唇が解放された時には整えたはずの呼吸がすっかり乱れてすぐには言葉が出せなくなっていた。
杉くんは濡れた口元を手の甲でぐいと拭うと意地の悪い笑みを浮かべた。
「いつもギャーギャーうるさいお前がキスひとつで急におとなしくなるのは何故だろう、ってな」
私の耳たぶを舌先で嬲りながら杉くんが囁いた。
耳たぶから首筋、鎖骨を通り舌先が胸の頂点を弾く。
「んっ・・・!」
「口よりも手が先に出るような暴力女がここを弄られると途端に力が抜けるちまうってのも
不思議っちゃ不思議かもな」
彼の言う通りちっとも力の入らない腕で抵抗を試みる。
そんな私をからかうように彼の舌が私からさらに力を奪う。
気力をふり絞って思いきり睨み付けてみても彼が悪戯を止めてくれる気配はなかった。
「チテキコーキシンが旺盛な海老塚サンにイイこと教えてやるよ」
「・・・何?」
「その気になってる男をそんな目で見上げるのは逆効果だってこと。
却って嗜虐性を刺激されちまう、ってな」
「・・・それはあんたがドSだからでしょっ!」
「俺がドSならお前は間違いなくドMだな」
そう言って含み笑いをすると杉くんはすっかり固くなってしまった胸の頂点に歯を立てた。
「いゃぁぁん・・・!」
軽く達してしまい荒い呼吸をしている私の耳元で彼が囁く。
「さて。意地っ張りなお前が素直になるには次はどこを触ればイイ?」
「・・・バカ!スケベ!ドS!!」
私の怒声を無視して彼の指先が脇腹をかすめ太股に触れる。ゆっくりとした動きに逆に煽られる。
たまらず両膝を擦り合わせるように身をよじる。
彼の指先がそこに辿り着いた時私の唇から零れたのは甘さを含んだ溜め息だった。
「・・・すげぇ濡れてる。さっき散々したのにな」
くっと短く笑う杉くんの視線から逃れるように顔を背ける。
「杉くんの意地悪・・・」
「どーする?・・・も一回する?」
心の中で『このドスケベ!』と罵倒しつつ、私はそっと首を縦に振った。
夜明けはまだずっと先だ・・・。