「杉くん起きなよ〜、こんなトコで寝たら風邪ひくよ〜」
言いながらぺちぺちと俺のデコを叩く
「杉くーん、杉ータコ杉ー」
べちべちべちべち
(なんか腹立つから狸寝入りしてやろ)
「エロ杉スケベクソ坊主の煩悩まみれ〜」
びたんびたんびたんびたん
(こいつ、調子に乗りやがって…)
「……清修」
小さい声でぽつりと囁いた
俺はカッと目を見開き、海老塚の手を取り強引に引き寄せた
「う、わっ」
バランスを崩し、覆いかぶさってくる
少し動けば唇が触れる距離
逃げようとする海老塚の後頭部を、空いた手で押さえる
「な、によ、起きてたの?」
目を泳がせむくれる
「今呼んだな、俺の名前」
「っ……」
途端に顔が赤くなる
「なんでいつも呼んでくれねぇの?」
「……」
耳まで赤くしながら、やはり目を合わせようとしない
「なぁ…」
「は、」
やっと俺の目を見て
「恥ずかしい…から!」
と言いまた目を反らす
俺はふ、と笑い
「桜子」
と呼んでみる
「なっ、によ…」
いつもは「桜子って呼ぶな!」て殴られるが、今日は大人しい
軽く押し付ける様にキスをして
「せめて二人の時は名前呼んでくれよ」
「ぅ…ん」
真っ赤になって頷いた桜子を、ギュッと抱きしめた
「な、もっかい呼んで?」
耳元で、小さく掠れた声で
「…清修」
きっとまっかっかなんだろうと思い、ニヤニヤ笑ってしまう
抱きしめている腕を解いて
「ちゅーして」
と言ってみる
桜子は「なっ…」と声を出したが、ゆっくり赤い顔を近付けて、ちょん、と唇を落とした
俺は
「もう一回!」
と、目をつむり唇を突き出した
ら
「〜〜!!調子に乗んな!!」
デコに強烈なゲンコツを喰らった
おしまい