「ほら、座れ」  
 
酔っ払ってご機嫌な海老塚をソファに降ろし、水を取りに行く  
 
「えっへっへ〜おんぶごくろうであった〜よきにはからえ〜」  
 
冷えたボトルを渡してやるが  
 
「開〜け〜て〜」  
 
とニコニコ笑顔で付き返しされた  
 
「たく」  
 
ドッカと隣に腰を下ろし、蓋を外して  
 
「ほら」  
 
ありがとうと受け取り、美味そうに喉を鳴らして飲む  
 
口の端から少し零し、舌を出してぺろりと舐めた  
 
やけに生々しい赤い舌から目を外せずにいると  
 
「飲む?」  
 
とボトルを差し出して来たので手を延ばすが  
 
「やっぱダァメ」  
 
と言いながらボトルを引き寄せ、水を口に含む  
 
「何なんだよ」  
 
と言いながらもう一本冷蔵庫に有るのを思い出し腰を上げると  
 
「んーんー!」  
 
グイッとシャツを引っ張られまた腰を落とす  
 
「だから何なんだよ〜」  
 
少し苛々しながら海老塚を見る  
 
口に水を含んだまま、膝に跨がって来た  
 
「お、い」  
 
向こうから甘えてくるなんて初めての展開に動けずにいると  
 
「んー」  
 
と唇を押し付けてきた  
 
角度を変え少し開くと、生温い水が流れ込んで来た  
 
「んーふふー」  
 
首に腕を回し、ギュッとしがみついてくる  
 
「おい酔っ払いどうしたんだ」  
 
「どーしたんでしょうねー」  
 
言いながら、肩に顔を寄せてくる  
 
腰の辺りに腕を回し抱きしめる  
 
「すーぎくーん」  
 
「……」  
 
「あ、そうか」  
 
海老塚はクスクス笑い  
 
「清修ー」  
 
「…なんだよ桜子」  
 
「んふふふふー」  
 
肩に顔を猫の様に擦り付け  
 
 
 
 
「眠い」  
 
言ってくれると期待した言葉に、似ても似つかない単語に呆気にとられた  
 
「ちょっ!?おまえそこはあれだろ!?」  
 
「ん〜…?」  
 
海老塚を引きはがし顔を見るが  
 
「ん〜…」  
 
「……はぁ」  
 
諦めてまた抱きしめる  
 
スウスウと、規則正しい寝息が聞こえ始めた  
 
「こんな幸せそうな顔されたら、なぁ」  
 
ふにゃらと笑う様に眠る海老塚を見て、自分の頬も緩む  
 
 
幸せだなぁ、と目を伏せた  
 
 

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