兄の遺体が家に運ばれた時、私は泣き崩れた。既に時間が経ちすぎており、呪文による蘇生は絶望的だと言う。  
「ウーム、これはいい死体ですねぇ」傍らで父は信じられない事を言う。  
何がいいものか。兄は死んだのだ。私が泣いていると父が言った。  
「1つ彼を蘇らせてみましょうか。オリアス、手伝うのです。デボルトを実験室へ。」  
父の怪しげな研究は私も兄も嫌っていたが、この時ばかりは父だけが頼りだった。父の研究室に遺体を運ぶ。  
小屋の中央に置かれた、液体の入った棺に兄を寝かせた。  
「オリアス、兄を助けたいですか?兄のために何でもできますか?」  
私はうなずいた。  
「・・・では服を脱いで兄の隣に寝なさい。貴女の生命を使って兄の生命を呼び戻します。」  
言葉の意味が分からなかったが、私はともかく服を脱いだ。  
手で茂みを隠しながら兄の隣に身体を横たえる。棺は狭かった。  
 
「一度棺を閉じます。何があっても開けないように。」  
眼前で棺が閉じられる。漆黒の闇と薬品の強烈な匂いに気が遠くなる。遥か遠くで父の詠唱が聞こえた。  
 
 
私は全裸で冥府に来ていた。暗黒神アスモデと話している。冥府の王に兄を返すよう頼んでいた。  
アスモデの手が私の乳房に伸びる。ガクン、身体の力が抜け、胸が急に重たくなる。  
 
・・・!身体をまさぐる感触に、私は目を覚ました。胸が膨らんでおり、ひどく重い。  
闇の中から伸びた手が私を捕え、抱き寄せてくる。「兄さん・・・?」  
返事はない。手は強い力で私を押さえつけると、私の乳房を揉んだ。  
ぶしゅッ。奇妙な感触と共に、私の乳房から母乳が吹き出す。  
(何・・・、これ・・・ッ!!)相手は私を組み敷くと、乳房に吸い付いてきた。  
「ヤ・・・、ちょっと・・・ッ!お父さん、助けて!!」  
 
「始まったようですねェ。」蓋の向こうで父の声がした。  
「オリアス、デボルトに乳を与えるのです。お前の母乳で兄がよみがえる、そういう仕組みなンですから。」  
聞こえた父の言葉に、私は絶句した。血の繋がった兄に乳房を吸われる。そんなことが許されようか。  
兄の指はさらに、私の秘所に伸びてくる。  
「ヤダア、そんなの!ヤダアッ!!兄さん、目を覚ましてッッ!」  
悲鳴は兄には届かない。兄は私の乳房に吸い付くと、ゴクゴクと喉を鳴らして母乳を飲んだ。  
指が私の鞘をまさぐり、クチュクチュと肉豆を擦る。股間がちりちりと痺れる感触に、私は悲鳴を上げた。  
 
いいですねえ。あの兄には勿体無いくらいなンですが。  
棺の蓋に耳を当て、屍術師は中の物音を聞いていた。  
ここまでの経過は順調のようだ。研究の進捗に彼はニンマリする。  
彼の妻は愚かな女だった。研究の何たるかを分かっていない。  
今回と同じ死者の復活を彼女の身体で試みたところ、彼女は実験の終了を待たず逃げ出してしまった。  
だが今回は違う。被験者は娘であり、死体は彼女の兄なのだ。よもや、逃げ出すことはあるまい。  
兄に母乳を与える妹。それと知らず妹の母乳を求める兄。  
棺の中で、娘の悲鳴が啜り泣きに、やがて嬌声へと変わっていく。  
 
どれほど時間が経っただろう。永遠のような時間の後で、ようやく蓋が開いた  
泣き濡れた目の前に父の顔が浮かぶ。「時間ですよ、オリアス。棺から出なさい。」  
私はよろよろとふらつきながら、身体を起こした。父の手が乳房に伸びる。  
「触らないでッ!」その手をバチンと払った。乳首の先端から、わずかに乳が滴る。  
「・・・少し薬剤が効きすぎましたかね。さて・・・、」  
父が兄を見た。(そうだ、兄さんは・・・。)私は兄を振り返り絶句した。  
「そんな・・・兄さん!!」  
そこにいたのは、私が期待した兄さんではなかった。血色の悪い、死体さながらの兄の姿。  
目をぎょろりさせ、ゆっくりと身体を動かす。  
「フーム、まずまずですねえ。私がわかりますか、デボルト?」  
「二・・・バス・・・。」ポツリと兄さんはつぶやく。だが意識はおろか記憶もはっきりしないようだ。  
「フーム、細胞は再生している。心臓も脈動している。素晴らしい!!今までで一番の成果だ。記憶はやはり戻りませんでしたか。さて・  
 
・・、」  
父は兄の頭をこちらに向けた。「さあ、貴方に彼女が分かりますか。裸の女です。裸の女にあなたが成すべき事は一つですね・・・。」  
兄さんの目の焦点が私を捕える。次の瞬間・・・!!  
「イヤッ・・・いやあああああ!!」  
兄さんは私の腰を押さえると、がっちりと引き寄せた。直立した兄の分身が私の尻に当たる。  
「イヤア、そんなのいやああああ!兄さん、目を覚ましてェェェェッ!!」  
だが兄は圧倒的な力で私を押さえつけ、背後から凶器をねじ込んできた。「イヤアアアアッ!」私は声を枯らし、絶叫する。  
「兄さんは貴女が憎いンです。貴女が彼を安らかな眠りから呼び戻したンですからね。  
でも生殖機能が戻ることを確かめるのも重要な研究なんですよ・・・。」  
ヒイイイイイッ!!グチャグチャと音を立て、兄が分身を抜き差しする。  
私の中で兄の分身がむくむくと膨れ上がっていく。  
 
天罰だ。私は思った。どうして兄を生き返らそうなんて思ったのだろう。どうして兄が生き返るなんて思ったのだろう。  
誰しもいつか死ぬのだ。起きた死を受け入れなければならないのに、私にはそれができなかった。  
私がわがままだったばっかりに、優しかった兄さんをこんな怪物ににしてしまった。  
それでも女の生理は残酷で、自然に腰が背後に突き出る。猛り狂う兄の分身が子宮を小突きにする感触に、私は声を上げた。  
 
「・・・いい声で鳴くようになりましたねェ、オリアス!柄にもなく勃ってしまいましたよ。  
兄を生き返らせたご褒美に、私の分身も愛してもらいましょうか。」  
「いやあああッ!ケダモノ〜〜!!」  
私は泣き喚くが、兄に背後からがっちりと嵌められては逃げることはできない。私は口内に無理やり父のペニスをねじ込まれた。  
「むぐっ・・・ムグゥ〜〜ッ!!」父の陰毛に顔を埋めながら、私は泣き叫んだ。  
「オリアス〜、そうイヤがるものじゃありませんよ。そもそも貴女だって私の分身からできたンじゃないですか。」  
「ヒギィ・・・むごぉぉぉ!!」父は嫌がる私の後頭部をつかみ、無理やり抜き差しさせた。父の分身が私の口腔を蹂躙する。  
さらに父の手が胸に回る。牝牛の乳を搾るように、父は私の母乳を絞った。その手を口に運び、私自身が味あわれる。  
父のペニスが喉を貫いた。そして・・・。  
ドクン!ドクン!威勢良く噴出す父の精に私はむせ返った。「グフッ・・・ごほっ・・・っ!」栗の匂いが喉に広がっていく。  
チュパ。父は分身を引き抜いたが、休む間もなく背後のデボルトが激しく律動しだした。  
「ヤッ・・・イヤア・・・、やめてぇ!!!」私の願いは無視され、兄が私の中で暴れまわった。  
兄の太い剛直が、私の胎内を埋めつくす。直後、兄もまた私の中に精を放った。  
どくっどくっどくっどくっどくっどくっ!!兄の分身がぶるんと震え、通常より多い精が私の胎内に放たれた。  
「ウウ・・・。」兄の手が離れる。力尽きた私はその場にへたり込んでしまった。  
 
ぼんやりと天井を眺めている。もう何もかもどうでもいい。悪い夢だと思いたい。  
私の秘口から溢れた白濁液を見て、父が言った。「完璧です。生殖も問題ないですね。」  
知るものか。私には関係ないことだ。「おや、貴女まだ溜まっているようですねぇ。」  
父は私の乳房をキュッと確かめ言った。  
「折角です、オリアス。もう1つ実験に付き合ってもらいますよ。貴女の母乳を欲している亡者はまだ大勢いるのですから・・・。  
出でよ!サモンダークネス!!」  
4体のゾンビが父の周囲に現れる。「さあ、ご馳走です。あなた方の生への執着を見せてください!」  
「やッ!いやあああああ!!!!」再び私は悲鳴を上げた。だが逃げられない事など百も承知だ。  
私は既に亡者に捧げられた生贄なのだ。ギュッと目を閉じた。  
 
その後に起きた事を、私はよく覚えていない。ただそれまで静かだったデボルトが、うなり声を上げて暴れまわっていた。  
素手でゾンビたちをなぎ払い、次々に父に投げつけた。父は驚愕と怒りの表情を見せたが、やがていずこかへ消えた・・・。  
 
気が付くと部屋は静かになっていた。壊れた実験器具が散乱しており、真ん中にデボルトがうずくまっている。  
私は慌てて服を着ると、小屋から逃げ出そうとした、戸口のところで後ろを振り返る。  
兄は膝を抱きかかえたまま、カタカタと震えているようだった。  
ふと子供のようなその背中が、言っているように思えた。オリアス、助けてくれ・・・、と。  
私は一瞬ためらい、そして兄に声をかけた。「立って、兄さん!逃げるのよ!!」  
私は無理やり兄を立たせ、服を着せると、兄の手を引き薄明の中に駆け出した。  
 
 
「兄さん、記憶を少しずつ取り戻しているみたいなの。」  
 
神竜騎士団を離れて半月。私たちはアシュトンに近い教会に来ていた。神父さんは優しく、私と兄を快く迎えてくれた。  
兄は今、庭師として教会で働いている。兄の周りには不思議と子供たち集まる。  
子供は不思議だ。差別も偏見もなく、兄を受け入れてくれるのだから。  
だがそんな生活が、兄には合っているようだった。気のせいか血色も少しずつ良くなってきている。このまま元に戻るのだろうか。  
戻るかもしれない。戻らないかもしれない。でも、例え戻らなくとも、私は決して兄を見捨てない。  
こんな奇妙な運命を辿った兄妹は他にはいないだろう。それでも、私と兄の絆は海よりも深い。  
 
 

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