『ヴァレリア解放戦線の最期』というイベントがある。
セリエ・フォリナーと言う高潔な女戦士が変態的な双子との戦いに敗れ、
無残に傷付いた状態で雑兵に輪姦されるというのが話の筋である。
正直背筋が凍る、だが股間の辺りが燃えるようにホットになるのも事実だ。
今日はそのイベントの成立について騙ろう。
M野は女というものがキライだった。
それ故に、M野のクリエートする作品に世間一般の低俗な女はあらかじめ排除されている。
そして並みの女が羨むような美人でカッコいい女を活躍させるのだ。
中でもセリエ・フォリナーというキャラクターは自慢のデキだった。
(どうだ!世間のバカ女ども!おまえらはこんな女になりたいだろう?へっ…)
だが世間の女を解釈してバカにしてもM野の気は晴れなかった。
その原因は明白だ。
セリエが欲しいのだ。
こんな女が手に入れたい、こんな女を抱きたい、こんな女と寝たい。
いつしかM野はセリエを欲していたのだ。
(たかがゲームの女、しかもオレ自身の分身とも言える妄想ッ。何故ここまで苦しまねばならないッ?)
M野は自分の情念に身を切るように苦しんだ。
セリエなどこの世にいない。だがM野はセリエが好きなのだ。
そして、いたとしても自分にセリエを手に入れることができるだろうか?
M野は自分自身の欲望の幻影に苦悩した。
(畜生、畜生ッ…)
そして、M野は苦しんだ末に結論を出す。
「セリエにオレの精子をひっかけてやる!」
〜納品直前〜
「ほ、本気ですか?どうやって任天堂チェックを通すつもりです?」
「全年齢で出すにはヤバイんじゃない、このイベント…」
「大丈夫、大丈夫。文句を付けられたら消せばいいさ」
「でも、このイベントを削ればエンディングに、
『バールゼフォンvsハボリム』の燃える因縁の対決を入れられるンですよッ!」
「ダメ、ダメッ!そんなのどうでもいい!
原作者として『ヴァレリア解放戦線の最期』は譲れません。
絶対、出します。クビを掛けてもいい!」
「わ、わからない!ただでさえ容量のせいで一杯一杯なのに…
そんな危ない橋を渡る必要がどこにあるって言うンですッ?」
「リアリティの追求をクリエーターは止めてはならないんです!」
喧々諤々。
「どうしたのM野さん?また発売延期にするってゴネてるの?」
「セリエ姉さんを輪姦するんだってさ」
「り、輪姦!…過激だな〜M野さん」
「いい男なのになぁM野さん」
「ちょっとナルシスト入ってるけどね」
〜発売後〜
結局、M野の我が侭は通った。
「M野さん。あんたはチャレンジャーだ。ソンケーしますよ、ホント」
「別に…こんなの…大したことじゃないさ!」
「でもやっぱりスタッフの中ではオズの人気が最低です」
「Lルートのせいか。あれはちょっとな…正直M野を見る目が変わったよ」
「失敬な。男なんてみんなオズみたいなもんでしょうに」
「でも変なの。やったのは彼じゃないのに」
「いやでも、Nだとチャーム掛けてるし。一応無傷らしいCでもアヤシイなあ。
オズがやってない訳ないじゃん。だろ、M野?」
「どっちにしてもオズは最低か。セリエさん可哀そう。どうなんです、M野さん」
「フッ、そうやって議論を呼ぶのは、まさに『我が意を得たり』ってとこですよ」
爽快な気分だった。セリエはやはりオレの女だ。
消費者ども、オレが真っ先に汚した女に目を背けずにいられるか?
〜エピローグ〜
世に言う『魔改造』と言うヤツが1995年のQ社のある開発室で行われていた。
「なんて…」
「官能美!」
「M野よくやりました。誉めてあげます」
「うふふ、これはイイでしょう!」
「セリエたんを×××するイメージが湧いてきましたよぉ〜んふふ」
サラサラと紙に描きこんでいく。
尻だ。体位は後背位だろうか。
「相手はバケツ?それともオズ?」
「ダメだ!どっちもダメだ!」
「ほう。M野、それじゃ誰なんです〜?」
「オレにしろ」
「…」
「…」
「…」
Y田は渋々M野がセリエを×××するシーンを描いた。
M野のイキそうな顔を描くのは不快だったが無理やり描かされた。
M野は歓喜した。やはりY田は最高の友人だ、と。
その夜、何千何万億の生命の素が純白のティッシュに包まれてその役目を終えた。
その後、M野、Y田は揃ってQ社から■社に移籍する。
彼らの友情は今も固いはずだ。
しかし、我々に未知のサーガが語られる日は来るのだろうか?