ヴォルテール×サラ投下します  
Cルートでバルマムッサの虐殺の晩、どっかで野宿してるとかそんな感じ  
 
 
 
そっと寝袋を抜け出し、夜営を離れて木にもたれていた。  
静かな森だ。  
ほんの数時間前までの、悪夢のような喧騒が嘘のように感じられる。  
そうだ、嘘ならどれだけよかっただろう。  
同族たちが次々に殺され、ひとつの町が血の海と化し、燃え盛る炎は悪鬼の姿をしているように見えた。  
地獄のような光景。  
どうすることもできなかった非力さ。  
袂を分かった仲間たちと、ずっと信じて慕ってきた騎士団長の冷たい目。  
それらを思うと、怒りや悔しさや悲しさや、たくさんの感情が渦巻いて、苦しくて涙が止まらない。  
 
「サラ」  
 
振り返らなくても、聞き慣れた声の主の顔は目に浮かぶ。  
力なく俯くと、その人物は彼女の隣に腰を下ろした。  
震える肩に置かれた手は、その苦痛を少しでも和らげようとしてくれているのだろう。  
幼馴染の大きな硬い手のひらは、あたたかかった。  
 
「ヴォルテール、どうして……こんなことになっちゃったんだろう」  
 
嗚咽をこらえ、サラは呟く。  
ようやく絞り出した声は震えていた。  
 
「昨日まで、みんな一緒だったのよ。一緒にいて、笑い合って、同じ道を歩いてた。  
 それなのに……どうして、あんな……レオナール様はッ」  
 
声は再び嗚咽に消えた。  
 
肩の手が幼子をあやすように、ぽんぽんと二回、優しく跳ねる。  
 
「思想が違えど、我らは同じウォルスタ人だ。きっと、いつかまた分かり合える。昨日までそうだったようにな」  
 
慰めの口調は限りなく優しい。  
低く落ち着いた声を聞いているうちに、サラは少しずつ、波立っていた心が穏やかになっていくのを感じた。  
 
「……意外だったわ」  
「何が」  
「あなたは、従うと思ってた。レオナール様の命令だもの」  
 
彼は、義理を重んじる忠誠心の厚い男だから。  
たとえば恋人と主君を秤にかければ、迷う余地もなく主君を選ぶであろう。  
主君に死ねと言われれば、何のためらいもなく死を選ぶであろう。そういう男だ。  
ヴォルテールは唇を噛んだが、それを隠すように口を開いた。  
 
「ただ従うだけが忠義ではないよ。同胞を手にかけるなんて間違ってる……と、俺は思う。  
 間違ったことをしている方に、間違っていると知りながら何も言わずに仕えることも、俺は間違ってると思う」  
 
背きたくて背いたわけではない、苦渋の決断。  
それが果たしてどんな結果をもたらすのか、今はヴォルテール自身にもまだわからないようだ。  
 
「いつか、レオナール様を気づかせて差し上げられたらいいんだが」  
「うん……」  
「それとも、気づかされるのは俺たちのほうなのかな。間違っていたのは俺たちで、あれは仕方のない手段だったんだと」  
「そんなこと! そんなこと、あるはずないッ」  
 
サラは唐突に声を荒げた。  
 
「罪のない人たちを無闇に殺すことが正しいだなんて、そんな馬鹿な話!」  
 
ヴォルテールを突き飛ばさん限りの剣幕で、強く言い放つ。  
それから我に返ったように、表情が暗く沈んだ。  
 
「……ごめん」  
「いいさ。こんな夜くらい、精神が尖るのも無理はない」  
「あなたはずいぶん冷静じゃない」  
「俺が? まさか。俺だって、未だに現実を受け止めきれていないよ」  
 
心から忠誠を誓っていた相手に背を向けることが、彼にとってどれだけ胸を痛める行為なのか。  
それは同じ男に忠義を尽くしていたサラにも想像がつく。  
いや、忠誠心の塊のような騎士のことだ、きっとサラの想像以上に苦しいはずだ。  
 
「でも、サラが泣いてるから。俺まで泣いてる場合じゃないだろ」  
「なに、それ」  
「覚えてるか、子どものころのこと。俺が泣いてると、サラがいつも助けてくれたよな」  
「ああ……」  
 
十数年も前の話。まだ、ふたりがただの幼馴染でしかなかった昔の話だ。  
男児より女児の方が精神的な発達が早いとはいえ、幼き日のヴォルテールは明らかにサラよりも  
小柄で、弱気で、軟弱で、とにかくよく泣く子どもだった。  
いじめっ子にからかわれただの、転んで膝を擦りむいただの、ことあるごとに泣いていた。  
そのたびにサラがすっ飛んできて、あれこれと面倒を見たものだ。  
 
「忘れないわよ。手のかかる幼馴染だったもの」  
「まったくだ」  
 
ヴォルテールは苦笑した。  
情けなかったころの自分を思い出すと、我ながら笑うしかないのだろう。  
 
「でも、今は違う。お前が泣いていたら、俺が助けたい。支えになりたいんだ」  
 
真っ直ぐな言葉が、真面目で実直な彼らしくて嬉しい。  
ひ弱だった幼馴染は、いつの間にか、誰よりも心を預けられる恋人に変わっていた。  
 
「……ありがと」  
 
先ほどとは違った感情があふれ、泣きそうになる。  
泣き顔を見せれば、彼を不安にさせてしまうだけだ。  
潤んだ瞳隠すように、サラはヴォルテールの胸に顔をうずめた。  
 
 
■  
 
 
現実逃避だと、サラは思った。  
それもいいだろう。  
逃避だろうが何だろうが、こうでもしないと絶望に押しつぶされてしまいそうだ。  
幸いなことに、残酷な命令に背いたのは彼女だけではない。  
解放軍のリーダーであるデニムが、共に死線をくぐり抜けてきた仲間たちが、  
大切な存在であるヴォルテールがいる。  
現実は、時間と共に受け止める。明日彼らと全員で話し合って、今後の方向を決める。  
だから、今夜は現実を忘れて彼だけを感じることに決めた。  
 
「……ッは」  
 
長い口づけのあと、土の上に横たえられた。  
屋外で交わるなど考えたこともなかったが、今はそんなことにこだわる余裕はない。  
なんでもいいから、彼が欲しかった。  
 
「ヴォルテール……」  
 
昂る気持ちを抑えるように名を呼ぶ。  
返事の代わりか、触れ合うだけのキスが降ってきた。  
何度もついばむように唇を重ねていると、ゆったりとした服の裾の下に  
武骨な右手が侵入してくる。  
豊かな膨らみをそっと包み込まれ、サラの肩が揺れた。  
手は柔らかな肌の上を滑るように撫でる。  
 
「なんだか……」  
「うん?」  
「優しいね」  
 
くすぐったい愛撫に、サラは目を細めて微笑んだ。  
べつにいつもが乱暴というわけではないが、今夜はことさら、  
彼の優しさが沁みてくる気がした。  
 
「そうかな」  
 
ヴォルテールは照れくさそうで、それだけしか返してこなかった。  
代わりに、撫でるばかりだった手のひらに力がこもり、  
わずかに主張を始めた胸の突起を指先でつままれる。  
 
「……ん、ふ、ッ……う……」  
 
必死に声を殺す。  
仲間たちが眠る陣からは離れているが、大きな嬌声を上げれば聞かれてしまうかもしれない。  
サラを追いかけてきたヴォルテールのように、いまだ眠れずにいる者が  
ほかにいないとも限らないのだ。  
サラは目を閉じ、自らの手で口を覆って喘いだ。  
そうして快感に抵抗しているうちに、ヴォルテールの手は遠慮をなくし、  
サラの上着を裾からまくる。  
露わになった白い胸で、しっかりと膨らむ桃色の実が目立っていた。  
 
「……たまらないな」  
 
ヴォルテールは誘い込まれるように、その頂点に吸いついた。  
弱いところを舌で転がされ、サラは緩慢に首を振る。  
 
「ん……あ、はああ」  
 
悩ましげな吐息を聞きながら、胸から離れた手はゆっくりと腹を滑り、  
下腹部まで降りていく。  
彼女の熱く疼く場所までもう少し。  
 
「やッ」  
 
反射的に動いたサラの手が、上着越しに厚い胸板を押す。  
しかし、それは一瞬のことで、細い両手首は地面に押さえつけられた。  
ヴォルテールの利き手ではない左手ひとつで、形ばかりだったとはいえ  
抵抗は簡単に押さえ込まれてしまう。  
戦場で力強く弦を引き絞るアーチャーの腕も、鍛え抜かれたナイトにかかれば  
か弱い女性の腕力でしかないのだろう。  
 
「こんなに濡らしておいて、嫌はないだろう」  
「し、知らない……ふあッ」  
 
下着の隙間から入ってきた指が、震えるくぼみの入り口を撫でる。  
サラはか細いながら甲高い声を上げてから、真っ赤になって顔を背けた。  
 
「へえ、知らない?」  
 
ヴォルテール白々しく、驚いたような口ぶりでは囁いた。  
 
「なら、教えてやろうか」  
「ひッ、んう……ああ、あッ」  
 
くぼみに指を突き入れられ、少し上に位置する充血した膨らみをこね回され、  
散々に恥ずかしい場所をいじられたサラの顔は火照りきっていた。  
それでもヴォルテールは刺激を止めず、くちゅくちゅ、と  
湿った音が嫌でもサラの耳に入ってくる。  
 
「ほら、わかるだろう。もうこんなになっているぞ」  
「やあ……ヴォルテール、の、せいじゃないッ」  
「そうだな。だから、ちゃんと責任は取るさ」  
 
憎まれ口さえもあっさりとかわされ、なんとなく負けた気がした。  
ただ、不思議と悪い気はしなかったが。  
 
ヴォルテールによって下肢を包むものはすべて取り去られ、  
しとどに濡れた秘所が外気にさらされる。  
 
「ここをこんなにさせた責任を、な」  
「何度も言わなくていいわよ……ばか」  
 
呟く声は風にかき消されてしまいそうに小さかったが、ヴォルテールには  
しっかり届いたようで、彼は苦笑しながら下穿きまでを脱ぐ。  
サラに刺激され、物欲しげに漲った彼自身が露わになった。  
 
「サラ」  
 
白い額に張りついていた前髪をかき分けられる。  
快感に翻弄された淫らな顔を余すことなく見られているようで、恥ずかしい。  
けれど、ヴォルテールになら見せられる。  
もっと、見てほしい。  
そして、彼にも同じものを見せてほしい。  
 
「……来て。お願い」  
 
その言葉に、ヴォルテールはサラを貫いた。  
 
「あッ……! く、う、ああッ」  
 
サラの体が跳ねる。  
もはや我慢できない。  
快感が、抑えようとしても抑えきれない声となって次々にあふれ出す。  
 
「みんなに聞こえるぞ」  
「そんな、こと、言ったってッ……は、んん!」  
 
突き上げられれば、喜悦の喘ぎを漏らすしかない。  
ヴォルテールはサラの細い腰を抱き、唇同士でその嬌声を塞いだ。  
 
「んんッ……ん、ふう……ん」  
 
サラも懸命に応える。  
唇を吸い、舌を絡め、濃厚なキスを重ねた。  
しなやかな腕を伸ばして抱き締めた体は、屈強な筋肉に覆われている。  
先ほど持ち出された思い出話のせいか、過去の、幼い少年の泣き顔が頭をよぎった。  
あのひ弱な少年が、よくもこんなに逞しく成長したものだ。  
お姉さんぶっていたサラを追い越すほどに、身も心も逞しく。  
 
「くッ、サラ……」  
 
そんな青年が、どこまでも愛しい。  
快感に眉根を寄せる表情から、限界が近いことが感じられる。  
サラも似たようなものだった。  
鼻腔に届いていた土のにおいも、背中に感じていた落ち葉や小枝の感触も  
どこかへ飛んで消え去り、すべてが彼で覆われていく。  
 
「ヴォルテール……だめ、も、私……」  
 
強い突き上げが、速さを増していった。  
伴うように、サラも高みへ連れられていく。  
 
「ああ、あ、んああ……ッ!」  
 
サラの全身がわなないた。  
ヴォルテールを求める心そのままに、ぎゅっと彼自身を強く締めつける。  
彼の迸る猛りを体内で感じたのは、その直後だった。  
 
 
■  
 
 
星のない空はまだ暗い。  
今からでも、睡眠は充分に取れるだろう。  
汗が引いたころに、眠気が静かに忍び寄ってきた。  
 
「ようやく、眠れそうだわ」  
 
すでにまどろみかけているサラがこぼすと、困ったような笑い声が返ってくる。  
 
「ここで寝るなよ」  
「うん。……だけど、もう少しだけ」  
 
このままでいたい。  
甘えるような言葉を発し、より強く身を寄せる。  
そうか、とヴォルテールも呟いてサラを抱き寄せ、それ以上何も言わなかった。  
 
 
 

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