魔術師オーフェン  

「はー、今日もなんとかお仕事終了」  
 そう言いながら、彼女はばったりと疲れた様子でベッドに  
倒れこんだ。  
 靴を脱ぐのももどかしく、ぷらぷらと足を振って靴を飛ば  
し、寝返りを打って天井を見上げ、ふっとため息をついた。  
 自分とは違う匂いのする部屋の天井は、だが特に奇異なとこ  
ろもなく、やがてうとうとまどろみ――  
「なんでお前は人のベッドに寝てるんだっ!」  
 激しく壁を打ち付ける音に、びくりと目をやると、黒ずく  
めの青年が頬をひくつかせながらこちらを見ていた。  
「あ、オーフェン、おかえりー」  
「おかえりー、じゃねえぞこのど腐れ無能! 人のベッド占  
領しくさって」  
 ずかずかと近寄ってくる青年――オーフェンに向かって、  
彼女――コンスタンスは、寝転がったまま気楽に手を振った。  
「いーじゃない、疲れてるんだしぃ。アパートまで帰るのめ  
んどくさいもん」  
「だからってなんでここで寝るんだ! お前にゃはじらいや  
危機感ってモンはねえのかよ!?」  
 その言葉に、盛大に彼女は吹き出し、笑い転げた。  
「あ、あははははは。危機感ってなによぉ。襲ってでもくれ  
るっていうの? できるもんならやってみなさいよ。婦女暴  
行罪で逮捕したげるわ」  
 ご丁寧に涙まで流して笑い続けるコンスタンスを見下ろし  
たまま、オーフェンは憮然と返した。  
「やってみろ、ってそっちが言った時点で和姦なんだぞ」  
「え?」  
 きょとんとするコンスタンスに、オーフェンは腰を屈め、  
唇で彼女の唇を強くふさいできた。  

 

「っ!?」  
 くぐもった声が、コンスタンスの口内から聞こえる。  
「んーっ、ん、んん」  
 まさか本当に襲って来るとは思わず、彼女はオーフェンの  
胸を叩いた。  
 だがオーフェンは構わず彼女の頬に手を添え、閉じられた  
唇を舌で軽くなぞる。彼女は全身をこわばらせ、さらに固く  
唇を閉じるが、角度を変えながら何度も舐め上げられる内に、  
徐々に唇が開かれていく。  
 唇の端や裏を丹念に舐められ、舌が滑り込まれ、絡まる。  
 頬に添えられていた手は、いつの間にかブラウス越しに胸を  
軽く揉みしだいている。  
「ん……ぅぐ……っ、ふぅ……ん」  
 ブラジャーの硬い布地に胸の先端がこすられる。痛みはなく、  
普段直に胸を触って自慰をするのとはまた違った刺激に、コン  
スタンスは知らずと目を閉じて声を上げていた。  
 それに気付いたのか、オーフェンはそこを重点的に攻めなが  
ら、口内を貪る。  
 全く男を知らない訳でもなく、だが久しく感じていなかった  
手のひらの大きさや、初めての指使いに、やがて彼女の身体か  
らは力がなくなり、わずかに濡れる感触がした。  
 意識にもやがかかり、さらなる快感を求めて身をよじる。  
 だがオーフェンはちゅっと音を立てて、唇と手を放した。  
「あ……」  
 不服そうに眉根を寄せるコンスタンスを、オーフェンは憮然と  
した表情で見下ろし、告げた。  
「続けるのか?」  
「……」  
 その言葉に、コンスタンスは微妙に我に返る。  

 

「あ、やだ……や、やだ、やだ」  
 何をされている訳でもないのだが、コンスタンスはわずかに  
首を振った。何に対しての否定なのか、自分でも判らず、ただ  
いやいやと繰り返す。  
「したくねえんだな?」  
「あの……でも」  
「言ってみろ」  
「その……」  
 言葉を紡ぎたくとも、上手く声にすることができなかった。  
 たった一言、して、と言えればどんなに楽だろう。だが、そ  
れを言ってしまうと何かを無くしてしまいそうで、コンスタン  
スはのろのろとオーフェンから視線を外し、手で顔を覆う。  
「……だれにも、いっちゃやだ」  
「誰に言えってんだこんなこと。で、どうすんだ?」  
「……だれにも、いっちゃ、やだから……ね」  
 言いながら、身を起こし、コンスタンスはおぼつかない手つ  
きで赤いタイを外しだした。  

 

「あん……」  
 背後からぎゅっと胸を捕まれてコンスタンスは声を上げる。  
 二人ベッドの上に座り、まだ互いに服は着たままだ。  
 だがオーフェンの手はすっぽりと彼女の両胸を下から包み上  
げ、指先は確実に服越しに胸の先端を弄る。  
「いゃ、そこ、ああ……っ、んん、ふぅう、ぅん……」  
 快感に身じろきしながら、彼女の手は背後のオーフェンの下  
半身をさぐる。やがてふくらみに当たり、ズボン越しにつかみ  
軽く動かした。  
 大した刺激もないが、それを合図にしたかのように、彼は呟  
いた。  
「もう欲しいか?」  
「え? ……っ!」  
 オーフェンはいきなり右手をスカートの中に入れ、タイツを  
下着ごとずらし、強く秘所をまさぐる。  
「あぁっ」  
 ぬらりと濡れたそこを撫ぜると、口のようにひくりと動いた。  
 くちゅくちゅと音を立ててなぞり、指を二本入れてみると、  
あっさりと飲み込まれた。ひどく熱く、そして激しく濡れている。  
「ひ、うぅ、や、やだ、なに、あ」  
 うめくコンスタンスの様子を見ながら、彼は二本の指をぐちゃ  
ぐちゃと動かす。円を描くように、内壁をなぞり、時折前後に  
突き動かす。  
「んん、あ、ああ、や、やだ、ふく、よごれちゃうっ」  
「もう遅いぞ」  
 言いながらオーフェンは、三本目の指を入れた。  

 

「ううぅ、ん、だめ、やぁだ、っく」  
 嫌だと言いながらも、普段の自分の指では得られない快感に、  
口で言うより明らかに腰は艶かしく動いている。  
 オーフェンは、ぐっと右手の指を押し込み、左手はまだ胸の  
突起を摘んでいた。  
 ちろちろと首筋を舐められ、たまらずブラウスのボタンを上  
半分を外す。  
「ん、やだ、あああっ」  
 しっとりとした肌と白いブラジャーが露わになる。  
 ブラジャーの中の乳首は既に勃ち、オーフェンが直に指で摘  
むとコンスタンスはさらによがった。  
「はあ、ああ、あ、もうひとつ……もうひとつもぉ」  
「もうひとつか?」  
「うん……そっちだけじゃ、いや……」  
「そうか」  
 言ってオーフェンは、愛液でふやけるほどに濡れた右手の指の  
一本を、彼女の菊座を強く撫ぜて突いた。  
 唐突にありえない行動をされて、コンスタンスは叫ぶ。  
「ああっ! ち、ちがう、そっちじゃないの!」  
「もうひとつなんだろう?」  
「ああ、あ、な、なんで、いや、いやああぁぁんっ:」  
「けどな、指はしっかり飲み込まれてるぞ?」  
「ああああ、あぁ、はあ、うぅっ、き、きらい、いや、ああぁ」  
 それでも自分から離れる様子はなく、びくびくと震えながら、  
彼女は嬌声を上げる。  
「む、むねぇ、むねも、両方、してぇ」  
「んな器用なことできるかっ」  

 

「じゃあ、すって、……っ」  
 ずるりとオーフェンの右手から逃れ、ベッドに仰向けに倒れ  
こむ。  
 ふっとオーフェンは息を吐いて、彼女の足を開かせ、覆い被  
さって、片方の胸を吸った。  
「ん……」  
 スカートを捲り上げて完全に下着を脱がせると、もう一度指を  
愛液でしめらせて、菊座と秘所に同時に指をぬぷりと入れた。  
「あぁ、ぁ、もっと、もっとぉ」  
 無言でオーフェンは彼女の手を取って胸に添えさせた。  
 まだ着けられているブラジャーの中に指を入れて、コンスタン  
スは自慰を始める。  
「んん……ふぅ、ああ……あっ、い、いくついれてるの?」  
「これで6本」  
 開いた左手の指も秘所に入れ、オーフェンはぐちゃぐちゃと  
かきまぜながら淡々と告げた。  
「あぁあ……あ、あん、ああ、い、いくの、やん、いっちゃう」  
「いつでもいいぞ」  
「はああぁん、ぁ、ぁ、あ、あ、あ、あ、あああっ……」  
 しばしして、コンスタンスは混濁した意識に飲み込まれた。  
   
「……どうしてちゃんと入れてくれなかったの?」  
 目を覚ましてから、傍らにいたオーフェンに彼女は聞いた。  
「なんだ、その……悲惨なことになったら嫌だろうか。まあ、  
反応を見てて楽しかったしな」  
「……。ひょっとして、ふのー!?」  
「なんでそうなるっっ!」  
 ひと殴りされて、再びコンスタンスは意識を失ったのだった。  

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