あの姉ちゃん、おっぱいでかいよな―――  
弟の衝撃的な発言をふと思い出す。  
 
 
 
掴んだ二の腕の細さ。  
 
束ねた髪の下にのぞく真っ白い首すじ。  
 
抱きしめたときの柔らかさ、暖かさ。  
 
いつもの図書室で、ノートに書き込むときの伏せた長いまつげ。  
の、姿勢のまま顔だけこちらに向ける、まなざし。  
 
困った顔。信頼してくれている顔。泣きそうな顔。  
 
今日も委い・・・小林吹雪は俺の心臓を何度も鷲づかみにしていった。  
床に就こうと横になった瞬間に思い出されるその感触、その熱。  
 
俺だけのものなら、どんなに良いか。  
どこかに閉じ込めておきたいくらいだ。  
そうして、あのサラサラとした髪に触れて、しっとりと柔らかい肌に触れて―――  
 
“あの姉ちゃん、おっぱいでかいよな!”  
 
――――――――――!  
 
 
 
気づけば熱を擡げている己自信に切なくなる、小林健吾・17歳のある夜。  
 
 

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