「は……っ、健、吾っ、ちょ……やっ……!」  
 
短く呼吸を繰り返しながら、小林吹雪はびくびくと体を震わせる。  
そしてその吹雪と、文字通り一つに繋がって体を揺するのは、吹雪がその名を口にした小林健吾その人だ。  
 
「……エロ」  
 
ベッドの上、二人とも衣服を纏うことなく、胡座をかいた健吾の上に吹雪が乗るような形で交わっている。  
健吾がぼそりと呟いたかと思ったら、吹雪はことさらにびくりと震えた。  
 
「あ、のね……っ!だっだれのっせい」  
「吹雪」  
 
耳元で名前を呼ばれては、このまま溶けてしまうのではないかという程に吹雪の背筋を快感が走る。  
吹雪はほとんど無意識に健吾の首にしがみついた。  
 
「……いいな、それ」  
「え……?」  
 
すげー求められてるみたいだ、と健吾は言うと、再び思い切り体を揺らしはじめた。  
 
「あぁっ!やっあっ、ぁふ、ひゃああぁんっ!」  
 
ベッドのスプリングがぎしぎしとうるさく軋む。  
吹雪はもう、声を抑えることも出来なかった。  
 
「あっやぁっけ、けんごっ!やっ、また……っ、あっだめっも……っ!」  
 
細く高い喘ぎと共に、吹雪はこの日何度目かの絶頂を迎える。  
 
「抑えるな……って言ったのはお前の方だろう?」  
 
最初はこっちが優勢だったはずなのに、白く弾けた頭の中で、吹雪はぼんやりとそんなことを思った。  
 
 
 
***  
 
 
 
「いーってそういうの」  
「だめ、私がやりたいの」  
「諦めろ」  
「やだ」  
 
そんな押し問答が先程から続いている。  
 
大抵の事なら健吾は彼女である吹雪の好きにさせてやりたいと思っている。  
吹雪とて、そんな健吾のことがわかっている。  
わかっているからこその、押し問答なのだ。  
 
「ねぇちょっとでもいいからさ」  
「い・や・だ!」  
「なによ。ちょっとくわえたり転がしたりするだけでしょ!」  
 
吹雪が散々頼み込んでいるのは、健吾への――ご奉仕。  
 
「されたいもんじゃないの?男って」  
「俺は、いやだ」  
 
口を尖らせる吹雪に、健吾は少々の呆れ顔。  
そもそも、吹雪がそれをしたがる動機が健吾は理解できないのだ。  
ホントにこうなのか知りたいから、なんて、まるで人を実験動物のように――……  
 
カチャカチャと音が鳴って、下半身には違和感。  
健吾は思考を中断させる他なかった。  
 
「……おいっ!何やって――」  
「実力行使。嫌なら振り払えば?」  
 
視線を上げずに、ベッドに座る健吾のベルトを外しにかかっている吹雪に、健吾はうぐっと息を飲んだ。  
 
「なぁ……本気?」  
「当たり前。でなきゃしないわよ、こんなこと」  
 
吹雪は吹雪で、覚悟を決めては来ていた。  
 
体を重ねるようになってしばらくが経ち、会えば毎回、とは言わないが吹雪の体ももう痛まない。  
それでも、健吾は毎回吹雪の体をいたわるようにしてとことんまでにやさしく抱く。  
 
それは幸せなことでもあって、不満なことでもあった。  
 
 
 
そうこうしてる間に、いつの間にか外気に触れる健吾の分身は、時折触れられた吹雪の手の感触などで十分な質量を持っていた。  
 
「……わ、な、なんか……不思議……」  
 
間近で初めてそれを見た吹雪は、感動の入り混じった声を上げてそっと手を添えた。  
 
「……っ」  
「健吾……気持ちい……?」  
 
一方で、健吾は目の前の女を組み敷いて衣類を取り払って、と、欲望を吐き出したくなる自分と格闘していた。  
ぎりりと拳を握ってみても、官能的な視界を遮ってみても、局地的な刺激は止まることなく押し寄せる。  
 
「ふ……ぶき、も、いいから……」  
「だぁめ!まだなんにもしてない!」  
 
吹雪はそう言うと、健吾のそれにぱくりとかぶりつく。  
 
「……っ!ちょ……!っ、コラ!」  
 
ダイレクトな刺激が健吾の脳天を貫く。ギリギリで理性を保っている今、吹雪を退かせるために触れることすら躊躇われる程だった。  
 
「んむ……ね、気持ちいい……?」  
 
びくびくと震える姿を見れば聞かなくてもわかるだろうに、言葉が欲しいのか吹雪はちゅぽんと口を外すと健吾を見上げる。  
 
「やめてくれ……抑えられなくなる……」  
「抑えないでよ!」  
 
吹雪から目を逸らした健吾の言葉に被さるような怒鳴り声に、健吾は目を見開いた。  
 
「……え?」  
「抑え……ないで。大丈夫だから、そんなに簡単に壊れないから……私……大事にされるだけのオンナノコなんかじゃ、やだ……」  
 
ほろほろと涙を零した吹雪は、次の瞬間には健吾によって抱き上げられていた。  
 
「健、吾っ……?」  
「……いーのか?」  
 
手加減出来なくなるぞ、とかかった声に、吹雪はびくりと体を揺らす。  
 
「……わ、私がそうしてって言ってるんじゃない……ひゃ、あっ」  
 
強気な言葉は続けられることなく、甘い声に掻き消される。  
――健吾が吹雪の首筋をねろりと舐めたからだ。  
 
「あっま、待って、まだ途中――」  
「お前が」  
「え」  
「火を点けたんだろう。それに――……」  
 
俺は攻められるより攻めたい側なんだ、健吾が言ったその言葉を、吹雪が果たして最後まで聞き取れたかどうかは別にして、吹雪が一生懸命にやり方を学んできたご奉仕は失敗に終わった。  
けれど、本能のままに求めてほしいという願いは叶ったわけで、健吾の理性を砕くという試みは無事に成功を納めて――冒頭に戻る。  
 
その後、吹雪はしばらく腰が立たなかったとかなんとか……?  
 
 
 
END  
 
 
 
 

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