授業が終わり合間の休み時間。またも空き教室に呼びだされた。  
 誰もいない、ただ机と椅子が並ぶ場所に激しい息遣いが木霊する。  
 一人は床に寝ころばされた僕。  
 もう一人は僕を呼んだギン。  
「秋人、……秋人ぉ」  
「ぎ、ぎん、ちょっと、まって」  
 僕の上に跨り、騎上位で腰を振るギン。互いに学生服のまま、僕はズボンとトランクスを下ろされ、ギンはパンツだけを脱いで大事な部分だけ結合している。  
 ちなみにギンは以前の学校の学生服であり、象牙色のベストを着用しているのだが、体形が小柄で少し大きめである。  
「秋人、きもち、……いいよ」  
 熱くとろけた膣内の感触に、僕の息子がしごかれる。  
 熱に浮かされたように腰を振り続けるギン。白い髪白い肌が特徴の彼女だが、その肌には赤身がかかっている。  
 とろけた表情を向けられる僕。しかし、僕は彼女ほど性交に集中できないでいる。  
「ギン、一旦離れて、くぅ、ま、ゴムつけて、ない」  
 僕はとてもあせっていた。なにせ避妊器具の類を付けていない。  
 一見、少年体系の彼女(昔は本当に男だと思っていた)だが、立派な女性である。もちろん妊娠だってできる。  
 僕の記憶が確かなら、ギンは安全日ではない。  
 このまま射精すれば受精、そのまま妊娠してしまう。  
 なんとか脱出を図ろうとするが、彼女は小柄だが力もありマウントポジション、まして一部は合体している。  
 そしてなにより、彼女が離すまいと足でがっちり挟んでいる。腰を強く動かしているが、抜けるほどでもない。  
 両手も僕の身体を掴んで、離そうとしない。  
「やだ……、よ」  
 快感の混じった息を吐きながら、僕を見下ろす彼女。  
 スカートの中では僕の男根が、何度も出入りしている。僕からは見えないけれど、当人なのでもちろんわかる。  
「ぼくはっ! きみが、転校する時……あの日、んんっ、中に出してって言って、出すって君、っあ! 言ったのに、あ、ああ!」  
「だ、出せるわけない、だろ」  
「今日は、僕のなかに、出してもらうから、ね!」  
 涎をたらして、涙目の彼女はペースを速める。それでも抜けそうにない。  
 快感にマヒしそうな頭を何とか動かし、僕はこの窮地から逃げようとする。  
 しかし左右に動こうとしても、ますます抱きついてくるだけ。  
(なら!)  
 僕は状態を起こして、腕を伸ばしギンを抱き寄せる。  
 そして口付けを交わす。  
「んん!?」  
 驚く彼女のお尻を掴んで、腰を突きあげる。  
 舌が交わり、膣内を抉る。  
「んんんんっ!!」  
 体をこわばらせる彼女。僕はその瞬間に彼女ごと横に転がり、男根を抜き取った。  
 なんとなくそうしたくて、ギンの顔の前に男根を持っていく。精液が彼女の白い顔を汚す。  
 蕩けきったギンはそれを避けようともせず、精液をかけられていた。  
 荒い息をしながら、茫然とした顔で射精を顔で受けていた。  
 
「この頑固者」  
 僕の渡したハンカチを、水道で濡らして顔を拭くギン。  
「ギンにだけは言われたくないよ」  
 僕はギンの頭を撫でる。ツンとした顔でそれを受け入れる彼女。  
「クッキー、おいしかったよ、また頼む」  
「僕は君のそういうぬかりのない所が……好きだけど……嫌いだよ! べえ!」  
 彼女は僕に舌を出してから立ち去る。僕も授業が始まる前にと教室へと戻った。  
 
 
 昼休み。  
 生徒会長である二階堂嵐に呼び出され、僕は生徒会室を訪ねた。  
 長い赤髪のポニーテールと左目の眼帯が特徴的。  
 彼女はバイセクシャルな上に淫乱。男女問わず愛人が結構いた、のだが生徒会メンバーだけに絞るために別れたらしい。  
 巨乳であり、制服でそれを隠す気もなく大胆に胸元が開いている。  
 スカートの左側にはスリットが入り、赤いタイツの中の下着が見えそうである。  
 まあ、簡単に言うとエロい人だ。  
 そんなエロい人に呼びだされたという事は、どういう事か。  
「まあ、こういう事になるよな」  
 嵐は生徒会長の机に両手をつき、僕は彼女をバックからつく。  
「ああ、もっと、激しく頼む、ぞ」  
 彼女も秋子と同じく、僕の物が入るぐらいの穴がタイツに開いている。流行っているんだろうか?  
 生徒会室には鍵がかかっており、誰も入ってはこれない。僕は音が響くほど、腰を打ちつける。  
「いいぞ、さすがはあたしの性奴隷、だ」  
「いつから僕はあなたの、性奴隷になったんですか」  
「なら、あたしが、お前さんの性奴隷か? どっちでもいいぞ」  
 手慣れた感じでくるりと回り、こちらを向く。  
 生徒会長の豪華な机に、嵐が腰掛ける。  
 そのまま真正面から抱きあい、挿入を繰り返す。僕の顔が彼女の胸に挟まれた。  
 顔を話し、息を切らしながら腰を動かす。  
「お前さん以外は、二人で遊んでくれないし、体を持て余して、仕方ないよ」  
「だったら、また、愛人でも、作ればいいじゃないですか」  
「不特定多数は飽きた」  
 そう言って、僕の顎を持って口を上に向かせて、唇を交わして離す。  
「ピルを飲んでるからな、中でいいぞ」  
 またも唇をかわす、攻撃的な舌が、僕の口内を蹂躙した。  
 それに触発されるかのように、僕は射精する。  
 彼女もまた、僕に抱きつきながら絶頂を迎えた様である。   
 
 小説、禁じられた愛の物語。  
 昭和を舞台にした秋男と秋菜という名前の、実の兄妹の禁断の恋の物語。  
 作者は新藤光一郎。  
 僕の事である。  
 この兄妹の禁断の恋を扱ったシリーズのおかげで、その印税で僕は寮を買い取り、秋子と住む算段を付けた。  
「秋男、は秋奈の、……うなじに、そっと、ぁ、唇を寄せ、た」  
 夜の秋子の部屋。僕の写真がそこら中に張られたり、飾られたりしている。  
 ちなみに僕の部屋とは襖一つ隔てたすぐ隣りである。  
 彼女が僕の物だとは知らない小説を読み、その内容に「ぐへへ」と少女らしからぬ声を立てているのが、○聞こえである。   
 まさか妹が僕の小説の大ファンだったとは、それも兄妹の近親相姦もの小説の。  
 僕は知らず知らずのうちに、妹の心を調教していたようだ。  
 きっとこの本を知らなければ、清い兄妹として一緒に過ごしただろうに。  
「『あー、兄様』。吐息を、……うぁ、洩らす、……秋なのぉ」  
「どうした秋子、まだ濡れ場の一行目だぞ?」  
「お、お兄ちゃん、の意地悪ぅ!」  
 今、ピンクの寝巻を着た秋子は、布団の上にうつ伏せになって小説を音読している。  
 下衣はずり下げられ、可愛いお尻が丸出しになっている。  
 その上から僕は覆いかぶさり、ペニスをヴァギナに挿入。出し入れしている。  
 服の裾から左右の手を入れ、ちょうど手の平サイズの胸をわしづかみ、揉みまわす。  
 どちらもゆっくりとした動きで、秋子を責める。  
「白い……柔肌か、らぁ、あまぁい、っあ香り、がほのかに、漂ってぇ、すぐれる前の桃のぁ」  
 唾液を口から流しながら、秋子は必死に声を紡ぐ。  
 僕はそんな彼女を伺いながら、今日一日を振り返る。  
(セックスばかりじゃないか、僕はどれだけ猿なんだ)  
 皆が誘うから? 否、男の僕の方が力は強いのだから、全力で断ればいいだけの話だ。だが僕は受け入れた。  
 生き別れた妹の事を考え、こんな小説を書く僕である。根っこから僕は変態なのだ。  
「む、むりですぅ、よめまっせぇん! ごめんなさいぃいい」  
 こんな爛れた生活、いい加減にしないととは何度も思っている。でも僕もやはり男の子なのである、心からやめる気になれない。  
「いく、いきますぅ、お兄様ぁああ!!」  
 ごめん秋子、変態なお兄ちゃんで、本当にごめんな。  
 

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