フォーティンブラスを倒してから4年後、ある嵐の日のことだった。
茜は京都にある空家で雨宿りをしていた。
「ハアーーーひどい嵐だぜ。」
ため息をつき、床に寝転がった。
そして、4年前の出来事を思い出していた。
「みんな元気にしているかな?でもアオ兄は・・・・。」
もう戻ってこない蒼鬼のことを思うと、目に涙が浮かぶ。
「おっと、ごめんなアオ兄。もう俺は泣かないぜ。」
そのとき、茜は誰かの気配を感じた。
「誰だ!?」茜は刀を構えた。
空家の扉が開いた。
その正体を見た茜は驚いた。
「阿倫ちゃん!?」
それは確か天海と一緒に旅立ったはずの阿倫だった。
「会いたかったよ十兵衛。
ここに来た時にあんたの気配を感じたの。
そして、ここであんたを見つけたの。」阿倫は答えた。
「・・・・・?」茜は急にやな予感を感じた。
「なに?どうしたの?
そんなに俺のことを見つめて・・・。」茜は恐る恐る聞いた。
すると、突然阿倫は茜に口づけをした。
「あ、阿倫ちゃん!?」茜は驚き、後ずさりした。
阿倫は今まで見せたことのない欲望に満ちた顔で言った。
「十兵衛、今日から貴女はあたいの物だよ。さあ・・・」
「や、やめ、やめて!やだ、いやだ!!」
その日、二人の間で何が起こったかは嵐と雷の音に打ち消されて、だれも知るものはいなかった。