まだ、わずかにぬめりを見せる下半身を気にしながらも、お初は蒼鬼たちのもとへと戻った。空の闇は深く、皆、まだ寝ている。
「お初……」
突然、足元からあがった声にお初は驚いた。見れば、天海が目を開けて見上げている。彼の腹には、今度は十兵衛の手がのっかっていた。
ロベルトとの行為の余韻が抜けきらないお初は、まだ、はっきりと現実に戻れてはいない。なぜ、天海が声をかけてきたのかもわからず、ただただ動揺する。
「天海、さん?」
小声で呼びかけると、十兵衛の手をのけながら、天海が体を起こした。
「先ほどのロベルトとの行い、蒼鬼には決して言えない行為――とお見受けした」
「み、見てたんですか?」
「いや、私からは影しか見えなかったが、あれが何かわからぬほど子供でもないのでな」
「や、やだ……」
お初は自身の体を抱きしめた。天海の目に気づかないほど没頭していたことに、激しい羞恥が湧き上がる。
「蒼鬼の耳に入れば、本人も止められぬほどの鬼となろう」
「え……天海さん?」
天海が眠る蒼鬼へ目を移す。
お初もそちらを見れば、蒼鬼はあいかわらず手足を投げ出して寝ていた。
「無論、私とロベルトが黙っていれば、蒼鬼の耳に入ることはまずない」
ロベルトは必ず黙っていてくれる。お初は確信していた。だが、天海の意図はわからない。蒼鬼はもう鬼武者となっている。それに、蒼鬼さえも止められぬほどの鬼は日の本に住まう民の災いにもなるはずだ。天海がそんなことをするはずがない。
「秀康――蒼鬼には決して言いません」
天海からの忠告だ、とお初は判断した。鬼にはさせません、との意味も込め天海に向かって言い切る。
「お初、私の口を封じる良い方法があるのだが、試してはみないか?」
「良い方法?」
天海が、ふっ、と笑った。それはいつもの笑みに変わりないはずだが、説明された方法の内容は天海らしからぬものだった。
「それが……良い方法なのですか?」
お初は己を抱きしめる手に力を込める。
天海の微笑みは崩れない。
「そうだ。秘密を共有すれば、私もうかつに話せない。己の首をも締めることになるからな」
「でも、それはロベルトと同じことを私に……」
「つかの間、聞こえた悦びの声を私の耳は覚えている」
ロベルトの攻めに耐えかね、お初は一度だけ大きな声をあげたことがある。ロベルトが慌てて口を塞いでいた。天海はそのことを言っているのだ。
天海が淡々と話す分、お初はどんどんと恥ずかしくなる。
「蒼鬼に抱かれておらぬ体は――もう、限界ではないのか?」
つい、と天海は、露わになっているお初の内ももを指で撫で上げた。
「ん……」
体を震わせたお初は、天海の指を挟むように、太ももをぴたりとくっつけた。
太ももの間にある手をもぞもぞ動かし、天海はにやりと笑った。顔だちの整っている天海は、笑うと女性以上の艶を見せる。
「私が触れただけでこの有様だ。決断はお主にゆだねよう。さて、どうする?」
お初が蒼鬼を想っていることに変わりはないのだが、体は天海の指の感触をなおも求めている。ロベルトとはどのような違いを見せるのだろうか、天海はどのように女を抱くのだろうか。そんなことばかりがとまどうお初の脳裏に浮かぶ。
天海はするりと手を抜き取った。指が股の間を滑るおかしな感覚に、また、お初の体は震えた。
もう、抗えない――。そんな諦めが去来する。
ゆっくり、小さく、お初はうなずいた。
「では、あの岩場へ移ろう。ロベルトはこちらを見ていない。大丈夫だ」
錫杖を手に立ち上がった天海は、お初の背を押す。
岩場の影へ着いたとたん、天海の指が、お初の背で結われている紐を解いた。胸元を覆っていた布が、潮風にひらりとあおられる。
「私の指一本、か。頼りないもので隠しているのだな」
天海が笑いながら座った。脇に錫杖を置く。お初を見上げる目には、布から解放された二つの頂が見えているのだろう。
揺れる布がお初の胸の先端を時折かすめる。
お初を見上げる天海の目は、やはりいやらしいとは程遠く、かえって気恥ずかしくなり直視できない。
天海が自分の太ももを叩いて示した。
「お初、私に背を向けて、ここに座るといい」
言われたとおり、背を向けて天海の膝に座ると、彼と顔を合わせなくて済むのだ。天海の気遣いに気づいたお初は、自分の嫌がることはしないだろう、と少なからず安堵した。
お初のわきをくぐりぬけて、後ろから天海の手が両方の胸を包む。まだ、動いてはいない。
「確かに、ある、な」
大きさを確かめるように、天海の手が一度お初の胸を握りこむ。
「何が、ですか?」
「蒼鬼が言っていた。お初はああ見えて胸がある。手を出すなよ、と」
思い出したのか、くく、と天海が笑う。お初の背にあたる彼の体がわずかに揺れる。
お初は、蒼鬼が自分の胸を見ていたことに、そういう対象として見ていることに、驚いた。
お初は、蒼鬼が自分の胸を見ていたことに、そういう対象として見ていることに、驚いた。さらに、天海たちに忠告をしていてくれていたことにも――。お初の胸が温かくなる。
そんな彼女を現実へ引き戻したのは、胸を撫で始めた天海の手だ。
「私やロベルトが先に手を出すことになるとは、蒼鬼も予測してはいまい」
天海の吐息が耳にあたり、お初は彼の腿をきゅっと握った。
しかも、と言い、天海がお初の胸の先をつまむ。
「こうして、お初が私の指に感じることも……」
一番過敏な両方の胸の先を指でこねられ、お初は何度も背をそらした。痛いとは思わない。驚くほどほどよい強さで天海の指は胸をつまみあげる。さらに、爪で先をつつかれる。
「ふっ、んん」
「いい声だ、お初。私に遠慮することはない」
低く、甘く、天海の声が耳を通して頭に響く。
「て……ん、かい……さっ」
そこまで言って、お初は言葉を飲み込むように息を吸った。
お初の視界に突然、黒い影が現れたのだ。大きなその人は、とりわけ後ろの人物へ殺気を放ちながら、二人を見下ろしている。
「ロベルト……」
天海がその影の名を呼ぶ。
「お初の体から手を離してもらおう」
黙って天海はお初の胸から手を離した。
ロベルトが、腕をつかんでお初を天海から離す。そのまま、彼がぱっと手を離したので、お初は勢いこんでよろけそうになったが、近くの岩に手をついて耐えた。
「天海、どういうつもりだ?」
「見たままの通りだ」
ロベルトの拳が天海へ向けられる。あとは勢いをつけるだけだった。
「やめて、ロベルト!」
お初は慌ててロベルトに背後から抱きつく。さすがのロベルトもお初を引きずってまで天海を殴るわけにもいかず、ゆっくりと拳を下ろす。
「殺気を放ちすぎだ。蒼鬼のような武士は大きな声では目覚めなくても、殺気には敏感だろう。考えてみろ。この状態で蒼鬼が目覚めれば、傷つくのはお初だ。わかるか、ロベルト?」
ロベルトの背で天海の言葉を聞いていたお初は、冷静に相手の弱みをつく話術は彼の戦い方にも似ている、と思った。蒼鬼のような手数の多さも、ロベルトのような力もないが、天海は的確に相手の急所を突く。長年の経験の成せるわざなのだろう。
ロベルトが振り返ってお初を見る。
「すまない。お前のことを考えず俺は……」
苦しそうに言って、彼はお初の手から離れる。
「待て、ロベルト。私が察するに、お前はまだ最後まではしていない。そうだな?」
去ろうとしていたロベルトは立ち止まって頷く。
「ああ、子を成す危険がある。お初を苦しめることはしたくない」
「子を成す危険がなければ、どうだ?」
「……なんだと?」
「どうして……」
これには、ロベルトと共にお初も驚いて聞き返した。
天海が懐から小さな何かを取り出して見せる。
「お初の中に入る前に、これで男性のものを覆えばいい。世界を旅して見つけたものだ。これを使えば子を成す可能性は大幅に減る。確実、ではないが」
「お初の中に、入れる……というのか?」
ロベルトは天海の手にあるそれをじっと見つめる。
「ああ、そういうことだ」
力強く天海が頷く。この頷きこそが、確信がある、という証拠だ。
男たちの問題は解決した。あとはお初の返事次第。二人の目がお初の返事を待っていた。
「あの……でも、私、それは……」
天海が立ち上がって、お初の手に指を絡ませる。
「先ほどの私の手にどう反応していた? 嫌なら途中で止めればいい。私も、ロベルトも無理強いはしない。お初は大切な我々の仲間だからな」
お初の前へ来たロベルトは帽子をとって、祈るように胸にあてる
「お前を傷つけるようなことはしない。止めろと言えば止める。俺はお前の言葉に従う。神に――いや、お前にそう誓おう」
こう言ったからには、ロベルトは決してお初の嫌がることはしないだろう。同じく、天海の言葉も信用できる。今後の戦いのためにも、ここで仲違いするわけにはいなかいのだ。
お初は、寝ている蒼鬼を見ると、天海とロベルトも同じほうへ目を向けた。
「蒼鬼には敵わない、か……」
「そのようだな」
二人は顔を合わせて苦笑いを浮かべる。しかたがないな、という風に。
お初が蒼鬼に目を向けたのは、彼を選んだから、というわけではない。今だけ二人を選んでしまうことを許して、とそんな言葉が内心で呟かれていた。
お初はゆっくりと二人へ目を移す。
「天海さん、蒼鬼には本当に言わないでください。十兵衛ちゃんにも。ロベルト、あなたは力が強いけど痛くはしないでくれる?」
「お初にここまで言わせて、蒼鬼に言うのは男として野暮というものだろう」
「愚問だ。俺がお初を痛めつけるはずはない」
二人の男は同時に頷いた。
「じゃあ、あの……はい」
自分を抱いてもいい、と男たちに言うのは淫乱な気もして、無意識にお初は顔をうつむけていた。頷いたものの、そこからどうすればいいのかわからず、お初はじっと岩場近くに立っていた。
まず、ロベルトが手を差し出してきた。
「さあ……愛しいお初」
告白にも等しいロベルトの言葉だったが、緊張しているお初は、差し伸べられる手にそっと体を預ける。ロベルトの腕がお初をぎゅっと抱きしめた。
「ロベルト、独り占めか?」
後ろで天海が笑う。
ロベルトがお初を離し、天海へと押しやった。だが、お初の足は天海の前で止まる。旅の中で、彼と話したことはほとんどない。ロベルトと同じようにしていいものか、お初はしばし迷った。
「私も一人の男だ。女性を抱いたこともある」
とまどうお初に焦れたのか、天海の腕が強引に引き寄せ、抱きしめる。
「お初、怖がらないで、くれないか……」
耳元に天海のあの甘い声が入り込む。
「ご、ごめんなさい」
「慣れた女では興も醒める。お初くらいがかわいくてちょうどよい」
この自称長く生きている男は、口説く言葉まで会得しているようだ。蒼鬼では絶対に聞けない言葉に、お初の頬も熱くなる。
「あっ」
唐突にお初の口から声が洩れた。
恋情があるかのような顔でお初が天海を見つめるのに苛立ったロベルトが、彼女の胸を後ろから強引にわしづかんだのだ。指がお初の胸の先端をリズミカルに弾く。
お初はたまらず、天海の胸に顔を預けた。
「子供のようだな、ロベルト」
もたれたお初の首筋を天海の唇が襲う。さらに、耳たぶを噛まれた。
「う、ん」
胸から与えられる刺激のため体が過敏になっているお初は、すい、と天海の舌に耳を舐められ、その思わぬ感触に声をあげた。
「耳が弱いのか?」
天海の声が間近に聞こえ、彼の息が耳の中を通る。お初の中の女性が、甘い男の声に悦び震える。
「そうなのか?」
ロベルトの歯が空いているほうの耳を噛む。胸への攻めはあいかわらず続けられたまま。
耳が弱いかどうかなどお初にわかるはずもなく、ただ、男たちから与えられる刺激に翻弄されている。
お初を支えていた天海の片手が、秘所へと伸ばされる。
「もう、そろそろ、いいのではないか?」
「まだ、早いと思うのだが?」
天海の指がまず秘所を探った。続いて、ロベルトの手も確認のためか秘所へ触れる。
快感を与えるためではなく、確認のために探ってくる二人の手に、お初は身をよじりながらただ秘所を潤ませるしかなかった。
「ふっ、うっ、うう……」
ちゅ、という音と共に、ロベルトの指が中へと入り込んできた。
お初が小さな悲鳴を上げる。
「ロベルト、入れたな?」
「このお初の反応が見たくて」
「なるほど。では、私はこちらを……」
天海の指が秘所にある小さな粒をとらえた。
「や、ぁ」
指はまだ粒に触れただけだったが、お初のそこはロベルトの指をきゅっと締める。
「きつくなった」
「濡れているか?」
「ああ、太ももにまで流れてきている」
お初自身が見ることのできない秘所の光景が、男たちによって伝えられる。その淡々とした口調が、さらにお初の羞恥をかりたてる。
天海がお初の内ももを撫で、手を彼女の眼前に示す。彼の手の平はうっすらと濡れていた。
「お初、私とロベルトにここまで濡らしてくれるのだな」
嬉しそうに微笑む天海だったが、お初は自分の愛液を見て軽く衝撃をうけていた。何かが秘所から流れ出ているのはわかっていたが、まさか、天海の手をここまで濡らすほどの量だとは思ってもいなかったのだ。
「わ、私は……知りません」
お初は天海の手から目をそむけた。
彼女の背後に立つロベルトが天海を睨む。
「天海、お初をいじめるのはやめてくれないか」
「濡れた手が愛おしくてつい、な。では、ロベルトからいくか?」
ロベルトがお初の秘所から指を抜く。
「もう、いいのか?」
「私が先に挿れてもいいが?」
「……いや、俺がいく」
ロベルトに先を譲ったのは、お初を想う気持ちを知っている天海なりの配慮だった。
天海が、お初を支える手に力をこめる。
「お初、恥ずかしいとは思うが、ロベルトに尻を突き出してやってくれないか?」
「どう、やって……?」
お初も女性だ。自分から尻を突き出す行為などしたことがない。天海に言われたものの、動き出せないでいた。
「ロベルト」
天海の呼びかけにロベルトが動いた。ロベルトはお初の腰を浮かせ、倒れないようにゆっくりと後ろへ引っ張った。
天海はお初をしっかりと支えている。
浮いていた足が地面へ着く。急な態勢の変化に驚いたお初は、天海に強くしがみついた。
「お初、辛くはないか?」
お初の尻に手を添えたロベルトが後ろから問う。
恥ずかしくはあったが、なんとか頷くことで、お初は彼に答えた。
「これを着けるのだ。根元まで」
天海から渡されたものを慎重に破らないよう、自分のものに被せる。子のできる仕組みを知っているロベルトは、その形状に感心した。
「そういうこと、か」
「これで子を成す不安は減っただろう?」
「いいものだ」
ロベルトの指がお初の秘所を探ってきた。かすかに静まりかけた快感がまた呼び起こされる。
秘所をまさぐるロベルトの指とは違う大きさのものがゆっくりと侵入を開始した。
「ん、んんっ」
「くっ、うっ……」
きつそうな二人の声が、挿入の音と共に岩場に響く。
見守りながら、天海は顔をしかめるお初の頬や頭を撫でた。
「……入った」
やがて、ロベルトが呟いた。
「お初、もう大丈夫だ」
見上げたお初に、天海が微笑みかけた。
お初は大きく息を吐き、体からよぶんな力を抜く。秘所の締め付けも少しましになった。
ロベルトが腰を動かし始めると、秘所の鈍痛はゆるい快感へと変わっていった。
「はっ、あっ、あ、あ……」
揺すられるリズムに合わせるように、お初の口から吐息が洩れる。
天海にしがみついている手から徐々に力が抜ける。
「てん……かい、さ……だ……め」
途切れるお初の言葉を理解した天海は、
「わかった。私が支える」
と、彼女のわきに手を入れ、力を込めた。
「ロベルト、早く頼む。私も限界が近い……」
「わかった」
お初の尻にロベルトの腰が強くぶつけられる。奥を突いたかと思えば、右側を滑り、浅いと思えば深いところへ入り込む。お初の中でロベルトのものが縦横無尽に暴れまわっていた。
波の音とは異質の水音が三人の間に響いている。
「ふっ、はぁ、あ、あああ……!」
背をそらし、足を伸ばし、お初は高々と声をあげて果てた。
直後、無言でロベルトが顔をしかめる。そして、己のものを抜き取った。
天海は、倒れこもうとしたお初を抱きとめた。彼女の体を支えたまま座る。
お初は、天海の胸の中で荒い呼吸を繰り返していた。額には汗もにじんでいる。
「お初、休ませてやりたいのだが」
疲れと快感の引かないお初は、天海にされるがままとなっていた。気づけば、挿入しやすい態勢へと変えられている。お初の秘所を見上げるように天海のものが勃っている。
「え、ま、待って、ください。まだ、私、そんな……」
抗議するが、天海の指が秘所にあてられたとたん、お初は小さく喘いだ。達して間もないせいか、ささいな刺激にも体は反応する。
「準備は十分すぎるほどできている」
「でも……」
先ほどロベルトの大きさを受け入れたばかりで、秘所にはわずかな鈍痛が残っている。なにより、達してすぐに別の男のものを受け入れたことなどお初には経験ないことだった。
「少し急がせてもらう」
天海が5本の指を器用に使って、お初の秘所とその近くの突起を撫で、もう片方の手で胸の先端を緩急をつけて揉み始める。
天海の言った通り、少し性急な愛撫ではあったが、お初の秘所に絶大な効果があった。先ほどあれだけ濡らし、ロベルトのものを迎えていたというのに、新たな蜜が天海のものを受け入れられるほど流れている。
お初は恍惚とした意識の中、天海の首に腕を回した。彼の首に、耐え切れぬほど溢れる吐息を吹きかける。
「見ているだけというのも、なかなか辛い、な」
ロベルトが天海と向き合って座る。大きな手を伸ばして、お初の乳房を包み込んだ。
「では、私もそろそろ挿れさせていただこう」
胸をロベルトに譲り、天海は、お初の腰を浮かし、装着の済んでいる己のものを挿入させた。
「は、あっ……あ、んん」
吐息だけだったお初の口から声が洩れる。すんなりと秘所は天海のものを飲み込んだ。
「俺の時と違って、天海を簡単に飲み込むんだな、お初のここは」
後ろからロベルトが、お初の尻の谷間を撫でた。
くすぐったいやら、甘く響くやら、でお初は体を震わせる。
「くっ、きつい、な」
ロベルトからの刺激に反応したお初の秘所が天海のものを締める。
お初の秘所より後ろの穴にロベルトの指が一本入ってきた。
「天海、もう一つ穴がある。ここはどうだ?」
「いや、やめておいたほうがいい。お初を痛めつけたくないなら」
「そうか。指で我慢しよう」
小さくすぼむお初の穴はロベルトの指一本でもきつい。下半身の穴を両方とも塞がれ、お初はどう力を入れたらいいのか困った。前に力を入れれば天海を締め付け、自分にも快感が訪れる。後ろに力を入れれば異物感に圧迫される。
だが、不思議なことに、後ろの指が徐々に快感をもたらすことにお初は気づいた。天海はまだ動いていない。ただ、ロベルトの指だけが抜き挿しされている。
「ん、ん、ふぅ」
「お初、俺の指で感じているのか?」
「わ……わから、ない……わ、で……も」
「気持ちいいのは確かなようだ。私のものを締め付ける力が強くなった」
天海が腰を浮かし、下ろす。上下させる速度を徐々に早めていく。
お初は、下半身の圧迫がもたらす快感に、天海の手に揺られるがままに、がくがくと体を震えさせることしかできずにいた。
何かが迫ってくる。そう感じたとたん、天海の動きが急激に速くなった。天海とお初の腿がぶつかる音が小刻みに響く。
「い、いや、ぁ、ああ……」
お初は全ての体重を天海の体へと預けた。
果てながら、天海は、ぐったりとしたお初の体を抱きしめる。
最初はロベルトの指で、そして、二人の男のもので果てたお初に、もう立ち上がる気力も体力も残されていなかった。
下半身を戻す天海に代わり、ロベルトが赤子のようにもたれてくるお初を腕に抱いている。汗で額にはりついているお初の前髪をロベルトの指が払う。
「お初、大丈夫か?」
「ご、ごめんなさい。わ、たし……立て、なくて」
「いいさ。俺が運ぶからお前は寝ていればいい」
「でも、着ているものを整えない、と」
お初は体を起こそうとしたが、支えるはずの手ががくりと折れる。
「俺が整えるから」
「私も手伝おう」
ロベルトがお初を支えながら、片手で乱れを直し、天海が紐などを結んでいく。
お初の秘所も拭き取られ、着衣も元に戻された。
「二人とも……ありがとう」
お初を抱く態勢を変え、ロベルトが立ち上がる。
天海がお初の顔を覗き込んだ。
「天海、さん?」
「お初、このようなことをして言える立場でもないが、今宵はゆっくり眠るといい」
ロベルトがうなずく。
「明日の戦いではなるべくお前の傍を離れないようにする」
では、と言い、天海が先に皆のもとへ戻っていった。
ロベルトが、お初の額に口付け囁いた。
「お前の中、温かかった。俺は……忘れない」
「やだ、ロベルト。そのことは忘れて」
ぺし、とお初はロベルトの胸を叩く。
「明日、辛かったら俺に言え」
「でも、みんなの足手まといになりたくないから、よほどでない限りは放っておいてね」
「強いな、お前は。だから、俺は……」
ロベルトの目が空を見つめる。
お初も、同じように上を見上げた。
「いや……。さあ、行こう」
空を見るお初の視界がふいに動いた。
ロベルトの砂を踏みしめる足音が、波の音と共にお初の耳に優しく響いていた。
◇終◇