ピンポーン…  
 
「宅配便でーす」  
「はーい」  
 
  ぱたぱたぱたぱた  
 
 スリッパの音を鳴らしながら玄関へと向かう女性、これから先起こる悪夢を予感できるはずもなく…  
鍵を外すと目深に帽子をかぶった宅配便屋が荷物、30cm四方のダンボールを持って入ってきた。  
「サインでよろしいですか?」  
「ええ。構いません」  
 さらさらと美しい達筆で『高杉晶子』と書き留めた。そして、荷物を受け取って一礼して「ごくろさまです」と声をかけてふと目を差出人の場所に落とすと  
まったく身に覚えがなく不審に思ってその宅配便屋に問いかける。  
「あの…これ、本当に私の荷物なのでしょうか?」  
「ええ、高杉晶子さん宛てです。一応確認のために開いていただけるでしょうか?業者の私が一緒にいるから構いませんよ」  
「あ、そうですか。」  
「これ、カッターナイフを使ってください」  
「ありがとうございます。」  
 本来そんなことが許されるはずもないのだが天然というか少しズレているところもある晶子は疑問も持たずダンボールを開けようとする。  
カッターナイフで封印してあるガムテープを裂く、そして開けようとした瞬間ふと声がかけられた。  
「そうだ、カッターナイフを返してください」  
「あ、はい。わかりました、ありがとうございます」  
(抵抗されるときに使われたらかなわんからな…くくく…)  
 男の暗い考えも知らず、男なら誰でも見とれる様な笑顔をにっこりと向けながらカッターナイフを持ち手を相手に向けて返した。  
そして、ダンボールのふたをゆっくりと開く…。  
 
「っ!!?え?な、なに…これ?」  
 普段あまりうろたえないマイペースな晶子が息を呑み、目を見開いている。端整な顔も耳まで朱に染まっている  
「へっへっへ、どうしたんですかぁ、奥さん?」  
「え!?あ、なんでもありませんから!」  
 宅配便屋の下卑た声にがばっとダンボールを閉じて愛想笑いをする晶子。必死にその中身を隠そうとする、だが宅配便屋は無理やりその手から荷物を剥ぎ取った。  
そして荷物を開けるとさらにいやらしい笑いを浮かべながら晶子を見る、晶子は真っ赤になりながらうつむき震えている。  
「おやおや、こんなモノを運んでいたのか俺はぁ…」  
「ちっ、ちがいます、きっと何かの間違いです!」  
「あぁん?奥さんならコレを使う必要もあるでしょう?旦那さんを早くに亡くして欲求不満なんだからよぉ…」  
「私は、そんなの…」  
「あん?じゃあなんでこんなモン通販してるんだ?こんなでっけぇバイブをよぉ!!」  
 そう、日本代表の要たる高杉和也、そのの母である高杉晶子に送られた荷物の中身…それは、男性器を模した巨大なバイブレーションだった。  
羞恥に染まって怯える晶子を前にひたすらいたぶる様に言葉で責める男…彼はもちろん宅配便屋などではなく、彼女を淫獄に落とさんがために訪れた陵辱者だった。  
そして陵辱者は一人ではなかった…がちゃりと音を立て玄関のドアが開くと宅配便の車両、もちろん偽装したものだが、その運転手も入ってきて晶子を舐めるように見回す。  
「よう、早く荷物渡して次のところへ行こうぜぇ」  
「くくっ、だけどよぉ、この奥さんがこの荷物は自分のじゃないっていうんだぜ?」  
「ああん?じゃあこの奥さんの荷物かどうか確認する必要があるよなぁ」  
「!!…そ、そうです、この送り主の方に連絡してみてください、きっと送り間違いだってわかりますから…」  
「いやぁ、もっと簡単に確認する方法がありますよ」「ああ、あるなぁ。くくっ!」  
「…?」  
 怪訝な表情をする晶子…だが、その答えは残酷に過ぎるものだった。  
「あんたがコレをくわえてみりゃぁなぁ!!」  
「ひっ!!?…きゃあああああああああああああああ!!!むぐぅっ!!」  
 晶子の周りを取り囲んだかと思うとぐいっと抱き寄せる、その突然の行動に悲鳴を上げるが、運転手の方の男の大きな手が晶子の口元を無理やりに隠して遮られた。そして…。  
 

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