「……うぅぐ…ひっぐ…んっ…うぐっ…ひっぐ……」
――……ごめん…ね……しん…ちゃん……
「……ひっぐ……うっぐ……」
――おかあ…ん……もう……とおく……なきゃ……ないの……
「……だ……や、だよぉ……かあ…さん……いっ……っく……」
――あ……ことは…父さ……と……しの…さ……達に……ねが……し…あるから……
「……えっぐ…うぅ……ひっく……」
――み…なの……うこと……ちゃ……と……きいて……いい…子に……して……ね……?
「……うぅぅぅ………う、んっ……ひっく……」
――……し……ちゃ…………に……い……ら……れ…く…て………ご…め…………ん…………
「………ひっぐ……………かあ……さん? か……あ……さ……ん…………か……あ……さ……
うあ……あ……うわあああああああああああああああああああああああああああああ…………!!」
……俺の目の前に、死体があった――
「うぎゃああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
喉も裂けよとばかりの悲鳴を響かせ、視界がぐらりと回転し遠ざかると、突然臀部に痺れるような
衝撃が走ってぎゃあ!
「……北村ー、なーに一人で盛り上がってんだー?」
涙目になりながら必死に尾てい骨の痛みに耐えていると、抑揚無く伸ばす独特の調子が頭の上から
聞こえてきた。少し呆れの色が含まれているようだ。相変わらず全くやる気の感じられない声音だが、
それがかえって、自分が確かに夢の世界から現実に戻ってきたことを実感させてくれる。
「あー、来週からテスト期間だってことー、完全に忘れてんじゃないのかー?
それにーお前ら来年は受験生なんだぞー、ちょーっと緊張感無さ過ぎンじゃないかー?」
うっす。申し訳ないッス。
目を伏せたまま申し訳程度に頭を下げ、口の中で呟いた。教壇に戻る担任のやれやれという感じで
漏らした溜息が、クラスメイト達の微かな笑い声に混じるのを耳にしながら、椅子によじ登る。
まだ痛みの残るお尻を擦っていると、正面に文字通り死んだように眠る礼二の姿が見えた。
(……お前のせいで、死んだお袋の顔がお前の顔に入れ替わった夢見ちまったじゃないか!)
俺は八つ当たり気味に、礼二の横っ腹辺りを蹴りつけてやった。と、妖しげに身を捩る礼二。
「……ご、ごめんよ……ユカリン……ああ、そんなの……入らないよぅ……だめぇ……」
……一体、どんな夢見てるんだ、こいつは……
さて、暮れなずむ町の光と影の中、部活やテストの事など取り留めの無い話をしつつ俺達は下校中。
俺の隣には由香里ちゃんがいる。いつものように真由を迎えに行った所、由香里ちゃんもいたので、
自然と途中まで一緒に帰ることとなったのだ。普段ここが定位置の真由は、俺達のすぐ後ろで黙って
ついて来ている。礼二は今日も空手部の橘先輩に、「拉致だ強制連行だ国際的テロだ国家的犯罪だ
人権侵害だ権力の横暴じゃよギャワァーン!」などと喚き散らしつつも結局強引に連れられていった。
今頃、さぞかしいい悲鳴を道場に響かせている事だろう。
わが校では、大学入試に備え2年の冬に部活を引退する事になっているが、特に成績優秀な生徒、
または部活で全国レベルの成果を期待できる場合に限り、進級後も部活を続ける事が認められている。
橘先輩は昨年、それが後者で認められたケースだ。俺は大部分の2年生と同じく、先月空手部を
引退していた。それでも引退して間もない俺は、現役時代の習慣を引き摺って応急セットを持ち歩いて
しまうのだが、今はおドジな真由用に有効利用されているので、これはこれでいいのかもしれない。
礼二は何故か橘先輩に見初められ、先輩自ら顧問に頼み込んでまで、部活を続ける事になった。
組み手をやっても俺と互角以下の礼二に、橘先輩が何故そこまで執着するのかはわからないが……。
ま、その辺の話はそのうち本人達から聞けるだろう。
「……お兄ちゃん……橘さんに相手して頂いていたんですか……」
「……それが、どうかしたの?」
「い、いえ! ……ただ、引退したはずなのに、まだ帰りが遅いのでちょっと……」
「心配?」
「いえ全く」
「じゃ、なに?」
「……ちょっと、気になっただけです」
俺の疑問にポツリと応えて、由香里ちゃんは黙り込んだ。何か思うところがあるのだろうか?
それ以上本人には聞いてはいけないような気がして、俺は何となく横目で真由に視線を送る。
……真由は、夕陽を眺めていた。その物憂げな横顔は、濃い陰影を刻み朱く染めあげられている。
普段、子供のようにコロコロと表情を変えて俺の目を愉しませてくれる真由が見せた、その少しだけ
大人びた表情に、俺は新鮮な驚きを覚えていた。
(……真由も、こんな顔することあるんだ……)
「…………らさん……北村さん?」
すぐ隣から聞こえてきた声に我に帰った。由香里ちゃんが不思議そうに、俺を見上げている。
……しまった。真由に気を取られて、本気で由香里ちゃんの事一瞬忘れてしまっていたぞ……と、
「どうか……しましたか? ……あ。……あの……私との話は……やっぱり……楽しくないですか?」
警報発令! 警報発令! 俺の立場がいろんな意味で大ピンチ!!
「っそ、そんな事無いって。ただ、ちょーっと、考え事をだね――」
「 楽 し く な い ん で す ね ? 」
『ゆかりはぐずりはじめた』
……だめだ、俺じゃ手に負えん。
「真由、ちょっとどうにかしてくれ……」
『まゆはたそがれている……』
「おい! 真由!」
『まゆはわれにかえった!』
「え!? な、何伸ちゃん?」
「……真由ちゃんを間に置かなきゃ、私とは話したくないんですね……ぐすぐす」
『ゆかりはますますぐずりはじめた』
……私に、どうしろっていうんですか、由香里さん……。
と、その時、俺の中で天啓の如くある記憶がピカーンと鮮烈に蘇った……これだ!
「由香里ちゃん!!」
俺は大声をあげて由香里ちゃんの両肩を強めに力を入れて掴んだ。びくぅ! と全身を強張らせて
おずおずと顔を上げた由香里ちゃんを正面から覗き込む。その涙で潤む瞳に俺の顔が映ったのを確認して、
「泣くぞ! 俺泣いちゃうぞ! 君はそれでいいのか!?」
「……え?」
口と両目を丸く開けて、ポカーンという擬音が似合う表情の由香里ちゃん。よし、つかみはOK。
未だ自分の中で葛藤する思いがあるのだが、それを無理矢理押し殺す。……いざ!
「君が泣き止まないなら俺も一緒に泣いてやる! おー泣いてやる、思いっきり泣いてやるからね!
180もタッパがある元空手部員が、往来のど真ん中で泣き叫びながら転げまわってやるもんね!
涙だか鼻水だか涎だか汗だかよく分からないけど凄く汚い液体撒き散らしてやるんだからね!ね!」
「え?え?え?え?」
予想通り、何がなんだか分からないといった感じでオロオロする由香里ちゃん。さらに畳み掛ける俺。
「あー!疑ってるな! んな事出来るわけねーじゃん頭に蛆虫わいてるとちゃうかとか思ってるな!
いいよいいよ、今から証明してやるからご町内に75日以上噂になるぐらいにやってやるからな!
じゃ、真由、鞄持ってて。うん……よーし、じゃあ泣くぞー!…………泣いちゃうぞーー……っと」
「……まっ待ってください!!」
俺が背を向けて、深呼吸して、「お願い早く止めて」と神に祈っていた所、漸く由香里ちゃんが
止めてくれた……背中に抱きついて。むにゅ、という感触。これは多分真由には無い物だ。うむ、悪くない。
……っと安心して、ちょっと思考が空回りしているみたいだな俺。
腹の底からの安堵の溜息を吐き出すと、弾かれたように俺の胴から由香里ちゃんの腕が離れた。
「あっ、あの、ごめんなさい……私……私……」
手をもじもじさせながら、夕陽のせいだけじゃないだろう顔を真っ赤にして項垂れる由香里ちゃん。
またぐずられちゃたまらんので、すかさず、その旋毛の辺りをペシンと軽く叩く。
「だーかーらー! 笑ってってば。そのほうが俺が嬉しいから……ほら、こんな感じでにーって」
自分の両頬を引っ張って、ピエロのような作り笑顔を浮かべる俺に、一瞬きょとんとした後、
「……はいっ」
季節外れの向日葵ような笑顔を浮かべた由香里ちゃんは、それから手を口元に寄せてクスッと笑って、
「でも北村さんって、思っていたより、ずっと面白い人だったんですね?」
「お世辞でも嬉しいですぅ♪」
「……それに、思っていたより、ちょっぴりいぢわるです……」
それから程なくして、帰路が違う由香里ちゃんとは別れた。
その際にも「う゛ぐ〜」と泣きそうな顔をしていたのには流石に参ったが、またお弁当作ってよ、
と頼むと首が抜けそうなくらい何度もコクコク頷いて、笑顔でスキップしながら去って行った。
……ここまでくると、自分に好意を持っているのではないかという憶測が確信に変わってくる。
まあ、結構可愛いし、料理も上手いし、性格も癖はあるけど基本的にはいいし、悪い気はしないけど……
「何で俺を?」という疑問が先に浮ぶ。
顔は十人並み、特別格好いい訳でもないし、勉強でも部活でも目立つ程の実績があるわけじゃない。
そもそも由香里ちゃんとは、今日までほとんど話をした事も無かった。そんな俺に何故――
「伸ちゃん……今、ユカリンの事考えてたでしょ?」
「む、ばれたか」
「うん、ばればれ」
視線を斜め下に落すと、真由と視線が合った。楽しげなのに淋しげ、そんな良く分からない表情だ。
……何となく居心地が悪いなぁなどと思っていると、つと真由が顔を上目遣いに覗くように傾けて、
「ユカリンすっごく真面目でいい子なんだから、伸ちゃんあんまりいぢわるしちゃだめだよ?」
「そっだなぁ……じゃあ、すっごく不真面目で悪い子の真由ちゃんをいぢめる事にいてててててっ」
その頭の上にポンポンと置いた手の甲を、頬をリスのように膨らませた真由に思い切り抓られた。
すぐに手は引っ込めたが、いきり立った真由は更に噛み付いてくる。
「それにさっきのアレなに!? あんなかっこ悪い伸ちゃん初めて見たよ!? 真由隣にいて――」
「俺も、こんなに膨れた真由の顔初めて見いてててててててっ」
突っついたら破裂しそうな真由の頬を、試しに突っついてみようとして、また思い切り抓られた。
「……伸ちゃんのバカ! もう知らないから! ベーッだ!」
何を知らんのだ?とツッコむ間もなく、俺にアッカンベーすると、真由はいきなり駆け出して――
「きゃあ!」
……いつもの事と言えばいつもの事だ。自分がそれを望んでいる事も自覚している。ただ、例え
そうだとしても、やはり辟易することだってあってもいいのではないだろうか。
俺は俺の背中にしがみついているおドジさんに聞こえるよう、わざと大きな溜息を吐いて、
「……ったく、一人で何やってんだお前さんは?」
「ううううううううううううううううううううう!!」
「いたたたたた分かった分かった全部俺が悪いんだろ? ……だから痛いってば」
今度は本当に足を挫いたらしい真由は、俺の頬を抓るというか寧ろ引き千切ろうという勢いだ。
流石に今朝のようなカウボーイを気取るような事はしないが、大人しくしているつもりは無いらしい。
俺の後頭部をぽかぽか叩きながら、自分が転んだのも最近少し風邪気味なのも、鳥インフルエンザが
広がっているのも牛丼が食べられなくなったのも、年金の受取額が減るのも公共事業に無駄が多いのも
北朝鮮が核開発を放棄しないのも(以下略)全部俺のせいとしてなじってくる。
俺はというと、その全ての責任と、街行く人々の生暖かい視線を一身に受けながら、
悪かった悪かった俺が悪かったと念仏のように繰り返し、ひたすら足早に歩を進めるのだった。
5分ほどして漸く怒ゲージが切れたのか、真由の殴打が止み大人しく俺の両肩に手を置いて、背中に
体を預けてきた。うむ、俺の忍耐力の勝利だ。
……が、逆に黙ったまましおらしくしている真由の存在に、今度は俺の方が少し落ち着かない。
「あー、真由君、ちょっといいかね?」
「……なに」
ああ、なんと可愛げの無い返事か。その不貞腐れた表情が簡単に想像できて、ちょっと可笑しかった。
「さっきの、由香里ちゃんにやった奴なんだけどなぁ……アレはお前の真似だぞ?」
背後で真由が息を飲む気配。そして、またもやテンションゲージが上った模様。
「っ! 知らない! 真由あんな事した事無いもん! 伸ちゃんのうそつき!」
「嘘じゃないもん」
「じゃあ、いつ!? 真由がいつやったって――」
「俺のお袋が死んだ日さ」
背後で再び真由が息を飲む気配。今度は一気にクールダウンした模様。わざと、少しだけおどけた
口調で言ってみたが、あまり意味はなかったようだ。
真由が完全に沈黙してしまったので、俺は勝手に喋る事にした。
「あの日、おじさんたちが、手続きとかいろいろ面倒な話聞いててくれた時――」
――辛くて、哀しくて、恐くて、苦しくて……淋しくて、寂しくて――
「俺の親父はまだ病院に着いてなくてさ。俺が一人でわんわん泣きまくってて、その間中――」
――真由が、ずっと側にいてくれた――
「お前言ってたぜ? 『しんたん、ないたやめっ、だやなきゃまゆもないたゆからっ』ってさ」
――そう、ずっと、側に……――
「……よっと」
膝を軽く屈伸させた勢いで、少しずり落ちていた真由の体を背負いなおす。僅かに身動ぎした真由が
一人言のように背中で呟いた。
「伸ちゃん……覚えてたんだ……」
「おうよ。ちなみに結局、お前の方が俺より大声で泣いてたこともよーく覚えててててっ」
ばかばか言いながら、真由はまたもや俺の頭を叩く。ただ、今度のは怒りに任せたものではない
というのは何となく分かった。衝撃も肩たたき程度の物。まあ、この程度なら別にいいや。
少しだけ背筋を伸ばして、胸を反らし一息つき、
「ま、そう言うわけで、アレは元々は真由が――……ん?」
不意に、真由がその細い手を、まるで幼い子供が父親の身体から振り落とされないようにするように、
ぎゅっと俺の首に廻してきた。
真由の前髪が耳朶を悪戯に弄び、マフラー越しのくしゅと顔を埋める感触に、ただそれだけで、
胸の真ん中辺りから頭の先へと、火傷しそうなほどの熱が爆発的に広がってくる。
真由は普段から馴れ馴れしいスキンシップを繰り返してくるが、この攻撃は初めてだった。
(……ちょ、ちょっとおい……)
鼻腔を擽る仄かなシャンプーの香り、襟元に掛かる湿った吐息、耳元で秘め事を囁くような甘い声に、
白濁した意識が熱く煮え滾り、蒸気を吹き出さんばかりに音を立てて沸騰する。
「……ねぇ、伸ちゃん……あのね……」
「……な……なんだぁ?」
上ずってしまった声を取り繕う事もできず、自分でも分かる程不自然な動きで顔を横に向けると――
「………………………………………………くしゅん!」
……うわーすげー消火能力。物理的にも精神的にも完全鎮火だ。いわゆるシオシオってやつか。
真由に投げかけるべき言葉は勿論、自分の横顔がどんな事態になっているかすら考えられなかった。
「ごっ、ごひぇんっ」
真由は恥ずかしそうに顔を背けながら、ポッケからティッシュを取り出すと、自分の顔に当てチーン
と鼻をかんだ後、それをそのまま完全にブレーカーが落ちた状態の俺の顔にぐりぐり押し付けてくる。
一応、俺の顔を拭いてくれているつもりなのだろう……ヌルヌルが逆に広がったような気がしたのは錯覚か?
そして小鼻の周りを指先で気にしながら、プレーリードッグのように周囲に視線を巡らしている。
それを見て、あーティッシュ捨てる先を探してるのか、と再起動した頭を働かせつつ顔を正面に
向けると、折りよくコンビニのゴミ箱が視界に入ってきた。
夕方の朝顔になった真由は俺の背中に隠れるようにして縮こまっていた。そのことが、ただでさえ
小さな真由の身体をなお一層矮小なものにしてしまってい「くしゅん!」
……そう言えば、さっき風邪気味だとか言ってたような……。
俺は立ち止まり、泣きべそに似た音を鼻から漏らす真由に声をかけ、首を捻って真由の顔と自分に
巻かれたものとを交互に見る。敢えて、表情は作らない。
「これ、使え」
「ふぇ?……でも……」
「頭の後ろでクシュンクシュンされるよりはよっぽどましだ」
「う゛ー……」
俺は冷たく言い放つと、再び正面を向いて歩き始めた。両手がふさがっている俺に、できる事はもう無い。
あとは、真由が自分で考えて、俺のマフラーを使うなり使わないなり勝手にすればいいことだ。
「……………………」
少し間を空けて、首が軽くクイクイと後ろに引っ張られた。それから、首の後ろに静電気に似た
感触が生じると、うなじの間に冷えた空気が入り込んでくる。真由がマフラーを緩めたようだ。
(うーん……これで、今度は俺が風邪引いたら、かなり間抜けだよなぁ)
などとぼんやり考えていると、唐突に、今度は強く首が締められた。いや、正確には首の後ろに何か、
そう自分の頭と同じぐらいの大きさの何かが「んしょんしょ」言いながら入り込もうとして――って!
「ちょちょちょっと――!」
待ってはくれなかった。何かがマフラーから頭を出して「ぷぅっ」と息を吐き、目的達成を告げる。
気がつけば、首筋に、耳元に、頬の辺りに、真由の温もりがじんわりと広がり始めていた。
「へへっ、これなら真由も伸ちゃんも暖かいよね? うん、真由ちゃんナァイスアイディーア♪」
無駄に綺麗な発音をかまして、またもや真由は肩越しに手を廻し、さっき以上に身体をくっつけてくる。
まあ、一つのマフラーを二人で使うのだから、より両者が密着している方がいいのだろう……が、
(……こいつは何で平気でいられるんだ? それとも、変に意識している俺の方がおかしいのか?)
……春が近いとは言え、冬の日の暮れはまだまだ早い。既に空は濃い藍色に染まり出していた。
それでもその時の俺は、夕陽色の真っ赤な絵の具を頭から被ったような顔色をしていた事だろう。
楽しげな真由の話を適当に相槌を打って左から右に聞き流しながら、この時が早く終わるように、
そしてもっと長く続くように、誰にともなく祈ったりなんかしちゃったりする俺なのだった――。