マドカは俺の自慢の妹だ。
成績は学年トップクラス。1年の生徒会副会長。来年の会長就任は確実だと言われている。
沈着冷静。寡黙。
教師や生徒からの信頼も厚く、常に先頭に立って指揮を取っている。
『・・・ですから、皆さんのお力が必要なのです。どうか、全ての生徒が一丸となり・・・』
今も生徒会長に代わり、マドカが朝礼での演説を行っている。
普通ならだらける生徒もいっぱいいるのだろうが、マドカの話だけは皆が真剣に聞く。
はぁ。俺とは大違いだ。
成績は学年でも下の方。普段から馬鹿なことばかりやってて教師からは目をつけられている。
唯一得意な水泳だって、県大会でいつも敗退。
ホント。大違いだよな。
私には自慢の兄さんがいる。
みんなはダメ兄とか落ちこぼれなんて言うけどそれは間違いだ。
勉強は嫌いなだけで、ちゃんと勉強すれば私と同じように学年トップになれる実力を持っている。
水泳だって、いつも余力を残して泳いでいるだけ。
私だけが知っている兄さんの本当の姿。
『マサキ!腕が回って無いぞ!!』
私はこうやって生徒会室から兄さんの泳いでいるプールを見るのが好き。
この場所はプールがよく見える。だから、生徒会に入ったのだ。
兄さんは。私の・・・一番。
「マサキ。帰ろうぜ」
「おう」
プールから上がって着替えた俺を待っていたのは、同じく水泳部の武田だった。
中学からよくつるんでいて、家族を抜かせばこいつと一緒に時間が一番多いだろう。
男らしい性格だが、れっきとした女。
けど、さばさばした性格と普段の行動を見てれば女だとは絶対に思わない。
武田は自分で生まれてくる性別を間違えた、なんてよく言っている。
「あれ。マドカちゃんじゃないか?」
「ホントだ」
マドカがバス停でバスを待っていた。
俺はチャリ通。マドカはバス通だ。
俺の家はチャリで通うには少し遠い。けど体力づくりになるし、なにより寄り道できるから俺はバスを使わない。
「今帰りか?」
「あ。兄さん・・・はい。兄さんも?」
「あぁ。ゲーセンとか寄ってくから、母さんに言っておいてくれ」
「え?今日は・・・お父さん帰ってくる日だよ」
「あ。しまった」
海外出張をしている父さんが久しぶりに帰ってくるんだった。
「・・・あの。一緒にバスで」
「じゃあ、急いで帰るか。武田、今日は飛ばすぞ。ちゃんと着いて来いよ!!マドカも気をつけてな」
「誰にもの言ってんだ!じゃあな、マドカちゃん」
「あ」
俺は全速力で家路を駆け抜けた。
兄さんが行ってしまった。
私はやってきたバスに乗る。
本当は兄さんと一緒に自転車通学したいけど、私は体力が無いから無理だと思う。
武田さんが羨ましい。
兄さんと武田さんは仲がいいし。ひょっとして・・・付き合ってるのかな。
「っっ」
まただ。また私のお尻を誰かが触る。
この時間は他の学校の生徒や一般の人が多くてすごく込むから。
「あ。降ります」
痴漢にあった日はすぐにバスを降りる。
次のバスだって15分もあれば来るんだし。
けど、朝が問題だった。途中で降りるわけにもいかないし。それに最近は・・・
・・・痴漢を乗せたバスが行ってしまった。
以前、同じ学校の女子が痴漢を捕まえていた。私にはそんな勇気も度胸も無い。
朝の演説だってあまりやりたくはない。けど、立派にこなすと兄が褒めてくれる。だから、私は続ける。
「あれ。マドカ。どうした?」
「兄さん」
先ほど勢いよく自転車をこいでいた兄さんと武田さんが後ろからやってきた。
あの勢いならもっと先に行っててもいいはずなのに。
「あ・・・アイス」
「げ。あはは。汗かいちゃってさ」
コンビニに寄ってたんだ・・・だからか。
「お前は?」
「うん・・・ちょっと気分が悪くなっちゃって」
痴漢にあったことは言わない。兄さんにあんまり心配はかけたくないし。
「武田」
「ん?」
「俺。マドカと帰るわ。先帰っててくれ」
「わぁった。んじゃ、また明日部活でな」
「おう」
武田さんが先に帰る。
兄さんは自転車を降りて私の横に立った。
「じゃあ、俺たちも帰るか。ここからなら歩いても15分くらいだし」
私と兄さんは並んで歩き出した。
「さて行くか」
「あれ。兄さん、自転車は?」
俺はマドカと玄関を出る。
いつもなら俺は物置に自転車を取りに行くのだが今日はマドカの隣りだ。
「今日からしばらくバスにするよ。自転車で行くには暑いしさ」
「ふふ。バスも暑いよ?」
最近、マドカの様子が少しおかしかった。
以前は学校に行くのが好きそうだったのに、最近ではそれほどでもない。
だからと言っていつもそうかと言うと、逆に学校に着くといつものマドカに戻るのだ。
体調が悪いのだろうかと思ったが、昨日なんとなくわかった。
多分、マドカはバスの中で痴漢にあってる。昨日、ずっとカバンでお尻の辺りを隠していたのがその証拠だ。
うちの学校は女子のレベル高いし、結構前から問題になってたんだけど。
「うわ。すげぇ人だな。暑そう」
「だから言ったじゃない」
そう言ってマドカはクスクスと笑う。
俺と一緒ってことで少しは安心してるのかな?
俺たちはバスの後ろの方に並んで立つ。
あ。こりゃ気分悪くなるわ。エアコンは全然効いてないし。マドカはどうだろう。
「・・・っっ・・・ぁっ・・・はぁ」
顔を真っ赤にして息が上がっている。
熱気にやられたわけじゃなさそうだ。
俺は首だけを動かしてマドカの足元を見る。
「っ!?」
誰かの手だ。座ってるヤツみたいだが、顔は見えない。
その手はマドカのスカートの中にまで手が入っている。
「マドカ」
「・・・ダメ・・・言わないで・・・んっっ」
マドカが俺の方を見て首を横に振る。
「なんで」
「・・・だって・・・今・・・あぁぁっ」
俺はマドカの手を取って人をかきわけて無理矢理前に歩き出す。
「すいません。妹が気分悪いみたいで。降ろしてもらえますか?」
俺とマドカを降ろし、バスはまた行ってしまった。
「マドカ。そこの公園で休もう」
・・・最悪だ・・・兄さんに気づかれた。
「マドカ。大丈夫か?」
ベンチに座る私の顔を兄さんが覗きこむ。
私・・・今どんな顔してるんだろう。
「ごめんな。守ってやれなくて。これからは俺が一緒に登下校してちゃんと守ってやるからな」
・・・兄さんは優しい。
けど、その優しさは私が妹だから。きっと、彼女が出来たら・・・同じように兄さんは彼女の方を。
「・・・直に触られちゃった」
「え?」
全部。全部話したら兄さんは何ていうかな・・・怒るかな?呆れるかな?
「ほら」
私はスカートをめくって兄さんに見せる。
風があたって、何も身につけていない脚の付け根がスースーする。
「お前。なんで」
「痴漢の人に言われてたから・・・毎日あの場所で・・・あの人に・・・ずっと」
そう。朝の痴漢は毎日同じ人。
最初はお尻を触る程度だったけど、今はこうして命令されて私はそれを実行する。
「スカートの中の写真撮られて・・・命令に従わないと・・・ばら撒くって」
兄さんは何も言わない。
何も言わずに拳を握り締めている。
「それにね・・・最初は気持ち悪いだけだったけど・・・段々と・・・今は」
「言うな。それ以上」
怒ってる。
そうだよね。幻滅したよね。
兄さんが私を自慢の妹として見てくれているのは知ってる。だから、私もそれに恥じぬように頑張っているのだから。
けど、それも今崩れた。兄さんの見てくれていた私は全部壊れちゃった。
「・・・ごめんね。今日は私学校・・・休むね・・・兄さんはちゃんと行って」
私はスカートを下ろして立ち上がる。
兄さんはもう私には優しくしてくれない。きっと、私はあの手に弄ばれるだけで高校生活は終わるんだ。
「マドカ」
「にぃんっっっ」
何があったのかよくわからない。何か・・・温かくて・・・気持ちがいい。
俺は何をしているんだろうか。
マドカを抱き寄せてキスしている。
けど、マドカの告白を聞いているうちに俺の中の何かが弾けて、気づいたしていた。
キスを止めると、マドカが俺の耳元で何かを囁く。
「・・・兄さん。私ね・・・今週から・・・学校につくまでの15分間で・・・いかされるようになっちゃった」
マドカの手が俺のペニスを、ズボンの上から触る。
「今日はまだいってないの・・・キスで火照った・・・体の責任・・・ちゃんととって」
マドカが何を言っているのか。よくわからなかった。
けど、俺の体は無意識のうちにマドカの手を引いて歩き出していた。
俺もマドカも狂ってる。暑さと非日常的な事象によって正しい判断が出来なくなっている。
そう・・・自分でもわかっている・・・わかっているのだが・・・今は・・・マドカを・・・欲していた。
俺はマドカをつれて公園のトイレに入る。
ここの公園は出来たばかりでトイレも綺麗だ。しかも、車椅子の人用の大きな密閉空間も存在していた。
「ここでするの?」
俺はマドカを洋式の便器に座らせる。
赤く火照った顔ととろけた瞳は普段のマドカとは違っていた。優等生の仮面が取れた本当のマドカ。
俺はズボンを下ろすとペニスをマドカの眼前にさらす。
「大きい・・・これが兄さんの・・・んっ」
マドカは躊躇することなくそれを口に含む。
舌使いも口の動かし方も上手だ。
「初めてじゃないのか?」
「ずっと・・・兄さんの・・・思って・・・バナナとかソーセージで」
マドカが美味しそうに俺のを舐めている。
「マドカ。もういいよ・・・じゃあ、マドカも気持ちよくしてやるからな」
俺はマドカを立たせて壁に手をつけさせる。
俺の方にお尻をむけさせて。
「いくぞ」
「うん」
俺はマドカのヴァギナにペニスの頭を当てる。
このまま力を入れれば俺は。
「いいよ・・・兄さん・・・兄さんに・・・ずっとこうして欲しかった」
マドカ・・・俺は力を込めてマドカを貫いた。
あ・・・はっ・・・息が・・・出来ない・・・
「大丈夫・・・じゃないよな。少しこのままでいてやるから」
んっ。
兄さんが私に覆いかぶさるように上半身を倒す。
兄さんの唇・・・キス・・・したい。
「んっ・・・はぁ・・・に・・・ぃ・・・」
兄さんとキスしてる。さっきとは違う・・・繋がったまま・・・一つになってキスしてる。
気持ちがいい。
一生叶わないと思っていた願い。
それが叶った。
「兄さん・・・最後まで・・・お願い」
私の腰を掴む手に力がこもる。
うぅぅぅ・・・あぁ・・・入ってくる・・・兄さんが・・・入ってくる。
「全部入ったぞ」
「・・・嬉しい・・・ずっと・・・こうして欲しかった」
また兄さんとキスをする。
舌が絡まるたびに、頭が真っ白になりそう。
好きな人と一つになることがこんなにも気持ちいいことだったんて。
「はぁ・・・っ」
兄さんのがゆっくりと後ろに動き、勢いよくまた入ってくる。
気持ちがいい。
初めてなのに、痛みより気持ちよさが上なんて。
あ・・・あぁ・・・
「はぁはぁ・・・兄さん・・・もっと・・・好きにして・・・いいよ」
私の腰を掴んで、テンポよく出し入れされる。
兄さんのがある一点を通るたびに、背筋に痺れが走るほど気持ちがいい。
あっ・・・もう・・・だめ。
「もう・・・限界・・・立って・・・られ・・・えっ!?」
兄さんが私の腕を掴んで持ち上げる。
「あ・・・はっ・・・かぁ」
背が大きく反らされて、足が地についてない。
そして、兄さんのは・・・すごく・・・深くまで・・・もう・・・だめ。
「マドカ!」
あぁ。何か・・・何かが入ってくる・・・温かい何かが。
これ・・・兄さんの精液?中に・・・出してくれたんだ・・・気持ちがいい。
「兄さん」
「マドカ」
俺立ちは向かい合ってキスをする。
俺はもう完全にマドカの虜だ。妹だったマドカが今は・・・女に見える。
「好きだ」
「私も・・・ずっと・・・ずっと昔から」
マドカの体は小さいけどすごく温かい。これ以上ないというくらいに俺を幸せで包んでくれる。
「ごめんなさい・・・私・・・私」
「いいよ。お前の言いたいことは大体わかる。マドカはマドカだ。副会長のマドカも・・・今のマドカも」
「ありがとう・・・大好き・・・嫌いにならないで」
「あぁ。ずっと一緒にいてやるよ。もう、離さない」
「うん」
マドカは俺の胸の中で気持ちよさそうに目を瞑っている。
久しぶりに見る、穏やかな顔だ。
「とりあえず、お前を脅したやつを捕まえないとな。明日の朝」
「うん。もう、私怖く無いよ」
「あぁ。俺が一緒にいてやるから。で、今日は・・・このまま休むか」
今から学校に行っても遅刻は確定だ。
1日休んだところでマドカはもちろん、俺も平気だろう。
「ダメって言いたいけど」
「けど?」
「足がガクガクしててうまく立てないから・・・今日は特別ね」
「お前の都合かよ。ってことはだ・・・休みたい日は朝からお前を足腰立たないようにしてやれば」
「もう!馬鹿言わないでよ・・・でも・・・休みの日とかは・・・して欲しいな」
俺はマドカを抱きしめて、そのまま抱き上げる。
ここからなら家まですぐだし、少し休めば歩いて帰れるだろう。
「このまま家に帰るの?」
「それは恥ずかしいぞ。ベンチで休んで帰ろうぜ」
「うん」
「いてててて」
「運転手さ〜ん。この人痴漢です」
マドカは変わった。
痴漢を働いた男に対してはっきりとした態度をとるようになった。
マドカを脅してたヤツも、マドカの勇気で学校にバレて退学処分になった。
それどころか、最近のマドカのおかげで痴漢そのものが減ったらしい。
おかげでマドカの人気はさらにうなぎのぼり、男子の間では隠れファンクラブまで存在するとかしないとか。
「兄さん」
「あぁ、えらいえらい」
毅然とした態度から一変。俺の方を向くと、まるで子供のような笑顔を俺に投げかける。
俺が頭を撫ぜてやると、同じく子供のように目を細めて喜ぶのだ。
この笑顔を見れるのは俺だけの特権だ。だから、俺はマドカとずっと一緒にいたい。
「マドカ。ここ間違ってるぞ。会計に文句言わないとダメだな」
兄さんは変わった。
今は進級と同時に生徒会長となった私を補佐してくれている。
副会長ではない。生徒会長補佐だ。私が作った。
兄さんは部活をやめて、勉強に励んだ。私が恥じる事のない男になるんだって叫んでた。
今までの兄さんのことをそんな風に見たことないのに。
「ありがとう。じゃあ、今日はもう終わりかな」
兄さんはやっぱり頭がいい。たった半年ほどでもう学年のトップクラスの仲間入りだ。
兄さんもどうだとばかりに自慢してくる。そんな子供っぽい兄さんが大好き。
けど、それには弊害も存在した。
真面目になった兄さんの魅力に気づいた女が増えた。
今までは見向きもしなかったくせに。
「ふぅ。終わった終わった。じゃあ帰るか」
兄さんは私だけのモノ・・・絶対に他の女には渡さないんだから。
「お〜い。帰るってのに、鍵かけてどうすんだよ」
「・・・兄さん。ここで・・・愛して」