俺には今、危機が迫っていた。
「ねぇ、お兄ちゃん!」
神無月の夜、澄みきった空には満天の星が輝き、秋風は野をひゅうひゅうと吹きぬ
ける。外はさぞや寒かろう。
「お兄ちゃんッ!! 約束!!」
しかし、家の中なら外が幾ら寒かろうが関係ない。俺はいつも通りパソコンと対座
し、これまたいつも通りピコピコと通信対戦ゲームにいそしむのであった。
絶対に外へなんか行くもんか。ましてや、妹の美実と夜空を見に行くなんて。
「もうッ! お兄ちゃんってば!!」
先程から耳元でキンキン響く声がするが、そんな事には構ってられない。
俺は忙しいんだ。わかってくれ、妹よ。
「……智世ちゃんにお兄ちゃんの性癖教える」
その言葉を聞いた瞬間、雷に撃たれたイメージが俺の脳髄を駆け巡り、目の前が暗
転。見事、美実の快心の一撃が俺の心を粉砕する。
「わかった! わかったから!」
慌てて椅子から立ち上がり美実の方を見ると、くそぉ、にんまりとほくそ笑んでや
がる。
主を失った俺の使用キャラクターが無抵抗で敵に蹂躙されてゆく。
―――surrender。それは罪深き牢への片道切符。
敵に連れ去られるマイキャラクターを横目に、俺も美実に連れられ家を後にする。
家の外へ出たとたん、身を刺すような寒さが襲い掛かってきた。
あまりの寒さに、咄嗟に美実の着ていたセーターへと手を伸ばす。少々変態っぽい
行為になってしまうが仕方が無い。
先を歩く、るんるんご機嫌な美実の裾よりサッと手を差し込み、下着とセーターと
の隙間をそのまま腹部へ進入させていく。ああ、なんてあったかいんだ! ぽかぽか
して、まるで妹に包み込まれているかのよう!
「やん! お兄ちゃん」
恥ずかしそうに顔を紅く染め、目を伏せる美実。
美実が照れるのも無理はない。この状態は、ちょうど俺が美実を背後から抱きしめ
た格好に非常に酷似しているのだから。
美実からは良い匂いがしてくる。それは甘くて、優しくて、朗らかな春の木漏れ日
のように俺には思えた。
俺と美実は、しばし問答をする。
「頼む、寒いんだ」
「でも、女の子のそんな所にいきなり手を突っ込むなんて変態さんだよ?」
「俺が変態なのは当に知れたことじゃないか。何を今更」
その俺の言葉が癇に障ったのか少しムッとする美実。しかし、その表情がフッと緩
むと急に向き直って笑顔で俺を押し倒してきた。俺は抵抗する暇もなく芝生にドシン
と尻もちをつく。
ちなみにここはまだ私有地内。塀から外に出てすらもいない全くの庭の一角だ。も
っとも、こんな事は家から出てすぐ立ち止まったのだから当たり前の事だが。
マウントポジションを取った美実は無邪気に笑う。
「じゃあ、別にあの事智世ちゃんに言ってもいいよねッ?」
「ちょっと待て。それとこれとは話が別だろ」
「いいじゃん。いつまでも隠しとおせると思ってるの?」
「ぬかせ」
「そういえば智世ちゃん、言ってたなー。小さい女の子の下半身ばっかに眼がいって
全然私のこと見てくれないって」
「なにっ!?」
「お兄ちゃんロリコンだと思われてるんだよ」
失敬な。幼女なんぞに興味などあるものか! しかし、幼女の下半身付近を凝視し
てるとは中々のご明察。と言うのも、俺の心をくすぐるある物が、そこら近辺に見え
隠れしているのだからな。
告白すると、俺は幼女の靴下をどうしても愛してしまう生き物なのだ。断じて幼女
本体の方ではない。あの小ささ、質感、柄はアニメのキャラクター物から果てはレー
スの可愛い装飾つき靴下まで、全てに置いてこの俺のピュアなハートを魅了してやま
ない。もうリピドーが止まらない。きゅんきゅん、かつメロメロ!! ひとたび妄想
を始めたら、いくらしても尽きることの無いすんばらしい素材、それが幼女の靴下な
のだ!!!
「いかん、頭が! ……そうか。善処しよう」
「ねぇ、お兄ちゃん。どうしてそんなに靴下が好きなの?」
「幼女の、だ。本と言うと俺にも良くわからん。美実が子供用の靴下を捨てる時まで
はこんな事は無かったんだが。畢竟、好きなものは好きだからしょうがない」
「そう、だよね」
美実はそう言うなり頬を赤らめ、もじもじと恥じらいを見せた。普通こういった態
度は好きな奴の前でやるもんなんだが、変な奴だ。
俺は美実を押しのけ立ち上がって、美実に手を差し伸べる。しかし、美実は中々俺
の手を取ろうとしない。
「ところでお兄ちゃん。まだ気が付かないの?」
「……何が?」
動悸を感じながら、言葉の先を促す。
美実がもったいぶったように、ゆっくりと口を開く。
「私が今、子供用の靴下はいてること」
なにっ!!!
目を美実の足に移すと、そこにはなんと熊さん柄の靴下!
不意を突かれた事もあって俺の胸キュンメーターは一気に爆発! 我を忘れて、い
きおい美実の足へと飛びかかった。そして瞬時に両靴を脱がせると、息をつく間も与
えず美実の片足にしゃぶりつく。
「きゃッ、何!?」
美実はまだ事態を把握できていない。その間、俺は熊さんの刺繍を舐め終え、小指
付近の布地を甘噛みしたり唇で挟んだり、めいっぱい堪能する。この噛み心地、生き
てて良かったぁ。
「きもッ!」
やっと状況把握したのか拒否反応を示す美実。しかし俺は意にかいさず猶も片足を
がんじがらめに拘束してペロペロ舐め尽くす。
さらに足の柔肉に手を這わせると、美実は腰をくねらせ足先をピンッと張る。その
触感も口の中で楽しんでいた。
美実は足をばたつかせて抵抗するが、所詮は女の子。力の差は歴然だ。
「いやッ! 離して、いやぁ!」
あまりの気持ち悪さにパニックになった美実は、スカートの乱れも気にせず大暴れ
に暴れまくる。捲くれ上がったスカートの中からは真新しい染みの付いたショーツが
顔を覗かせていた。
俺は美実の足先の反応が気に入った為、膝を折り曲げさせると太腿から内腿にかけ
て揉んだり擦ったりする。その度、美実は前にも増して切なそうに腰を浮かせ足指に
力を入れる。
「やぁん! やあぁん!」
拒否とも取れない嬌声だけが美実の柔らかな唇から漏れ出てくる。
この反応を俺は知っていた。智世との行為の中で散々見た。これは―――
「まさか感じてるのか? 美実」
「ばかぁ!!」
顔を真っ赤にして瞳を潤ませている。間違いない。感じ始めてる。まさかこの程度
で感じてしまうほどの感受性の持ち主だったとは!
しかし、そうなるとイった時の足指の動きも味わいたくなるのが人の性。俺は自我
を取り戻していたが、構わず続ける事にする。
美実の両足首を持ち上げ、無理やりグイッとM字に開かせ肘で固定する。純白のシ
ョーツが丸見えになる。どうやら染みは先程よりも濃くなっている。嫌がる美実を無
視し、俺はそこを目印とばかりに人差し指と中指を強く押さえつけた。
「くぅぅんッ!」
押し殺した切なげな鼻声が辺りに響く。肢体を弓なりに震わせ反射的に内腿を閉じ
ようとするが、俺の肘がそれを阻む。そのまま同じ部分に何度も摩擦を加えてやると
下半身の筋が徐々に弛緩していく。
ジワッと染み出してくる愛液。その甘い匂いが俺の脳を妖しく酔わす。
錯綜する思いの中、それでも指は止まらない。指に愛液を馴染ませると、一気にシ
ョーツの中へと潜り込ませた。
咲きかかった無垢な花弁を強引に開かせ、膣内の粘膜を乱暴に掻きまわす。ショー
ツの中で蠢く指が、美実の快楽のツボを的確に刺激する。
「あん、ぁあぁん……やぁ、はぁん、はぅ、んんぁ……お兄ぃ、ちゃんぅ……」
初々しい表情を見せる美実。眉根を寄せて目をぎゅっと瞑り、肢体をくねらせ必死
で快感に抗おうとする。しかし、肝心の下半身を俺に押さえつけられている為、抵抗
は全く意味をなしていない。無防備に俺の手さばきに弄されるがままだ。
美実の手が俺の手に弱々しく絡みついてくるが、俺はそれを難なく突っぱねショー
ツの指使いを加速させる。
「はぁ……ぅぅッ! 気持ち……いいよぉ」
抵抗心も忘れ、思わず本音を漏らしてしまう美実。膣襞を舐めるように指で嬲ると、
美実は胸の膨らみを強調させるかのように背を仰け反らせ、胸を上下させる。
火照った身体。
艶やかな腰使い。
美実の肢体が、性行為の悦びを全身で表現する。
俺はその姿に魅了された。いつの間にか、はちきれんばかりに屹立した俺の毒牙が、
牝の肉体を求め、涎を垂らす。欲望が制御できない。
陰唇から肉芽へと手を滑らせると美実のお尻の穴がキュッと窄まり、声色は一段と
高さを増す。
「だめッ……それ感じすぎちゃッ、んんッ……やぁ! またッ、んんぅッ!」
肉芽を擦る度に蜜口から愛液がとめどなく溢れてくる。肢体が小刻みに痙攣して、
その度に美実は芝草を固く握り締める。
軽いアクメを繰り返し何度も味わわされ、美実は恥ずかしい喘ぎ声を出さずにはい
られなかった。
「そんなに大声出すな。近所に聞こえちまうぞ!」
「はあぁんッ! だってッ、だってぇぇ」
クチュクチュ淫靡な音が響き渡る。いまや肢体に刺さるチクチクした芝草でさえ、
美実に耐え切れない程の甘美を与えていた。
我慢しようと足掻けば足掻く程、よりいっそう強烈な快感の波が押し寄せる。
「やぁん、声が! あぁん、ッんく! 押さえらんな……ぃッ! あぁんんッ!」
呂律の回らない声を出し、至高の悦びに肩を震わせ悶えている。冷たい外気に美実
の甘酸っぱい匂いが立ち込める。
その牝の匂いを本能で感じ、俺の愛撫の動きが仕上げに入った。指がいっそう踊り
狂う。そして、その暴れまくる指に呼応したかのように、美実のいやらしい腰の動き
に拍車がかかる。
「美実! もっと……もっとだッ!」
俺も感情が高ぶって、声を出さずには入られない。とろけきった肉芽を摘まんで擦
りあわせると、美実は息絶え絶えに絶叫する。
「お兄ちゃぁんッ! もうだめッ、だめぇぇッッ!!」
声を張り上げ、顎や胸を突き出して背を反らせる美実。弛緩しかかった肢体が限界
を告げる。同時に、目の前の足先が小さく震え始めるのを視認する。
好機! 俺は目の前にある美実の足へ齧りつく。そして仕上げに左手で美実の肉芽
にピッピッと2回鋭く往来させた。
「やあぁぁッッ!!」
爆発した快楽の波が美実の全身を飲み込む。美実の足先が身体に呼応するかのよう
に脈々と弾け、痙攣する。その動きは、咥えていた俺をも震えさせる程の妖艶な何か
を感じさせた。
光沢ある黒髪を振り乱し、腰をいやらしく突っ張って、美実は絶頂していた。
その、美実の脱力する間際、空いていた方の足がピンッと張り詰め、それが偶然に
も俺の頭へ直撃する。吹っ飛ばされる俺。そして、当たり所が悪かったのかそのまま
意識が薄れていく。
朦朧とした意識の中、俺にもひとかどの多幸感が押し寄せていた。
……ああ、我が麗しの靴下。俺は君の虜。―――
凍てつく寒さが、貪るように俺の身体から体温を奪い去ってゆく。
仰向けになっていた俺はブルッと身を震わすと薄目を開けた。天には無数の星々が
輝いている。耳をすませばコオロギの音。綺麗だ。
回らない頭でボーっとそんな事を考えていると、唐突にヒョコッと視界に現れた美
実が、「お目覚め?」と聞いてくる。
急速に覚醒する脳。そうだ、俺は―――
「美、実ッ!?」
起き上がろうとした俺の身体が、縄のような物に拘束されている事に気付く。
慌てて首だけ起こして様子を見てみると、四肢がそれぞれ別の木に結い付けてあり、
一進一退の身動きさえ封じられている。
それに、下半身には不自然にタオルケットが巻きつけてあるし、これは一体どうい
う事なんだ?
訝しみながら、先程から俺の顔を覗き込んでいる美実に視線を戻す。
美実がニヤッと不敵な笑みを浮かべる。
「大変な事をしてくれちゃったね、お兄ちゃん」
「何の事だ?」
と、思わず聞き返してしまったが、理由は明白だ。ずばり、先程あった一連の行為
の事であろう。
「へぇ〜、しらばっくれるんだ。あんなに烈しく―――」
「……すまなかった」
皆まで言わせず頭を垂れる俺。もちろん、こんな言葉では決して許されない事をし
てしまったという自覚はあった。しかし、今はとにかく謝るしかない。
美実を直視できなくて、目を美実の服装の方に移す。
服装はとりあえず取り繕ってはあったが、細部を注意してみると裾が折れていたり
所々皺になっていたりと、まるで強姦された後のような格好だった。いや、現に強姦
未遂だったけど。
上気した頬や、乱れた黒髪。一見、傷ついた少女を思わせるボロボロさ加減だが、
ただ一点、眼だけは死んでいなかった。彼女の眼光はむしろ貪欲な猛獣のそれで、俺
はその瞳に射抜かれたかのように全身を強張らせていた。
薄々知っていたのだが、美実を怒らせると実に怖い。
大罪を犯した今の俺に果たしてどんな裁定が下るのだろうか。
庭が裁きの庭と化す。
風が止む。
虫の声も止まった。
そんな中、唐突に美実がクスッと笑う。
「そんなに怯えなくってもいいのに」
「でも俺は……」
言葉の先が出てこない。やむを得ず口をつぐむと、美実が含み笑いをしながら手を
俺の右頬にツーっと添わせた。熱をおびた小さな手が俺の硬い表情をほぐしてゆく。
「私は別に怒ってないよ。……ただ、ちょっぴり発情してるだけ」
「え?」
「でもその前に―――」
美実はそこで言葉を区切ると、急に靴を脱ぎ始めた。再び登場、我が麗しの靴下。
そして、俺の左右に開かれた脚の間に移動すると、しゃがんで俺を見据えた。
染みの付いた生々しいショーツが垣間見える。それは、今という時が先程の行為の
延長線上に位置する事を如実に示していた。ん? そう言えば、
「ちょっと待て。どうして俺は縛られているんだ?」
怒ってないのなら縛られる道理は無いはず。複雑な表情を投げかけてみる。
しかし美実はそれを黙殺すると、指をショーツの中心にあてがい、
「私のココにした事覚えてるよね?」
そう言うや、滲んで染みになっている部分をねちっこい手つきでなぞり始めた。
粘膜とショーツが擦れあう、クチュクチュといった卑猥な音が先程の記憶を呼び覚
ます。
ふと、妙な開放感を下半身に感じる。
普通なら硬い布地が俺の煩悩を阻むところだ。なのに、今はそれが無い。
……俺は今ジーパンを穿いていない!
タオルケットからはみ出した素足がその証拠だ。今までは事が事だけにそこまで気
が回らなかった。
俺の屹立がタオルケットを押し上げ大きなテントを張っている。
美実はそれを嬉しそうに眺めると、動かしていた指を休めた。
「俺を、どうするつもりなんだ」
美実をじっと見つめる。美実も見つめ返す。
木枯らしが美実の黒髪を優しく撫でつけている。
その黒髪をサッと掻き分けると、美実は四つん這いで俺の方へ向かってきた。その
まま俺に覆い被さるように俺をまたいで顔と顔を接近させる。
互いの吐息が頬をかすめる。
「ねぇ、さっきの続き、しよ?」
「は?」
今、続きって言ったか? それって、つまり、どういう事だ?
眉をひそめる俺を差しおき、美実は俺に身体をぴったり添わせる。俺の身体に妹の
柔らかい素肌が絡みつく。
「お兄ぃちゃ〜ん」
甘えた声を出しながら顔を俺の胸板に埋め、気持ち良さそうに左右に振った。
当の俺は、この事態に固まってしまっていた。無論、ムスコも。
やや小ぶりと思われる乳房。あの靴下を穿いた細い足や、絡みつくすべすべの太腿
まで、この女特有の感触がとてつもなく堪らない。相手は妹だというのに。
寝そべっている美実の膝が、テントを張った部分を中心にいやらしく這いずりまわ
り、俺の怒張をぞんざいに刺激する。
「ちょ、ちょっと待て」
意識が飛んでしまいそうになるが、どうにか言葉を絞り出す。こんな時に身体の自
由が利かないのが辛い。
それでも美実は手を止めてくれた。
少しびっくりした表情で、のそのそと起き上がりながら、
「なにさー。さっきは飛び掛ってきたくせに。……ま、いいや」
と、軽くつぶやくと、一呼吸を置いてから俺に巻きついてるタオルケットに手をか
けた。
バサッと開かれ、俺の下半身が露出する。
そして美実は、あろう事か足で男の大事な部分をトランクス越しに踏んづけた!
勃起がお臍までぐぐっと押さえつけられる。
「うおっ、な、何を!」
「えへ〜、そう言えばしてなかったなーと思って。さっきの、し、か、え、しぃ〜」
いじわるな声を出しながら、怒張をそっと踏みつける。軽やかなステップから得ら
れる快感が、トランクス越しとはいえ確実に俺の肉棒に蓄積していく。
「ああっ」
肉茎からカリ裏までをスッと擦られ、思わず情けない声をあげてしまう。踏みつけ
ているのがあの靴下だという事実だけで、いっそう昂奮してしまう。
「ふふッ、可愛い声」
そんな俺を嘲笑うかのように、美実は肉棒を揉むように足を動かす。亀頭をちょん
ちょんと足先で弄ばれ、肉茎をぐりぐりと力強く押さえつけられる。
とにかく何もかもがいきなり過ぎて、頭が付いていかない。
「くっ……待て! ふっ!」
「あはっ、完全に攻守逆転だね、お兄ちゃん」
勝ち誇ったように声高らかに宣言する。きゅっ、きゅっ、とテンポ良く踏まれ、反
り返った怒張が雄叫びを上げたがる。
「美実、止め……ううッ」
「ん〜?」
「うっ! こんな……止めるんだ」
どうにか制止を促すが、美実は一向に耳を貸さない。それどころかどんどんペース
を速めていく。
「私もう、とまらないよ」
「美実!」
「お兄ちゃんが引き金引いちゃったんだから……責任とってよ、ねッ」
そう言って美実は可愛く微笑む。
「何を……ッく! ふうぅッ!」
俺の言葉を遮らせる為か、美実は力を強めた。そのあまりの強さに俺は思わず女の
子のような甲高い声を上げて、拳を握りしめる。
カウパー腺液がトランクスに恥ずかしい染みを作っていく。
「妹に踏んづけられて喜んじゃうんだね、ふふッ、変態さん」
面白おかしそうに笑う美実。
―――否定できなかった。
我慢汁のせいで摩擦が大きくなり、さらに気持ちの良い度合いが増してきていた。
「智世ちゃんに言ったら何て思うかな」
いきなり現実を突きつけられる。理性が警鐘を鳴らす。
「それだけは……ッ、後生!」
「どうしよっかな〜」
美実の天使ような表情に悪魔の笑みが射す。しかし、その表情の奥底にはどこか憂
いを含んでいる気がする。
パッと表情が変化する。何かを決意した時の表情。
「ねぇ……私にもお兄ちゃんのおちんちん、入れて……ホシイ……」
真剣な眼差しで俺を見据える。
「何ッ、言って、ん、だ」
辛うじて言葉を紡ぎ出す。手足の感覚が麻痺してくる。
「私もお兄ちゃんに愛されたい……愛されたいのッ」
畳みかけるような愛の告白。その言葉が耳に入った瞬間から、どす黒い感情が心の
深淵で渦巻き始めたのを自覚する。
いつしか美実の股間攻撃は止まっていた。
倒錯した気持ちが脳裏をよぎる。
……女の哀願は卑怯だ。そして俺も卑怯―――
「……ダメだっ!」
最後の理性を振り絞る。身体が縛ってあって良かった。でなければ俺はもう―――
「ダメって言われてもやるから!」
美実の固い決意が周囲に木霊する。俺は何も言えない。美実はそのまましゃがみ込
むとトランクスをずり下げた。勢いよく飛び出す俺の勃起。それが美実の唇をヒュッ
とかすめる。
ビクッと肩をびくつかせる美実。だが、怯えの色は直ぐに消える。
小さい手が俺の剥き出しの獣を捕らえる。
「あつい……それに、硬いよ」
少し上ずった愛らしい声。たぶん男の勃起なんて初めて見るのだろう。
真っ直ぐな視線を一箇所に注いでいる。
美実の少し開いた唇からは悩ましい吐息が漏れ出し、敏感な先端部分にもどかしい
刺激を与えてくる。
「美、実……」
もはや抵抗する気になれなかった。美実の熱い手の平が大きく膨れ上がった怒張を
撫でるたびに、くぐもった呻きが漏れてしまう。
「お兄ぃちゃん……気持ち、いい?」
少し照れながら上ずった口調で聞いてくる。
美実を見ると、手を上下させながらこちらの様子を覗っている。赤く火照った顔が
不安そうに歪んでいる。
「あ、ああ」
半ば上の空に答える。美実の稚拙かつ一生懸命な手の動きは、俺に思考する余裕を
与えさせない。
満足そうに美実がにっこり笑う。
「おにーちゃん」
一呼吸置いて、
「大好きだよ」
甘ったるい声でそう囁くと、美実は目を瞑りながら顔を勃起に近づいていき―――
温かくて柔らかいモノが先端に触れる。
刹那、背筋にビビッと甘美な電流が駆け抜ける。
「うおっ! 美実!」
やべぇ、視界が一瞬真っ白に。
美実は目を閉じ、少し咥え加減で先端から根元までをねっとり往復させている。
他ならぬ妹が俺の肉棒を唇で愛おしそうになぞっているのだ。
少しばかり鼻息がくすぐったいけど、それがいっそうリアルな事だと感じさせる。
美実の生唾を飲み込む音が聞こえる。
「ぅん……お兄ぃ、ちゃぁん……ふぅ、んちゅ」
官能的な声。思わず鳥肌が立つ。
身震いして美実の方を見やると、美実もこちらを見つめていた。
一息吸い込むと大きく口を開ける美実。
そのまま下りてきて俺の直立した肉棒をそっと咥え込んだ。
唇のぷにぷにとした肉厚が俺の化身を包み込む。
「ああぅ」
美実の口腔で粘膜同士が触れ合うとろけるような感触。少しざらついた舌の感触が
勃起を優しく撫でていく。……くっ、オナニーなんか比じゃない!
左手で肉棒の根元を押さえて安定させ、口を上下させる。
口の中では、舌にだ液を絡ませ、咥えた部分を丹念にしごいていく。
健気にピストン運動を始めた美実から、くぐもった声が聞こえる。
「んにゅ、にぃ、すき……んみゅ、はんぅ」
美実がうわ言を漏らす。その声が口の中で響いて思わず腰が引けてしまう。
目をうっとりとさせて奉仕する姿は、もはや発情した一匹の牝に等しい。
だ液と俺の分泌液との混ざり合う音が、美実の口元から漏れ出てくる。
「んむっ……むぅ、ぅぅ」
美実が怪訝そうに顔を歪める。
さっきから肉棒の根っこまでを頑張って頬張ろうとするのだが、どうしても咥えき
れないでいる。美実の口の中が小さいのか、はたまた俺のがでか過ぎるのか。
悪戦苦闘していた美実の手が、偶然にも俺の陰嚢を大きく揺らす。
「あ、っぐ」
卒倒するほどの快感が俺を襲う。やばい! そこを弄ばれると耐えられない。
その事を気付かれたか、美実は陰嚢を右手で包み込むと優しく揉み始めた。甘美な
波が一気に俺を頂点へと導いていく。
そんな中、突如美実の八重歯が亀頭をかする。
「うっ……くぅッ!」
瞬間、俺の腰が大きく跳ね上がった。怒張が脈動し、熱い液体を美実の口内に吐き
出していく。白濁した液が美実の口に溢れかえる。
美実は目を見開いたまま、ただそれを口で受け止めるだけだった。幸い、発射寸前
に先端部分を咥えていたので白い粘液が飛び散る事は無かった。
勃起の脈打つ感覚が段々遅くなっていき、止まる。
美実がゆっくりと唇を離す。
お互い目を合わせる。……美実が瞳を潤ませている。
気まずい。
そうだとも。俺は妹の口に精液を注ぎ込んでしまった。しかもありえない程の量を。
少し自己嫌悪に陥ると共に、美実の様子に何か違和感を覚える。美実はいっこうに
口の中の物を吐き出そうとしない。まさか―――
「ひょっとして飲んだのか?」
答えを聞くのは怖いが、恐る恐る訊ねてみる。
すると美実は、ゆっくりと、小さくこくりと喉を鳴らす。
「うん。お兄ちゃんのだもん……あっ!」
美実が俺の股間を眺めたまま顔を真っ赤にして固まってしまった。
俺もつられて視線を下に向ける。……!!
あろう事か、俺の怒張は硬さを堅持したまま更なる獲物を求めていた。
そう。俺の牡としての本能が、目の前の牝を襲えと訴える。
しかし俺は一回射精した関係で少し気持ちに余裕が出てきていた。
……やっぱりこんな事、と思いかけたその時、
「大好き!!!」
美実が目いっぱい叫び、飛びついてきた。
その一言が俺の心を貫く。歪んだ感情が溢れ出す。
「美実!」
思いっきり抱きしめようとする。が、縄がそれを邪魔する。
眼で美実に訴えかける。すると美実もそれに気付いたのか、俺に馬乗りになり縄の
結び目に手を掛ける。
しかし、中々外れない。
「ほどけないよぉ」
焦りがはっきりと声に出ている。どんだけ固く結んだんだ。
俺の目の前には美実の胸部が見えている。胸元のボタンが取れて、荒々しくはだけ
ている。小ぶりの乳房がせわしく揺れる。よく見るとブラジャーをしていない。
齧りつきたいのを我慢しながら考えを巡らす。……そうだ!
「小屋の鎌を使え!」
その声を聞きつけた美実が弾けたように跳びのき、庭の小屋へと飛んでいく。
俺はただ待つのみ。―――
(続く)