「姉ちゃん、あれいないのか」  
 直也は姉の部屋に入っていった。  
 この部屋に入るのは2週間ぶりである。姉からもらった小遣いが足りなくなり、  
金欠病の症状が出てきたので、少し融通してもらおうと思い、こうして部屋を訪ねた  
わけである。  
「それにしても、姉とは思えんなこの部屋は」  
 ベッドのところにはシウバ選手のポスターが貼られ、本棚には格闘技関係の本が  
並んでいる。いつの間にかその数が増えているようだ。  
 姉の博美は、K1やプライドに代表される格闘技マニアであった。ダンベルが置い  
てあるのはいたしかたないが、ここまで凝られるとさすがの弟でもある直也も引く  
ほどである。いつだったか勝手に部屋に入っているのを見つけられた直也はその場  
でプロレス技をお見舞いされたことがあった。  
 
 今日はそのことを考慮して、廊下から入らずにベランダから直接窓に飛び移って、  
窓から覗いたのだが、誰もいなかったのである。  
「なんで、姉ちゃんの部屋に行くのにドロボウみたいな真似をしなきゃならないん  
だよ。だいたい中学2年生の小遣いが隔週400円ってどういうことなんだよ」  
 最近ではお気に入りの選手が負けているせいで、どんどん彼の小遣いは削られて  
いく一方だ。その様子はまるで巨人ファンの父親が巨人が負け続けていくことでだ  
んだん不機嫌となり、ついには子供の小遣いまで削り、あげくの果てに「巨人が勝  
てば小遣い倍増だぞ」と言われて、ついには無理矢理巨人ファンに仕立て上げられ  
る様子に酷似していた。  
 直也は文句を言いながら、姉の部屋を物色しているとノートパソコンがおいてあ  
る机の1番上の引き出しが開いているのを見つけた。近寄って中を覗くとブランド  
ものの財布があった。姉の財布である。そばには同僚と撮ったプリクラがあった。  
「ほんとうにこんな性格悪いとはなあ」  
 姉の博美の外見は、タレントの伊東美咲に似た美人なのに、ここまで性格がひん  
曲がっているとは予想もしなかった。博美と直也は八歳も年齢が離れた姉弟である。  
 直也の父親は、外国航空会社のパイロットをしている。母親はチーフパーサーを  
していて、今日から2週間、二人そろっての勤務である。  
 
 つまり、今日から2週間は、この家に姉と二人きりなのである。  
「見るだけならいいよね」  
 直也はそっと財布を開けた。中には1万円札が3枚入っていた。  
「なんだよ! 俺に1000円も寄越さないで、自分はキッチリ3万円も持っているく  
せに」  
 直也は腹が立った。そして1枚くすねてやろうと思った。  
 そして手を伸ばそうとしたとき、  
「ボカッ!」  
 鈍い音がして、直也は猛烈な頭痛に見舞われた。目から星が出るとはこのことで  
あろう。  
 
「まったく、人の部屋で何やってんのよ! このバカ弟。まんまとワナに引っかか  
ったわね! わざと留守にして、財布を見やすい位置に置いとけば、ゴキブリホイ  
ホイのように引っかかると思ったら、ものの見事に引っかかって。だからあんたは  
単純なのよ」  
 性格のひん曲がった伊東美咲こと、姉の博美が、スポーツチャンバラ用の竹刀を  
持って背後に立っていた。  
「痛えじゃねえか、姉ちゃん。俺を殺す気か!」  
 さすがの直也も激高した。  
「殺すわけないでしょ。あんた殺したって何にもならないわよ。1文の得にもなり  
ゃしない」  
「じゃあ、聞くけど俺の小遣い、なんで一月800円なんだよ。自分は3万円も持っ  
ているじゃないか!」  
「あんたの価値が今、月800円だからに決まっているじゃない」  
「ふざけんな! 俺のどこが月800円だって言うんだよ!」  
「だって、早漏じゃん」  
「見たのかよ!」  
「3日前の晩。深夜の格闘技中継を見終わって、悶々としていたから、あんたの部  
屋に忍び入ったのよ。そうしたら布団剥いで寝ていたじゃない。だから、ブリーフ  
の中に手をつっこんでしごいてやったら、ものの1分持たなかったじゃん。あんな  
んじゃ女の子にもてないわよ」  
 
「嘘つけ! 俺の部屋はカギかかっているんだぞ」  
「合鍵ぐらい、簡単に作れるわよ。あんたのプライベートなんかないも同然なんだ  
から」  
 そういうと博美は、ポケットからカギを取り出して見せた。まさしく自分の部屋  
のカギであった。  
「い、いつの間に?」  
 なんて悪魔のような姉なんだと、直也は思った。  
「かわいい弟が女にもてなかったら、わたしにも責任の一端があるからね。今日か  
ら2週間たっぷりとプライベートレッスンしてあげる。むろん断ってもいいけど、  
そうしたら来月は月80円になるだけよ、さ、どうする?」  
「お、お願いします」  
 博美は勝ち誇ったような笑顔で頷いた。    
 
「まずは女の人の裸になれないとね」  
 そういうと博美は、直也の手をつかんだ。  
「ど、どこ行くんだよ」  
「お風呂」  
 博美は直也の手をつかんで脱衣場に入ると、ドアを閉めた。  
「ここなら、裸でいてもおかしくないでしょ」  
 博美が笑顔でいった。ピンク色の唇の隙間から白い歯がのぞいている。  
「ち、ちょっと待ってくれよ、姉ちゃん。俺、中学生だぜ。姉ちゃんだってもう  
……」  
 ボカッ!  
 直也の次の言葉は、博美のげんこつ脳天直撃でかき消された。  
「痛ぇ……」  
 直也はあまりの痛さに言葉も出ない。  
「なにが言いたかったのかなあ、直也くーん、遠慮なくいっていいわよお」  
 まさに性格のひん曲がった伊東美咲は、猫なで声でいった。こんなとき本当のこ  
となど言えるわけない。博美の恐ろしさは、直也が生まれたときから、身にしみて  
いる。実際に死に掛けたこともあった。  
「い、いや、な、なんでもないです」  
「そうなの、じゃ、お姉ちゃんの前で裸になりなさい」  
 直也の家のお風呂は、二十四時間給湯式で、いつでも適温の湯に入れる。  
 
 直也はしぶしぶ服を脱ぎ、パンツだけの格好になる。  
「ところで、直也のオナペットは誰なの?」  
「へっ?」  
「オナペットよ。オナニーするとき、誰を想像してマスかいてんのよ?」  
 博美に言われて、直也は言葉に詰まった。というのも彼のオナペットは一定では  
なく、そのときによって変化するからである。  
「まさか、アタシじゃないでしょうね?」  
 黙っていると博美が聞いてきた。  
「ち、違うよ!」  
 直也はあわてて否定した。  
「そんなら、いいのよ。弟のオナペットが姉だなんて、姉弟相姦になっちゃうもの」  
 博美の意外な言葉に直也はまるで鳩が豆鉄砲食らったような顔になった。以外に  
もあっさり引き下がったのは姉らしくないと思った。なにせ顔立ちこそ伊東美咲に  
似ているものの、性格はまるで180度違うのだ。  
「じゃ、姉ちゃんも脱ぐわね」  
 そういうと博美は服を脱ぎだした。セーターを脱ぐとブラウス越しに豊かな胸元  
がのぞいている。以外とグラマーなのである。  
 ブラウスのボタンをはずした。白いハーフカップのブラジャーが胸元に深い谷間  
を形作っていた。  
 
 思わず、姉の肢体に見とれる。一緒に風呂に入っていたのは、姉が高校生のとき  
までだったから、あれから胸は大きく成長していた。  
「姉ちゃんってこんなにオッパイ大きかったんだ」  
 直也は思わずつぶやいていた。  
「直也、オッパイ触ってみる?」  
 博美はそういって、大きく胸を突き出した。  
 直也はごくりと生唾を呑むと、恐る恐る手を伸ばした。やがて指の先端が博美の  
バストに触れた。  
 ゆっくりとつかむ。まるでマシュマロのようにやわらかく、それでいてどっしり  
とした重みがあった。  
 博美のバストは88センチのFカップあった。  
「どう、直也。気持ちいい?」  
「う、うん……」  
「これが女の人のオッパイよ。じゃ、今度はゆっくりと揉んでみて」  
 直也は博美の言うとおり、ゆっくりと揉み始める。不器用な感じなのはまだ緊張  
しているのだろう。  
 ブラジャーをつけたまま、直也の無骨な手でだんだんと揉まれていくにつれ、博  
美は感じ始めた。  
「そう、そんな感じよ。上手になってきたわ……」  
 甘美な快感を博美は楽しんでいる。声も艶っぽくなっていた。  
 
 博美の艶っぽい声を聞いた直也の肉棒は、たちまちそそり立った。  
「ふふふ、ココは正直ね」  
 そういうと博美はそそり立ったペニスに軽くキスした。ツンと精臭が鼻をついた。  
「ね、姉ちゃん……」  
 
 性格こそひん曲がっているものの、顔は女優の伊東美咲を彷彿とさせる姉である。だから美人である。  
 いつだったか姉の寝ている顔を見て、一瞬、自分の目を本気で疑ったこともある。  
 博美はペニスをペロペロ舐めながら、巧みな方法で包皮をめくっていった。する  
と白い恥垢がびっしりとこびりついていた。  
「やっぱりね、お風呂でロクに洗っていないじゃない。まったく、体の洗い方一つ  
満足にできないとは、我が弟ながら情けないわ」  
 
 そう言いながらも博美は舌先で皮の裏にこびりついた恥垢をきれいに舐めとって  
いく。  
「ああっ、ね、姉さん……」  
 まるで本ものの伊東美咲に恥垢を舐めとってもらっているような感覚が、直也の  
中に湧き、それが快感と合わせあって、めくるめく世界に放り出されたようなエク  
スタシーに脳が侵される。  
 猛烈な射精欲がわきおこってくる。  
 
「ね、姉さん、だ、だめだっ、でるーーーーーーーーーっ!!!」  
 博美が綺麗に舐め終わり、亀頭をしゃぶり始めたとき、博美の口の中でペニスが  
膨れ上がり、大量の精液を彼女の口内に放った。  
「うっ……うぐっ……」  
 あまりにも量が多かったので、博美はあわてて口を離したが、勢いよく出た精液  
が放物線を描いて彼女の顔に落下する。  
「ね、姉さん」  
 上気した美貌に白い粘っこい化粧水をかけられた博美は、恍惚の表情で目を閉じ  
ている。  
 
「ううん……」  
 ようやく博美は目を開けた。  
 同時に直也は青くなった。何せ『性格がひん曲がっている』わけで、どんな復讐  
されるかと思うと気が気ではない。  
「直也、あんたって弟は……」  
「ご、ごめんなさいっ、姉さんっ!」  
 脱衣場の床に直也は土下座した。  
「なんて、姉思いのいい子なの。姉さん大好きよ」  
 次の瞬間、博美は直也を抱きしめた。  
「ね、姉さん」  
 予想だにしなかった姉の行動に、直也は呆然としている。  
 
「うん、私はいい弟をもったわ。最近肌が荒れ気味で悩んでいた私に、たんぱく質  
豊富のザーメン化粧をしてくれるなんて、うん、これでお肌はバッチリよ」  
「姉さん、許してくれるの?」  
「あったり前じゃないの。さいわいこれから2週間、パパとママがいないから好都  
合よ。直也、いい? 今日からはオナニー禁止よ。そのかわり姉さんが一緒にお風  
呂に入ってあげるから、ザーメンを貯めておくのよ。いいわね、お風呂でたくさん、  
姉さんの顔にかけてね。もし、約束を破ったら……」  
「わ、わかりました」  
 直也はガックリと肩を落として言った。この姉に逆らうなど天地がひっくりかえ  
っても無理な話である。  
「ああ、ものわかりのいい弟を持って姉冥利につきるわ」  
 博美は勝ち誇ったようにいった。  
 

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