「耐性を持たないものは空気感染で「獣化病」になる。」
それが世界の2割だった。
でも今は世界の4割。じゃあなぜ増えたのか
その要因はいろいろあるが、一番感染りやすいのは
セックス。そう。生殖行為。
耐性を持ってても体液を空気中に触れさせずに体内に送る方法を取ると
「獣化病」のウィルス(なのかも良く分らないが)は
入り込むことができてしまう。
だからズッコンバッコン夜のお仕事を生でしちゃうとダメなわけ。
それは残り6割の耐性をもつ人類だって同じ事。
昔流行ったAIDSという病気にも似ている。
今はもう治療法が見つかってるけど。
お金のため、子供を生むため、理由はどうあれ生殖行為にいそしむ
オスとメス。
メスとオスがくっつくから、うつるんだ。
余談ではあるが、「獣化病」に感染したものフェロモンというのは
なかなか強いらしく。しかも健常者(?)にも利くらしいので
この病気?が広く公表される前は
感染者の男性にホイホイついていって移されちゃう女。
またその逆が多数居て、感染が拡大する原因だったそうな。
まぁ、僕もこれから彼女にこの病気をうつわけですが。
基本的に発症を抑えることがある程度でき、もはや治療しようとか
そういうことをあきらめた、やる気のない日本政府は
人類の(ある意味)滅亡の危機に陥れているこの病気を
他人にうつしてもペナルティを与えることがなかった。
だからうつすひとが居るんです。 僕もだけど。
先週に入り、あの病気の前兆作用の所為で、やけに集中できなかったが
今日はすごく集中できた気がする。
つっても、残業です。今日に限ってなんだよ上司!
「獣化病」一年生にベテランさんと同じような仕事おしつけやがってよ!
メールでゴメンゴメン、と彼女にいいながら、何とか車に乗り込んだ。
彼女の家まで30分。やべぇ……なんかキンチョーしてきたっ!
「しかもまだ"発症"を体験してないんだよな……」
と、そう一人ゴチながら、ラジオを聴きつつ彼女の家へ
今日のことをいろいろ相談してたんだが、彼女がいうに、
『変異体(要するに獣の姿)でエッチすると子供できやすいし、
何よりもアレが一回りぐらいデカくなって凄いらしい』というのだ。
なんじゃそりゃ。初耳なんですけど。
言ってて恥ずかしくないの?僕は恥ずかしいんだけど。
正直、僕が一昔前に健康雑誌で見たような、野性丸出しな狼男になって
そのままなおかつアイツの尻にチンぽを……
ってヤバい……コーフンしてます。
シャツの胸ポケットあたりを片手でぎゅっと握りながら、
反対の手でボタンを押す。扉が開き、彼女が出てくる。
「きたよ」
「入って」
白いパジャマの胸元からは……真っ赤なレースのブラジャー。
って。勝負下着でガッ
……ってここはぬるぽしてねええw
もうだんだん思考がおかしくなってます。一人暴走してます。
なんかおかしい。もうオマタがきつきつです……。
「なんか、顔赤いね、やけに余裕なさそうじゃん」
「ここはアウェイだからだよ」
「関係ないでしょ?ていうか、もう3年もあたしの部屋に入ってきてんのに」
「うっ……」
「とりあえず、シャワー浴びてきたら?」
チクショー!こっちは時間もココロもアソコも余裕ねーってのに……。
と考えていてもどこ吹く風で、彼女は涼しい顔してバスルームを指差します
シャワーを浴びているときも気が気じゃなかった。当たり前ですよ。彼女の姿を想像してるんですよ?
んでね、どんな獣になるか想像するわけですよ。
『あっ、やぁっ、あたし、耳が上にっ……』
とかいって、ウサギになっちゃったり
『なんか黒い毛が……な、なにこれえええ……いやあぁ』
とかくねらせてポーズ取りつつ雌雹になっちゃったりとか。ね?
ってすみません、こんなこといっても、わかんないですよね。
で、彼女はというと……。
彼がシャワーを浴びている間に私は準備をすることにした。
ベットルームの横にクローゼットがあるんだけど、
そこにこっそりしまっておいた箱をゴソゴソと探す。
ほとんどは一人アソビ用のアイテムなんですけどね。
彼の仕事は比較的忙しいらしくて、一ヶ月ぐらいあえないこともあるから
私はいろいろな道具を持っているわけです。
「あ、あったあった。コレコレ〜」
私はそのあるアイテムを見つけるとすこしニヤっとしてしまった。
……彼はどんな顔をするんだろう。
とにかく私は小さな復讐の準備をしております。
水の流れる音がしなくなりましたので、そろそろ上がってくるでしょう。
……って誰にいってんの?あたし。
Lycanthrope Syndrome 「前説?」の話。終。
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