我ら誇り高き狼王ロボの子供なり  
 
 我ら同胞を愛し慈しみ護る者なり  
 
 我ら贅沢を憎み清貧を尊ぶ者なり  
   
 我ら淫行を排し貞潔を守る者なり  
 
 我ら主神に忠を誓いし従順者なり  
 
   
 ―ウォーダン教徒の宣誓の言葉―   
 
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 地平線の向こうに日が落ちれば、世界は闇に包まれる。  
 これは古より続きし変る事のない世界の営みそのものである。  
 だが朝が来れば闇は退き、再び人の住まう世界に相応しい姿を取り戻す。  
 それらは何ら疑念の予知を差し挟む隙間が存在しない、当然の光景。  
 
 だが、果たして本当にそうなのだろうか?  
 
 永久不変の宇宙の真理とも言える表裏一体の法則。  
 即ち光あるところには必ず影が生まれ、正義あるところには邪悪がある。  
 陽光が生み出した影の中に潜みし人ならざる者の息吹。  
 夜の闇が世界を閉ざす度に舞い踊る黒いの影。  
 光さえ届かぬ深淵の世界で怪しく蠢く怪異の気配。  
 
 恐らく、誰も気付いてはいまい。ただ、この者達を除いては…  
 
 
*****************************************  
 
 
<第一章〜銀牙のテンプルナイト〜>  
 
 寂れた墓地を陰鬱な雨が黒く染めていく。既に時刻は深夜を過ぎていた。真夜中の墓地に  
生者の気配はなく、地下に眠る死者が此処の静寂を支配しているかの様であった。  
 冷たい雨が降り頻る寂れた墓地に大柄な人影があった。オオカミの男性である。暗闇の中  
にありながらも光り輝く様な白銀の毛並みに目深に被ったフードから僅かに覗く凛々しい狼  
貌、深い海を彷彿とさせる碧い瞳が特徴的な若いオオカミである。白い聖印の刺繍が施され  
た黒い神父服から察するに、如何やら彼は聖職者の様だ。しかし神父服の上からでも判るほ  
ど鍛え込まれたしなやかにして強靭な肉体、背にはウォーダン教の聖印を模した、自身の身  
の丈ほどもある大剣を背負い、両脇と腰のベルトには獣人にしか扱えない様な、大型自動式  
拳銃が一挺ずつ収まった計四つのホルスターが括り付けられていた。加えて彼からは何処か  
冒し難い神聖な雰囲気が漂っており、それらからして尋常ならざる者である事が窺えた。  
 彼は荒れ果てた墓地の通路を歩き、墓碑の幾つかが倒れた墓を具に見て回っていたが、や  
がて比較的新しい墓碑の前で立ち止まっていた。  
 『ヘルマン・カーンビイ』とその墓碑には刻まれていた。名前の下には大陸暦で生没年月  
日が記されており、この墓にカーンビイが埋葬されたのは十日前の事となっていた。しかし  
墓は誰かに暴かれた後の様であり、墓碑の前の地面に掘り返された痕跡が見受けられた。  
 彼はカーンビイの墓碑の前にしゃがむと、土を掬い上げ、そのオオカミの鋭敏な嗅覚で匂  
いを嗅ぎ取った。土の匂いの中に微かだが別の匂いが混じっている。死肉の腐敗臭とは明ら  
かに違う、邪悪な者が纏う魔力の匂いであった。  
 
「情報通りの様だ」  
 
 彼は徐に立ち上がると、背後の古木に向き直って言った。  
 
「やはりこれは擬装か」  
 
 不意に空気の流れが変った。ただの静寂が、言い表し難い敵意を孕んでいると言うべきか。  
命の遣り取りを日常的に行っている者だけが感じる本能的な危険の予感。気を抜いたらその  
場で命を絶たれそうな、冷たい緊張感と瘴気を孕んだ空気が場を支配していた。  
「出て来い。ただのオオカミは騙せても私は騙せない」  
 彼がそう言うと、古木の陰から闇よりも黒い人影が現れた。彼には大気中の瘴気の濃度が  
増した様に思えた。否、実際にその人影からは瘴気が放出されていたのだ。まるで世界が一  
変してしまったかの様である。その人影を中心に世界の輪郭は曖昧に薄れ、あたかも生命を  
与えられたかのように脈打ち、胎動していた。錯覚ではない。確かに足元に大地の脈動が伝  
わっていたのだ。何処からともなく生温い風が吹き、死と退廃の匂いを運び込んできた。  
 
「小ざかしい真似ならやめておけ。瘴気程度が私に通用すると思うな」  
 
 生ある存在を狂わす高濃度の瘴気の真っ只中にあっても、彼は平然としていた。気高き高  
潔なる魂の炎を宿した碧い双眸が、闇より濃い黒い人影を凝視する。  
 
「い、いぐないヰ……いぐないヰ、とぅふるとぅんぐぁ………」  
 
 しかし黒い人影が呟いた言葉は、果たして人語ではなかった。獣人の声帯では発声不可能  
と思われるその声は、声帯が退化したのか、それとも別の器官を使ったものかの判断はつか  
ないが、辛うじて聞き取れるその音が何かの言語を話しているかの様に聞こえたに過ぎない。  
 喩えるならば異界の言語、とでも言ったところだろうか。およそ獣人のコモンとも似ても  
似つかなぬ、穢らわしい事この上ない言語である。  
 
「<暗きものども>と深く通じていたのか…面倒だな」  
 
 彼は肩を竦めて溜息をつくと、脇のホルスターから一挺の自動式拳銃を引き抜く。通常の  
ものより倍以上の装弾数を持つ長い弾倉が装着された、全体的に肉厚に作られたその拳銃は  
大人の獣人でさえ片手で保持し切れないほどの大きさと重量に達していたが、彼はまるで気  
にもせずにぴたりと照準を、黒い人影の頭部にしっかりと定めていた。  
 
 そして躊躇う事無く引き金を引いていた。墓場を支配していた静寂を破って轟く銃声から  
察するに、それは普通の拳銃弾とは何から何まで異なっていた。  
 それは弾殻、弾芯、発射薬、炸薬量、雷管の細部に渡ってまで吟味され尽くしていた。排  
莢口から弾き出され硝煙を纏って宙を舞う薬莢と、派手な銃火をマグナポートより迸らせて  
放たれた一弾は、法術儀礼済みの神銀鋼合金製。そして硝煙の匂いからは微かに聖なる魔力  
を嗅ぎ取れた。法術儀礼済みの霊薬を混ぜた特殊な発射薬なのだろう。  
 しかし放った銃弾は何事も無かったかの様に黒い人影の頭部を精確に通り抜け、その後方に  
ある墓石を撃ち砕いたに過ぎなかった。影は依然として揺らぐ事なくその場に佇んでいた。  
 
「成程。そういう事か」  
 
 別に彼は大して動じる事も無く、何かに得心のいった顔をすると、黒い人影は暗闇に溶け  
込むかの様に掻き消えてしまった。そして異変は直ぐに起こった。  
 今まで静寂そのものであった墓場の其処彼処で、不意に墓石の倒れる音が聞こえた。直ぐ  
横の墓を見ると、墓碑の下より、腐敗の進んだ手が雨を降らす夜空へ向って伸びていた。  
 腐りかけた手指は所々が欠け、肉と毛皮は融け落ちる寸前であり、蟲が涌いていた。胸焼  
けのする腐敗臭が鼻を突いた。墓石の下に埋まっているのは無論の事ながら此処に埋葬され  
た死者である。本来なら永眠した筈のそれが、信じ難い事に、土中より現れ出でたのだ。  
 しかし彼は目の前で起こる、死者が蘇るという常識の遥かに及ばぬ光景に全く身動ぎもし  
なかった。ただ『やれやれ』といった表情をし、眉を顰めるだけであった。  
 
「埋葬のやり直しだな」  
 
 彼が溜息をついてもう一挺の自動式拳銃を脇のホルスターより抜くと同時に、蘇った死者  
達は一斉に襲い掛かって来た。だが、彼は極めて冷静そのものであった。  
 
 前方から迫り来る死者に向って三発、身体を左右対称に分ける正中線上に撃ち込む。一発  
目は頭部、二発目は胸部、三発目は腰部。一撃で獣人を葬るだけの威力を備えた大口径弾が、  
しかもそれは法術儀礼済みの特殊なものであり、通常の同口径弾よりも遥かに威力は高く、  
そして外道の知識の集大成である秘術に関する事物に対して絶大な効果を秘めていた。  
 瞬時に死者はただの腐肉の欠片となって吹き飛び周囲に散らばる。それが、並みの拳銃な  
ら耐え切れないほどの速度で引き金が引き絞られ、機関銃をも凌駕し兼ねない勢いの速射で  
行われていた。一瞬たりとも休む事無く引き続けられる引き金、轟く銃声、硝煙の匂い。前  
へ横へ後へと無造作に向けられる銃口は、正確な三撃を死者へと撃ち込み続けていた。  
 目まぐるしい変幻自在な銃捌き。目の前から迫り来る死者に向って両腕を交錯させて鉛の  
シャワーを浴びせていると思えば、いきなり地面に転がって横より襲い掛かってきた死者の  
一撃を躱わしながら凄まじい反撃を披露し、素早く起き上がるや否や背後の敵を振り返る事  
無く、そのまま無造作に銃口を後方に向け速射する。  
 流れる様に滑らかな動作で、一瞬たりとも留まる事無く、千変万化な狙いをつける二つの  
銃口。そしてそれを操る彼は息を少しも乱してはいない。まるでその全てが華麗なワルツを  
踊るかの様に、軽やかで繊細なステップから繰り出されていた。  
 嵐の様な怒涛の速射の前に、次々と死者の腐りかけた肉体はまるで大砲によって吹き飛ば  
されたかの様にバラバラに砕け散り、腐肉と汚水の様な血が雨に混じって墓場に降り注いだ。  
 しかし直ぐに弾薬は尽きる。通常のものより倍以上の装弾数を誇るとはいえ、流石に人外  
の速度で速射されては無理もない。遊底が後退したままとなるが弾倉止めを押し、空の弾倉  
が重力に引かれて落下するに任せ、小さく術式を唱える。すると身に付けていた弾薬盒から  
弾倉が独りでに飛び出し、寸分違う事無く銃把の下から正確に装填された。そしてデコッキ  
ングレバーを引き、装填を完了する。  
 ほんの刹那の瞬間にて一連の再装填を完了していたが、その間にも死者達は襲い掛かって  
来た。だが動じる事無く薙ぎ払う様な足技で死者を蹴散らし、装填の済んだ拳銃による速射  
で一瞬にして屠る。  
 弾倉が再度尽きると、墓場中に溢れ返っていた死者の数は半数にまで減っていた。しかし  
それでも尚余りある。彼は触れる事すらかなわないほどの熱を持った二挺を脇のホルスターに  
叩き込むと、背負っていた大剣を鞘から抜き放っていた。  
 
 それは闇にあっても少しも損なわれる事のない神性の輝きを秘めた白銀の大剣であった。  
幅広で肉厚の刀身には、びっしりとウォーダン教の聖なる文字が刻み込まれており、一太刀  
振るえば邪悪な存在を一刀の元に葬り去る威力を秘めているのが容易に知れた。  
 かなりの重量があると思われるその大剣を、彼は軽々と片手で構える。瞬間、彼は一変し  
た。別に彼の外見が変ったのではない。発散される雰囲気が変ったとでもいうべきか。  
 だが死者達はそれを感じる事は無い。強制的に冥界より呼び戻された彼らの魂は既に壊れ  
ているのだ。壊れた魂が正常な思考活動など行える筈も無く、彼らを呼び戻した張本人であ  
る術者の命令に従うのみの存在に成り下がっていた。自律行動を求める方が無理であった。  
だから死者達は恐怖を感じる事無く、目の前の目標に蟻の如く群がる。  
 故に彼にとっては容易い事この上ない相手である。緩慢な動作で歩み寄る死者達は盲人の  
それ以下であった。疾風の如き踏み込みと共に彼の身体は死者の群れの中に飲み込まれる。  
剣の重さも己の存在さえ欠片も感じさせる事のない速度。銀色に輝く横一閃が、轟、と疾走  
し、死者達が纏めて数体ほど、上半身と下半身に分断されて吹き飛ばされる。そして返す刀  
で更に数体を一振りで斬り伏せた。  
 次々に繰り出されるのは、大剣にあるまじき神速の技の冴え。軽々と斬り返される刃が、  
死者の頭を刎ね飛ばし、胴を掻っ捌いて腐った臓腑が零れ落ちさせる。淀みなき流れる清水  
の如くの剣捌き。まさに流麗とはこの事をいうのではないだろうか。たっぷりと体重を乗せ  
て振り切られた大剣は、その場で一瞬たりとも留まる事無く次の獲物目掛けて襲い掛かり、  
鋭い振りとは裏腹に鈍重な一撃によってばらばらに粉砕する。  
 大剣を振るう彼の呼吸は一つも乱れていない。まるで紙切り小刀でも扱うかの様な軽さで、  
楽々と振るっている。だがその一振りごとに確実に、一切の無駄なく、彼の周囲に立ち塞が  
る死者達が為す術もなく斬り砕かれ、崩れ去って逝く。  
 それはまるで剣による優雅な舞踏を踊っているかの様であった。軽やか且つ華麗な足取り  
に乗せた体重移動、小さく鋭く振るわれる剣の技は何処までも冴え渡り、次々と骸が積み重  
なっていく。  
 
それは完成された死の舞踏。魂に訴えかける様な旋律が特徴的なウルフィッシュ音楽を流  
せば、ぴったりと当て嵌まりそうな、非日常的な静かな殺戮の舞踏。オオカミのあの豊かな  
自然と湖に恵まれた国が脳裏に浮かぶ。優しく穏やかな響きに合わせて流れる様に踊るオオ  
カミの伝統舞踊。彼が死神を彷彿とさせる黒衣の神父服ではなく、オオカミの民族衣装を着  
ていれば、踊っている様にしか見えなかった  
 腐敗し切った肉と血、臓腑が静かな夜の雨に混じって降り注ぐ。そしてその中で銀の輝き  
となって、一人で踊り続ける一人のオオカミの聖職者。数で圧倒的優位に立っていた死者達  
は、何時の間にか一人残らず消え失せていた。  
 血が降り、肉が降り、骨が降り、そして遂には彼だけが小雨に打たれながら佇んでいた。  
動くものは何もない。墓場に溢れていた死者達は、全て文字通り動かぬ肉塊と化していた。  
 
「この程度か…いや」  
 
 彼は大剣を振り、刀身にべっとりと付着した死者の腐肉を払い落とし、背中の鞘に収めた。  
 
「今度はゴーレムか」  
 
 背後で瘴気を孕んで生まれ出でた新たな気配に、彼は大胆不敵に振り返る。果たしてそこ  
では土塊の山が生命を与えられたかの様に蠢いていた。  
 やがて土塊の山が更に大きく蠢くと、それは徐々に人の形へと形作られていった。だがそ  
の大きさは優に5mはあるのではないだろうか。まさしく土塊で作られた巨人である。それ  
が明確な殺意と敵意を持って彼の眼前に聳え立っていた。  
 しかも眼前の一体だけでは無い。その一体が現れるや否や、それを合図に墓場の彼方此方  
でゴーレムが幾体も出現し始める。そしてゴーレムの身体はただの土塊から強固な岩石へと  
変貌していた。恐らく、錬金の魔術だろう。それなりに高位の魔術師にかかれば土塊を岩石  
に変える事など造作もない。  
 
「そうくるか。まぁいい。ならば此方も遠慮はしない」  
 
 彼はそう言って腰の二挺の拳銃をゆるりと抜いた。それらは先程の二挺よりも遥かに圧倒  
的な威圧感と暴力を予感させた。  
 右手に握るのは白銀に輝く鉄塊である。弾倉が銃把の前にあるという独特の配置は、従来  
の銃把内に弾倉を装填する形式では扱えない様な大口径弾を発射する為であった。獣人でさ  
え両手で保持するのが難しいほど全体が重厚に作られ、発射される銃弾の反動の凄まじさを  
物語っていた。そしてただの大口径自動式拳銃ではないのだろう。聖なる文字が隙間無く刻  
み込まれており、何とも言えない神々しさを纏っていた。  
 『法術儀礼済み20mm高性能榴弾弾専用拳銃 フリムファクシ』と魔導金属から削り出  
しで謹製された銀色に輝く肉厚の無骨な遊底には、そう黒い文字で刻み込まれていた。  
 左手に握るのは、白銀の巨銃とは対照的に血の様にどす黒い魔導金属からの削り出しで謹  
製された巨銃である。此方は標準的な自動式拳銃の形態をとっていたが、そのサイズはやは  
り常識を逸脱しており、ずしりと重そうな外見通り、大の大人の獣人でさえ両手で構えるの  
が困難なほどの重量に達していた。  
 『法術儀礼済み14.5mm装弾筒付き安定翼徹甲弾専用拳銃 スキムファクシ』と白い  
文字で刻印されていたが、此方からは神々しさよりも悪魔の様な禍々しさが発せられていた。  
 彼は両手に握る二挺の常軌を逸脱した大型自動式拳銃の銃口を眼前に聳え立つゴーレムに  
翳した。折しもゴーレムは足元の彼を叩き潰すべく、拳を振り上げている最中であった。  
 別に彼は動じる事なく静かに、左手の拳銃・スキムファクシの引き金を引くだけであった。  
 轟いたのは、既に拳銃のものとは思えぬ凄まじい銃声であった。閃光にも似た強烈な黒い  
銃火が銃口から迸り、野獣にも似た咆哮が漏れ聞こえた。大気を震わし、地面を揺らし、空  
間さえも歪めて飛翔する弾丸は、それ自体が絶対的な破壊の化身である。  
 永久の暗黒より黒い軌跡を残すは闇夜の曳き手・スキムファクシ。  
 ウォーダン教に於いては高位の神として崇拝されている。その神の名を翳したこの拳銃は  
まさしく闇よりも黒い鮮烈なる一弾を撃ち出していた。  
 スキムファクシの一弾が放たれると同時にゴーレムの巨大な拳がそこに振り降ろされ、両  
者は鬩ぎ合う。だが敢え無く決着は付いた。銃口から出た途端に空気抵抗と銃弾の旋動によ  
り装弾筒は外れ、輝黒鋼製の凄まじい高硬度を誇る徹甲弾芯だけが驚異的初速によって一瞬  
で最高速度にまで達していたのであった。  
 瞬間的ではあるが、その運動エネルギーは『ネコの赤』、『無双のリナ』、『大陸無双』  
と数々の字によって謳われる武勇名高いネコの国の三十の王女が一人、リナが投擲する彼女  
の愛槍・方天戟の一撃にも勝るとも劣らないものであった。一瞬だけ硬度の高い物体同士が  
ぶつかり合う甲高い音が響いたが、次の瞬間には爆砕音と共に頑強な岩石の腕が、文字通り  
粉々となって跡形もなく砕け散り、その衝撃によってゴーレムは踏鞴を踏んで後退していた。  
 
 そこへ右手に握る白銀の巨銃・フリムファクシを向け、引き金をゆっくりと引き絞る。  
 闇にあって光り輝く軌跡を残すは太陽の曳き手・フリムファクシ。  
 スキムファクシと同じく、ウォーダン教に於いては高位の神として崇拝されている。その  
名を翳したこの拳銃はまさしく光よりも眩い一弾を撃ち出していた。  
 スキムファクシの銃声が雷鳴の様に鋭く轟くのであれば、フリムファクシの銃声は、否、  
『砲声』は腹に響く火山の噴火の様に鈍重なものであった。『砲口』より放たれた20mm  
高性能榴弾はゴーレムの分厚い岩石の胸板に命中すると、法術式によって強化された炸薬が  
炸裂して膨大な熱量と衝撃波が発生し、ゴーレムの上半身が爆発四散する。  
 下半身のみとなったゴーレムはその場で直ぐ瓦解し、土塊の山となった。だがゴーレムは  
まだ他にも残っている。  
 ゴーレムは動作こそ死者よりも鈍いが、その破壊力と防御力は桁違いである。その剛腕か  
ら繰り出される一撃を一度足りとも受けるわけにはいかない。しかし、彼にとっては死者も  
ゴーレムも容易い相手であった。  
 新たなゴーレムが四方から同時に迫り来る。蟻が這い出る隙間さえないほど極端に密着し  
たの陣形での囲み込む様な挟撃は、先程彼が見せた軽やかな足業を封じる為だろう。土塊の  
操り人形に過ぎない彼らだが、多少なりとも考えて行動できる様に術式が組まれている様だ。  
 しかし彼は絶大な威力を誇る二挺を構える事なく、その場で瞑想するかの様に目を閉じ佇  
んでいた。その間にもゴーレムの包囲の輪は狭まる。だが彼は動かない。ゴーレムの地を震  
わす足音が間近に聞こえる。だが微動だにしない。  
 
 ゴーレム達が、もう、前から横から後から、その巨腕を一斉に振り降ろしていた。  
 だがそこまでだった。ゴーレム達の腕は、虚しく大地に減り込んでいただけであった。  
 彼の姿はゴーレム達の腕の下には無い。  
 彼は空高く舞っていた。  
 何も無い筈の空間を足掛かりにして、鳥の様に高く高く虚空へと舞い上がっていた。  
 ゴーレム達は、ただ、手が届かぬほどの高さにある彼を見上げるしかなかった。  
 
「前菜にしては上出来だ」  
 
 両手の二挺を眼下のゴーレム達に向け、あの神速の引き絞りによって生み出される驚異的  
な速射で破壊の権化の雨を容赦なく降らす。大地を抉って土砂を巻き上げ、撃ち抜き砕かれ  
爆砕されたゴーレム達が為す術もなく地に沈む。  
 ふわりと身軽に地面に降り立ち、背後を振り返れば、そこには既に動かぬ土塊の山と化し  
たゴーレム達の残骸が見て取れた。そこだけがまるで隕石が落下したかの様な惨状を呈して  
おり、何も動くものはなかった。  
 今度こそ彼以外に動くものは何も無い。だがまだ終わりではない。今のこの静寂は次なる  
死闘の前触れに過ぎない。言うなればほんの小休止といったところだろうか。  
 不意に瘴気を孕んだ墓場の空気が更なる変貌を遂げる。それは少しでも吸い込めば体調ば  
かりか精神にさえ崩壊し兼ねないほど濃密な邪気であった。  
 
「真打ちの登場、といったところか」  
 
 彼が振り向いた先には闇が広がっていた。だが、言い表し難い圧倒的な質量を持った気配  
が、確かに存在してる。巨大な物体が地面を引き摺って移動する様な音が聞こえた。場所は、  
近い。この墓場は小高い丘の上にあるのだが、その地面を引き摺って移動する様な音は丘の  
麓から聞こえる様だ。  
 圧倒的質量を持った物体が、ゆっくりだが丘を登ってくる気配がする。彼は闇に目を凝ら  
して見たが、やはり何も見えない。虚無が何処までも続いているだけである。  
 彼は二挺を腰のホルスターに収めると、法術文字が刻まれた白い手袋に覆われた両手に魔  
力を奔らせ、剣指を折り、目の前の空間に両手で聖なる印である五芒星を描き、音吐朗々と  
闇の中でもよく透る声で法術式を詠唱した。  
 
「魂よ帰り来りて修門に入れ! 工祝君を招いて背行して先立つ! 秦の箒、斉の絹、鄭の  
錦絡へり! 招具該ね備はりて永く唱呼す! 魂よ帰り来りて故居に反れ!」  
 
 詠唱に合わせて中空の五芒星が眩い光を発し、やがて闇に溶け込む様に掻き消えた。  
 そしてそれは姿を現した。  
 十数階建ての建物に相当するその巨躯は、この世の全ての退廃と邪悪を具象化した様な悍  
しく冒涜的な姿をしていた。全身は腐ったゴムの様な軟体質の黄色い物質で構成されており、  
耐え難い腐臭を放つゼリー状の透明な皮膜に覆われていた。だぶついた境目からは幾つもの  
巨大な血走った瞳が様々な方向へと向けられており、二、三十ほどの口状の突起物が何かを  
求めてこの世界ならざる者の言語で呟く様は、正気ではいられなくなるほど凶悪な姿である。  
 怪異の瞳が一斉に彼の姿を捕捉した。強烈な悪意の塊が噴出する。その邪悪な視線に晒さ  
れるだけで魂は犯され穢され陵辱され、肉体を流れる血液は毒素と化す様であった。  
 しかし彼はその表情を少しも揺るがせる事はなかった。より一層その碧眼の眼光の鋭さは  
増し、全身から放出される闘気が目に見えるかの様であった。  
 
「グラニ! 来い! オォ――――――――ンッ!」  
 
 そう言って彼は闇夜を切り裂く遠吠えを上げた。すると彼の遠吠えに呼応するかの様に、  
一頭のスレイプニルが闇の中から疾風の如く颯爽と躍り出てきた。そのスレイプニルは主と  
は対照的に鬣も毛並みも全て艶やかな漆黒であり、瞳だけが紅玉の様に鮮やかな赤であった。  
そして特筆すべきは、通常のスレイプニルが六本の脚を持っているのに対し、彼は八本の脚  
を持つ、スレイプニルの中でも最上位種の『アンザス種』であった。  
 彼は素早く愛馬に跨ると手綱を取って疾駆させた。グラニは主に応え、その強靭な八本脚  
を以って墓場を一陣の風となって駆け抜けた。鉄柵を軽々と飛び越え、丘の斜面を怒涛の勢  
いで駆け下り、ぐんぐんと夜景は後方に流れていく。だが振り返れば、あの悍ましい怪異が  
丘の上の墓場にしっかりと鎮座しているのが見えた。  
 
「いあ! いあ! ろいがあ! うぐう! しゅぶ・にぐらす!……ろいがあ ふたぐん!  
くとぅるう ふたぐん! いたか! いたか!……いあ! いあ! ろいがあ なふる  
ふたぐん! ろいがあ くふあやく ぶるぐとむ ぶるぐとらぐるん ぶるぐとむ あい!  
あい! あい! あい! あい! あい! あい!」  
 
 背後の怪異の何十もの口が一斉に、生者の魂を犯し尽くし肉体を腐らせる様な悍しい声で  
そう吠え立て、全てを薙ぎ倒す蠕動運動で背後から徐々に迫り来る。グラニは他のスレイプ  
ニルよりも脚が二本多い駿馬だが、怪異は巨躯とは裏腹にかなりの速度で距離を詰めていた。  
 墓場のある丘の麓に広がる不気味な森を、黒い風となって駆け抜けるグラニに追い縋る様  
にして怪異が木々を薙ぎ倒しながら突き進む。  
 森を抜ける途中、馬上の彼は振り返り、怪異に向ってフリムファクシの鈍重な一弾を放つ  
が、その榴弾の炸裂は怪異の体表を覆うゼリー状の物質を少し蒸発させただけだった。ぶる  
ん、と怪異はむず痒がるかの様に全身を僅かに震わせていた。  
 やがて森を抜けると、青草の清々しい匂いに満たされた草原に出た。しかし、直ぐにその  
オオカミの嗅覚に心地良い匂いも、不浄な臭気に取って代わられる。依然として八つの蹄が  
奏でる闊達なスレイプニルの足音に、ずるずると引き摺るような音が続いていた。  
 前方に小屋が見えるとその前でグラニから飛び降り、彼はそのままの勢いで粗末な木製の  
扉を蹴破って中に転がり込む。長らく使われていなかった小屋の中は埃が分厚い層を成して  
いたが、埃が積もった床には幾つかの足跡が見て取れた。それは彼のものであった。彼はあ  
の丘の上の墓場に行く前に、この小屋に荷物を置いて行ったのだ。  
 壁に立て掛けてあった、白い布によってぐるぐる巻きにされた、彼の身長よりも長い棒の  
様なものを掴むと、小屋の外に飛び出していた。  
 怪異は目前にまで迫っていた。既にその天辺は見えないほどの近距離である。だが彼は落  
ち着き払っており、悠然と白い包みを解いていた。  
 
「見ろ。これが我々の武力だ!」  
 
 包みの中から現れたのは槍――ではなく、長大な巨銃だった。既に口径は大砲並みはある  
のではないだろうか。厳しい大型の砲口制退器が装着された長大なそれは、既に獣人の力で  
は如何こう出来る様な代物とは思えなかったが、彼はそれを両手で軽々と抱え上げていた。  
神銀鋼合金とは格が違う神性の金属で謹製された事が一目で判る、絶対的な神気を纏うそれ  
は、既に人の手によって作られた神器であった。  
 表面に刻まれた聖なる言葉は<laputeiwaz aujaalu>。ウォーダン教に於いては主神さえ  
も凌ぐ武力の持ち主として崇拝されている、軍神テュールの力を借りる為の文字である。  
 『法術儀礼済み35mm徹甲焼夷弾専用単発小銃 グングニル』と血の様に赤い文字でも  
刻印されていた。  
 法術儀礼済み35×228mm徹甲焼夷弾を後腰に装着していたバットパックから取り出  
し、中折れ式の構造を持つグングニルをヒンジを軸に砲身を二つに中折れさせ、その薬室内  
に巨大な弾薬をゆっくりと押し込んで装填する。それは無機質に生命を吹き込むかの様に神  
聖な行為であった。  
 両手でしっかりと保持し、緩衝剤入りの銃床を肩に押し当て、立射の姿勢を取り、迫り来  
る怪異にその砲口を向ける。しかし怪異は意に介する事なく彼に迫っていった。  
 人造の神の槍を構える彼には、砲口から溢れ出る神気をしっかりと感じ取れていた。  
 
 我ら誇り高き狼王ロボの子供なり  
 
 我ら同胞を愛し慈しみ護る者なり  
 
 我ら贅沢を憎み清貧を尊ぶ者なり  
   
 我ら淫行を排し貞潔を守る者なり  
 
 我ら主神に忠を誓いし従順者なり  
 
 
 引き金にそっと指を掛けながら、彼は宣誓の言葉を呟いていた。更に続ける。  
 
 
 我ら主神の忠実なるエインヘルヤ  
   
 我ら現世に下されし神罰の代行者  
 
 我ら法術を以て外道を駆逐せし者  
 
 我ら陰世に昇る神の黄昏の加勢者  
 
 我ら古より外なる神と闘争せし者  
 
 
 修道騎士にのみ口をする事が許される宣誓の言葉を唱えると、力が身体の奥底から沸き出  
てくる様な気がした。魔力が全身を駆け巡り、腕から指へ、指からグングニルへと流入する。  
暴発寸前にまで昂ぶった魔力が、グングニルの中で奔流となって暴れた。それは一瞬でも気  
を抜けば振り落とされ兼ねない荒馬の様であった。  
 彼は愛馬のグラニと初めて出会った時の事を思い浮かべていた。彼は荒馬だった。全く手  
が付けられないほど闘争心の塊であり、理性も何も無い、野生そのものであった。そんな彼  
を今は手懐け、心から認めた親友として共に戦っている。  
 それと比べれば、腕の中のグングニルは可愛いものである。彼は次々と法術式を体内で編  
纂すると、グングニルに集束した魔力を制御し、その暴力の指向性を目の前の怪異に定めた。  
 
「主神ウォーダンの名の下に、貴様には神罰が下される! 謹んで受け取れぇ!」  
 
 ぐっと引き金を一気に引き絞る。瞬間、砲口制退器から凄まじい砲火と砲煙が迸り、荒ぶ  
る獣の唸り声にも似た砲声が轟いた。  
 
「ぐっ!」  
 
 余りにの反動に、彼はしっかりと地面に両足を着けたまま地面を削って数mほど後退した。  
だが放たれた砲弾は怪異に向ってしっかりと一直線に飛翔していた。  
 
「ええ や やぁ やはぁぁぁぁ―――ああああああああああああああああああああ!!!」  
 
 魂を冒し兼ねないほどの悍しい絶叫が辺りに響き渡り、それと同時に怪異は苦悶に身を捩  
じらせていた。聖なる一弾は怪異のゼリー状の物質に覆われた体表に着弾すると同時に、そ  
の内部に封じ込められていた法術式を展開。怪異の体表には、彼らにとっては忌まわしい存  
在そのものである、巨大な五芒星の刻印が眩い光を発して浮かび上がっていた。  
 彼はグングニルをその場の地面に突き立てると、背中の大剣の柄を握り、抜き放った。大  
剣の刀身からは目を焼き潰し兼ねないほどの凄まじい閃光が迸っていた。  
 柄の根元に備え付けられていた引き金を引くと、更に凄まじい光が刀身を奔り、放出され、  
大剣に組み込まれていた法術機関が起動する。刀身に刻印された聖なる文字と法術式に真紅  
の光が駆け巡り、複雑な紋様を描き出していく。それはまるで熱い血潮が巡っているかの様  
であった。腹に響く様な重低音が大剣から起こり、周囲の大気を震わせていた。  
 
「唸れ!」  
 
 彼の言葉に呼応するかの様に、大剣は低い駆動音を発生させた。  
 そして劇的変化が訪れる。  
 他よりも太い真紅の線が刃区から切っ先に向って一直線に走ると、それを境に刀身が二つ  
に裂け、内部の法術機関が顕になった。現れた機関が甲高い咆哮を上げると、無限とも思え  
るエネルギーを汲み上げ始めていた。それは熱量となって刀身に集約されていった。  
 
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」  
 
 超高密度に圧縮変換された法術式が彼の脳内を駆け巡る。その膨大な情報量は、彼の意思  
とは関係なく脳に刻み込まれていく。圧縮変換された法術式が脳内で次々に展開され、一つ  
の術式が十、百、千と無限に膨張していく。脳細胞に激しい電流が走り、意識が焼き切れる  
様な凄まじい苦痛に、初めて彼の顔が歪む。  
 彼の脳内を駆け巡っていた法術式が、やがて彼の全身に刻まれた法術式回路を疾走する。  
剣と精神、肉体を流れる術式が三者を繋いだ。その瞬間、彼の脳内で暴れ回っていた法術式  
の洪水はぴたりと収まった。  
 視界が、感覚が、己の世界が急速に拡大していく。広大に、無限に、果てし無く、無尽蔵  
に、宇宙の全てさえ見通す様な研ぎ澄まされた感覚が彼を包み込む。  
 魂魄が肉体から遊離し、個であった己の存在が世界へと浸透し始める。意識は鉄の様に熱  
くなっていたが、その中心は氷の様に酷く冷え切っており、冷静そのものであった。  
 
「オオオォォ――――――――――――ンッッッッ!!!!!」  
 
 彼の気高い咆哮に呼応し、大剣も一段と甲高い駆動音を上げて吠え立てた。  
 大剣を天高く掲げ、振り下ろし、地面に両脚を食い込ませて踏ん張る。周囲の地面が不可視  
の力によって窪み、抉れた。彼の体が、大剣をも凌ぐほどの眩い光に包まれる。その背後には、  
後光の如く光り輝く、邪悪を討ち祓う五芒星の聖印が浮かび上がっていた。  
「貴様らがこの世界に居て良い道理は無いっ!」  
 超過荷重となった魔力が荒れ狂うが、彼は集中力を途切れさせる事なく冷静にそれを捌いて  
いく。彼は大剣を肩に担いだ。  
「今此処に主神の裁きは下された!」  
 大剣に組み込まれた機関に、高密度の法術式が駆け抜けていく。邪悪に対する必殺の威力を  
秘めた、法術機関が神の獣の咆哮を上げて覚醒した。  
 
「貴様はニブルヘイム逝きだっっ!!!!」  
 
 彼は地を蹴り疾駆した。刀身から溢れ出る閃光が彼を、怪異を、世界を白い闇に包み込む。  
 
「んぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁおおおあおぁおおぉぉぉぉぉおぉぉぉぉ――っ!」  
 
 怪異は一際悍しい苦悶に満ち満ちた悲鳴を上げた。  
 彼は一瞬にして怪異との距離を詰めると地に足が減り込む勢いで蹴り、空高く舞い上がって  
いた。ぐんぐんと高度は上昇し、遂には十数階建ての建物にも匹敵するほどの巨躯を誇る怪異  
の頭上にまで達していた。そして肩に担いでいた大剣を振りかぶり、怪異目掛けて振り下ろす。  
大剣が獣の如くの咆哮を上げる。それを心地良く感じながら、彼は邪悪を討ち祓う言葉を唱えた。  
 
「アスキ=カタスキ=ハイクス=テトラクス=ダムナメネウス=アイシオン!!!!!」  
 
 大剣が爆発的な閃光に包まれ、導かれるかの様に刀身が怪異に吸い込まれていく。同時に、  
刀身が触れた途端に絶大な破壊力を秘めた術式が怪異の体内に浸透していく。  
 
「あぁああぁああああアアアアァアァァァァッァァァッァァァAAAAAaaaaaaAaAaaa!!!!!」  
 
 怪異が断末魔の叫び声を上げ、稲妻の如く落下する彼の大剣によって一瞬にして頭頂部から  
縦に両断された。  
 
「断罪!」  
 
 彼の朗々と響く声が白い世界を斬り裂く。世界は白い暗闇に飲み込まれた。  
 

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