口が、舌が、指先が…そっと僕の身体をなぞる。  
抵抗しようにもベッドの四隅に括り付けられたロープで両手両足を縛られ、  
大の字になったまま身動きがとれない。  
幼ささえ感じさせる小さな舌や指と裏腹に熟練したその手つきに、  
恥ずかしい声を出さないよう必死で歯を食いしばる僕の努力も虚しく、息が漏れてしまう。  
「…んっ、…ぶ、ぶぅっ…ぶひぃ…」  
………ああ、恥ずかしい。こんな声。  
「ん…恥ずかしがることないのにー。可愛い鳴き声じゃないですかぁ。ふふっ」  
ぺろぺろと僕の首筋に這わせていた舌を離してキリィが意地悪に微笑む。  
「やらぁ…やだ…っ、こんな、ぶぅっ、ぶたみたいな…」  
呂律が回らず変な声が出る。平時ならば苦も無く喋れる人間の言葉を忘れてしまったみたいだ。  
この体は時折本能に支配されて、言うことをきかなくなる。今もまさにそうだった。  
「みたいな、じゃなくて、豚でしょ?ブ・タ・さん?」  
僕の体の上に寄りかかりつつキリィが投げかける屈辱的な言葉を、なんとか否定しようとする。  
「ひがっ、違ぁっ…ぼくは、にんっ、にんげんで…」  
「ふぅん、人間、ですかぁ…人間ってのは…」  
むにっ  
「ぶっ!?」  
「こんな大きく広がった耳とか…」  
ぎゅっ  
「ぶひっ!?」  
「こんなくるんと丸まった尻尾とか…」  
ちゅ…っ  
「ぶ…ぅ…」  
「…こんな大きく突き出した鼻とか、あるものなんですかぁ?」  
耳をつまみ、尻尾を握り、鼻先に軽くくちづけたキリィがにやにやしながら言う。  
それらの箇所に触れられる度にぞくっとした快感が走って、  
思わず鳴き声をあげてしまった僕はぐうの音もぶうの音も出ない。  
 
キリィによってこんな姿にされてしまってから、体が勝手に動いてしまう時がある。  
例えば…その…欲求不満と言うか何と言うか…その…  
……「発情」してしまった時、とか…  
両手がヒヅメになってしまったので自分で処理することもできず、意識が朦朧として…  
気が付くと四つん這いになってたり、口が勝手に鳴き声をあげてたり。  
「ん…ぶひっ、らめ、だめぇ…」  
だから、これも同様に、僕自身の意思には関わりないことで…  
「ぶぎっ、やだっ…ぶ…んんッ!」  
僕が悦んでるわけではないし、僕が求めてるわけでもないし…  
「んぁっ、あ…そこはっ、んぶっ、ぶぁあ!」  
…僕の…意思では…  
「ぶぅ…ぶぅう…!」  
……駄目。もう駄目。  
「ぶ、ぐぅ…きっ…キリ…ぃ…い」  
「んー?どうしたんですかー?」  
耳をぴくんと立て、ざらざらした舌で乳首を撫でまわすのをやめてキリィがとぼける。  
「……やる、なら…はやく…し、てぇ…」  
「えーと、なにをですかぁ?」  
あくまで知らないふりをするキリィ。  
屈辱で顔に血が集まるのを感じつつ涙目で睨み付けると  
「あー…ひょっとして、これ?」  
と、白々しく尻尾の先で指し示す。  
…はちきれんばかりに膨れ上がった、僕の「ソレ」を。  
今日のキリィは今までとは違って、ソレに触れようともしなかったのだ。  
僕がいつものようになんとか逃れようとしていると、  
蛇のように自ら動きまわる魔法をかけたロープをけしかけて、抵抗もむなしく両手両足を絡め取られて  
ベッドの上に仰向けに縛られて…  
でも彼女の手はソコには伸びなかった。  
乳首、耳、尻尾、首筋…体のすみからすみまで舌や手や尻尾で愛撫しながら、  
ソコにだけは少しも触れなかった。  
敏感になった体は、皮膚がぴりぴり痛いほど緊張して  
彼女の黒く柔らかい体毛と擦れただけで快楽を生み出すほど発情してしまっているのに…  
衝動的に押し付けようと思わず腰を浮かしてもタイミング良く避ける。  
飢えや渇きにも等しい快楽の真空部分。熱く熱く疼いて、ソコの周りの空気まで感じられるほど。  
今までなら、前戯もそこそこに発情したと見るやすぐに精を搾ろうとしていたのだが、  
何故か今回はそんなまだるっこく拷問のような…  
「んー…どうしましょうかねぇ…」  
そう言いながら、太股や下腹部を撫でる。  
「んぁああっ!」  
更に焦らされるような、柔らかい肉球が体毛の上を滑る感覚にがくがく震えながら悲鳴をあげる。  
「へぇ。豚ってこの辺りが性感帯だって聞いてたけど、本当なんですねぇ」  
…実際にそうなのかも知れないけど、ここまで焦らされたら体のどの部分も性感帯になっちゃうだろ…  
そう思ったけれど、もう言い返す余裕も無かった。  
「…して欲しいですか?」  
キリィが薄笑いを浮かべて言う。でも、瞳孔を細めた猫の目には冷たい光が灯っていた。  
…あ。  
ようやく、悟った。キリィの狙い。  
「精、搾って欲しいんですか?」  
僕が、自分から求めるように仕向けて…自分から受け入れるように仕向けてるんだ…  
「交尾、したいんですか?」  
……「僕が、豚である」という事実を。  
「…ね、ブ・タ・君?」  
酷薄な響きで、確認として「豚」と呼ぶキリィの声に  
僕は恥辱で顔が真っ赤になるのを感じながら、涙ながらにこくんとうなずいたのだった。  
 

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