「さて…と。それじゃ……準備はいいな?」
「え…? あ……ああっ!!」
ゆっくりと貴代子は俺に馬乗りになりながら、ぽつりとつぶやいた。
俺が返事をする間もなく、貴代子がモノの先端を自らの割れ目の中へと導いていった。
モノの先端に、包み込むような熱い刺激が走り、俺は思わず叫び声が漏れ出す。
「ふふ……んっ………大きい…硬い……」
「あ…ぐうっ……」
恍惚とした表情を浮かべ、ゆっくりゆっくりと腰を落とす貴代子。
貴代子の中へとモノが潜り込んでいくと、結合部からは透明な液体が溢れだしてきた。
「あんっ……奥に…奥に当たってるよ………」
「くっ…お……俺、もう……」
完全にモノが貴代子の中へと姿を消したとき、貴代子が弱々しい声でつぶやいた。
いっぽうの俺は、モノの先端にコリコリとした今までとは違った感触を覚え、思わず腰をよじらせてしまう。
「こんな…こんなの……は…初めて……あ…はあっ…あっ!」
「ああっ! くっ! ううっ!」
だが貴代子は、すでに俺の存在など眼中に無いようで、ただ天井をあおいだまま、
ひとりごとをつぶやきながら、腰を上下に揺さぶり始めた。
じゅぷじゅぷと股間から湿った音が響き渡り、モノからはとめどもない快感が伝わり、
目の前をチカチカと、輝く星が瞬いているのが見える。
「ん…んっ?」
「あっ! あ……あの…その……胸……揉ませてもらって……いい…ですか…?」
さらに無意識のうちに、俺は貴代子の大きく発達した胸に両手を伸ばしていた。
一瞬、貴代子が眉を顰めたのが目に入った俺は、慌てて手を引っ込めながら上目遣いに話しかける。
「………………」
「…あ……あの……?」
貴代子は腰の動きをピタリと止め、ひとことも発することなく、じっと俺を見下ろす。
その表情は……何といえばいいのか、苦笑いなのか、それとも苦々しく思っているのか……。
沈黙に耐えられなくなった俺が、貴代子に問い直そうとしたそのとき――
「……フン。ま、しゃーないよな。服の上からちょっとだけ、なら構わないぞ」
首を振りながら、ゆっくりと俺の両手を自らの胸に沿え、貴代子は言った。
「あ…ああっ! は……はいっ!」
「………まったく……ガキじゃあるまいし、んな声出すなよ。こっちが恥ずかしくなるって」
全身を包む安堵感から、自分でも驚くくらいに、明るい声で返事をしてしまう。
そんな俺を見て、貴代子はため息を突きながらつぶやき、腰の動きをゆっくりと再開しだした。
「は…ああっ……イイ…イイ…よ…っ……」
「あ……ああっ……」
貴代子は夢中になって、俺の上で上半身を激しく上下に動かし続けている。
そのたびに、俺との結合部からは、ずちゅっぐちゅっという音が響き、透明な液体があふれる。
俺は、モノから伝わる快感をこらえるため、目をきつく閉じ、胸を揉む手に力を込めていたが、
耳に届く貴代子の喘ぎ声に、まるで誘われるかのように、そっと目を開いた。
「イイ……イイ………」
恍惚とした表情で、天井を仰いだままつぶやき続ける貴代子。
はだけてしまった胸を、自らの手で荒々しく揉みしだいている姿を目にしたとき、
俺は何ともいえない色気を感じ、興奮していた。が、あることに気がついて、思わず手が止まってしまう。
……待てよ? 貴代子が自分で揉んでいる? しかも、はだけた胸をじかに?
じゃあ……じゃあ、俺が今揉んでいる胸は何なんだ?
ほんの少しだけ、冷静さが戻ってきた俺は、ゆっくりと視線を下に向ける。
俺は確かに、貴代子の胸を揉んでいた。……正確には、貴代子が着ていた豹柄の服の胸の部分、だが。
どうやら、俺が力を込めすぎたから、服がずり落ちてしまった、のか……?
何だか、見てはいけないものを見てしまった気がする俺は、背筋に冷たいものが走るのを感じ、
貴代子の中に潜り込んでいたモノが、キュッと縮こまってしまった気がする。
だが……だが、貴代子はまだ気づいていない。俺もこのまま見なかったことにすれば……
「あ……? 何だか……元気が…無くなってきたみたい……どう…したの……? あ………」
「…………………………」
だが、貴代子が突然体の動きを止め、怪訝そうな顔で俺を見下ろしてきた。
とろんとした目をしていた貴代子だったが、すぐに今の事態に気がついたようで、
冷静な――いや、無表情な顔で、俺をじっと見つめて固まっている。
貴代子と目が合ってしまった俺は、蛇に睨まれた蛙のように指一本動かすことも出来ず、
ただじっと、見つめ返すことしか出来なかった。
「……………………………………………………見た、よな?」
「……………………………」
長い長い沈黙ののち、貴代子がポツリとひとこと。それも、ものすごーく低い声で。
俺は無言で、ずり落ちている貴代子の服を胸の位置に戻し、再びゆっくりと揉みはじめた。
ガバッ!
「が…がは……くへ…えっ………!」
ところが、いきなり貴代子は俺の首に手を掛けてきた。あまりの苦しさに、舌が飛び出してしまう。
俺は必死に、両手で貴代子の腕を掴んで引き剥がそうとするが、当然ながら腕力ではかなうはずがない。
「見たか見ないか、何てどっちでもいいか。黄泉の国に言ってしまえば、喋ることは出来ないし、な」
自由の利かない首を必死に振りながら、「見ていない」と必死にアピールするが、
まったく聞く気がないようで、独り言をつぶやき、首に掛けた手に力がこもる。
薄れゆく視界の隅で、貴代子の服が再びずり落ちるのが見えた。……あ、本当に小さい胸……。
「ん? おい、こんな状況だってのに、大きくなってきてるぞ。何考えてんだあ?」
俺の首を絞めながら、貴代子が嘲るように言った。だが、俺の耳には既に半分以上届いてはいない。
「……んっ…あっ……何だか…さっきより…大きくなってきた…みたいだな……。ん…あはあ…んっ…」
貴代子の声に、再び喘ぎが混じってきた。と、そのままゆっくりと上半身を動かし始める。
だが俺は、全身がビクビクと痙攣して、とてもじゃないが快楽を得ることなど、出来やしなかった。
「ぷはあっ!」
突然貴代子の手が緩んだ。俺は思い切り大きく息を吸い込み、酸素を取り込もうとし――
「ぐええっ!」
「ん………イイ……あ…はああっ!」
再び貴代子の手に力がこもる。中途半端な深呼吸に、変な鳴き声が漏れる。
しかし、俺のもがきなど委細構わず、貴代子はうっとりとした表情で、体を揺らし続けていた。
「ああ…イイ…イイ……さっきより…イイ…よ…っ……」
どれだけそうしていたか、あれから貴代子はずっと俺にまたがり、体を上下に動かし続けている。
もちろん、俺の首に手を掛けたまま、絞めたり緩めたりを繰り返して――
「凄い…凄い気持ちイイよ……こんな…こんなイイ…なんてっ…あ…ああっ……。わぷっ」
一瞬、貴代子が上半身を仰け反らせ、俺の首から手を離した。
俺はとっさに手近にあった目覚まし時計を、貴代子へ目掛けて投げつけた。
「い…痛ってえ……てめえ……」
「けほ…けほ……く…来るなあっ!!」
頭にコブを作りながら、貴代子が怒りに満ちた表情で俺を見下ろす。
くちびるを歪ませたとき、長い牙が見えた。……さっきより、長くなっているような…?
さらに、目が見る見るうちに赤くなり、瞳は昼間の猫のように細くなっていた。
先程よりも確実に身の危険を感じた俺は、何度も咳き込みながらも両手をバタバタ動かして、
掴んだものを手当たりしだいに、貴代子目掛けてひたすら投げつけていた。
「よっくもやりやがっ…う! うわあああっ!!」
怒号とともに、俺に飛び掛ろうとしたその瞬間、貴代子が突然両手で顔を抑えて仰け反っていた。
ふと見ると貴代子の足元には、小さな丸いものがいくつも散らばっている。
…これは……そうだ! 隣の娘が持ってきた豆だ!
どうやら、手で引っ掻き回しているうちに、豆袋を破いてしまったらしい。
「お…鬼は〜そと! 鬼は〜そと!」
そういえば、鬼の弱点って豆だったっけ。何で忘れてたんだろうか。
気を取り直した俺は、掛け声とともに、貴代子目掛けて豆を投げ続けていた。
「痛っ! 痛い! 痛あい!! 許して! 許してえ!!」
さっきまでの勢いはどこへやら、貴代子は頭を抱え込み、涙まで流しながらへたりこんでしまう。
と、豆の何粒かが、角に当たった瞬間、貴代子は糸が切れた人形のように、その場に崩れ落ちた。
「あ…ああ……あ………許して…許して……」
「許してって……そう言えばあんた、俺の生き胆を食しに来た、って言ってたな。
何でわざわざ俺の家を選んだんだ? 普通、女子供の生き胆を食すものじゃないのか?」
貴代子のあごを、指で軽くしゃくってみる。その顔は涙でまみれ、ブルブル震えている。
しかも、いったいどういう原理なのか、牙はもうどこにも見当たらず、瞳も普通に戻っている。
俺は貴代子の変わりように戸惑いを覚え、先程までの態度に若干の恐怖心を抱きながら、質問してみた。
「い……いや……だって…豆まき、してなかったし、玄関は開いていたし……。
……………若い男性の生き胆のほうがいい、って言われたし……」
「はあ? 何にいいんだ? そもそも生き胆以外を食うことが出来ない、ってわけじゃないのか?」
震えながらも、素直に質問に答える貴代子。その答えに、さらなる疑問を持った俺は、再び問いかける。
「……………その…………笑わ…ない?」
「……は? 何だそりゃ? ……笑えるはずがないだろ」
しばらくの間、言おうか言うまいか逡巡していた貴代子は、おずおずと俺に聞いてきた。
肩をすくめ、呆れ顔で答える俺。さっきまで、本気で殺されかけてたんだ。
正直、笑うどころか怒るかもしれないが、な。
「その……えっと…………友達に言われたんだ。胸……大きくするには、人間の生き胆がいい、って…」
しばしの沈黙ののち、貴代子は指と指をくっつけたり離したりしながら、ぽそぽそとつぶやく。
今度は、俺が沈黙する番だった。
「……………………………………………はい?」
「……だ…だから……人間の生き胆を食せば、胸が大きくなるって言われて…その…」
どれだけ二人で見つめあっていたか、俺はポツリとひとことつぶやいて聞き返した。聞き違いだと思って。
だが、再び開いた貴代子の口からは、先程と同じ意味の言葉が聞こえた。
「色々頑張ったさ、通販の豊胸器も買ったり胸にいい運動もしたり、とか。
でも……どうしてもダメだった。周りのコは皆でかくなっているのに、ワタシだけ小さいままだった。
友達に聞いたら言われたんだ。『人間の生き胆を食してないからだ』って…………」
「……………………」
そこまで言って、貴代子は顔をゆでだこのように、真っ赤にさせてうつむく。
呆れて何も言えなかった俺は、口をぽかんと開けて貴代子を見つめていた。
「だ…だから、言いたく無かったんだよ! は、恥ずかしいこと言わせるなよっ!」
俺の視線に耐え切れなかったのか、貴代子は顔をぱっとあげて叫ぶ。
しかし……そういう問題じゃないだろう。貴代子の胸のために、俺は殺される一歩手前までいったのか?
「で? 胸を大きくして、どうしようってんだ?」
平静を装い、静かに問いかける。内心は、呆れているのとふざけるな、という思いでいっぱいだったが。
「………だ、だってよ……男って皆、でかい胸のほうがいいんだろ?
みんなそうだよ。『洗濯板みたい』とか『俺のほうが大きい』とか『揉めない乳はいらない』とか、
散々言われたんだ。アンタだってさっき、ワタシの胸を喜んで揉んでいたじゃないか。男なんて…さ……」
貴代子は顔をあげ、俺を指差しながら答えると、鼻を鳴らして泣き出しはじめた。
……そういえば、俺が胸を『揉ませて』と言ったとき、何とも言えない、複雑な表情をしてたっけか。
「あー……泣くんじゃねえよ。男の好みなんて様々なんだからよ。でかけりゃいいってもんじゃないだろ?」
「………………ほ……本当か?」
泣きじゃくる貴代子の様子に、少し安心した俺は、頭をくしゃくしゃ撫でながら言った。
言いながら、俺は隣の家の奥さんを思い浮かべていた。
確かに…確かにあの人は胸はでかいが……それ以外にも、おっとりとしてどこか魅力を感じるし……。
間違いなく、あの人の魅力は、胸のでかさだけではない。そう断言は出来る……うん。
貴代子は手で目の周りを拭いながら、上目遣いに俺を見つめてきた。
……畜生、最初とは打って変わって、すげーしおらしいじゃねえか。
「あ、ああ。確かに……でかければ揉みがいはあるかもしれないが、
それがすべて、ってわけでもないしな。むしろ、小さくても感じやすいほうが……ん…んんっ?」
最後まで語ろうとしたが、出来なかった。貴代子がいきなり、俺のくちびるを奪ってきたから、だ。
「ん……だったら…だったら、証明してみせて………あ…あんっ!」
くちびるを離し、貴代子がひとこと。次の瞬間、俺は貴代子を床に押し倒していた。
「ああ…ん…あふ……あ…ああっ」
さっき貴代子にされたように、舌を伸ばして貴代子の胸の頂を舐めすくってみた。
貴代子は一瞬、体をピクリと震わせたが、じっと目を閉じてこらえている。
「ん…ん……んんっ…っ……」
「あ……あ…あは…あ……ああっ……」
さらにくちびるをくっつけ、思い切って吸ってみる。
……当然、母乳など出るはずはないが、何だか頂が固くなってきた、気がする。
「えっと……もう硬くなってきたみたいだけど……」
「ば…馬鹿っ……そんな…そんなこと言わないで…。……もっと…もっと続けて……あ…あんっ!」
舌を離して問いかけてみると、貴代子は顔を真っ赤に染め上げ、ぽそぽそとつぶやく。
返事の代わりに軽く歯を立ててみると、貴代子は喘ぎ声とともに全身を震わせ、下半身を俺に擦りつけてきた。
いかん……俺も我慢出来ねーぞ………。
「えっ? な…何…?」
上半身を起こした俺は、そのまま貴代子をうつぶせに寝かせ、両足を開かせた。
貴代子は振り向きざまに、俺を怪訝そうに見つめている。
「あ…あんっ!」
俺は貴代子の腰をゆっくりと持ち上げ、秘部にモノをあてがい、先端部分を潜り込ませてみる。
それだけで貴代子の下半身はピクピクと震え、モノの先端からは絞めつけられるような感触を覚えた。
「い…挿れていい………か?」
「……………」
背後から貴代子に覆いかぶさるような姿勢になった俺は、耳元でそっと聞いてみた。
無言で、ゆっくりと頷く貴代子。うっすらと涙を浮かべ、顔は真っ赤に染まっている。
俺はひといきに、モノを貴代子の中へと潜り込ませた。
「……あ…ああんっ!!」
貴代子の中は、先程の交わりのおかげで、すでに濡れそぼっていたせいか、難なく俺を受け止める。
モノを突きたてた途端、貴代子は上半身を仰け反らせ、嬌声をあげていた。
「あ…あ……あ……あ……」
腰を必死に前後に動かしながら、両手を伸ばして背後から貴代子の胸を揉んでみる。
貴代子はまるで犬のように、口から舌を出して断続的に喘ぎ声を漏らしていた。
まるで、その声に操られているかのように、俺の腰の動きはどんどん早くなっていった。
ふと前を見ると、自分の姿がテレビに映りこんでいる。
先程とはまったく逆で、背後から貴代子を貫いている、その姿を目にしたとき、
俺の頭の中に、ちらりとイタズラ心が芽生えていた。
「あ…あは…あ……あ…ああ……?」
繋がったまま、ゆっくりと貴代子を抱え起こしながら、二人で中腰の姿勢になる。
貴代子は戸惑い気味に、ゆっくりと俺を振り返った。その下半身はガクガク震えている。
次の瞬間、俺は貴代子を抱え上げたまま、一気に座り込んだ。
「「あ、あああっっ!!!」」
モノの先端に、先程繋がったときに覚えた、コリコリとした感触が届き、全身に響き渡る。
快感を覚えていたのは、貴代子も同じだったようで、俺たちは、
全身を襲う刺激に抗うことが出来ずに、声を揃えて悲鳴をあげた。
「あ…あ…ああ……イイ…イイ…よ……イ…イイ……」
しっかりと俺の手を握り締め、一緒になって自らの胸を揉みながら、天を仰いで声を漏らす貴代子。
無意識だろうが、自ら腰を上下に動かし続けている。
「ねえ……前のテレビにさ…貴代子の色っぽい姿が、映りこんでいるよ……」
「え!? あ…ああっ!! い…いやあっ!!」
「ぐ……く…うううっ!!」
俺は快感のあまり、すべてを忘れそうになりながらも、貴代子の耳元でそっとつぶやいた。
すると貴代子は、顔を真っ赤に染め上げて、両手で顔を覆ってしまう。
その瞬間、モノの絞めつけが力を増し、今まで感じていたよりも、遥かに強烈な刺激が込みあげてきた。
「あはん……あ! 凄い…凄いよ! イッちゃう! イッちゃうううっ!!」
「うう…お……俺も…う…ううっ!!」
貴代子も同じように刺激に耐えられなかったのか、涙をあふれさせて絶叫する。
その姿を見て、何故か安心感を覚えた俺は、貴代子の中に精を放出していた。
「ああ…は……あ…ああ………」
絶頂に達した俺たちは、そのままゆっくりと、二人一緒に後ろに向かって倒れこみ、しばらく動けなかった。
「はあ…はあ……ね……ワタシ……小さくても…よかった……? …ん……んん…っ……」
まだ肩で息をしている貴代子が、不安げな顔でこちらを向いてひとこと。
俺は返事の代わりに、そっと貴代子のくちびるを奪っていた――