「アレク、きもちいぃ?」  
 ドーネチカ・スズキは横たわった弟のモノをたわわな白い乳房で挟みながら少し上ずった声で問いかけた。  
白い皺の寄ったシーツの上で女はひどく官能的な声で言葉をつないだ。  
「ね、キモチイイでしょ、ね、ドーニャ姉さんもすごく嬉しいよ? ね、とっても固くなってる・・・」  
 白い個室に流れる流行音楽の女性ボーカルの声に混じって濡れた言葉が繰り返される。  
年のころ二十歳前後といったところか。淡い金色の髪をポニーテールに束ねている。髪に青い瞳、ただし右目だけは琥珀色のオッドアイ。その肌は透き通るように白く熟れはじめた肉は見るからに柔らかそうだった。  
 逆に少年は痩せて肋骨が透けて見えるほどだったが、その端整な顔立ちは姉とよく似ている。  
青白く痩せ細った足首を跨ぎ、一糸まとわぬ姿で奉仕を続けている。豊かな見目麗しい乳房で隆起した男根を挟み込み、その変幻自在の肉でマッサージする。  
皮を被った先端から漏れた液体が絹のような肌を濡らす。彼女の細い指は熱心に自分の膨らみをこね回し押し付けている。鍵をかけた白い病室は彼女の秘めやかで蜂蜜のような体臭に満ちていた。  
 ドーニャはその舌先を包皮の開口部に押し当てるようにしてゆっくりと剥いていった。唇の摩擦を上手く使って極力歯を立てないように注意しながらだったがどうしても駄目な場合はほんの少し歯で引っ掛けて甘噛みするようにしていた。  
ゆっくりと剥かれて露出される裏側の敏感な部分を舌の平たい部分で被っていくようにして彼女は弟の成長しきっていない性器を喉元にまで咥え込んだ。  
「ン〜〜、ふぅ〜〜〜」  
 くぐもった鼻声を出して口内に玩びながら頬の裏側や舌で丁寧に拭ってやる。やがて彼女はちゅるんと音を立てて一端口を離した。開放されたソレは唾液に光り彼女の眼前で揺れた。  
 ドーニャは鼻から深い吐息を漏らす。その眼差しは異様なほどに愛しげだった。そして彼女はその視線をそっと揺れるものの先、アレクの顔に向ける。  
姉弟はコーカソイド(白人)との混血だった。一見白人のように見えるドーネチカの肌がきめ細かなのは東洋人の血が混じっているせいなのだろう。その整った容貌もまたどこか優しさを孕んでいる。  
少年のはだけられた胸を這うようにしてドーニャはゆっくりと這い上がっていく。芳香を放つような美しい肉を擦り付けるようにし、動かぬ足に白い足を絡めてアレクセイの顎にキスをした。  
「ね、アレクセイ。わたし、何にも着てないよ? ほぉら、柔らかいでしょう? 分かる? わたしの乳首固くなっちゃった。コリコリしてるでしょ、こんなになってるの・・・分かるでしょ?」  
 彼女は眠る弟の耳に唇を寄せ、さも愛しげに囁いた。勃起した乳頭をその物言わぬ口元に押し付けるようにして彼女は言葉をつなげた。  
「ね、わたしとっても綺麗だよ? 何にも着てないの。アレクにだったら、見せてあげるよ? 何でも見せてあげる。なんでもしてあげる。ほら、見たいでしょ? わたし丸裸だよ?」  
 少年の表情に変化はない。まるで蝋人形か何かのように瞼を閉ざして眠り続けている。心電と脳波を表示するモニターは相変わらず単調なパターンを刻んでいた。  
ドーニャはそれを横目に睨んで再びアレクセイの横顔に視線を戻した。そして小さく溜息をついた。  
 ドーネチカは舌先で弟の耳たぶをなぞりながら深い息を吹きかける。そこには言葉にならない愛情が込められていた。  
 アレクセイはもう六年間も眠り続けている。あのゲリラによるホテル襲撃事件で両親は亡くなり当時八歳だったアレクセイは植物状態になったのである。  
まだこの国の混迷たる内戦状態が悪化する前の話だったのでニュースでも大々的に取り上げられる騒ぎになった。ドーネチカのみは臨海学校で別の場所にいたために難を逃れた。  
 
 『ひょっとしたら意識を取り戻すこともありうる』という医師の言葉だけが七年間の間ドーネチカにとって心の支えだった。幸い持ち家もあり資産もあったため治療費には困らなかった。  
もっとも通常の進学を諦めなくてはならなかったがそれは士官学校に進むことで解決された。女性としては体格に優れまた成績も優秀だった彼女は創立後間もなかった軍の教育機関で比較的歓迎されたといって良い。  
ローティーンで家庭を失った彼女はそれこそ毎日のように弟を病院に見舞った。士官学校に籍を置いていた時期もよほどの事情がない限り、最低でも週に一度は足を運んでいた。  
 回復のきっかけになればとドーネチカは意識の戻らないアレクセイに時間が許す限り優しく語りかけた。流行の音楽を聞かせ、枕元で古い本を朗読する。まだ幼かった頃にしてあげたように。  
擦り切れた童話のページを何回繰っただろうか。濡らしたタオルで身体を拭いてやり、時には看護婦の付き添いの下、車椅子で病院の隣の散髪室にも連れ出したりもした。そんな日々が何年も続いた。  
 そしてあるとき彼女の愛情は一線を越えてしまった。アレクセイの股間が勃起しているときがあることにはずいぶんと昔から気が着いていた。要するにそこが弟の唯一の「起きている」部分だったわけである。  
ドーニャは次第にソコの反応に一喜一憂するようになる。  
 そしてある時期から来訪の度に鍵をかけた病室で眠るアレクセイを愛撫することが習慣になった。最初はオムツに手を突っ込んで弄る程度だった。脳波モニターとペニスを交互に見て反応を見る。  
微かな罪悪感と背徳的な高揚を感じつつも彼女は真剣だった。皮を被った先端から浮き出した、透き通る水滴に指で触れて糸を引くの見たときには慌てて医学書に当たったくらいだ。そんなことがかれこれ二ヶ月ほど続いた。  
しかしあるときドーニャは見てしまった。愛しい弟が射精するところを。手の中でソレが可愛らしく痙攣して少し黄ばんだ白いものを吐き散らした。手の中に零れた白濁は驚くほどに熱く弟がまだ生きていることを痛いほどに実感させてくれた。  
その特有の臭いが鼻を突いてドーニャは切なさに少し胸が苦しくなったのを覚えている。それは今でも変わらない。そして脳波モニターに現れた確かな反応も決定的に彼女を後押しした。  
(ひょっとしたら、ひょっとしたら、この子は目を覚ますかもしれない!)  
彼女は泣きながら萎びれていくそれにむしゃぶりついていた。唇で陰茎の脈を感じながら、夢中になって舌先で弄った。そして生臭い汁があふれ出すごとに最後の一滴まで吸い取ろうとでもするかのように頬をすぼめて思い切り啜り上げた。  
温かいそれが喉を通る感触に咽ながら弟の陰毛に涙を注いで。その日、何回も飲み干したことを彼女は今でもはっきり覚えている。そして精液に汚れた顔を上げたとき、自分の下着がぐしょぐしょになっていることに気が着いた。  
 ドーネチカは赤いチェックのスカートに手を突っ込み、恐る恐る自分の秘所に指を伸ばした。ごまかしようもなく濡れていた。認めたくない事実にまた涙が止まらなくなった。自分が植物状態の弟に欲情して玩んだことなど絶対に認めたくはなかった。  
しかし結局は止めることが出来なかった。白いシーツに片手を突いて身を屈め弟の命をしゃぶりながら自分の恥部を慰め続けた。流し台の鏡には彼女の突き出した形の良い尻が映っていた。  
震える太股を幾筋もの愛液の雫が伝い落ちてその紺色のソックスを濡らしていった。  
 ドーニャは頭の芯が痺れるような酩酊した感覚に憑かれ、互いの液体が最後の一滴まで流されるまで行為を止めようとはしなかった。  
 白濁を全て出し尽くしてもなお痙攣していたアレクセイの小さなペニスがもはやピクリともしなくなりドーニャの体内から溢れ出す液体も涸れ果てて太股に乾いた跡を残していた。  
やがて時が経つにつれて行為は次第に大胆になり、彼女は乳房や全身を使って弟を愛撫するようになっていった。それにつれて躊躇いもまた薄れてはいったのだが。しかしドーネチカは愛情が全てを正当化できると思えるほどにオメデタイ女ではない。  
それが良くないことだとは百も承知していたしその浅ましさも理解している。  
 
 持ち前の聡明さが仇となり爛れた関係に単純には浸りきることが出来ない。そしてその悩ましさがかえって陶酔を増幅させていく。それはもはや中毒といって差し支えなかった。  
 ドーニャは自分が病人の世話をしつつも精神的に依存してしまっていることを自覚している。軍という組織にあっては絶対に弱みを見せることなどできはしなかった。彼女は優秀な兵士でオーガノンのパイロットだったが基本的に心根の部分は好戦的でない。  
それゆえに戦闘行為やそれに伴う昇進からは意義や充実感を得ることも出来ない。ただアレクセイだの存在だけが心の拠り所だった。そして人並みの青春がなかった彼女にとっては弟との時間がその埋め合わせとなり無意識に恋人のような感情を抱いてしまっていた。  
 ドーネチカは今日もまた愛しい弟との情事に悲しい慰めを求めている。もっとも本当の意味で交わることはできない。万一にも妊娠してしまえば中尉の職を失うことになりかねないからだ。  
「ねぇ」  
 ドーニャは弟の顔を跨ぎ、片手の指先で桜色のソコを開いてみせる。剃刀で整えられた陰毛は邪魔にはならない。開いている左手でベッドの鉄パイプの淵を捉えて身体を支えている。アレクの頭を挟んで突かれたソックスを穿いた足は踵が浮いている。  
「ねぇ・・・見て・・・」  
 しかし反応はない。  
 ドーネチカは再び這うようにして69の姿勢をとる。弟のモノはまだいくらか固かったが半ば渇いてしまい、先端からの汁も途切れてしまっている。彼女はソレを口に含んだ。  
万が一、胎内にアレクセイの生命が芽生えたとしたら降ろすことなどできはしない。今の彼女にとってほとんど切なる願いにまでなっていたがそれは現状では絶対に許されないこと。だから彼女は数え切れないほどの交情を経て未だに処女のままである。  
一番欲しいものが目の前にあるというのに。彼女は毎晩そのことを思って身悶えするのだった。  
公共・私企業ともに保険の破綻した今時にあっては軍務だけが収入を得る縁だ。できる限りの軍功を挙げて給与を増やすしかない。そしてそれは軍の施設内にあるこの病院での弟の扱いを良くさせることでもある。  
そうやって頑張っていればいつか・・・。  
 その満たされない思いだけがドーニャのモチベーションを支えていた。  
 彼女は衣服を整え、病室を出た。微かに赤くなった首筋だけが行為の名残を示していたが仰々しい濃紺の軍服からはそんな気配は見えはしない。  
「弟をお願い」  
 帰り際にドーネチカは廊下で会った友人の看護婦に小声で告げた。  
「大丈夫。お仕事頑張って」  
 有馬千佳はにっこりと微笑んで応じた。そして励ますかのようにドーネチカの背中を掌でポンと叩いた。彼女はアレクセイを担当している気立ての良い看護婦だ。ドーニャと同い年だが背丈は小柄でその丸顔はドーニャの胸元の高さだ。  
丸いメガネをかけた鼻の小さな顔は先ほどのドーニャとはまた別種の愛くるしさを感じさせる。  
 ドーニャにとってこの友人は特別な味方だった。病院幹部の娘で姉弟に格別同情の念を寄せてくれている。  
そしてアレクセイの最初の相手で専属の「慰安婦」でもある。千佳はいざとなれば自分が全ての責任を被るとまで言ってくれた。もっとも保護者であるドーネチカと共謀しているのだからいざとなっても訴えられる心配は皆無である。  
幸い千佳本人の父親も「娘の素行が治まった」と喜んでくれている。千佳は看護婦になることを強制した軍医の父親への反発からか一時はずいぶんと男性関係が乱れていたのである。  
*  
 ドーニャが去ったすぐ後に看護婦・千佳はアレクセイの病室に滑り込んだ。部屋の様子を一瞥して彼女は呆れた様子で鼻から溜息を吐いた。  
 
 ドーネチカの華やかな体臭が鼻を突きそれに混じって妙に生臭い臭いがする。おまけに毛布を捲るとシーツが乱れていた。ところどころ染みさえついている。一応は整えたつもりなのだろうが見る人が見れば情事の残響は一目瞭然である。特に千佳のような「猛者」にとっては。  
「ったく、ドーニャったら・・・」  
 千佳は苦笑して呟いた。  
とりあえず金属の鍵をかけた。カーテンはもう閉まっている。  
壁に立てかけてあった折りたたみ式の椅子を広げる。彼女は胸のポケットから携帯用のティッシュペーパーを取り出した。一枚をベッドの上に広げてからアレクセイの手を捉える。  
 彼女の目に眠る少年の爪は麗しく見えた。スカートのポケットから爪切りを取り出して優しくあてがう。彼女の面持ちはどこか興奮している。  
 パチン!  
 爪を切った手応え。その弾けるような音。千佳はウットリとしてその目を細めた。・・・ほんの少し、ほんの少しだけ深爪してみる。  
「うっわぁ〜」  
 千佳は爪と肉の間に現れた部分、微かに赤みがかった線を凝視する。それはサディスティックな感情を煽り立てたらしい。彼女は微かに首筋を上気させて両手で少年の腕を捕らえ、ゆっくりと口に近づけていく。  
 夢中になって深爪の指先をしゃぶった。微かな塩味がする。しかしそれ以上にその行為自体が彼女を興奮させた。  
 チュウ、チュパ、チュウ、チュウ・・・  
 一分ほど経って唇を離したとき、千佳の顔は完全に痴女と化していた。その唇から指先の間に涎の線がたらりと垂れた。すでに白衣のスカートの中で下着が潤んでしまっている。  
「ごめんね、アレク君・・・」  
 少しすまなさそうに媚びた口調で深爪を詫びる千佳。  
 すでに呼吸が荒くなっていた彼女はパイプ椅子から立ち上がり、慌しい手つきで自分のボタンに手をかけた。彼女の白い上着が滑り落ち、スカートもまた床に落ちた。そしてブラと湿りを帯びたショーツを脱ぎ捨てる。  
 ためらう理由は何もない。姉のドーニャはむしろそれを奨励している。  
 千佳が身に着けているのは白いハイソックスと太股までの白いタイツだけである。抑えをなくして流れた淫液がタイツの淵のレースに透き通った玉を作っている。  
 その裸身はドーネチカに比べるとやや浅黒かったがより官能的な雰囲気を帯びている。軍人のドーニャに比べると筋肉が薄いことがその理由だったのかもしれない。  
 彼女は思い出したようにスカートを拾い上げてポケットからピルケースを取り出した。そこからセロファンのような殺精子剤を取り出して自分の性器の中に押し込んだ。ちょっとした粘性の音を立てて沈み込んでいく指。  
彼女の指の長さでは本当の奥までは届かなかったがアレク相手ならば問題あるまい。  
 靴を脱いでベッドに上がる。ベッドの上に投げ打たれていた花柄の黒いブラをアレクセイの端整な顔の上に載せた。  
「いい子にしてなさい・・・」  
意識のない病人は顔を下着に覆われて沈黙している。  
千佳はそのままパジャマのズボンを脱がして小ぶりなソレを指先に弾いた。ドーニャが戻し忘れていったのか亀頭が露出したままになっている。彼女は自分の黒い下着の湿った部分をソコにあてがって両手で愛撫した。  
 
「ふふっ、もう反応しちゃって」  
 千佳の手の中で少年のペニスはビクリと振るえ、ゆっくりと膨張し始める。  
「ずっと寝てたって、やっぱりお年頃なのねぇ・・・」  
 彼女はショーツで包んだ陰茎が完全に勃起するまで玩ぶ。そして片手で屹立したそれに跨った。そして黒い目をキラキラさせて少年の綺麗な顔を両手で挟む。  
「んっふっふっ・・・」  
 正確にはアレクの下腹に股を下ろし、ベッドに両脛をべったりと着いている。少年の上に身をかがめるようにして下付きの淫裂を亀頭にあてがっている。  
「入れるよ」  
 千佳が自分のクリトリスをアレクセイの下腹に擦りつけながらずり下がっていく。それにつれて潤った肉の裂け目が亀頭を飲み込んでいのだった。  
「うふ・・・ヤワカイね、アレクの先っぽ・・・」  
 千佳はコワク的な笑みを浮かべる。  
「全部、頂戴?」  
 彼女は眠る少年の陰茎をそのまま飲み込んでしまう。完全に埋まると彼女は身を起こした。白タイツに覆われた柔らかげな脚が少年の腰を締め付けている。  
「お、当たった、当たった・・・奥までキタよ・・・うんっ! 成長してるんだね、アレク君」  
 千佳は感嘆の声をあげてアレクの顔のブラを取り払う。そして再び身を屈めてその額にキスをした。  
 その瞬間、脳波モニターが妙なパターンを示し始めたが千佳はそのことに気がついていない。  
「あっ、ぅ、かわぃぃかわぃぃ・・・」  
 千佳は身を起こして自分の腰を擦り付けるように揺すった。そして両手でアレクの乳首を優しく抓る。  
「こんな刺激で起きるかな〜〜〜」  
 彼女は悪戯っぽい瞳でアレクを見つめながら運動を続けた。  
「目を覚ましても、いっぱいしようね〜〜」  
 千佳は実際のところこの少年を割りと愛していたりする。理想の彼氏でさえあったかもしれない。なぜならそれまでの男たちのように彼女に手を上げないからだ。  
「う〜〜ん、なァかなかぁ〜〜」  
 甘たるいふざけるような声をあげる。楽しんでいる間にも脳波モニターはありえない波形を描いている。行為に没頭している千佳はそのことに気がつかない。  
「あァ〜〜〜なんかぁ〜〜〜くすぐったぁい〜〜〜〜〜」  
 千佳はアレクの眼に手を伸ばし、瞼を指で広げる。天井を向いている眼球が露になる。彼女は甘えるような声で囁いた。  
「ねぇえ〜〜ちゃんと見てよ、せぇっかく感じてるのにぃ〜〜〜〜」  
 そのときだった。突如、アレクの閉じていたもう片方の目が開き、青い双眸が千佳を見据える。  
「ぇ?!」  
 千佳は目を丸くした。しかし叫んだ時にはアレクの白くて細い手が彼女の胸に伸び、その乳房を鷲づかみにしている。  
「痛いッ!!」  
やや色素の濃い乳首が指の間で歪む。五本の指の間から柔らかい肉がはみ出すように張っていた。  
 千佳はその手を外そうとしたがその握力は尋常でない。  
 
「あ、アレク君・・・」  
 彼女は驚愕の顔で少年の顔を見る。だがアレクセイの顔は陰険に歪んでいる。  
『哀れな女だ』  
 アレクセイは地の底から響くような声でそう言うと彼女の太股を両脇に抱えてベッドの上に立ち上がった。  
「ちょ、ちょっと・・・!」  
 千佳は悲鳴を上げる間に宙釣りになってしまう。  
『強圧的な父親が嫌いで・・・』  
 突然の指摘にぎくりとする。それはドーニャにさえあまり話したがらない話題なのだ。  
 アレクは彼女の心を読んだかのように喋りながら腰を振った。ベッドがギシギシと軋んで点滴のチューブが揺れる。宙に浮いたまま千佳は攻め立てられた。  
『男に逃げたが虐待されて・・・』  
千佳は驚愕する。それはアレクが知るはずのないことだ。  
「あ、あなた・・・」  
 少年に問いかけても答える気配はない。それどころか蔑むような目で睨みつけられ、千佳はゾッとした。それは耐えられない視線。  
『次の男もやっぱりダメで・・・』  
「ぅ、ぅうう・・・」  
 苦悩を馬鹿にしたように淡々と告げられ、千佳は両手で自分の顔を覆う。完全に立場が逆転していることを彼女は悟っていた。誘惑したはずの相手に一方的に犯されるようになる。いつものパターンだ。  
『誰もお前を分かってくれなくて』  
「ぁ、ゃッ!」  
 突き上げられて千佳は呻く。その声はどこか悲痛だった。だがすぐに彼女は目を見開く。  
「ゥ、ぅ〜ふ、膨らんでぇェェ〜〜〜」  
 千佳に刺さった少年のモノが急激に怒張を始め、陵辱的なビートで彼女の内部を蹂躙していく。  
「くっ、くうう!!」  
 刹那、千佳は歯を食いしばる。  
『三人目も四人目も目当ては身体だけで・・・』  
「ィッ! ゥ〜〜ゥッ〜!」  
 何者かに憑かれた少年は激しく腰を振り続ける。その痩せ衰えている両腕は千佳の太股をしっかりと締め付けていた。彼女は少年にぶら下げられながら空中に身を捻り悶えた。  
『でもその頃にはセックス中毒で・・・』  
 肉の打ちつける音が繰り返している。時おり結合部から空気の漏れる「ごぼっ」という音が混じっていた。  
「ちぃがぁうぅ・・・!」  
 彼女は両手で覆った奥から嘆くように叫ぶ。自分の顔がすでにひどく淫らな表情になっていることが恥ずかしくて堪らなくて全身が熱を帯びていた。  
『いいところなんか何にもなくて、ドーニャみたいに強くもなれなくて・・・』  
 顔を隠して首を振る千佳と対照的に少年は至極冷静だった。しかしその身体は忙しなく彼女を苛んでいる。  
「チぃガウ〜〜ちぃがうのぉぉ〜〜〜〜」  
 指摘を必死で否定しながらも彼女の身体は敏感に反応し、その声は快楽に歪んでいる。  
『最後には植物人間の子供に縋って・・・』  
 そこまで言うとアレクセイでない「何者か」は鼻で笑い、精液を激しく注ぎ込んだ。  
「あぁぁあああぁあぁ〜〜〜〜〜!!!!」  
 千佳は絶望と官能の入り混じった艶かしい声で絶頂を迎える。  
もう心がズタズタだった。最後のプライドまで剥ぎ取られ、それにもかかわらず身体からの快感はごまかせない。そのことが酷く心を傷つけた。  
耐え切れないあまりの出来事に彼女は意識を失ってしまう。  
彼女が目を覚ましたときにはアレクはベッドで眠っており千佳は服を着たままパイプ椅子でまどろんでいた。ベッドのシーツの上にはティッシュペーパーと爪の欠片とそれに爪切りが転がっている。  
あれは夢だったのだろうか?  
 しかし彼女は背筋に恐怖を覚えて逃げるようにして病室を出た。  
 

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