とある実験の話  
 
アメリカのとある大学が一つの実験を行った。それは廃棄された刑務所を使ったもので、  
触手が看守、人間が囚人としてそれぞれの役割を演じ続け、両者の関係がどのように  
変化するのを調べた物だった。  
以下はこの実験への参加者の一人が記録した日誌からの抜粋である。  
 
 
実験初日  
今日から実験が始まる。  
この刑務所はかなり広いが、私たちが使う事になるのは  
30部屋の独房といくつかのスペースだけだ。  
実際に独房に入りこうして鍵を閉められると少し緊張するが、  
事前にちゃんと掃除してあるのでさほど不快ではない。  
トイレの周囲に遮る物が一切ないのは少し嫌だが、  
見回りに来るのは看守役の触手だけなので気にする事はないだろう。  
一ヵ月後にはどのような結果が出ているだろうか。  
正直なところ、触手という生物の外見はどこか生理的嫌悪感を催すため、  
私はあまり好きではない。  
そういえばキャシーは昔から一緒に暮らしていたため平気だと言っていた。  
隣の棟にいる彼女と私ではこの実験で感じる物は違うのかもしれない。  
実験のためとはいえペンとノートの独房への持込が許可されているのだ。  
私の感じたところを記録していこうと思う。  
 
実験2日目  
私たちは看守である触手たちの指示に従って生活している。  
そういうことになるはずだが、彼らが私たちに何かを命令する事がないため  
あらかじめ定めてある予定表どおりに食事や清掃などを行う。  
この実験をちゃんとやるためには看守らしくしてもらわなければ困る、と  
エミリーが一体の看守に言っていた。  
そういえば彼女はこの実験を主催したゼミの人間だったはずだ。  
成果が出なければ彼女も困るのだろう。  
 
実験3日目  
特に記述するような事は起こっていない。  
決まった時間に起床し、朝食を取る。  
指定された場所での清掃活動の後、更生プログラムということでビデオを見せられた。  
どうやら触手たちも看守という役割を全うするため試行錯誤しているらしい。  
内容は麻薬の危険性を説くものだったが、この実験の参加者に麻薬の常用者はいなかったはずだ。  
もう少し現実に即した内容を選ぶべきだと思う。  
昼食の後は自由時間が与えられ、それなりに広いスペースでバスケットボールを楽しんだ。  
 
実験4日目  
事件が起こった。  
事の発端は午後の自由時間のこと。エレノアが金属製の食器を使ってるのはおかしい、と  
言い出したことだ。  
私もそれは思っていた。これが実験であるとはいえ、刑務所での食事の時間に金属製の  
フォークとナイフが囚人の手にあるのは不用心などというものではない。  
実験だということで触手たちには緊張感が足りてないんじゃないか、というナタリーの言葉に、  
エレノアはこう答えた。  
気の抜けたデビルフィッシュどもにやる気を出させてやるわ、と。  
 
結果として事態はかなり悪い方向に動いた。  
夕食の時間にナイフを構え奇声を上げながら看守に突撃したエレノアは、  
普段の様子からは想像出来ないほど俊敏に動く触手によってナイフを叩き落とされ、  
手足を絡め取られ、そして全身を触手でびっちりと包まれながら連行されていった。  
どうやらエレノアは懲罰房に連行されて行ったらしい。  
そして私は一つの確信を持った。私たちに金属性の食器の使用が認められていたのは、  
看守たちがその危険性に気づいてなかったからではなく、  
それが彼らの脅威足り得ない物だったからだということに。  
もしかして私たちはとんでもないものに自分たちの管理を任せてしまったのではないか。  
この実験の行く末が心配になってきた。  
 
実験5日目  
エレノアの一件のせいで食事の形式が変わった。  
食器の代えは用意されてないらしく、金属製のフォークやナイフを用いるのは変わりない。  
しかし看守たちは私たちにそれを使用することを禁止した。  
結論から言おう。  
私たちは、食事の間は常に両腕を拘束されることになった。  
そして私たちの代わりに看守たちが食器を持ち、私たちに食事を食べさせる形式なのだ。  
後ろ手に拘束されるのはかなり不安を感じる行為だったし、  
他者に食事を食べさせられるというのは子供扱いされるようでイライラする。  
それに何より、腕に触手が巻きつきぞわぞわと這って行く感触は最悪だった。  
悲鳴を上げなかった自分を褒めてやりたい。  
 
食事が終わって冷静に考えると、私たちが恐ろしい事態に直面している事に気づいた。  
ここは監獄、私たちはそこに捕らえられた囚人で、看守である彼ら触手たちは絶対者なのだ。  
何より、実験が終わるまでの30日間ここは外部との接触が断たれることになっている。  
触手というのは普段おとなしい生物らしいが、それがもし人間に牙を向いたらどうなるのだろうか。  
結末は想像したくない。レイプされるというのは女にとって最大の恐怖の一つだ。  
それにしてもエレノアのことが心配だ。彼女はどうしているのだろう。  
 
実験6日目  
屈辱的な食事を摂らされながらおかしなことに気づいた。  
触手たちの数が合わない。  
最初この実験は、30人の女性と10体の触手で始まったはずだ。  
しかし今、看守たちは1体当たり2人の囚人の食事を同時に食べさせている。  
左右両方の食事をこぼさずに食べさせるのは素直にすごいと思うが、問題はそんな事ではない。  
少なくとも今この食堂には15体の触手がいる。  
彼らは一体どこから来たのか。  
 
実験7日目  
食事以外の時間は、以前と変わらない。  
自由時間も与えられている。だが、レクリエーションに興じる人間はほとんどいなかった。  
やはり皆も触手の数が増えている事に気づいていたらしい。  
しかし話し合ったところで何か対策が出せるわけではない。  
私たちは囚人で、彼らは私たちを支配する絶対者なのだ。少なくとも30日間は。  
恐怖心と絶望感が私たちの背にのしかかってくるのを感じた。  
 
だというのに。  
触手の肩を持つ人間がわずかにいた。  
以前触手を飼っていたからといって、触手は人間の事が大好きだから  
きっとよくしてくれる、などと真顔で言っていては爆発する者がいるのも無理はないだろう。  
結果、乱闘騒ぎにより4人の人間が懲罰房送りとなった。  
触手を嫌悪する者擁護した者含めて。  
彼らは自分たちの支持者だろうと容赦なく処断するのか、  
それとも懲罰房での待遇に違いがあるのか、私には分からない。  
 
騒ぎに加わってなかったキャシーは複雑そうな表情でこう言っていた。  
皆が触手のことを大好きになればそんなに怖くはないはずだ、と。  
だけどキャシー、私は彼らが恐ろしい。  
 
実験8日目  
更生プログラムとしてビデオを見せられた。内容は交通安全についてだった。  
食事のときと同様に両腕を拘束され、  
さらに両足と腰にも触手が巻きつき、身動きが取れなくなる。  
誰も騒がなかったのは、私と同じように彼らが恐ろしかったからだろうか。  
最早当初の嫌悪感よりも、恐怖心の方が勝っている。  
その恐怖心のせいで彼らに接触されると体が萎縮し、抵抗できなくなってしまう。  
自分自身を客観的に観察し記録する事はできても、それ以外のことは何もできない。  
懲罰房に連れて行かれた5人がどうなったのかも分からない。  
分からない事が恐怖心を煽り、彼らの前で私の体をさらに萎縮させる。  
たった一週間で私は彼らの恐怖政治に支配されたのだろうか。  
 
実験9日目  
昨日と同じように拘束されてのビデオ鑑賞。だが内容は恐るべき物だった。  
スクリーンに映し出されたエレノアの姿、それはある意味では予想していた物であり、  
そして想像を超えた凄まじい物だった。  
映像の中で彼女は一糸まとわぬ姿で、まるで生物のような脈動する  
ピンク色の壁面を持った部屋にいた。  
その毒々しいピンク色の肉壁に手足を根元までずっぽりと突っ込み、  
胸を前に突き出すような体勢の彼女に何本もの触手が絡みつき、撫で回し、そして犯していた。  
細い触手が耳やへそをほじり、小さな突起がたくさん生えてブラシのような形状をした触手が  
首や脇や太ももをこすり、とぐろを巻いたヘビのように胸を包み込んだ触手が締め上げ、  
形状は分からないが数本の触手が彼女のヴァギナに潜り込み動き回っていた。  
へその下辺りの激しい動きが彼女の意思によるものでないのはすぐに分かった。  
腹を突き出すようなそれがヴァギナに入り込んだ触手の動きと同調していたからだ。  
Gスポットをえぐるようなその刺激をどれくらいの時間受けていたのか、  
彼女の顔は私の知るエレノアと同じ人物とは思えないほど乱れていた。  
口から出るのは獣のような叫びだけ、涎や涙がだらだらと流れ、ただ快感を貪るエレノア。  
その光景に目が放せないでいると、彼女の嬌声のピッチが上がっているのが分かった。  
そのまま絶頂を迎えたエレノア。一際大きな叫び声をあげ、首ががくりと垂れ下がる。  
だというのに、触手たちは動きを止めなかった。  
それまでと同じように彼女の体を責め、再び絶叫を上げさせる。  
その映像は20分以上続き、刺激を与えてもエレノアが反応しなくなったところで  
終了となっていた。  
その後は何事もなく解放され自由時間となったが、そこで私は愕然とした。  
何事もなく解放された事に安堵を覚えると共に、失望を覚えていた事に気づいたからだ。  
さらに、自分の下着が濡れている事にも気づいた。  
私はどうなっているのだろうか。  
あの映像が私の中の何かを壊した気がする。  
 
実験10日目  
エレノアの姿が頭から離れない。  
そして、食事のとき触手に巻きつかれても恐怖心をあまり感じていないことに気づいた。  
拘束された瞬間にエレノアの姿がフラッシュバックする。  
恐ろしい。  
恐怖心がなくなっていくのが恐ろしい。  
 
実験11日目  
シャワーが故障したらしい。この問題に対し看守たちは、  
自らがシャワーの代わりとなることで解決策とした。  
広い部屋に並ばされ全裸になった私たちの全身に触手たちが一斉に絡みつき、  
私たちの体をきれいにしていった。  
両手を上に上げた無防備な姿勢で触手に体を固定され、  
全身が触手に絡みつく事に対し私は確かに性的興奮を覚えていた。  
ヘビが這うような感触と、舌で舐められるような感触と、  
柔らかいブラシでこすられるような感触が、  
汗や垢や埃を洗い落とすと共にシャワーを浴びる心地よさとは異なる快感を擦り込んでいく。  
シャワーの時間が終わったとき私たちは皆、赤い顔で息を荒げていた。  
 
正直に言おう、かなり気持ちよかった。  
触手の良さは一回味わってみればよく分かる、と以前キャシーが言っていたことがあったが、  
確かにその通りだ。  
エレノアが受けた仕打ちは確かに恐ろしい物だったが、  
彼ら触手は看守という任務に忠実で、それに従い懲罰を与えただけなのかもしれない。  
 
ここまで書いて、自分がたった一度彼らに全身を嘗め回されただけで  
彼らを受け入れつつある事に気づいた。  
私は確実に彼らによって変えられている。  
恐ろしいことだというのに、私は彼らに敵意も恐怖も感じることができない。  
私はどうなるのだろう。  
 
実験12日目  
シャワーの時間は相変わらず気持ちいい。  
しかし周りに大勢の人間がいるのに大声で悲鳴を上げるのは恥ずかしい。  
そう思っていると、触手が数本で私の口をふさいでいやらしい声が漏れるのを防いでくれた。  
よく見ると、他の囚人たちも口をふさがれながら体をピクピクと震わせている。  
私たちは静かに快楽を味わわされていた。  
触手たちは性器内部まで侵入せず表面を撫でるだけだったが、その程度でも  
敏感になった皮膚への刺激とあわせて私を緩やかな絶頂へと導いていく。  
弱い電流を流され続けるように、穏やかな絶頂感がシャワーの時間が終わるまで続いていく。  
こんな感覚は今まで知らなかった。  
 
ところで、触手の数がまた増えている。  
今いる囚人は25人、そしてシャワーの時間には1人につき1体の触手が付いて体をきれいにする。  
さらに周囲にも数体の触手がいて出入り口を固めている。  
どう数えても30体以上いる。  
彼らがどこから来たのか全く分からない。  
 
実験13日目  
ナタリー他2名が脱走を図ったらしい。  
だが、刑務所の外にも哨戒している触手はいるらしく、私が見たのは  
触手に全身を包まれた3人が刑務所の入り口から運ばれてくる姿だった。  
 
この一件を受けてか、警戒が厳しくなる。  
移動の際には常に手枷が付けられるようになった。  
この手枷は本体から分離した一本の触手で、移動時には私たちの腕に巻きつき、  
自由時間や独房では首に巻きついて首輪のような形になっている。  
薄い帯のような形状だが、腕を拘束される感触から力はかなり強いと思う。  
これがその気になって私の首を締め上げたら、あっさりと窒息死させられるに違いない。  
しかし私はこの枷に対して恐怖心を感じていなかった。  
理由は分からない。  
 
実験14日目  
食事の形式が変わった。  
食堂に来る前から腕が拘束されているため、今更椅子に拘束されたくらいで驚きはしない。  
しかし私たちが食事として摂取するのが触手の体液だと知ったときにはさすがに驚いた。  
太い一本の触手が口にねじ込まれ、先端から出る甘い液体を飲む。  
それが私たちに与えられる食事の全てのようだ。  
口に挿入された触手の先端には細い触手が何本も生えており、それらは私の舌に絡みついたり、  
歯茎を舐め回したりやりたい放題だった。  
この感覚はさしづめ、男性器のフェラチオとディープキッスと、  
ママの胸からミルクを飲むのとを同時に行っているようなものだ。  
 
実験15日目  
私たちが食事として与えられている触手の体液がどういう成分なのか  
私たちには全く分からない。  
人間の肉体や精神に何らかの影響をもたらす物質が含まれているのかもしれない。  
だが私たちにそれを拒否する事はできない。  
今日も官能的な感覚の伴う食事を取らされる。  
 
余談だが、今日は夕食の時間に絶頂を迎えてしまった。  
口内を蹂躙されるのがこんなに心地よいものだとは知らなかった。  
触手たちは今まで私の体に隠されていた快楽を次々と引き出してゆく。  
明日は何をされるのだろうか。  
 
実験16日目  
今日もビデオを見せられた。  
スクリーンに映っていたのは、乱闘騒いで連行されていった4人だった。  
エレノアの時と同様に生物の体内のような部屋の映像。  
だがエレノアの時と大きく違っていたのは、彼女たちの腹が  
妊婦のように大きく膨らんでいた事だった。  
いや。実際に彼女たちは妊婦だった。  
このビデオは彼女たちの出産の様子を映した物だったから。  
彼女たちは触手の子供を胎内に宿していたのだ。  
 
私は、その出産の様子をつぶさに観察している自分が嫌な人間である事を自覚しつつも、  
彼女たちの出産行為から目を離せなかった。  
触手が人間の子宮を利用して増殖するのを見るのは初めてだったし、  
そして何よりそのエロティックな光景が私を魅了したのだった。  
人間の出産と違うのは、母親が気張らなくても触手の幼体たちは  
自分の力で胎内から這い出してくること、そして母親が味わうのは  
生みの苦しみでなく快感だということだ。  
彼女たちは、肉厚で巨大なヒルのような物が這い出てくるたびに絶頂を迎えているらしく、  
甲高い声で叫びを上げながら体を痙攣させていた。  
アレは、どれくらい気持ちがいいのだろうか。  
独房に帰ってから、私は自分があの触手たちを生む事を考えながら自慰を行った。  
 
いつの間にか触手が増えていたのにも納得がいった。  
彼らは懲罰房で増殖していたのだろう。  
 
実験17日目  
この状況に狂わされているのは私だけではない。  
自由時間に物陰で自慰行為に耽る声を聞いたのは一度ではないし、  
レズビアンとなって互いの体を慰めあっている囚人達を見たこともある。  
だけど彼女たちは気づいているはずだ。  
そんなものでは満足できないということに。  
シャワーの時間に全身を舐められるたびに私は考えている、  
この触手たちに全身を拘束されて体の奥の奥まで犯されて、  
エレノアたちのように気が狂いそうな快感を味わいたい、と。  
体が、触手たちを求めている。  
 
実験18日目  
とうとう我慢できなくなった私は1体の触手に頼んでみた。  
自慰行為を手伝って欲しい、と。  
彼はそれを快諾し、私を犯してくれた。  
待ち望んでいた触手による蹂躙は想像していたよりもずっと強烈なもので、  
私は連続する絶頂の中で気絶と覚醒を繰り返し、それがどこなのか、  
時間がどれほど流れたのかも分からなくなったまま完全に意識を失った。  
気が付いたときには夜で、私は独房のベッドに寝かされていた。  
 
今まで私は、内臓である子宮への侵入が快感をもたらすなどとは思っていなかったが、  
実際に長い長い触手を挿入され膣内から子宮口、子宮内部に至るまでを擦られ、  
私は自分でも聞いた事がない類の叫びを上げながら気をやってしまった。  
また自分でも触れたことなどないアナルにまで侵入され、排泄時のような  
爽快感と恍惚感の入り混じった快感を長時間持続させられてしまい、  
ついにはアナルへの刺激だけで達するようになってしまった。  
普段の食事やシャワーの時間とは比較にならない口と胸への執拗な攻めも、  
私を狂わせるのには十分だった。ディープキッスを受ける口も、  
揉み、潰し、擦り、舐める様々な刺激を受ける胸も、それ自体が性器になって  
しまったのではないかと思うほど熱く敏感になっていた。  
 
自分に起こったことを記録するうちに体が熱くなったため自慰を行ったが、  
私の指などでは到底足りない。  
早く明日になって欲しい。また犯して欲しい。  
 
実験19日目  
おそろしいことになった。  
私をはじめセックスに耽る囚人が増えているため、それらの一切を禁止するという。  
私たちは全員常時手かせを付けられ、後ろ手に固定された。  
用を足すときには手かせとなっている触手が服を脱がせてくれる。  
しかし自慰行為には全く手を貸してくれなかった。  
 
彼らは私の行うこの記録には何らかの価値を見出しているのか、  
日誌を書く間はペンを持つ腕が解放された。  
しかしそれに何の意味があるだろうか。  
今自由になっている右手で股間をまさぐっても私は全く満足できない。  
体の疼きが収まらない。このままでは私は狂ってしまうかもしれない。  
 
実験20日目  
(何も記録されていない)  
 
実験21日目  
私の我慢の限界はすぐにやって来ていた。  
昨日の夕方、私は半狂乱になりながら、犯して、と叫び1体の触手に体当たりを行ったそうなのだ。  
というのもそのときのことを私ははっきり記憶していない。  
ただ、とにかく快感が欲しかった事だけしか覚えていないのだ。  
この後、錯乱した私は治療のために一晩中快感を与え続けられ、朝が来たところで  
ようやくダウン。  
私が自分を取り戻したときには次の日の夕方だった。  
とにかくこの事態を受け、看守たちは急遽方針を変更したらしい。  
禁欲的な生活で囚人を発狂させては元も子もないので、適度な快感を与えて発散させるとの事。  
独房内の様子も一変していた。  
本来ベッドがあった場所では数体の触手が寄り集まって、揺り篭のような物を形成している。  
これが新しいベッドらしい。中では長さ太さ形状が様々な無数の触手がうごめいている。  
このベッドは私が望むだけの快楽を与えてくれるらしい。  
さっそく使ってみよう。  
 
実験22日目  
このベッドは最高だ。全身を徹底的に責めてくれる。  
ここから離れたくない、と言うと、その通りにしてくれた。  
食事も与えてくれる。いつもの甘い体液だ。  
この中で用を足してもすぐにきれいにしてくれる。  
私は一日中このベッドの中で快感をむさぼり続けた。  
全身が性器になった気がする。  
ただ日誌は付けなくてはならないらしく、ベッドの中でこれを書いている。  
 
実験23日目  
ベッドの中で漏らすと少しの間だけ不快な感触が下半身を覆う。  
それを防ぐために、私の尿道とアナルには常にチューブ状の触手が入り込むようにしてもらった。  
私の排泄物は直せつ吸い取られている。  
これがまたきもちいい。  
今日も外に出なかった。だけどこんなにきもちいいんだし、外に出る必要はないと思う。  
 
実験24日目  
日光を浴びなければいけないらしく、無理矢理連れ出された。  
ベッドごと。  
触手ベッドは器用に動いて独房の入り口から外に出て  ろうかを歩いていく  
外に出てみたら、みんな私と同じようにベッドに入ったままだった  
みんなとても幸せそうだった。  
それはそうだろう。こんな気持ちいい生活王侯きぞくでもできやしない。  
 
実験25日目  
きもちいい  
セックスのことしか考えれない。  
とろけてしまう  
 
実験26日目  
(以降は記録されてない)  
 
 
 
実験が終了した際、この刑務所にはまともに意識を保っている人間はいなかった。  
8人の人間は触手を産み続け、残りの22人は触手に犯され続けていたからだ。  
しかし触手たちは30日の実験期間が終わると直ちに30人の女性を解放し、  
てきぱきと片付けに移ったという。  
囚人役だった女性達は全員入院する羽目になったという。  
 
そして3ヵ月後―――  
 
そこには元気に走り回るメアリーさんがいた。  
 
「実験を開始したときには、まさかあんなことになるなんて思っていませんでした…。  
もうあんな実験懲り懲りです。  
これからはこの触手のボブと一緒に穏やかに暮らしますよ」  
 
なんとこの女性、全く懲りていない。  
 
だが世界にはもっとすごい触手フリークがいた!  
 
(投げっぱなしで終わり)  
 

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