お風呂から上がり、みいちゃんの用意してくれたTシャツと短パンに着替えます。  
シャツがぶかぶかすぎて、襟ぐりから胸がみえてしまいそうになって、少し困ります。  
……少しばかり迷いましたが、ブラと自分のキャミソールはTシャツの下に着る事にしました。  
いや、どのみち今から見せないといけないわけなんですけども。  
うう、我ながら往生際が悪いでしょうか。でもどんな格好でどんな顔してみいちゃんの前に出て行けばいいのやら。  
今さらながら、さっきの自分の言動を思い出すと恥ずかしさで頬に熱が上ります。  
脱衣所からでると、リビングの方から気配がしました。  
……てっきり、お部屋のほうにいるのかと思ったのですが。  
「――……あのう。みいちゃん?」  
リビングの入り口からおずおずと声をかけると、ぱっとこっちを振り向きました。  
「お、おォ。上がったのか」  
はあ。とわたしが肯くと、今まで座っていたソファーから立ち上がって、こちらに向かってきます。  
「――部屋。行くか」  
ぼそり。と呟くと、わたしの手をとって歩き出します。  
廊下を手を引いて連れていかれ、みいちゃんの部屋に入って、でん。と存在感を放つダブルサイズのベッドに  
思わず体が固まりました。  
あうう。今から何するかっていうのはちゃんと解ってるし納得もしてるし、なによりわたしも望んだ事なのですが、  
今更ながらに具体性を帯びてきたっていうか、いつも見てるベッドなだけに、なんかやたらめったらに恥ずかしいんですけどー!  
「――……まゆ」  
急にすぐ近くからみいちゃんの声が聞こえて、はい。と顔を上げた途端に口付けをされました。  
思わず閉じてしまった唇を割り、前歯を一本一本、舌先で探るように舐められると、おなかの下のほうから、  
なにかぞくぞくしたものが心臓まで登ってきて、鼓動が一気に乱れてしまいます。  
「――っは」  
勇気を出してこちらからも舌を伸ばしてみいちゃんの舌先に触れると、より強く抱きしめられ、深く口内を弄られます。  
息が上手くできなくなってしまい、苦しくてみいちゃんの肩を叩くと、わたしの唇からは離れましたが、そのまま  
つう。と耳朶に舌を這わされます。  
「――……やっ! ちょ、ちょっと、みいちゃ、ぁ……っ!」  
耳を軽く咬まれたり、穴の中に舌を入れて舐められて、ぐちゅり。という水音が鼓膜に、アタマの奥で響くたびに、  
おなかの奥から登ってくるぞくぞくが強くなってきて、膝ががくがくと震えます。  
やっと止めてもらったときには、すでにみいちゃんの胸にすがり付いてやっと立っていられるような状態でした。  
「……な、なんでこんな変なことするんですかぁー……。ばかぁー……」  
力の入らない手で拳を握り、目の前の胸板をぽくぽくと叩いたのですが返事はなく。  
そのかわり、そのまま荷物でも持ち上げるみたいに抱き上げられて、ベッドまで運ばれてしまいます。  
「――あ」  
ぽふん。と優しく抱き下ろされて、見上げるとみいちゃんが覆いかぶさってきて、そのままちゅっ。と軽いキスを  
され、そのまま耳や首筋に何度も口付けをされ、そっちの感触に気を取られている間にTシャツの裾から  
みいちゃんの手が、するり。と入ってきます。  
 
「……ひぅっ」  
その手の冷たさに、思わず、情けない声が漏れてしまいます。  
手は、そのままわたしのおなかを撫で、背中の方まで背骨を辿るようにしながら回ってきます。  
「わ、ひゃあっ」  
……ブラのホックがぷつり。と外されてしまいました。胸の辺りに、急に開放感が生まれ  
ひどく心許無い気持ちになってしまいます。  
「う、や、ちょ、ちょっと、みいちゃん…っ」  
「待て。ってェのなら聞けねェぞ」  
「あ、や、やぁ……っ!」  
裾を捲り上げられて、おへそのあたりに口付けられました。  
「ふぁ、や、くすぐった……!」  
な、なにをするんですかーっ!?  
そのまま、わたしの肌に痕をつけながら、唇が上のほうにゆっくりとあがってきます。  
同時に、右手はおなかの脇をくすぐる様に撫でながら、胸の方に近づいてきます。  
先ほど、ホックを外されたときから本来の用途を成さず、乳房の上に乗っかっているだけのモノになっていたブラを  
そっとずり上げられ、胸の真ん中に口付けをされます。  
……うう。ものすごく恥ずかしい……!  
なんというか、まだ直接には触られていないのに、いえ、だからこそひどく気恥ずかしく、きまり悪い思いでいっぱいです。  
みいちゃんの顔がマトモに見られないのですが、視線がわたしの――、その、無駄にでっかいみっともない乳房に注がれているのは、なぜかわかってしまいました。  
どうしよう。泣きたい。眼の縁が、じわりと熱くなります。  
「……かわいい」  
……はい?  
「まゆー。今、オマエ、かなり可愛いぞ」  
驚く暇もなく、乳房を優しくつかまれ、ふにふにと揉まれます。  
「うわー、凄ェな、やわらけー……」  
「……ふ、う……」  
「――痛かったか?」  
「い、いえ、別に、痛くは……」  
痛くは、ないのです。ただ、その、なんというか――。  
――熱い。  
みいちゃんに触られたところから、ぽかぽかと熱を持ったように、ひどく熱いのです。  
「ん、あ、は――。ひ、ふあっ!?」  
普通の皮膚との僅かな境。淡い桃色をした乳輪の際を爪先で微かに引っかくように触れられ、悲鳴が漏れます。  
いや、だ――! なんで、これだけで、こんな――!?  
そのまま、乳輪を優しく撫でるようにされます。それだけで、乳房がじんじんと熱を持つのが、自分でもわかってしまいました。  
「……お。勃ってきた」  
なにがですか。と聞き返すまでもなく、乳首がはしたないほど熱を持って、きゅう。と硬く尖ってきているのを自覚しました。  
 
恥ずかしい。  
 
羞恥のあまり、脳がまるで沸騰したかのようにぐらぐらとしてきます。  
悲しくも無いのに、ほとんど生理的に涙が後から後からどんどんと湧いてきます。  
 
「……泣くンじゃねえよ」  
目じりに滲んだ涙を、そっと舌で拭われました。  
「ご、ごめんなさい。わたし、あの。だいじょうぶ。ですから」  
――イヤなわけではありませんから。  
そういって、わたしからみいちゃんの唇に口付けをします。  
すると、びっくりしたように目を見開いて、わたしの頭の真横に顔を埋めてしまいました。  
 
「え。あ、あの、みいちゃん……?」  
どうしたんでしょうか。  
完全に私の身体を押しつぶすように乗っかられてしまっているので、ちょっと苦しいですし、それに、あの。  
……みいちゃんはまだ服を着たままなので、シャツを捲りあげられて完全に露になってしまっているわたしの胸の、  
その、……さきっぽ、が。みいちゃんの胸に当たってこすれてしまって、落ち着かないのです。  
「みいちゃん、あの? どうしました?」  
「――……ちきしょー、今のマジできた……」  
耳元で、そんな呟きが聞こえました。  
え? あのー?  
「……まゆこー、最初に謝っとくわ、ゴメンな」  
そう、意味不明なことを言われました。  
「――優しくするって言ったけどなァ、あれ嘘だ」  
え? ええ――っ!?  
「無理。マジ無理。ちゃんと優しくするつもりだったけど、やっぱ無理。  
 ―――オマエがあんまり可愛いコト言うのが悪い」  
「ちょ、みいちゃ」  
ん。と最後まで言うヒマもなく、硬くなっていた胸の尖りを爪で引っかくように刺激され、高い悲鳴が口から漏れます。  
「や、ひゃ、ひぅ、ふ、んっ、んぅ〜!」  
いつもの自分の声とは全然違う、鼻に掛かったような高い悲鳴を聞かれる事がたまらなく恥ずかしくて片手で口を覆います。  
「おいコラ。手ェ除けろ。声聞かせろよせっかくなんだしよ」  
や、やだ、そんなの無理ですよう……っ!  
顔見られるだけでも凄い恥ずかしいのにー!  
て、いうか、なし崩しにはじまったせいで、電気つけっぱなしなんですけどー!  
「……それより電気消してください。こんな明るいの、わたしイヤです……」  
「却下。俺は明るい方が楽しい」  
即答ですかこんにゃろう。  
「だ、だったら、わたしもうしませ――」  
と、いい終わる前に、きゅうきゅうに硬くなってしまっている胸の尖りの先を、爪を立てるようにしてくじられます。  
「や、ひぁんっ!」  
その、強烈な刺激にびくん。と腰が浮き上がってしまいます。  
「ず、ずるい、ですよう。それ、やめてください……!」  
わたしがそう抗議すると、嬉しそうにニヤニヤと笑いながら、  
「それ? それって何だよ? ちゃんと言わなきゃわかんねェぞ?」  
などと言ってきます。  
「だ、だからその、む、胸を」  
「んー? 胸の、どこだってェ?」  
「あ、あの、ですから。……ちくび、いじめるの、やめてください……!」  
そこまでいうのが精一杯。恥ずかしすぎて、両手で顔を覆って枕に顔を埋めてしまいます。  
頭をぽむ。と撫でられた後、ベッドの軋む音と一緒に体が離れた気配がした後、部屋が暗くなるのが、  
瞼越しにも解り、顔を上げます。  
ぱちん。と音がして、ベッドサイドのルームランプの柔らかい光が灯りました。  
「――とりあえず、これでいいか?」  
身体を起こして見上げると、ちょっとバツの悪そうな顔のみいちゃんと目が合いました。  
「電気消せっていうけどなァ、俺からしたら暗いのはかなり哀しいんだぞ。  
 ……せっかく好きな女抱いてるってェのに、顔も見えねェってのは、ちょっとなァ」  
「はあ、あの、すいません……」  
何故か思わず謝ってしまいます。  
ベッドにぺたん。と座ったままの状態で抱きしめられ、背中をつう。と撫でられます。  
捲れあがっていたシャツをすぽん。と脱がされ、肩に引っかかっているだけだったブラも剥ぎ取られ、  
そのままお尻にまで手が伸びてきて短パンまで脱がされそうになります。  
「み、みいちゃん、ちょっと待ってください……っ!」  
「待たない」  
「わ、や、で、でも、みいちゃん全然服脱いでないじゃないですかあっ!」  
……そうなのです。  
わたしのほうは、もう上半身には何も身に着けては居らず、下半身の方もすでに風前の灯なのにも関わらず、  
みいちゃんのほうは、不公平な事に、さっきから全く脱いではいないのです。  
「あ? ああ、そういやそうだな」  
そういうと、ぱっぱと服を脱いでしまい、残ったトランクスにもあっさり手を掛けて脱ごうとします。  
 
「わあっ! ちょ、ちょっとまってくださいーっ」  
「……ンだよ。脱げっつったり、脱ぐなっつったり」  
だ、だだだ、だってー。  
「まァ、お互いガキの頃とは大分変わってるだろうしな。オマエさんは相変わらず毛ェ薄いみたいだけど」  
そう言い終わって、肩を掴まれたかと思ったら、わたしは、ころん。とあっさりベッドの上に転がされてしまいました。  
そのまま短パンを足からあっさり抜き取られてしまいます。  
「きゃあっ!?」  
わたしの片足を肩の上に抱え上げるようにして、足を開かせたかと思うと、膝の辺りから付け根に向かって、  
内腿をつう。と舐めあげてきます。  
そのまま、足の付け根のまわりを舐めたり、強く吸い上げてきたり、軽く咬んだりされてしまい、そのたびに  
おなかの奥や、……脚の間が、きゅうきゅうと切なくなってきてしまいます。  
胸のほうにも手を伸ばしてきて、やさしくたぷたぷと触られたり、そうかと思えば、指が埋まるほど強く握られたり、  
もう完全に硬く尖りきってしまった乳首をイジメてくれたりしているのに。  
……真ん中の、ソコにはなかなか触れてくれません。  
自分でも、もうそこが恥ずかしいくらいに湿り気を帯びてきている事がはっきりと解ってしまいます。  
ふ。と息を吹きかけられるたびに、びくり。と身体を跳ねさせてしまって。……みいちゃんも、もう気づいているのだと思います。  
「――まゆ」  
そう、耳元で名前を呼ばれ、すっかり湿ってしまった下着越しに、つう。とわたしの中心を撫でられます。  
「……っあ、ひあ……っ!」  
何度も下着越しに指で擦り上げられ、悲鳴を――いえ、嬌声をあげてしまいます。  
恥ずかしさと自己嫌悪で、もう目を開けていられません。  
そう思っていると、優しく髪を撫でられました。  
「――無理しなくていいからな? 痛かったら、ちゃんと言えよ?」  
そういうと、今まで下着越しの刺激だったのが、下着の股布の横から指が入ってきて、直接、わたしの中心に触れました。  
「ふあ、あ、ひぁあんっ」  
トクトクドクドクと、まるで心臓がソコに移ってしまったみたいになってしまいます。  
「……うわ、スッゲ。まゆこー、オマエ、ぬるぬる」  
「そ、そういう事、言わないで、くださいよう……っ」  
みいちゃんが指を動かすたび、ちゅく。といやらしい水音がわたしの耳にまで響いてきて。  
――ものすごく恥ずかしいのに、すごく気持ちが良いのです。  
「や、あ、いた、あ……っ!」  
急に、びり。と痛みが走ります。  
「……あー、やっぱ、指だけじゃ無理かー……」  
そう呟く声が聞こえると、するりと、あっさりと最後の下着が剥ぎ取られてしまい。  
「わ、わあっ! ちょ、ちょっとみいちゃん、そんな事したら、ダメ――っ!」  
気がつくと、わたしの足の間にみいちゃんの頭がありました。  
必死で手でソコを隠そうとしますが、あっさりと払いのけられてしまいます。  
「我慢しろ。つうかな、ちゃんとやっとかねェと、痛てェのはオマエだぞ?」  
そういうと、さっきまでの指とは全く違う感覚が襲ってきます。  
「……ふ、ん……っ! んん、ふ、ぅー……!」  
やあ、だ、ダメ、変に、変になる、なっちゃいますよう……っ!  
ナカをみいちゃんのゆびでこすりあげられて、いちばんきもちいい上のほうの尖りを、ちゅう。と吸われた瞬間。  
「あ、だ、ダメ、らめぇっ! 見ないで、みないでくださ、あ、や、ふぁあん……っ!」  
目の前が真っ白になって、がくがくと身体を震わせながら、わたしは達してしまいました。  
 
 
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆  
 
――わたしのからだが少し落ち着くのを待っている間に、みいちゃんのほうも準備を済ませており。  
「――途中でやめるの、無理だからな。泣いても喚いても噛み付いてもいいから」  
「……が、頑張ります……」  
こくん。とわたしが肯いたのを見て、腰をゆっくりと進めながら、みいちゃんがわたしのナカに入ってきます。  
先端が、くちゅり。と音をたててわたしに触れたかと思うと。  
「……いっ、うう〜……」  
指なんかよりも数倍の質量。  
 
ぎしぎしとわたしを押し広げて、みいちゃんのがナカにはいってきます。  
「――は、はあ……っ!」  
ちょっとでも楽に受け入れられるようにと、必死で深呼吸をします。  
見上げると、みいちゃんも苦しそうな顔でわたしを見下ろしていました。  
「――痛いか? ……痛ェよなァ」  
「だ、だいじょぶ、ですよう。へいき、です」  
必死の努力で笑おうとしましたが、上手く笑えていたでしょうか。  
無言でぐっ。と腰を押し進めてきます。ん、きつい。けど、一番最初よりマシで、しょうか……。  
気がつくと、みいちゃんは、わたしを抱きしめたまま、微動だにしておらず。  
「あの、みいちゃん? ……ぜんぶ、入りました?」  
んー。と返事が返ってきます。  
「……まゆ。大丈夫か?」  
「あ、は、はい……。あ、でも、動かないで、くださいね……」  
はあはあと洗い呼吸をして、何とか息を整えて痛みと圧迫感を逃そうとします。  
「あの、もう、だいじょうぶ、です」  
そう、わたしが言うと、ゆっくりと腰を揺らめかせるようにしてみいちゃんは動き出しました。  
――気を使って、くれてるんですね。  
そう思うと嬉しく、痛みで引いていた体の熱が帰ってくるように思います。  
「あ、は、んん――っ!」  
みいちゃんが二人の間のぬめりを取って、親指でわたしの一番敏感な尖りに塗りつけ、刺激してきます。  
あ、や、そっち、キモチいい……っ!  
「んあ、あ、みいちゃ、みいちゃん……っ!」  
好き、大好き、大好きです……っ!  
「―――まゆこ……っ!」  
耳元で、呻くように名前を呼ばれた記憶を最後に、ぷつん。と、わたしの意識は途切れました。  
 
 
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆  
 
「――ふぁ?」  
目を開けた瞬間、自分が今、どういう状況でどこにいるかを咄嗟に掴む事ができませんでした。  
「……お。起きたか、まゆ」  
背後から、裸の(わたしもですが)みいちゃんに抱きしめられているとわかった瞬間、一連の  
記憶が怒涛のように蘇り、恥ずかしさのあまり布団の中に潜り込んでしまいます。  
あうう。照れくさすぎて、みいちゃんの顔を見る事ができません。  
「……オマエな、さっきまでアレだけの事しといて、いまさらそんな恥ずかしがるな?」  
そうは言っても、恥ずかしい物は恥ずかしいんですよう……。  
――って、アレ?   
「み、みみみ、みいちゃんっ? すいません、今何時ですっ? わたし、どれくらい寝てましたっ!?」  
「――あ? ンな長い事じゃなかったと思うが。まだ5時だぞ?」  
ひ、ひいいいいいいいいいいっ!?  
今日、おとうさん出張なので二人とも6時前には起きるはず――っ!  
「す、すいませんみいちゃんっ! わたし、もう帰りますね――っ!」  
みいちゃんの頭にすっぽり布団をかぶせて見えないようにして、大慌てで昨夜着てきた服に着替え、家に帰って  
お風呂に入ります。  
ちょうど、お風呂から上がって髪を乾かし始めた頃、両親の寝室から目覚ましが聞こえて二人が起きだしてきました。  
幸い、二人とも夜中にわたしが抜け出したことには全く気づいていないらしく、今頃入浴している事も、昨夜  
入浴せずに寝てしまったので、早起きして入ったという言い訳も疑っていない様子です。  
 
……すぐ後に、みいちゃんが何食わぬ顔でやってきて、家族団欒+1で朝食をすませ、学校への道を二人一緒に歩きます。  
大きな口であくびを連発しながら前を歩くみいちゃんの制服の袖を、思わずきゅっと握ってしまいました。  
少しびっくりしたような顔でこっちを振り向かれ、慌てて手を離します。  
や、やだな、つい浮かれてしまいました。  
「――なにやってんだ、まゆ」  
そ、そうですよね、すいません。  
「手、繋ぐんだろ? 早くしろよ」  
そういうと、わたしの手を取ってずんずんと歩き出しました。  
 
 
梅雨明けも近い、青空の下。  
二人で手を繋いで、一緒の道を歩きます。  
 
このひとが、わたしのすきなひと。  
   
 

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