長らく雨続きでいい加減、鬱陶しく思っていたが、やはりこの週末も雨が降った。
いくら梅雨時期とはいえ、こうまで続くと体にカビでも生えそうだと、田村一郎は
下宿先の離れで思った。
傘を持って出歩くのも面倒なので、せっかくの休みではあったが、一郎はこの日
を母宛ての手紙を書く事に当てた。ここ、ピコピコ村に教師として赴任してから
二ヶ月と少し、その間、母は毎週、手紙を送ってくれている。反対に、一郎は筆不
精というせいもあって、返事もままならぬが、そろそろ一通、したためておかない
と──そう思って文箱を取った時、西向きの障子がすうっと開いた。
「先生」
「ああ、千夏ちゃんか」
丸顔で髪の長い、愛らしい少女が障子を抜けて、一郎の下へやって来た。この
子は下宿先の大家の娘で、千夏といった。今年十一歳、一郎の教え子でもある。
実はピコピコ村は過疎化が進み、小学校は一年から六年まで合わせても、たっ
たの五人しかおらず、二年生などは欠員という有り様。教師は校長を含め僅か
に三人で、生徒全員の勉強を見る。
千夏は五年生、昨年までは街から派遣されていた若い女教師に教えてもらって
いたが、その女史は怜悧であまり生徒を愛さなかったらしく、出来の良くない千夏
などは目の敵にされていたという。千夏はややおっとりとして、周りからも足りない
のではと言われていたが、今年から一郎が教えるにあたって、急に上り調子にな
っている。飲み込みは少し遅れるが、きちんと教えてやれば決して物分りの悪い
生徒では無かった。特に一郎は懇切丁寧に、粘り強く教えるので生徒たちはそれ
に応え、熱心に勉強するのである。また、前任の教師と違って、一郎は砕けた面
も見せ、生徒たちから敬意と友情を勝ち得るのであった。
「煮物をやったから、先生の所へ持って行けって、お母さんが」
「これはありがたい。夕餉の時に頂くよ」
「それとね、今日はお風呂も炊くから、召し上がりに来て下さいって」
「きっと」
千夏はふきとごぼうを煮付けた、この地域の常食となっている煮物を持ってきた。
それをちゃぶ台の上に置いてから、しずしずと一郎の方へ擦り寄っていく。
「先生、膝枕して。いいでしょう?」
「いいとも」
白い開襟シャツと黒いズボン姿で胡座をかいている一郎の足に、千夏はそっと
頭を置いた。
「先生の匂い、好きよ」
「どんな匂いがする?本人は案外、分からないものなんだ」
「整髪料と煙草、後は何かな。ここから匂うんだけど」
千夏は肩の所で結ぶ、白のワンピースを着ていた。その肩口からにゅっと伸びた
腕が、一郎の股間を撫でさすっていた。
「硬いわ」
「千夏ちゃんが触るから」
「おしゃぶりして欲しいんでしょ?いいよ」
そう言うと千夏は身を起こし、座布団の上に座った。
「ズボンを脱ぎましょうね」
「こんな昼間から、ちょっと恥ずかしいな」
「先生ったら、子供みたいに」
小さな少女の手が一郎のズボンから、硬くなった男性自身を抜き出し、細い指が
そっと包みこむ──ひんやりとした指先の感触に、一郎は思わずうっとうめいた。
いきり立ったそれを、千夏は小さな唇で咥え込むと、頬を窄めて頭を前後させた。
たまに首を捻ったり、わざと甘く噛んだりしては一郎の反応を楽しみ、また空いた
手は垂れ袋をやわやわと揉んだ。千夏は特に垂れ袋に生えた毛を引っ張る時に
一郎が見せる、苦悶の表情を好んだ。誰かが快楽とは苦痛を薄めたような物だと
言ったが、まさにそれは一郎に当て嵌まる。
事実、千夏にそういう意地悪をされると、男性自身にピーンと緊張感が漲り、その
後、弛緩と共に甘い快感が訪れるのだ。千夏はそれを見逃さず、舌で男性自身
を巻き込み、強く吸うのである。そうするともういけない、一郎は哀れにも腰を戦慄
かせ、少女の口に粘液を放出してしまうのである。そして千夏はそれをものともせ
ず、ごくりごくりと飲み干してしまうのだ。
「千夏ちゃん・・・ごめん、僕はもう」
「いいわよ、出しても。飲むから・・・」
今日もまた、一郎はものの三分と持たずに、絶頂に達してしまった。そしてやはり
千夏はそれをぐい、ぐいと飲み、最後の一滴まで啜り取るのであった。
離れに静けさが漂い始めると、庭からはキリギリスの鳴き声が聞こえるようにな
った。部屋の中では一郎が千夏のワンピースを脱がし、ちゃぶ台の上へ寝かしつ
けている所である。
「ああ、先生、私、いつもこの時、ドキドキするの」
「きっと、世の女性は皆、そう思うはずさ」
千夏は女児用のパンツ一枚で、ちゃぶ台の上に大の字になっていた。胸はまだ
膨らみかけで、その頂も陥没している。先ほど持ってきた煮物は部屋の隅に置き、
今は彼女自身が、淫猥な晩餐に捧げられる贄の如き存在だった。
「ほら、足を上げて」
「うん」
千夏が足をMの字に開くと、手に綿棒を持った一郎が、少女の柔らかな場所へと
迫る。そして女児用のパンツは、彼の手でさっと脱がされていった。
「お尻に力を入れちゃ駄目だよ」
「うん・・・あッ!」
一郎が手にした綿棒は、千夏の肛門をくぐった。ひく、ひくと放射状に伸びた皺の
反応を見て、ほくそ笑む一郎。更に綿棒をぐっと押し込み、千夏の表情を確かめ
つつ、それを出し入れしたり、またぐるぐると回したりもした。
「あッ、あッ、あッ・・・先生、変な感じ!」
「ふふ、お尻の穴が、開いたり閉じたりしてる。痛まないかい?」
「もうちょっと強くても平気・・・」
千夏は、はあ、はあと息を荒げ、切なげな目で一郎を見ている。綿棒は根元まで
ずいと入れられ、少女の菊蕾にしっかりと埋まっていた。
「ちょっと、立ってごらん」
一郎は手を貸してやり、千夏を立たせてみた。人形のように愛らしい顔は赤くなり、
白い肌も紅に染まっている。子供ながらにも裸にされ、肛門を悪戯されるという意
味は理解しており、またそれがいかに淫靡でいけない事かも心得ていた。それだ
からこそ、羞恥が楽しめているのである。
「先生、私、恥ずかしい」
「やっぱり女の子だね。それが普通だよ」
誰もが無垢な子供と思うこの少女を、一郎は歪んだ欲望で玩具にしていた。事実、
無垢なのであるが、それは千夏があまりにも幼いからの話で、もし女として熟して
いれば、今すぐにでもその純潔を奪ってやりたいくらいの気でいる。しかし、如何せ
んまだ幼い。幼すぎる。それゆえ、こういう形で弄び、自分の欲求を果たそうとする
のであった。
少し日が陰ると、一郎は千夏の手を引いて表へ出た。幸い、雨も上がって泥濘は
あっても、良い場所を拾って歩けばそれほどの事は無い。畑に面した場所へ出る
と瓜店があったので、親爺に二つほど剥いてくれと頼んだ。
ひとつは千夏に手渡し、もうひとつは一郎の手に渡った。そして顔を見合わせ、せ
ーので瓜にかぶりつく。
「美味い」
「美味しいね」
瓜は良く冷え、甘味も十分だった。向こうの畑を見ると玉蜀黍の広葉が風に攫わ
れ、そよそよと靡いていた。
「もう、夏だね」
「うん」
炉端に腰掛け二人は寄り添った。山あいのこの村は夕暮れが早く、そろそろほの
暗くなっている。千夏は目を閉じ、もたれかかるようにして一郎に甘えた。また、一
郎も少女の華奢な肩をぐっと抱き寄せた。そして二人はもつれ合い、辺りを憚りな
がら口づけを交わした。空を見ると、朱を流したような夕焼けで、カラスが群れをな
して飛んでいた。
おすまい