「ほらっ!また違うじゃない!」
「ぐあっ…!また文法が…」
耳元で少しヒステリックな声が響いた。
「もぉ〜、何でアンタはこんなに学習能力ないのよ!ちょっと、ゴウ!聞いてんの!?」
俺の名前は剛太(530氏、五+trois。ちょっと強引かな)。今年こそは大学に行きたいと…俗に言う浪人生だな。
「うるせ〜っ!こちとらお前みてーに頭よくねーんだよ!」
「何よっ!そんなにわめく体力あるならその腐った脳みそ少しは動かしなさいよ!」
…このうるさいのは杏子、俺の幼なじみだ。幼なじみなんだが現役で大学受かっちまったんで、ここぞとばかりに先輩気取りで絡んできやがる…
「なぁ…ちょっと休憩していいか?」
「はぁ!?一時間前に休んだじゃないの!しかも明後日が本番でしょ!こんなんでどうすんのよ!」
「が〜〜〜っ!!」
頭を掻き毟りながら俺はシャウトした。
「人の部屋に上がり込んでてめーは何様だ!?俺は自分のペースで勉強してーんだよ!」
「なっ、何よ!アンタが馬鹿だから私がこうやって…」
「きゅうけ〜い!休憩、キュウケイ、コーヒーブレークッ!」
俺は頭上で×の字を作る。これ以上うるさくされてたまるかっての。
「わかったわよ…!」
しぶしぶ杏子は俺の提案を受け入れてくれた。当たり前だ、ここは俺の家、俺がルールだ。
「コーヒーブレイクでしょ?早く持ってきなさいよ」
…このアマ。どこまで俺を見下してやがる。
「へいへいっ、いま煎れてくるから少し待ってろや」
手をぶらぶらさせながら俺は部屋を出た。
真っ暗なキッチンには冷たい空気が流れていて、素足に突き刺さるような風がすりぬける。
「あーさぶっ…」
コーヒーメーカーにスイッチを入れる。しばらくすると暖かな湯気とコーヒーの香りが鼻を突き抜けた。
「杏子ねぇ…」
コーヒーが落ちるまでの間、俺は昔のことを思い出していた。
昔はよく遊んだっけ。最初は杏子のほうが背がでかくって…よくからかわれてた。
…いまでも馬鹿にされてるけど。
そんで高校は別々で、それでも家は近かったから…でもあの鼻たれがあんなに綺麗になるとはねぇ。
あいつ、彼氏とかいんのかな。俺以外の男のまえだとどんな顔してんのかな…
「…っと。落ち切ったみたいだな」
ポットを片手に俺は部屋へと戻った。
「おーい、コーヒー煎れたぞ…って、オイ。」
部屋に戻った俺を待っていたのは妙ににやけた顔の杏子、そしてその手には…
「アンタ…こんなのが趣味なわけ〜?」
『ド素人おもいッキリ生電マ』
タイトルのまんま、電気あんまが主体のAV…っておい!どこからみつけてきやがった!?
「てめぇ!何人のもの漁ってんだ!」
「ゴウも一応男なのね〜、でもこんなの見てコーフンするなんて…危ないんじゃないの?」
てめぇ…許さん。俺の大好きなジャンルを馬鹿にしやがって。そしてこの屈辱感…どうしてくれようか。
「へっ…!じゃあお前はこんなふうにさ…」
俺は無防備な杏子の両足をがっしりとロックした。
「きゃっ!な、なによっ!」
そのまま脚を杏子のスカートのなかに入れていく。
「こんなことされてももちろん平気だよなぁ?」
「なっ…」
頬をかあっと赤らめて杏子は俯く。へぇ、こういう顔は初めてだな…
俺ははじめてみる恥じらいの顔に少し興奮気味だった。
「…へ、平気に決まってるでしょ…!嘘じゃないわよ、本当なんだからっ!」
しばらくの沈黙のあと杏子はこう言い放った。
バレバレなんだよ、バーカ。
「だいたい私何人と付き合ったと思うの?ゴウなんかにこんなことされてもへいきなんだからっ!」
ほーう、こんなことねぇ…
俺は足の裏を杏子の股間に密着させた。柔らかくて暖かい布の感触は、冷えきった俺の足にちょうどよい。
「ひぁぁ…っ!」
「お?アンもなかなか可愛い声でるじゃん?」
「う、うるさいわねっ…出てないわよ!」
足の裏の冷たさに反応したのか、はたまた敏感なのか…裏返った声が杏子の口から飛び出した。
「それじゃ、行くわ」
俺はゆっくりと足全体を使って揉むように電気あんまを加えていく。
「…っ!気が済んだらっ…!勉強だからね…っ!」
小さくピクンと反応したがまだまだ減らず口を叩ける余裕があるようだ。もう少し強くしてみるか。
「ぁっ…!ひぁ…!ぁあぅ…!」
少しグリグリと刺激してやると甲高い声が杏子の口から零れる。ほんと、わかりやすい。
必死に声を押し殺している杏子、桜色の頬が何とも言えない。
俺はさらに強く振動を加えた。
「ひっ…ひぁああ!も、もう…いい!…もういいでしょ…!ぁあぁぅぅっ!」
今までより反応が激しい。杏子は身体を左右に捩りながら、セミロングの髪を乱している。
それにもういい?こんなエロい姿見せられてやめろってか…俺なんて今自分の欲求も処理してねーんだ。
存分にいたぶってやるぜ。
「あ、あぁぅ…!ゴウ、やめてよ、ゴウ…ぅぁ!」
既に杏子のパンツはぐちゃぐちゃに湿っており、足をスライドさせるたびにクチュクチュと水音が跳ねる。
こいつももう限界が近そうだ、一気にやっちまうか…
俺は押しつけるように、杏子の下半身に最後の振動を刻み付ける。
「あっ…ゴウ…!ゴウ…!…ぁぁあぁあぁっ!!」
杏子は身体を痙攣させ、そのまま気を失った。
「あ、あのね、ゴウ…」
あれから二時間。俺たち二人はまた机に向かっていた。
あのあとは大変だった…意識を取り戻したとたん俺は泣きながら何発も鉄拳を食らいまくって…まぁやりすぎたのは認めるけどさ。
「…なんだよ」
うわぁ、自分でもわかる。凄いぎこちない会話…
「さっきの…何人も付き合ったっていうやつ…あれ、嘘…」
「へぇ…」
まぁ何となくわかってはいたけど。実際は一人二人だろ。
「だって…私…ずっと前から…ゴウしか…見てなかったんだから…」
「はっ…!?」
今なんて?俺だけ?ずっと前から?
「だ、だから…」
俺の背中にトンと杏子の身体が重なってくる。
「受験が…おわったら…わたしと…つき…あって…?」
「杏子…」
振り向くと、顔を真っ赤にしながら潤んだ目で俺を見つめる杏子…普段勝ち気なあいつがこんな顔するなんて…
「あ、ああ…入試おわったら…こっちこそよろ」
―バチィッ!!―
突如、頬に衝撃が走り、一瞬お星さまが俺の視界をくるくるとまわる。
「へ…?」
「だ、だから早く勉強やりなさいよ!そ、それにあんなにえ、エッチなことしたのよ、責任とってほしいわ!こんなチャンス二度とないんだから!あーあっ、アンタが合格したら付き合わなきゃいけないなんて…サイテーよ!」
「へっ、しかたない。頑張ってやるか。」
「な、何よその言い方は!ちょっと聞いてるの!?」
ギャーギャー騒ぐ杏子を横目に冷めたブラックコーヒーを一気に飲み干す。
あと二日…こいつのためにも頑張ってみるかな…!