図書館で舞衣にプロポーズまがいのことをしてしまった日の夜。正刻は中々寝つけずにいた。
天井を見上げながら、ふぅと溜息をつく。
「しかし……。舞衣があんなに思いつめていただなんてなぁ……。」
図書館での出来事を思い返してそう呟く。いつも自分に愛を囁き、ひっついてくる舞衣があんなに不安を抱えていたとは想像すらしていなかった。
「まったく俺って奴は……。あいつに何年俺の幼馴染やってるんだ、なんて言ったが……人の事は言えねぇな本当……。」
そう言って正刻は目を閉じた。瞼に浮かぶのは舞衣の泣き顔、そして笑顔。
「しばらく……ベタベタしてくるのも大目に見てやるか、な……。」
そう言って正刻は、ようやく訪れた眠気に身を委ねていった。
「……き、おき……刻……。」
自分を呼ぶ声に、正刻は起こされた。枕元の携帯電話を見ると、まだ午前二時前後といった所だ。
こんな時間に部屋に侵入してくる人間は色々と不味い感じなのだが、夜中に起こされた所為で今ひとつ覚醒しておらず、かつその人物が自分の
良く知る少女であったため、正刻はその点には深くつっこまずにとりあえず問いかけた。
「……こんな時間に何の用だよ舞衣……。」
そう、正刻を呼んでいたのは舞衣だった。学校指定のセーラー服を身に纏い、とびっきりの笑顔を浮かべながら正刻に跨っている。
「こんな時間に済まんな正刻。だが……どうにも我慢が出来なくてな。」
正刻に跨ったまま笑顔で答える舞衣。その笑顔を見て、やっと働き始めた頭が警鐘を鳴らし始める。
「な、何だよ……。何が我慢出来ないってんだ……?」
正刻は慎重に舞衣に問いかけた。正体不明のプレッシャーを感じつつ。
「何が、だって? ……君とこうすることを、さ。」
すると舞衣は、言うが早いか正刻の頭をかき抱き、キスをしてきた。
「─────ッ!?」
突然の不意打ちに、正刻は思わず硬直してしまう。その隙に、舞衣は舌を入れ、濃厚なディープキスを行い始めた。
「……っぷ、はぁ……。んっ……。」
一心不乱に正刻の口内を蹂躙する舞衣。正刻は最初、驚きのあまりにされるがままになっていたが、我に返ると舞衣の肩をつかんで引き離した。
「んっ……。」
正刻の口と舞衣の口を銀色の糸が繋ぎ、そしてぷつんと切れる。それを見ていた舞衣は名残惜しそうに言った。
「何をするんだ正刻。折角のディープキスの最中だったのに……。」
「何をするんだ、はこっちの台詞だ馬鹿野郎!! お前、一体どういうつもりなんだよこんなことして!!」
「だから……言ったじゃないか。もう我慢が出来ないって。私は君が欲しくてたまらないんだ。君と……セックスしたくてたまらないんだ。」
そう言ってじっと見つめてくる舞衣。正刻はその瞳を暫く見返していたが、不意に目を逸らした。そしてぽつり、と呟いた。
「……俺には、お前を抱く資格はまだ無いよ。」
「……資格、か。君は変な所で真面目だな。」
そこがまた良いのだがな。そう言って舞衣は正刻の髪に軽く口付けをする。
その感触にぴくりと身を震わせ、そして正刻は言葉を続ける。
「とにかく、俺はお前をまだ抱けない。……お前のことを一番に考えることが出来ない今は、な……。」
そう言って舞衣から目を逸らし続ける正刻。そんな彼を見て、舞衣はくすり、と微笑んだ。
「? ……何だよ。」
「いや、君は少し勘違いをしている、と思ってな。君が私を抱くんじゃない。私が君を抱くんだ。」
そう言われた正刻はきょとん、とした顔をした。しかしすぐに呆れた顔をして舞衣を軽く睨みつける。
「おい舞衣。俺の話、ちゃんと聞いてるか?」
「ああ聞いているとも。その上でこう言っているんだ。いい加減覚悟を決めろ。」
「だから、何度も言っている通り、俺は……。」
「私の事を一番に考える事は出来ない、か? なら聞くが、君は私のことが嫌いなのか? 私のことを抱きたいと、これっぽっちも思わない
のか?」
妙な迫力を伴って正刻に問いかける舞衣。その迫力に押され、正刻は思わず本音を言ってしまう。
「そんな訳ないだろ! お前のことが嫌いだったりどうでも良かったらとっくに手を出してるさ! お前のことが好きで大事で大切だから、
必死になって我慢してるんじゃねーか!!」
その正刻の本音を聞き、笑みを浮かべる舞衣。それを見て、正刻は自分の失敗を悟った。思わず唇を噛み締める。
「ふふ……。そこまで私のことを想ってくれているのなら正刻……。私のことを抱いてほしいな……。」
舞衣はゆっくりと正刻に覆いかぶさり、彼を抱きしめながらそう囁いた。
自分を抱きしめてくる舞衣の身体の柔らかさと温かさに正刻はもう陥落寸前であったが、しかし最後の抵抗を試みた。
「だ、けど、それじゃあお前が……。」
「正刻。私のことを大切に想ってくれるのは有難いし嬉しいが、必要以上に大切に扱われるのは辛いものだぞ? ましてやそれが、愛する
人ならば尚更な。」
舞衣はそう言って正刻を抱きしめる腕に力を込めた。
その台詞を聞き、正刻は寝る前に考えていたことを思い出す。
(そうか……。だから舞衣は、あんなに不安に……。)
考え込んで抵抗を止めた正刻に、舞衣は止めとばかりにこう言い放った。
「今までずっと不安で辛かったんだ……。その分、君の温もりを欲しいと思うのは……私の我侭、か?」
潤んだ瞳で見つめられ、正刻は自分の理性の最終防衛ラインが破られたのが分かった。
舞衣の背中と後頭部に手を回し、しっかりと抱きしめる。
「あっ……。」
思わず声を上げた舞衣の頭を撫でながら、耳元で囁いた。
「覚悟しろよ? やめてと言っても、もう止まらないからな。」
それを聞いた舞衣は正刻に微笑みかける。
「それはこちらの台詞だ。君のことをたっぷりと愛してやる。私以外の女の子など、眼中に入らないくらいに、な。」
そうして二人はゆっくりと目を閉じ、再び口付けを交わした。
「むぐっ……はぁ……あむっ……。」
二人はお互いを貪るように深い口付けを交わす。舌を入れ、入れられ、またその舌を吸っては吸い返される。
その感触に二人とも陶酔していたが、やがて正刻は自分の胸に押し付けられている舞衣の胸に手を伸ばした。
「!? ん、んんんんんっ!!」
キスをしながら胸を鷲づかみにされた舞衣は思わず身をよじる。しかしそれは触られるのを拒絶するものではなく、予想以上の快感が自身
を襲ったためであった。
正刻はその反応を見ながら、片手だった胸への愛撫を両手を使って行い始めた。もちろんキスはしたままだ。
舞衣の胸はFカップに達しており、正刻の手には到底収まるような大きさではなかった。
その大きな胸を強弱をつけて揉みしだく。柔らかさと、手を弾くような瑞々しい弾力に正刻は夢中になった。
「ぷはぁっ! ま、正刻、ちょっと待ってくれ……!」
息が続かなくなったのか、キスを止めて舞衣が叫ぶ。その様子に、正刻は意地の悪い笑みを浮かべて言った。
「何だよもう降参か? まだキスと、服の上から胸を揉んでいるだけだぜ?」
そうして一際強く両胸を揉みあげる。舞衣は思わず「ひっ!」と声を上げてしまうが、それでも何とか正刻に言った。
「い、いや……。想像以上に気持ち良いが、降参とかではなくて……。ふ、服を脱ぎたいと思って……。」
そう言われて正刻の頭の冷静な部分が働く。確かに制服を皺だらけ、もしくは汚してしまっては不味いだろう。
だったらそんな格好で来なければ良いのに、と思ったが、それは言わないでおく。
「分かった。じゃあ俺も脱いでおくか。」
そうして二人はゆっくりと身を離し、着ている服を脱いでいった。
……しかし。
「な、なぁ正刻……。」
「ん? どうした?」
「そ、そんなに見つめられると……流石に恥ずかしいのだが……。」
そう言ってもじもじとする舞衣。まだスカーフしかとっていない。それに対して正刻は既にパジャマを脱ぎ終え、布団に入って舞衣の着替え
を凝視していた。
「心配するな。俺も結構恥ずかしいぞ。」
「だ、だったらこちらをあんまり見ないで欲しいのだが……。」
「それは却下だ。」
「うぅ……。」
舞衣は真っ赤になった。普段は素直クール属性で正刻に過度のスキンシップをとっている舞衣だが、流石にこの状況では羞恥心が勝ってい
るようだ。もっとも、何回か場数を踏めばもう嬉々として脱いでしまうようになるのかもしれないが。
だが今は、この貴重な舞衣の姿を楽しんでやろう。正刻はそう思いながら、舞衣を凝視し続けつつ言った。
「早く脱いでくれ舞衣。俺はお前の身体を見たくてたまらないんだ。」
だが、その言葉が舞衣の中の何かに火を点けた。
「……そんなに見たいのか? ……私の身体を……。」
正刻は無言で頷く。それを見た舞衣の身体は、羞恥心とは別の気持ちで熱くなり始めた。
(そうか……だったらたっぷりと見せてやる……。目を離すなよ正刻……。)
そうして舞衣は制服に手をかけた。
上着を脱ぐと、純白のブラに包まれた豊かな双乳が露わになる。舞衣がちらりと正刻の様子を伺うと、彼は既に胸に釘付けとなっていた。
(ふふ……そんなに見つめて……。このおっぱい星人め……。)
そんな事を思いながらも素知らぬ振りで服を脱いでいく舞衣。スカートを下ろすと、ブラとお揃いの純白のショーツが現れた。
正刻はもう無言である。ただ、興奮しきった目で舞衣の身体を見つめ続けている。
舞衣はその視線を感じながら、ソックスを脱ぎ、ブラのホックへと手をかけた。
だがすぐには取らず、正刻の様子を伺いながらゆっくりと外していく。
そして。ついにブラが全部外れた。
大きいのに全く垂れず、上向きの乳房。その先端は薄い桜色であり、興奮のためか、既に乳首は固くなり始めている。
それを見た正刻は、思わず息を吐いた。その様子に舞衣は満足し、ショーツにも手をかけ、下ろしていく。
股間の陰りはやや控えめであった。そして生まれたままの姿になった舞衣は、顔を赤くしながらも正刻に問いかける。
「どうだ正刻。私の裸は?」
そう言われた正刻は、すぐには反応出来なかった。舞衣の裸に見蕩れていたからだ。
やがて正刻は、ぽつり、と言った。
「……凄く、綺麗だ。」
それを聞き、舞衣は顔と……股間が熱くなるのを感じた。それを紛らわすため、布団に潜り込み、正刻と抱き合う。
「何か……凄いな。肌と肌を合わせると、こんなに気持ちの良いものなんだな……。」
正刻は舞衣の体中を撫でまわしながら呟いた。舞衣も同じように正刻の身体を触りながら答えた。
「そうだな。だが……誰とでも、という訳ではあるまい。私と君だから……こんなに気持ち良いんだよ。」
正刻は軽く頷いて同意を示すと、身体をずらし、舞衣の胸に吸い付いた。
「ひゃあっ!?」
痺れるような快感に、舞衣は思わず叫ぶ。その声に驚いた正刻が、慌てて舞衣に尋ねる。
「す、すまん舞衣! 痛かったか?」
既に荒い呼吸をし始めた舞衣は、しかし正刻の問いに首を振って答えた。
「いや、あまりにも気持ちよかっただけだ……。だから、もっと吸って、いじってくれ……。」
舞衣の懇願に、正刻は乳首に激しく吸い付くことで答えた。激しく音を立てながら舞衣の乳首を責め立てる。
「んっ!……はぁ……あああっ!!」
舞衣は激しく嬌声を上げた。声を出すのを我慢しようとは思っていない。正刻に愛され、それに応える自分を見て欲しいという想いがある
ためであった。
そしてその姿は正刻をより激しく興奮させる。
乳首を吸い、舐め上げ、軽く甘噛みする。片手で片方の乳首もさすり、ねじり、つねってやる。
そして正刻は、もう片方の手を舞衣の股間へと手を伸ばした。
「! あ、正刻……!」
「舞衣……。お前……凄いことになってるぞ……。」
「ばかぁっ……! 」
そう、舞衣の股間は大洪水と呼ぶに相応しい状況であった。
正刻は、胸への愛撫をしながら舞衣の秘裂をゆっくりとなぞった。
「ふ、ああ、ああああ……。」
正刻に秘裂をなぞられるたびに、舞衣は身体をびくんびくんと震わせる。
舞衣の秘裂からは、とめどなく愛液が溢れ出る。指をたっぷりと濡らしたそれをぺろりと舐めると、正刻は舞衣に囁いた。
「指、入れるぞ。」
「! ……分かった。でも、優しくしてくれ……。」
「分かった。」
舞衣に軽くキスをすると、正刻は彼女の秘裂に中指を入れる。
「ん、くぅ……。」
舞衣は正刻の頭を抱き寄せた。正刻はされるがままになってやりながら、指の挿入をゆっくりと行なう。
最初こそ少し苦しそうな表情を浮かべていた舞衣だが、すぐにそれは喜悦の表情へと変わる。
それを確認した後、正刻は入れる指を二本へと増やした。
「あっ! そ、そんな二本も……っ!!」
「けどお前のココは、ぎゅうぎゅう締め付けてくるぞ?」
そう言って指の出し入れを更に激しくする正刻。舞衣は反論しようとするが、快感に喘ぐことしか出来ない。
それを見た正刻は、ちょっとした悪戯心を出す。人差し指と中指で愛撫を行なっていたが、親指でクリトリスをぐっ、と押したのだ。
「!? あああああああああっっっ!!」
だが舞衣の反応は正刻の想像を遥かに超えていた。獣のような叫び声を上げ、背を弓なりにそらし、膣が激しく収縮して正刻の指を千切ら
んばかりに締め付ける。そして糸の切れた操り人形のようにぐったりと動かなくなった。
「お、おい、舞衣! 大丈夫か!?」
正刻は慌てて舞衣に問いかける。舞衣は虚ろな目をしていたが、段々と意識を取り戻し、絶え絶えな息をしながらも答えた。
「ああ、何とか大丈夫だ……。だがいきなりクリを刺激するのはちょっとひどいぞ……。」
「すまん……。まさか、その……こんなになるなんて思わなかったから……。」
そう言ってうなだれる正刻をそっと抱き寄せて、舞衣はその髪に軽く口付けた。
「悪いと思っているなら正刻……。そろそろ挿れてくれ……。本当はその……フェラをしたり、君にも私のあそこを舐めて欲しかったが……
もう我慢出来ない……。君が欲しいんだ正刻……。」
舞衣のその告白に、正刻も頷く。実の所、正刻ももう限界であった。愚息は今までに無いほど固く大きくなり、先走り液も大分溢れている。
「ああ……。俺もお前が欲しい……あ、でも……。」
正刻はこの段階に至って気がついた。コンドームを用意していない。
どうしたものかと思っていると、舞衣がくすりと笑いながら言ってきた。
「心配するな、今日は安全日だ。そのくらいの事は私も織り込んで来ているさ。」
「けど……。」
「それに決めていたんだ。初めては直接君を感じたいと。君の精液を……直接受け止めたいと、な。」
そこまで言われて引くことは出来ない。正刻は舞衣を仰向けに寝かせ、足の間に身体を割り込ませた。
「あっ……正刻っ……!」
愚息を舞衣の秘裂に当てた正刻を舞衣が呼ぶ。
「どうした? ……怖い、か?」
「うん、少し……。だから……キスをしながら挿れて欲しい……。」
その願いはすぐに満たされる。正刻は舞衣にキスをし、舞衣はその首と背中に腕を回す。
そのまま正刻は腰を進めた。熱く、ぬめった肉の中を進んでいくと、僅かな抵抗があった。
その抵抗を、正刻は体重をかけ、一気に突き破った。それと同時に舞衣の口から声にならない叫びが上がり、身体が震え、
腕に力が込められ、背中には爪を立てられた。
そのまま突き進むと、こつんと行き止まりにぶつかった。正刻は口を離し、舞衣に囁いた。
「舞衣。全部入ったぜ。」
すると舞衣は、ぎゅっと閉じていた瞳をゆっくりと開けた。うっすらと涙がたまっている。
それを見て正刻は仕方ないとはいえ少し胸が痛んだ。
「痛い、よな、やっぱり……。」
だが予想に反し、舞衣は首を振って否定した。その様子に正刻は少し驚く。
「え? だってお前、泣いて……。」
「いや……痛みはそれほどではない。少し圧迫感はあるがな。泣いているのは……嬉しくって、安心したからさ。」
「え?」
「不思議だな……君自身を私の中で感じることが、これほど嬉しくて、気持ちが安らぐものだとは思わなかった。君はどうだ?
そうは思わないか?」
そう問われ、正刻も思っていたことを素直に言った。
「ああ。俺も同じ気持ちだ。ついでに言うなら、俺の方は受け入れてもらって安心する気持ちがあるのと、……気持ちよすぎて
もう出ちまいそうだっていうのがあるな。」
その正刻の告白に、舞衣は声を上げて笑った。そして、自分が正刻の背中に爪を立ててしまっていることに気づく。
「済まない、正刻。この背中……私なんかよりよっぽど痛かっただろうに……。」
そう言ってくる舞衣に、正刻は笑顔で答える。
「何、いいさ。これもお前との初体験の思い出だしな。」
そんな正刻が愛しくて、舞衣は軽くキスをした。そして彼に囁く。
「じゃあ正刻……。もう動いてもいいぞ……。」
「え? だが……。」
「私なら大丈夫だ。さっきも言ったように、痛みはそれほどではない。それに私は早く君に、私の中に精液を注いで欲しいんだ。
だから……動いて、私を愛してくれ。」
もっとも、優しくしてくれると嬉しいがな、と舞衣は付け加えた。
既に動きたくてたまらなかった正刻は、その言葉に頷いた。
「優しく……してやるさ。」
そうして彼は動き始めた。
ゆっくり、慎重に正刻は愚息を出し入れする。その度に舞衣が上げる喘ぎ声は、否応なしに彼を興奮させていく。
舞衣の膣内は、とても気持ちが良かった。出し入れするたびに、これまで味わったことの無いような快感が正刻を襲う。
気がつけば、腰の動きは段々と早くなっていき、そしてそれを止められなかった。
結合部からはぐちゅぐちゅと粘膜の擦れあう水っぽい音がしだし、肉と肉がぶつかりあう音もし出した。
「ま、正刻! ちょ、はげしすぎっ……!」
「ごめん、舞衣、俺もう止まらない……ッ!!」
そう謝って正刻は激しく腰を打ちつけ続けた。
舞衣はもう正刻の下で、ただ嬌声を上げ続けることしか出来ない。
限界は、すぐに訪れた。射精感を覚えた正刻が舞衣に囁く。
「舞衣っ……! そろそろイクぞっ……!!」
すると舞衣は、足を正刻の腰に絡めて固定する。
「ああいいぞ正刻……ッ! 君の全てを……私の中に注いでくれえっ……!!」
絶え絶えの息でそう告げる舞衣。正刻は頷くと舞衣にキスをし、ラストスパートをかける。
もうお互いが絡み合う音は部屋中に響いていた。正刻も舞衣も、既にお互いの身体の熱さと、快感しか感じることが出来ない。
そして、終局が訪れる。
正刻は舞衣の一番奥に一際強く腰を打ち付けると、限界まで我慢した欲望を一気に解き放った。
これまでに無い程の勢いと量と熱を持った精子が、舞衣の膣を、更には子宮を蹂躙する。
その感触に、舞衣は絶頂へと一気に持ち上げられた。獣のような叫び声を上げると、彼女は深い充足感と安心感と幸福感を
味わいながら意識を手放した。
「まったく君はひどい奴だな。優しくしてくれって言ったのに……。本当に君はケダモノだな。」
「う……。ご、ごめんなさい……。」
情事が終わった後。正刻に腕枕をされながら舞衣は正刻を責め、彼はひたすら低姿勢に謝っていた。
まぁ優しくしてやるといっておきながらいきなりエンジン全開になってしまったのだから、この場合は責められても仕方無いかもしれない。
そんな正刻を半目で睨んでいた舞衣であったが、くすり、と笑うと、腕を回して正刻を抱きしめながら言った。
「まぁいいさ。私も気持ちよかったし、それに……やっと君と一つになれて幸せな気分だし、な。」
その舞衣の言葉に正刻はほっと胸を撫で下ろした。
しかし……そのほっとした気持ちもすぐに奈落の底へと叩き落されることとなる。
何故なら……。
「あぁそうだ正刻。私も実は一つ謝らなければならないことがあるのだが。」
「? 何だ?」
「いや、大したことではないのだがな。実は、今日は安全日などではないのだ。」
その言葉に正刻はぴしり、と固まる。そんな正刻を無視して舞衣は衝撃の告白を続ける。
「実は今日はむしろ危険日……いや、超・危険日と言った方が良いかな? とにかくそういう日でな。そんな日に子宮にあんな量と粘度の
精液を流し込まれたのだから、恐らくは当たっているだろう。」
そして舞衣はとても穏やかな笑顔で自らの腹部を撫でる。
しかし正刻には、その笑顔は悪魔の笑顔に見えた。
(こいつ全部計算して、そして俺を嵌めやがったな……!)
そんな正刻の様子をちらりと見て、舞衣は妖艶に微笑んだ。
「もう逃げられないぞ、正刻。さあ、色々と覚悟を決めてもらおうか!」
そんな彼女を見て、正刻の思考は走馬灯のように回り始める。
いや俺は舞衣のこと嫌いじゃないしエッチも気持ちよかったけど流石にこれはないんじゃないか俺の人生これで決まりなの?いや何ぼ何でも
コレは無いだろうでも責任とらなきゃだしああ俺唯衣と鈴音に殺されるかもいやもう勘弁してくれそうだこれは夢だそうに違いない頼むから
そうであってくれというか夢なら醒めてくれお願いだから夢なら─────
「─────醒めてくれぇぇぇぇっっっ!!!」
そう叫んで正刻は飛び起きた。
はぁ、はぁ、と自分の呼吸音が聞こえる。
真っ暗な部屋には自分以外……舞衣も……いない。聞こえるのは自分の呼吸音と時計の針の音、そして遠くを走る車の音だけだ。
時計を見ると午前四時くらいだった。
「……夢、だったのか……?」
そう言って正刻は額の汗をぬぐった。ひどい寝汗をかいてしまっていたようだ。
そのままの状態で正刻はしばらく呆けていたが、徐々に落ち着いてくると、自己嫌悪で頭を抱えて唸りだした。
「あー、もう! 何つう夢を見てんだ俺はー!!」
そしてとある事に思い至り、そっと自分のトランクスの中を確認した。
一応寝る前にある程度の「処理」を行なっていたので流石に夢精はしていなかったが、しかし愚息は天を衝く程に戦闘態勢に入っていた。
正刻は溜息を吐くと、汗を洗い流すのと、愚息の「処理」のために、風呂場へとシャワーを浴びに行った。
「ねぇ正刻大丈夫? 何か顔色悪いよ?」
朝食を作っていた唯衣が心配そうに問いかける。それに対して正刻は力ない笑顔で返す。
結局あの後シャワーを浴びて愚息の処理を行なっても眠ることは出来ず、寝不足になってしまったのだ。
「あぁ大丈夫だ。ちょっと厭な夢を見ちまってな……。その所為で少し寝不足なんだ。」
「ふーん。逆に舞衣は何か良い夢を見られたような事を言ってたけどね。どんな夢を見たかは教えてくれないんだけど。」
そう言って唯衣は舞衣を見た。つられて正刻も彼女を見る。
確かに今日の舞衣は上機嫌だった。心なしか、肌もいつにもまして艶々としている。
二人の視線に気づいた舞衣が問いかける。
「何だ? 私の顔に何かついているか?」
「いや、今日はいやに上機嫌だと思ってさ。何だか良い夢を見たんだって?」
俺が見たのはお前が主演のある意味悪夢だけどな、と心の中で呟きながら正刻は舞衣に尋ねた。
すると舞衣は満面の笑顔を浮かべて答えた。
「ああそうとも! まぁ君になら言っても良いだろう。私が見たのは君と私の夢だったのだよ。」
ふぅん、と正刻は舞衣が淹れてくれたコーヒーを啜りながら相槌を打つ。
「具体的に言うならばな? 私と君が初体験を行なう夢だったのだよ!」
ぶ─────っ!!
がっしゃ─────ん!!
その舞衣の衝撃の告白に、正刻は盛大にコーヒーを吹き出し、唯衣は皿を落とした。
そんな二人の姿も眼中に入らないのか、舞衣はうっとりとした表情でその「夢」の内容を語りだす。
「いや夢の中の君はおっぱい星人でな? 私が服を脱ぐのをもう獲物を狙うハンターのように見つめてくるんだ。その視線に私はまた感じ
てしまってな。更に優しくしてくれって言ったのに最初からクライマックスでもう激しく責め立ててくるし……。まぁそれはそれで愛
を感じることが出来て嬉しかったがな。ただ一ついただけないのは安全日だと偽って君に中出しさせたことだな。確かにそうすれば君
は責任をとってくれるだろうが、そんなものは私の本意ではない。……まぁ、少しだけ魅力的な案ではあるのだがな。それにしても凄
かったよ。起きたらもうショーツがぐっしょりと……。」
「あ────ッもうそこまで!! あ、あああああアンタは一体何言ってんのよっ!?」
唯衣が耐え切れずに舞衣の話を強引に中断させる。唯衣の顔は真っ赤だ。
そんな唯衣を不思議そうに見ながら舞衣が答える。
「いや、ただ単に私が見た夢の内容を語っただけなんだが……。お前だって私が見た夢の内容を知りたがっていたろう?」
「い、いや確かにそうだけど、まさかこんな……。」
そう呟いて唯衣は俯く。その様子を見ながら舞衣はしれっとした調子で言った。
「心配するな。別に誰にでも言うわけじゃないさ。流石に往来でこんな話をするつもりも無いしな。」
「当ったり前でしょうがッ!! 道端でこんな話をしてたらそれこそ良い晒しモノよっ!!」
それでもけろっとしている舞衣に、正刻からも何か一言言ってもらおうとした唯衣は、彼の様子がおかしいことに気がついた。
いつもなら自分がつっこむ前に、彼のアイアンクローが舞衣を捉えて黙らせている筈である。
なのに今の彼は、青い顔をして気まずそうに目線を外している。よく見ると、こめかみには脂汗が浮いている。
不審に思い、正刻に声をかけようとした瞬間、唯衣の中で色々なものが繋がり、閃くものがあった。
「厭な夢」を見て寝不足の正刻。「良い夢」を見て上機嫌の舞衣。更にその「良い夢」の内容を聞いて、明らかに様子がおかしい正刻。
常人ならばこれだけでは何も連想できないかもしれないが、ずっと幼馴染として過ごし、そして正刻を愛する乙女の勘が唯衣にある推測
をもたらす。
(まさか正刻が見た夢って……!)
そう思うが早いか、唯衣は正刻の頭をつかみ、強引に自分の方に振り向かせる。
「うわっ! 何すんだよゆ……!」
「ねぇ正刻……。私、あんたが見た夢の内容を知りたいんだけど、教えてくれない……?」
そう言った唯衣は笑顔だった。しかし正刻は、その笑顔の裏に唯衣の激しい怒りを垣間見た。
(ま、まさかコイツ……気づいて……!?)
そんな筈はないという考えと、唯衣ならば気づいてもおかしくない、という考えが頭でせめぎあい、正刻は硬直してしまう。
そして怖い笑顔を浮かべてくる唯衣と、興味津々な様子で見つめてくる舞衣をどうするべきか、正刻は内心で溜息をつきながら考えた。
結局唯衣のプレッシャーに押され、つい真実を言ってしまったため、数日間唯衣と事情を聞いた鈴音に完全に無視され、舞衣にはいつも
以上にベタベタされて正刻はぐったりとしてしまったのだが、それはまた別のお話。