ジリリリリリ  
無機質な目覚ましの音。俺はこの音が嫌いだ。何故なら、俺を眠らせないから。さぁ寝よう。  
 
 
 
やべっホントに寝ちゃった。  
「母さ〜ん、弁当は〜?」  
寝てるし・・・  
俺の家は俺が母親を起こし飯を作ってもらうことになってるいるから、俺が寝過ごすと即座に昼飯抜きになってしまう。  
まあ仕方ない学校へ行こう。昼飯は葵と高瀬から奪う事にしよう。  
いつもの如く遅刻寸前で教室に駆け込むと、いつもの如く河合不動明王様が待っていた。  
「こらっ安井、毎日毎日遅刻寸前で来て、今日こそ成敗してくれるわっ。」  
今時成敗ってなんですか?とは言わない。  
「遠慮しときますよ、河合せんせ」  
 
「遼君、今日もまたやってるね〜」  
「葵もそんなニヤニヤして見てないで助けてくれよ。」  
こいつは岩松葵、小一からの付き合いだ。ほとんど幼なじみに入るな。しかもかなりの顔の造作で頭もよろしい。  
「何で〜?。寝坊してくる遼君の自業自得じゃん。それに小一からず〜っと続けられたら助ける気にもなんないよ〜。」  
性格はお茶目なのかな?女の子っぽいところもあるがな。  
「へぇへぇ、俺が悪うござんした。」  
「ま〜た朝っぱらから仲いいな。」  
 
「遼君、今日もまたやってるね〜」  
「葵もそんなニヤニヤして見てないで助けてくれよ。」  
こいつは岩松葵、小一からの付き合いだ。ほとんど幼なじみに入るな。しかもかなりの顔の造作で頭もよろしい。  
「何で〜?。寝坊してくる遼君の自業自得じゃん。それに小一からず〜っと続けられたら助ける気にもなんないよ〜。」  
性格はお茶目なのかな?女の子っぽいところもあるがな。  
「へぇへぇ、俺が悪うござんした。」  
「ま〜た朝っぱらから仲いいな。」  
でこれが高瀬博文。いい奴だが馬鹿だ。俺が言えた口じゃないけどね。がオタクの癖に彼女まで持っていやがる。  
「高瀬〜、我々のどこが仲がいいんだよ?ご主人様と奴隷の関係だろ〜」  
「だっ誰がご主人様よ!」  
「こらっ安井と高瀬。ペチャクチャと喋ってんじゃない!」  
「先生、葵は?」  
「岩松は優秀だから何してもいいの。  
お前等みたいな赤点常習者とは違うんだよ」  
むう、差別はイカンな  
「差別だ!それに古文と歴史、公民は学年Top10に入る我々を捕まえて赤点常習者とは何事ですか。」  
「それだけだろうが。他は全部赤点じゃないか。」  
「スミマセン」  
これでも昔は頭よかったんだけどな〜  
 
 
お昼時  
 
さあ、たかり作戦開始だ  
 
 
「腹減った〜、葵〜何かくれ〜」  
「遼君また?。自分のお弁当は?」  
「親が起きなかった。」  
「つまり、遼君が寝坊したから、おばさんが起きれなくて、作れなかったのね?購買で買ってきたら?」  
「御名答。さすが我が幼なじみ。だが俺に金がないことは失念してるらしいな。」  
「はぁ。ほらこのおにぎりと唐揚げ上げるよ。」  
「さんきゅー。」  
よし次は高瀬だ。  
「高瀬何かよこせ」  
「次は俺かよ。ほい、我が野菜軍団を上納しよう。」  
「うむ、貰ってしんぜよう。  
しかしお前本当に野菜嫌いだな。なんとか飯の体裁は調ったな。いただきます。」  
「野菜なんか食わなくても生きていける!」  
元気に言うなよ。と心の中で突っ込みつつ、もらった飯にぱくりつく。  
 
「うふっ」  
「なんだよ葵〜。キモいぞ。」  
「キモイとは何よ。  
いやね、本当においしそうに食べるなぁって」  
「そうか?自分じゃわからん。この唐揚げうまいな、おじさんに美味しかったって伝えといてくれ。」  
「ありがとっ」  
 
「何故お前が言う?」  
「いや別に、なんでもないよ。」  
「鈍感」「だな」  
「おぉ高瀬に中川までなんだよ?」  
中川は高瀬の彼女だ。  
「「別に〜」」  
わけわからん。変な所でハモるな。とりあえず、  
「なんだよ、キモいな。」 と言っておこう。  
「解ったから、食べなさいって。」  
葵にオコラレマシタ  
 
帰宅時  
 
「葵〜たまには一緒に帰ろうぜ。」  
「遼君には二日に一辺がたまになの?まぁいいや一緒に帰ろ。」  
「細かい事は気にしないに限るぜ。さぁ、行こうぜ」  
「はぃはぃ」  
何故か葵は、絵の具やリコーダーまで持って帰っている。  
「で、何でそんな大荷物なの?仕方ない一つ持ってやるよ。」  
勝手な好意を押し付け葵の荷物を奪い、葵と並んで帰る。  
一日で一番大事な時間かもしれない。  
葵いい匂いするなぁ、こいつ人気あるんだろうなぁ。  
「ねぇ」  
「おお、急になんだ?」  
「いや、別になん  
「ごめんちょっと待って。座らせて。」  
はぁ、はぁ、胸が締め付けられて苦しい。そのうえ一気に体が重くなる。胸が痛い、胸が痛い、胸が痛い………  
 
 
「大丈夫?最近頻繁になってるじゃん。遼君、それ病院行った方がいいよ。」葵が心配してくれてる。答えなきゃ。  
「べ、別に大丈夫だよ。」そこで一息ついて  
「どうせ、大人しくしてればすぐ直るし、大丈夫だよ。心配してくれて、ありがとな。」  
「その自己診断が危ないっていってるの。本当に最近つらそうだよ。」  
「大丈夫だって。ただの不整脈だよ。心配しなくても大丈夫。さぁ行こう。」そんなことはない。最近痛みが強くなっている。でもそれを隠し通したかった。  
そう思い、俺は心配そうな葵の頭を撫でてやった。  
まだつらいけど、これ以上葵に心配かけるわけにいかない。  
「ホントに大丈夫?遼君はただでさえ体弱いんだから。」  
「Ok、オッケー。で何言いかけたんだ?」  
「い、いや。今日もおばさんは家にいないの?」  
なんか引っ掛かるけど言いたくないなら聞かないのがマナーだ。  
「うん、今日も遅いみたい。」  
「オッケー、おかず持って7時位に行くね」  
「あいよ」  
葵と別れ、なんとか家に転がり込むと同時にへたりこんでしまった。はぁやっぱり変な意地張らなきゃよかった。  
さっきの発作で予想以上に体力を削られたらしい。  
 
俺の体力を執拗に削り続けるこれに始めてなったのは、小六の頃だった。がその頃は親が離婚してしまった直後であり生活を一人で支える母親に何も言えなかった。だからこの事を知っているのは、葵と高瀬くらいのものだろう。  
 
また、親が離婚したのに伴い、一人でいる時間が大幅に増え、一人でしなきゃいけない家事もするようになった。だからこそ今ではそんじょそこらの女子にも家事で負けない自信がある。  
葵には敵わないけどね。  
葵の家も父一人、子一人の家庭で始めて会った時からそうだった。  
 
そして何時からか一人で飯を食うのも寂しいと言う事で互いがどちらかの家に集まって夕飯を食うことになった。  
 
でその為に飯を炊いている訳だ  
 
ピーンポーン  
玄関のチャイムがなった。もう来たのだろう。  
 
「開いてるよ〜」  
「こんにちは。おかず持って来たよ。」  
「あいよ。飯もう少しで炊けるから、並べといて〜ほい、味噌汁」  
「はいはい」  
全く、我々は呆れるほど息が合うなぁと内心苦笑していたら、葵からは葵をぼーっと見てるように見えたらしい  
「ねぇ、ぼ〜っとしてないで手伝ってよ。」  
怒られてしまった  
「は〜〜い。ご飯炊けたし食べようぜ」  
 
「よし、食べよう」  
「「いただきます」」  
即座に我々は飯にがっついた。  
葵の作ったご飯はうまい、が言わない。  
そのまま食事中は無言。  
居心地が良い無言。  
「「ご馳走様」」  
「はぁ食った、食った。」  
「またまた〜一膳しか食べてない癖に。高一男子が食べて満足する量じゃないよ。」  
俺は学年の中でも1.2を争う少食だ。  
「いーの、俺は少食なの。あ、片付けなくていいよ俺がやっとくから。」  
「私がやるから座ってなよ。」  
「そう?サンキュ。で」  
「で?」  
「数学教えて。」  
「何処?」  
「全部」  
「あのね〜。まぁいいや。今日やったところ教えるね。」  
「うむ。そうしてくれ。とりあえず今日の定理を教えてくれ。」  
「え〜っとこれはね・・・‥‥………」  
葵の横に座ると、非常に佳い匂いがしてくる。毎度毎度のことだ。  
そしてこれもいつもの事だが、葵可愛いなあ。  
 
葵は学内トップ5に入る位可愛いと思う。  
 
俺は葵のことが女の子として好きなんだと思う。  
 
でも告白はしない。  
 
理由はある。  
まず俺と言う男が葵に釣り合っていない。  
ついでに今の関係を壊すのが恐い。という臆病思想まである  
だから告白しない。  
告白する権利もないと思っている。  
 
「こ〜らっ。聞いてんの?」  
「おおっ。うん、聞いてたよ。」  
「ほんとに?じゃあこれ解いてみて」  
俺はこのやり取りができれば充分さ。  
「よし解いてやろう」  
 
解けない、聞いてなきゃ当然か。  
 
「参りました。」  
「やっぱ聞いてないんじゃん。」  
「うん聞いてなかった。もう一回聞くからおしえて。」  
「遼君は頭いいんだから、もっと勉強しなよ。これはこうやってやるの。」  
呆れてても教えてくれる。やっぱ優しい。  
だからこんなに葵の事しか考えられなくなるんだ。  
「なるほど。多分理解。」  
「多分ですか。」  
「ねぇ好きな人いる?」  
「またまた〜。な〜んでそんな事聞くのかな〜」  
いきなりの質問に内心ドギマギしつつも聞きたくない話だと感じたから、何とか茶化す方法を考える。  
「べ、別にいいじゃん。ねぇ教えてよ。」  
茶化せない。  
ごまかせない。  
なら言うしかない。  
「う〜ん。いるよ。」  
「えっ、いるの?!  
そっそうだよね、もう高校生だもんね。昔とは違うよね。」  
 
なんでこんなに慌てるんだ?  
慌てる葵も可愛いなあと思ったのは内緒だ。  
とりあえず落ち着かせたいと思っても、何に動転していて、何に悩んでいるのかがわからない。  
わからん事には慰めようがない。  
ならば話を聞くしかない。  
でも聞きたくない。  
けど聞かなくちゃいけない気がする。  
なら聞こう。  
「どーしたの?何か悩み事?相談なら乗るよ?」  
「い、いや悩みとかじゃなくて。」  
何に動転してるのか?  
ここまで慌ててれば、この話を終わりに出来るかもしれない。  
こんな逃げの思案が頭の片隅に出てきた。  
そしてのってしまった。  
「わけ解んないなぁ。そんなに可愛くしてると襲っちゃうぞ。」  
そう言った途端葵の顔が真っ赤になった。  
よし、うまくいった。  
 
「ばっ馬鹿!」  
 
怒らない。  
それどころか、真っ赤な顔をして俯いてしまった。  
俺なんか踏んだ?  
「ご、ごめん。何か悪い事言った?全くそんな気がしないが、もし言ったなら謝る。スマン。」  
とりあえず謝っておく。  
情けないけどね。  
「ボソッ」  
何か葵が呟いた気がする。  
「うん?何か言った?  
もう少し大きい声で言って。」  
「べ、別にしてもいいよ。」  
なんか幻聴が聞こえた気がする。  
 
Ok、落ち着くと同時に状況を解明するために、整理してみよう。  
なんか悩んでるらしい葵が聞きたくない感じの話を始めた。  
でそれを聞きたくない俺は、話を逸らそうと襲うぞと言ったら、襲ってくれと言われた。  
 
うん、有り得ない。冗談だ。  
たとえ冗談じゃなくても流すしかない。  
 
俺にそんなことは出来ないから。  
 
「またまた〜冗談キツいよ〜。ほらもう遅いから、帰った方がいいよ。」  
本当に冷酷な奴だと自嘲しながら、葵を追い返す。  
「う、うん。そうだよね、もう帰るね。」  
「送ろうか?」  
「大丈夫、じゃあね。」  
「じゃあまた明日。」  
葵は逃げるように帰っていってしまった。  
 
なんであんな動転するんだ?  
誰にでも冗談とわかる事を冗談ぽく言ったはずなのに。  
もしかして悩みを言い当てたとか?。  
いや襲われたいなんて悩みがあるはずがない。  
もしくは本当に俺のことが好きで襲われたかったとか?  
有り得ない。男の俗な欲望だ。  
葵が俺みたいな、馬鹿で気を使えなくて迷惑ばかりかけるような男を好きになるはずがない。却下だ却下。  
 
もはや俺の低劣な頭脳は<?>を量産することしか、しなくなっていた。  
 
寝よ。わからん時は寝るに限る。  
 
そして最後にはこんな答しか出せなかった。  
 
そのうえ現実逃避で卑怯な考えしか出せない自分の頭脳を自己嫌悪していたはずだったのに  
結局寝てしまった。  
 
本当に最悪な男だ。  
 
 
 
学校行きたくないなぁ。  
それは考える事を放棄した葵への申し訳なさもあり。  
またどんな顔をして会えば良いのかわからないという卑屈な逃げであり。  
さらに何か抱えているであろう葵の力に成れない無力感でもあった。  
 
とりあえず、弁当作ってもらわなきゃ。  
そう思い母さんを起こしに行く。  
「母さん弁当作って。」  
「おはよぅ。今作る。」  
「はいおはよう。じゃ着替えてくるね。」  
 
「母さん弁当。」  
私は弁当じゃないよ。ほれ。朝飯は?」  
「いらない。食欲ないし。」  
「また風邪?」  
「うっせー。いくら病弱だからって、そうそう風邪になってたまるかい。」  
何かに悩むとすぐ母さんに当たってしまう事をまた嫌悪する。  
「はいはい、さっさと学校行きなさい。あ、今日も遅いからね〜」  
「了解。行ってきます。」  
「行ってらっしゃい。」  
はぁ、逃げたいなぁ。そんな事を思いつつも、たかが学校をサボる勇気すらない卑屈な俺は行ってしまうのだった。  
 
教室に着いてしまった。葵は・・・いない?!  
勢い込んで高瀬に聞く  
「なあ高瀬、葵は?」  
「よぉ、早いな。そういえば見てないな。」  
どうしたんだろ、葵に限って遅刻するはずもないし、  
「どうした?奥さんの事がそんな心配か?」  
「取りあえず殴ってやろう。」  
「それは断る。で何かあったのか?岩松が休みなんて珍しいぞ。」  
「いや、何も、ない。」  
 
「なんだよ、歯切れ悪いな。本当になんかあったとか、じゃないよな?」  
 
「うるさい」  
 
「わかった。何も言わない、でもなにかあって岩松を傷つけたなら・・・」  
 
本当に感が良い奴だ。  
そして性格も良い奴だと思う。  
もし事情を説明したとしても笑ったりせずに一緒に悩んでくれるだろう。  
でもそれは出来ない、俺のチンケなプライドが許さない。  
なんか全てを他人任せにしてる気がするし。  
 
 
「おい!安田!」  
「何ですか?先生」  
「お前岩松のこと知らないか?家に電話かけても誰も出ないんだが。」  
「知りません。」  
「わかった。今日の帰りにでも岩松の家行ってみてくれ。」  
「はい。」  
 
俺はただ困惑していた。  
家にいない?何故?  
病気なら家で寝てるはずだろ。そもそも病気じゃなくてサボりとか?  
いや葵がサボるわけない。  
なら学校に来る途中で何かあったのか?  
まさか、確率的に低すぎる。  
それともこんな時間でも病院に行かなきゃいけないような重病?  
昨日そんな風には見えなかった。  
 
頭に出てくる全ての理由が否定される。全てが確率的に低すぎる。ありえない。  
多分、答は俺が最も聞きたくない答。  
 

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