ムグ……
うつ伏せになった女の口から、クチュクチュと淫靡な音がする。
「っ……、くっ」
その下で仰向けの青年が、思わず秘唇への舌使いを止める。
「ふふっ。どう?」
若い女は、鮮やかな色の唇から青年の紫色に膨張したものを解放して振り向く。
もっとも完全に解放はされない。その下の血管の浮き出たそれは、相も変わらず彼女の繊細な指で握られ、こしこしと扱かれ、さわっと撫でられる。
「す、すごい……よ」
彼は端整な顔をとろんと緩め、ハアハアと息継ぎをしつつ答える。
「まだまだ、よ」
切れ長の目に挑発的な笑みを浮かべて、彼女は再び彼のものを頬張る。ズブッと一気に奥まで咥え込み、先端を喉に当て、ギュッキュと強弱を付けつつ口をすぼめる。
「……うっ、あっ……」
青年の舌は既に、充血して液の滴る彼女の秘所から離れ、ただただ相手の舌技への賞賛を漏らすばかり。
彼女はそれに満足したのか、緩んだ陰嚢をくにゅりと揉みしだく。
「ふふっ。あ、そうだ。サービスに、こっちも弄ってあげようか?」
彼女のほっそりとした指が、彼のやや細めで筋肉質の腿を回り込み、引き締まった臀部の間へとするりと滑りこむ。
「あっ、そっちはダメだ」
喘いでいた青年が、不意にしっかりとした声を上げる。
「え?」
怪訝そうな声が返る。
まさか、馬鹿正直に操を立てる相手がいる、などとは言えない。適当に誤魔化す。
「あ、いや。痔なんだ」
「ふーん……。じゃ、そろそろ一回目行くわよ」
彼女の動きが加速した。蠢く舌が、真紅の唇が、繊細な指が、彼の膨張した先端を、そそり立つ幹を、敏感になった袋を、素早くしかし繊細に舐め、締め、揉む。
「っっっっあっっっっ」
間もなく青年の声と共に、彼女の口中に苦く粘る白濁液が迸る。
話は三十分程遡る。
季節は晩春、時刻は宵、青年は繁華街に接する道を歩いていた。灰色のスーツで手に黒鞄といういでたちの、どこにでもいるサラリーマンである。
が、彼は集団に埋没するには少々目立つ。まず細身で長身、次に端整な顔立ち、そして何より自信とでも安心とでも危険な魅力とでも感じられる、不思議で静かな微笑。
丁度、人通りも絶えた時だったため、彼女は彼に目をつけた。
「ねえ、そこのお兄さん」
いつもの様に声をかける。
青年は突然ワンレンボディコン――最近の客の好みだそうだ――の女に声をかけられて、ギョッとして振り向く。
彼女は自分が商売女である事を明かし、今日は客がつかないから閉店間際の値引きだと告げる。最初は警戒しているようだった青年も、彼女の巧みな弁舌に次第に乗り気になり、ついには相場より安い金額で手を打った。
やがて二人は近くのブティックホテルへと入る。そして早速服を脱ぎ、事に及んだいた訳だ。
口中の白濁液をペッとティッシュに捨てると、女は早速第二ラウンドに取りかかる。
彼のスラリとした脚に跨って座ると、彼の萎れたものをそっと握りチロチロと舌を這わせる。右手で中程を握り、先端に舌を這わせ、下の袋をそっと揉む。
彼女の口中で、手の中で、彼が復活してきた。
「じゃ、今度はこうしてあげる」
左腕でグッとすくい上げ、その豊満な胸を強調する。
その豊満な両胸にローションをヌラリとまぶすと、まだ膨らみきってない彼のモノを両側からムギュッと挟む。
そのヌルヌルムニュムニュした感触に、むくむくと彼に元気が戻る。
「ね、どう?」
「ああ、サイコーだね」
青年の口から思わず息が漏れる。
それに気を良くしたのか、さらに舌を追加してチロチロと責める。
「じゃ、いよいよ本番ね」
枕元に手を伸ばして、コンドームを一つ取る。
包装をピッと破り、中身をパクッと口に咥える。そして彼に覆い被さり、慣れた様子で口だけで器用に装着させる。
それから中腰になると彼の腰に跨る。形良く刈り込んだ毛と血色に膨らんだ淫唇がはっきりと見える。
彼のモノにそっと手を添えると、静々と腰を下ろしてズブッと飲みこむ。